全整協、個人契約結集に着手 受領委任堅持などビジョン示す
2020.08.25
今春、柔整療養費の受領委任解除(償還払い移行)への意向を表明した健康保険組合連合会(健保連)がその実施に向けて動きを見せ始めている中、柔整業界側でも、個人契約柔整師団体の結集を目指して設立された「全国柔道整復統合協議会」(全整協)が受領委任の堅持などを掲げ、大同団結に乗り出している。 (さらに…)
全整協、個人契約結集に着手 受領委任堅持などビジョン示す
全整協、個人契約結集に着手 受領委任堅持などビジョン示す
2020.08.25
今春、柔整療養費の受領委任解除(償還払い移行)への意向を表明した健康保険組合連合会(健保連)がその実施に向けて動きを見せ始めている中、柔整業界側でも、個人契約柔整師団体の結集を目指して設立された「全国柔道整復統合協議会」(全整協)が受領委任の堅持などを掲げ、大同団結に乗り出している。 (さらに…)
Q&A『上田がお答えいたします』 柔整療養費の償還払いへの移行は実行される?
Q&A『上田がお答えいたします』 柔整療養費の償還払いへの移行は実行される?
2020.08.25
Q.
健保組合は柔整療養費の受領委任払いを撤回して償還払いへ移行するらしいと聞きました。
A.
結論から言えば、その通りです。柔整療養費検討専門委員会でも議論されたように健康保険組合連合会(健保連)は、傘下の健保組合が柔整療養費の受領委任払いの取り扱いの撤回を決定したならば、それを尊重して療養費支給の原則である償還払いへ移行すると宣言しました。
全国1,390の健保組合のうち、半分はこれに従うと私は見ています。そうすると、返戻を繰り返している大方の健保組合は償還払いへの移行とともに我々にはノータッチとなり、とんでもない経済的損失が生じます。にもかかわらず、この前柔整師の先生方とお話しさせていただいたところ、何とこのことを知っている人は一人もおらず、皆さんの情報不足に驚いてしまいました。移行の実施時期は (さらに…)
Q&A『上田がお答えいたします』 柔整の受領委任は健保組合の判断で契約解除できるの?
Q&A『上田がお答えいたします』 柔整の受領委任は健保組合の判断で契約解除できるの?
2020.07.22
Q.
健保組合が柔整療養費の受領委任取扱いを廃止して償還払いに移行するとの話が出ているそうですが、各都道府県社団の会長との三者協定で成り立っている「協定」があるかぎり、その他の施術者団体との「契約」も、保険者の独自判断で解除できるようには思えませんが……。
A.
健保組合の受領委任に当たっての委任行為の規程を見ると、協定は「本協定の締結を行うに当たっては、甲(地方厚生<支>局長)は健康保険組合連合会会長から受領委任の契約に係る委任を受けること」、個人契約は「本規程に基づく契約の締結を行うに当たっては、地方厚生(支)局長は、健康保険組合連合会会長から受領委任の契約に係る委任を受けること」とあります。 (さらに…)
全整協 25の個人契約団体で緊急会議 柔整療養費の危機、共有
全整協 25の個人契約団体で緊急会議 柔整療養費の危機、共有
2020.06.25
柔整療養費での償還払いや復委任の見直しが厚労省の会議で俎上に載せられた中、個人契約の柔整師団体間で結集の動きが起きている。4月に発足した全国柔道整復師統合協議会(全整協)が緊急でウェブ会議を開き、危機的状況への提言をまとめた。
償還払い導入と復委任廃止に「ノー」
今年に入り、大阪の接骨院グループの不正が報じられたのを機に「復委任」が問題視され、また4月下旬の柔整療養費検討専門委員会で保険者側から「柔整での償還払い導入」が表明されたことに危機感を抱き、全整協が集参を呼び掛けた。コロナ禍でウェブによる会議となったが、日本個人契約柔整師連盟(日個連)と全国柔道整復師連合会(全整連)の所属団体を中心に25団体が参加し、5月26日に開かれた。 (さらに…)
『医療は国民のために』297 柔整療養費の受領委任から健保組合が消える!?
『医療は国民のために』297 柔整療養費の受領委任から健保組合が消える!?
