連載『柔道整復と超音波画像観察装置』220 前距腓靱帯損傷
2023.07.25
竹本晋史(筋・骨格画像研究会)
20歳代女性。サッカーの試合中、相手とボールを奪い合った際、左足関節を内反強制された。 (さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』220 前距腓靱帯損傷
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』220 前距腓靱帯損傷
2023.07.25
竹本晋史(筋・骨格画像研究会)
20歳代女性。サッカーの試合中、相手とボールを奪い合った際、左足関節を内反強制された。 (さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』219 肘関節内側側副靭帯前斜走線維(AOL)損傷の一例
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』219 肘関節内側側副靭帯前斜走線維(AOL)損傷の一例
2023.06.23
塚田 悟司(筋・骨格画像研究会)
【症例】
24歳 男性 バドミントン選手
【主訴】
肘関節全体の痛み
【現病歴】
1年以上前にバドミントンの試合中に右肘に違和感があり、整形外科を受診。画像所見では大きな異常がないためリハビリを行っていたが、痛みが改善しないままプレーを継続していた。日常生活で痛みを感じない時間もあるが、バドミントンをすると右肘の痛み、痺れ、脱力感が生じるため来院した。 (さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』218 超音波検査による腰椎の観察
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』218 超音波検査による腰椎の観察
2023.05.25
田中 正樹(筋・骨格画像研究会)
日常生活において、腰痛は、高い頻度で発生するものであり、若年層から成人、高齢者まで発生する痛みであるので、柔道整復師にとっても、日常的に扱うことの多い疾患である。年齢層によって、腰痛の発生原因や病態は違ってくるが、主に腰関節の問題により、その周囲の筋肉や靭帯に負担をかけている場合が多く、それぞれに応じた治療が必要になってくる。しかし、体表からの観察では、はっきりしない場合が多く、ポイント的な治療アプロ-チが難しい場合もある。今回は超音波検査により腰痛の明確な原因にたどりついた例を紹介する。 (さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』217 超音波画像を用いた筋の量的評価と質的評価
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』217 超音波画像を用いた筋の量的評価と質的評価
2023.04.25
宮嵜 潤二(筋・骨格画像研究会)
超音波画像は、侵襲なく短時間での身体組織の評価が可能である。また小型化・軽量化から、ポイントオブケア超音波(point-of-care ultrasound:POCUS)として使用される分野や環境も拡大しており、スポーツ分野においても例外ではない。骨格筋の評価については、筋量低下のみでは筋力低下を説明できないことも明らかになっているため、筋の質的評価も重要であり、超音波画像を使用した定量的・定性的評価に関する研究がなされている。本稿では、その概要を述べる。 (さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』216
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』216
2023.03.24
今回の執筆者:松本 尚純(筋・骨格画像研究会)
近年、コロナ禍でのリモートワークやスマホ首といわれるストレートネックで悩む患者が増加している。またその中でも、肩部や上肢帯の痛み、しびれ感などを訴える場合は頸椎椎間板ヘルニア、頸椎症、胸郭出口症候群(以下TOS)などに起因していることが考えられる。今回はTOSへの超音波画像観察装置(以下US)での描出について述べたいと思う。 (さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』215 母指外側種子骨損傷
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』215 母指外側種子骨損傷
2023.02.24
今回の執筆者:後藤 陽正(筋・骨格画像研究会)