2020.06.25
コロナ禍の4月下旬に開かれた柔整療養費の第17回検討専門委員会で、健康保険組合連合会(健保連)の委員が、柔整療養費でも償還払いに移す行動を起こすとのショッキングな発言をした。一般傍聴無しのオンライン会議だったため、広く知れ渡ってないようだが、冗談ではなくなってきている。
健保連の発言には、▽昨年末に柔整団体が受領委任のルールを一方的に押し付ける文書を送り付けてきたことで、協定・契約の信頼関係が崩れ、今後の不正対策も改善する見通しが見いだせない、▽公的保険財政が崩壊の危機を迎える中、療養費の不正をこれ以上放置できず、保険者自らの機能で対策強化を図るしかない、などの理由・背景があり、今後、償還払いへの変更を希望する健保組合がいた場合、その意思を認めるというものだ。
(さらに…)
健保連、「柔整での償還払い導入」を機関誌上で主張
健保連、「柔整での償還払い導入」を機関誌上で主張
2020.06.12
4月下旬にオンライン会議で開かれた「柔整療養費検討専門委員会」で、柔整療養費でも保険者判断で償還払いに切り替えられるよう取り組む意向を示した健康保険組合連合会(健保連)が、その主張を機関誌である「健保ニュース」で展開している。
健保ニュースによると、健康保険法の原則に則って支払方法を移行するだけで、既にあはき療養費で実施されていることから何ら問題はなく、抑止する根拠はないと主張している。また、今後、厚労省と実務ベースの調整を進めていく考えも明らかにした。
弊紙でも、この健保連の主張については、柔整療養費の重大局面を迎えているとの側面から5月25日号(1121号)で詳細に取り上げている。
健保ニュース2020年6月上旬号『幸野理事インタビュー 柔整療養費に償還払い導入は可能』
『医療は国民のために』296 柔整業界側が送り付けていた医科併給に関する「問題文書」の顛末に思う
『医療は国民のために』296 柔整業界側が送り付けていた医科併給に関する「問題文書」の顛末に思う
2020.06.10
柔整団体、主に日本柔道整復師会(日整)と健康保険組合連合会(健保連)との間でトラブルが発生している。原因は、以前に本欄で取り上げた「日整が保険者や行政に送った医科との併給に関する文書」だ。この文書で日整が主張したのは、①厚労省通知で示された様式例や国会答弁には法的拘束力はない、②留意事項(医療課長通知)に併給を制限する規定が存在しない、の2点の根拠を基に「併給は認められる」というもの。そして、この主張が誤りであったことは既に解説済みなので割愛し、ここでは「文書をめぐる事の経緯」に触れたい。
まず昨年のうちに、文書は日整から傘下の47都道府県柔整社団の会長宛てに送られ、周知されたようだ。次に、これを原案にし、昨年12月10日付で、日整と全国柔道整復師連合会(全整連)の会長連名で健保連の都道府県連合会長宛てに送付され、その後、東京の健保連本部にその内容が伝わった。最後に、今年2月20日付の文書が日整の保険部長の名で、地方厚生(支)局指導総括管理官宛てに発出された。二つ目の文書は第16回柔整療養費検討専門委員会に、三つ目の文書は第17回同委員会にそれぞれ保険者側から提出資料として出され、表沙汰になった。
(さらに…)
「柔整でも償還払いを」健保連明言 柔整療養費専門委で
「柔整でも償還払いを」健保連明言 柔整療養費専門委で
2020.05.25
議論空転、業界側との関係崩壊を理由に
健康保険組合連合会(健保連)が、あはき療養費と同様に、柔整療養費でも受領委任から償還払いに保険者判断で切り替えられるよう取り組んでいく意向を示したことが分かった。4月22日にオンライン開催された「柔整療養費検討専門委員会」で、健保連理事の幸野庄司氏が述べたようで、同委員会での不正対策議論の空転や業界団体との信頼関係の崩壊などを理由に、今後償還払い移行の行動を起こしていくという。
療養費議論の重大局面に
幸野氏の意見表明は、令和2年度料金改定や不正対策の議論が一通り交わされた後に行われた。保険者が数年前から要望する「患者自らが請求内容を確認する仕組み」や「行政の指導監督の強化」の議論が一向に進まず、これ以上の不正を放置できないとし、健保組合自らの保険者機能で対策を強化していく構えで、被保険者・事業主で構成する「組合会」の決議を経て、償還払いへの変更(受領委任協定の委任解除)を希望する健保組合が現れれば、健保連はこれを容認し、必要な手続きを行っていくと発言したという。
この発言には、4月22日と2月28日(前回)に開かれた専門委員会の席上で健保連側が提出した資料も大きく影響している。資料内容は、公益社団法人日本柔道整復師会(日整)ら業界団体が、保険者や地方厚生局宛てに一方的に送りつけたとされる (さらに…)
柔整療養費 第16回検討専門委員会 不正対策等で議論再開
柔整療養費 第16回検討専門委員会 不正対策等で議論再開
2020.03.10
明細書、電子請求化、負傷原因、復委任……
2月28日、都内で「柔整療養費検討専門委員会」が約半年ぶりに開かれ、不正対策等の議論が再開した。今回で16回目を数え、事務局である厚労省から、これまでの議論の進捗状況や今後の実施に向けて検討を要する不正対策等について提示された。