手指の母指MP関節損傷を呈している症例では、どうしても発生機序から掌側板損傷や側副靭帯損傷を中心に判断し、種子骨に損傷が及ぶ印象を受けない。今回は右母指MP関節外側種子骨の損傷を疑った症例を紹介する。 (さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』214 野球肘による内側上顆骨端線離開後に骨片を固定したK銅線経皮ピニングによって起こった腕橈骨筋二次的損傷の症例報告
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』214 野球肘による内側上顆骨端線離開後に骨片を固定したK銅線経皮ピニングによって起こった腕橈骨筋二次的損傷の症例報告
2023.01.25
小野 博道(筋・骨格画像研究会)
患者:中学1年生 投手
野球肘の経過:
投球時リリース期に右肘内側部に激痛が生じ、その後投げることが出来なくなった。受傷後すぐに当院受診され、内側上顆(後上方から)の限局性圧痛が著明、腫脹、屈伸運動の可動域制限、軽度の外反変形、内側上顆骨端核が遠位に転位されていることが触診で認められた。 (さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』213 第5中足骨疲労骨折
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』213 第5中足骨疲労骨折
2022.12.23
今回の執筆者:竹本 晋史(筋・骨格画像研究会)
大学2年生、サッカー部に所属している。2週間ほど前から足の第5趾に違和感と運動時痛があったが、走ることができるため、疲労がたまっている程度だと思い、病院等への受診はせずに練習に参加していた。しかし、状態が回復しないために当院を受診した。外見上、発赤、腫脹などは無く、圧痛、軸圧痛が若干、認められた。受傷機転がないことから下駄骨折ではなく、疲労骨折を疑い超音波観察装置(以下:US)で観察した画像が【画像①】患側、【画像②】健側である。 (さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』212 音響陰影の出ない裂離骨片について
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』212 音響陰影の出ない裂離骨片について
2022.11.25
今回の執筆者:塚田 悟司(筋・骨格画像研究会)
骨のような硬い組織は超音波を透過しない。そのため骨片や石灰などがある場合は、超音波が透過せず音響陰影となる。そのため画像を読み解く上で音響陰影の有無を確認することは非常に大切である。しかし、骨片があるにもかかわらず音響陰影が出現しない場合もあるため症例を報告する。 (さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』211 描出が難しい腰椎部のエコー観察
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』211 描出が難しい腰椎部のエコー観察
2022.10.25
今回の執筆者:田中 正樹(筋・骨格画像研究会)
柔整師が超音波画像観察装置を用いて、軟部組織や骨を観察するのは、日頃の診察において、有用であるが、全ての部位において、抽出がたやすいとは言い難い。
超音波画像観察装置にて画像を抽出し、画像を把握するのには、練習が必要であるが、その中でも腰椎部は鮮明な画像の抽出が難しく、観察にはより注意が必要である。今回は腰椎の観察を報告する。 (さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』210 超音波画像による迷走神経の描出について
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』210 超音波画像による迷走神経の描出について
2022.09.26
今回の執筆者:宮嵜 潤二(筋・骨格画像研究会)
迷走神経は最大の脳神経で、舌咽神経、副神経とともに頭蓋底の両側の頸静脈孔から出た後、内頸静脈と総頸動脈の間、頸動脈鞘内を走行する。そして胸部と腹部の内臓器官を神経支配するとともに、喉頭と咽頭を含む頸部の構造物に感覚・運動神経を供給し、生理機能の制御に関与する多数の感覚・運動軸索が備わっている (Berthoud and Neuhuber, 2000)。近年、40代男性に対する鍼灸治療による迷走神経損傷及び出血からの高度の迷走神経性徐脈を引き起こして死亡した症例が報告されている (Watanabe et al., 2015)。 (さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』209 右膝関節痛への描出について
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』209 右膝関節痛への描出について
2022.08.25
今回の執筆者:松本 尚純(筋・骨格画像研究会)