業界側「明細書への負傷部位記載には対価を」
前回までの話し合いの中で、「患者が請求内容を確認できる仕組み」の必要性が合意された点を受け、厚労省は今回、「領収書または明細書に負傷部位を記載する欄の追加」(下画像参照)を新たに提案。
日本柔道整復師会(日整)の三橋裕之氏は、「近年までに様々な不正対策が課され、柔整審査会の権限強化として、一昨年には面接確認の設置も始まり、ひとまずこちらの様子を見てほしい」と訴えたが、健康保険組合連合会(健保連)の幸野庄司氏が、「患者の請求内容確認と審査会強化は別問題だ」と指摘した上で、「領収書を過去に健保連で調査したが、事実と異なる内容で発行されたものも発覚している。ぜひ明細書を発行するように進めるべきだ」と要求した。これを受け、三橋氏は、療養費取扱高が落ち込んでいる上、治療院を一人で経営する柔整師も多い中で大きな負担だと強調し、日整の伊藤宣人氏も、「申請書を手書きしている柔整師もまだ存在する。例えば、500円とか、1,000円とかもらわないと厳しい」と、明細書に負傷部位欄を設けた場合の「対価」を求めた。対価の受け入れに保険者側は難色を示す中、座長の遠藤久夫氏(国立社会保障・人口問題研究所所長)が、「条件付きであれば、検討の余地がある」とまとめ、継続議案とした。
一部位目から負傷原因記載
保険者「必要」、業界側「不要」
そのほかの議題としては、「支給基準の明確化」「柔整療養費の電子請求化」等が挙げられ、厚労省による進捗の説明に加え、業界・保険者双方から意見・発言が出された。(下図参照)
中でも、保険者側が早期実施を強く主張したのが「支給申請書の負傷原因を1部位目から記載すること」だ。幸野氏は、「1部位請求」のうち、3割近くで不正が認められたとの健保連の調査を示し、実施の必要性と合わせて、「もしこれが実施できれば、患者照会の件数も減っていく」と強調した。これに対しては、日整の長尾淳彦氏が、「負傷原因は当然、施術録の中には書いている。それを月に100枚も、200枚もある申請書に書くことに労力がいる」と異議を唱え、三橋氏も、「本当に悪い柔整師は既に1部位目から負傷原因を書いている。この対策を講じるだけで全てが解消するわけではない」と反対した。また、全国柔道整復師連合会(全整連)の田畑興介氏は、負傷原因の記載に対して細かな点まで尋ねてくる保険者の対応が最近エスカレートしていると指摘。質問内容が医学用語にまで及ぶケースもあり、「1部位目から記載」の前に「負傷原因の書き方」を業界・保険者間で整理するのが先だと主張した。
昨年末に報じられた「ギオングループの不正疑惑」の話題を持ち出し、請求代行団体の「復委任」について問題視する発言も聞かれ、厚労省が「論点として初めて出てきたので、各立場の意見を聞きながら検討したい」と述べた。
医科併給を認める日整文書「怪文書」呼ばわり
今回の専門委員会では、健保連から別途資料の提出があった。内容は、日整と全整連の連名で、昨年12月に健保連の各都道府県宛てに送付された「療養の給付(医科等)と柔整療養費の併給不可は誤りで、本来は認められる」との旨を示した文書。幸野氏は、「業界を代表する団体が、健康保険法87条をゆがんで解釈し、しかも一方的に送り付けてきて、はっきり言って怪文書だ」と非難。このような事態となった説明を業界側と厚労省に迫った。三橋氏は、「個別事例の中であいまいな判断をされ、返戻・不支給になっており、その考えを提案として文書で送った。が、時期尚早であったかなと思う」と言葉を濁した。厚労省は、「こういう文書の出され方は遺憾と言わざるを得ない。今後、関係者間でよく話し合い、この件は共有して進めていきたい」と答えた。「審査現場は混乱しており、訂正文書を出してほしい」との幸野氏の問いに対し、「持ち帰って検討する」と三橋氏は返した。
『医療は国民のために』289 柔整療養費と医科の「併給問題」が最近、にわかに騒がしい
『医療は国民のために』289 柔整療養費と医科の「併給問題」が最近、にわかに騒がしい
2020.02.25
1月の下旬以降、私宛てに柔整療養費と医科の「併給」に関する問い合わせが急増している。これについては、私が関わった審査請求でも棄却されており、鍼灸療養費と同様に困難であると、否定的見解を持っている。
そもそも、従来の厚生省保険局保険課課長補佐による平成11年10月20日付の内翰で「保険医療機関で治療を受けていながら、並行的に同じ傷病について、柔道整復師の施術を受けることは認められない」と明記されており、さらに、平成15年9月2日付の内閣総理大臣答弁書で「健康保険法においては…(略)…現に医師が治療を継続している疾患に対してはり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師又は柔道整復師が施術を行ったとしても、療養費を支給することは認められていない」との政府見解も出されている。
なぜ今になってこの種の質問が多数寄せられているのか。
実は、日頃より懇意にしている業界関係者から聞いたところ、「最近、日本柔道整復師会(日整)から併給は認められるとの考えが書面で示された」というのだ。 (さらに…)