45歳男性、常に痛みや違和感があるわけではないが、長引く右膝の疼痛や違和感が気になり来院する。ある時は内側裂隙部、また膝蓋骨の裏側や、膝蓋上方などに痛みが出現するが、来院日当日は軽微な右膝蓋骨外上角の違和感のみである。
患側、健側ともMcMurryテスト(-)、Lachmanテスト(-)、膝蓋跳動検査(-)、Drawer sign(-)、Lateral instability テスト(-)、目立つ所見がないことから、超音波画像観察装置(以下US)にて描出した。
【画像①】は内側側副靱帯(以下MCL)付近をランドマークに内側裂隙部を描出した画像である。変形性膝関節症などでみられる骨棘などは見当たらず、大きな病変はないように観察できる。
(さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』208 野球肘後遺に伴う尺骨神経障害
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』208 野球肘後遺に伴う尺骨神経障害
2022.07.25
今回の執筆者:後藤 陽正(筋・骨格画像研究会)
現在、柔道整復師や理学療法士、スポーツドクターなどの医療従事者が少年野球に関わり、競技における傷害予防に携わっている。近年、超音波観察の普及が急速に進み、競技会場や医療施設などで定期的に野球肘の観察が行われている。成長期の無理なオーバーユーズはその後の選手生命に大きく影響し、投球制限、定期的な超音波検査など野球関係者や世論からも傷害予防が認識されてきている。それでも野球肘や野球肩を罹患する例は後を絶たない。痛みなく野球を続けたい、少しでも長く野球を続けたいと思うのは当然のことであり、野球肘や野球肩などを少しでも減らし、予防していくこともスポーツに関わるトレーナーや医療従事者の役目とも考える。
野球肘が要因となり、尺骨神経障害を罹患した症例の内側走査の超音波観察を紹介する。患者は小学2年生から野球を始め、小学5・6年生でピッチャー、中学・高校ではファースト、サード、バッティングピッチャーを務め、ピッチャー時代には肘内側の痛み、野手に転向してからは肘痛が消え、逆にバッティングピッチャーの際に肩痛を発症した経緯を持つ。日常生活への影響はないが、背臥位、肩関節外転90°、肘関節屈曲90°の肢位を長く続ける際に薬指、小指にしびれが出現する為、超音波観察を行う。
今回、使用した機器は日立アロカ製のNoblus。観察部位は前斜走線維、後斜走線維、尺骨神経溝内の尺骨神経。走査法は前斜走線維長軸走査、後斜走線維長軸走査、尺骨神経短軸走査を行う。観察肢位は背臥位、肩関節外転90°、肘関節屈曲90°とした。
【画像①】は前斜走線維長軸像であり、靭帯付着部に骨隆起を認め、靭帯表層は不整を呈し、厚さは正常より薄く映し出されている。さらに鈎状突起の位置関係から外反を示唆する画像が観察される。
(さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』207 レントゲンでは見えない腓骨下端部(外果)前距腓靭帯付着部裂離骨折
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』207 レントゲンでは見えない腓骨下端部(外果)前距腓靭帯付着部裂離骨折
2022.06.24
今回の執筆者:小野 博道(筋・骨格画像研究会)
小学6年生(11歳) 女子の症例。部位は左足関節・腓骨下端部(外果)で、2週間前、走っていて足を内反に捻り受傷したという。近医に受診しレントゲン検査にて「靭帯を痛めています」という診断で簡易の固定バンドを処方されたが、痛みが取れないため当院を受診された。
外果下前方部に腫脹(+)、現局性圧痛(+)、内反ストレステストにて疼痛(+)、前方引き出しテストにて疼痛(+)。ストレステストは明らかな動揺性は認められなかった。
外果部の圧痛が前距腓靭帯ではなく腓骨側付着部の骨上に見られたため、「前距腓靭帯付着部裂離骨折」を疑い超音波観察装置にて前距腓靭帯に対し長軸にプローブを当て観察した【画像①、②】。
(さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』206 腓骨骨折の1症例
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』206 腓骨骨折の1症例
2022.05.25
今回の執筆者:竹本 晋史(筋・骨格画像研究会)
19歳大学生の症例を紹介する。サッカー試合中、後方よりボールを取りに来た相手選手に下腿下部を蹴られ負傷。受傷時、激痛でうずくまるが、すぐにプレイに復帰する。受傷当日はアイシングを行い帰宅する。翌日、病院を受診しレントゲン検査の結果は骨の異常は無く、筋挫傷の診断を受けた。3日間は歩行痛が激しく、安静にしていた。4日目以降、痛みは残存するが圧迫テーピングを自身で巻き練習に参加する。疼痛は徐々に軽減するが消失しない状態であった。受傷後、10日目の練習中、シュートを打とうとしたが、相手ディフェンダーが足を出してきたために止めた瞬間、再度、同部位に激痛が走り歩行困難となる。その日に受診した際の外観が【写真①】。
(さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』205 アキレス腱筋腱移行部断裂の一例
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』205 アキレス腱筋腱移行部断裂の一例
2022.04.25
今回の執筆者:塚田 悟司(筋・骨格画像研究会)
【患 者】56歳男性、会社員
【主 訴】自宅で犬が階段から落ちてきてキャッチしようと踏ん張った際に負傷
【経 過】2週間ほど前に自宅で負傷。肉離れだと思い放置していた、下腿部の腫脹や痛みが中々引かず皮下出血斑がひどいため来院。
【病 歴】特記すべきものなし
【所 見】右下腿中央部(踵骨隆起から10〜15cm近位部)に圧痛(++)、下腿後面から踵部にかけて皮下出血斑(++)、足関節自動背屈可能だが運動時痛(+)、つま先立ち不能、Thompson test (+)、Matles test(+)、跛行(+)であり、アキレス腱断裂が疑われる。来院時健患比較写真【画像①】
(さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』204 筋肉の損傷
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』204 筋肉の損傷
2022.03.25
今回の執筆者:田中 正樹 (筋・骨格画像研究会)
筋肉組織を超音波装置(以後US)で観察すると、低エコ-に描出される筋線維【画像①-A】と高エコ-の筋周膜【画像①-B】が交互に重なっている。それを包むように筋膜【画像①-C】が高輝度の線状像で描出されるのが正常な状態である。肉離れや筋挫傷などの筋損傷がある場合は、筋線維と筋周膜は平行に重なる走行が段違いになるような不連続画像になり血腫をともなう。血腫貯留部位は低エコ-塊が見られ、筋線維・筋周膜は抽出されなくなる。今回は筋挫傷のUSによる経過観察を報告する。 (さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』203 ストレッチングの効果に関する超音波画像エラストグラフィーを用いた筋硬度評価に関する文献レビュー
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』203 ストレッチングの効果に関する超音波画像エラストグラフィーを用いた筋硬度評価に関する文献レビュー
2022.02.25
今回の執筆者:宮嵜 潤二(筋・骨格画像研究会)
以前、ストレッチングの腰部筋硬度に対する超音波画像評価に関する文献を取り上げた。今回は四肢に関するストレッチングとその超音波画像評価に関する文献についての報告がなされているため、いくつかレビューしたい。
Pubmedを使用して、検索キーワードを“stretching”“elastography”“muscle”に“dorsiflexion”を加えると29件、“Hamstring”を加えると13件、“quadriceps”を加えると7件、“forearm”を加えると4件であった。
足関節底屈筋群のストレッチングでは、10人の日本人若年男性を対象とした研究では、 (さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』202 側頭部痛への観察
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』202 側頭部痛への観察
2022.01.25
今回の執筆者:松本 尚純(筋・骨格画像研究会)
45歳男性、長引く左側頭部の痛みで来院する。顎関節の運動でも強く嚙み締めた際はやや疼痛は増強し、たまに楽になることもあるが、顎関節の運動とは別に軽度の自発痛が継続している。本人は歯が原因かと思い、歯科医院で左上奥歯の治療を完了したが、それでも側頭部痛は続いているという。
側頭筋を触察したところ健側に比べ、患側の側頭筋部にしこりのような硬結のようなものが側頭筋の長軸方向に停止部である下顎骨方向へ約2㎝ほど触察することができた。 (さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』201 左母指MP関節屈曲障害に対するエコー観察
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』201 左母指MP関節屈曲障害に対するエコー観察
2021.12.24
後藤 陽正(筋・骨格画像研究会)
手指損傷により関節可動域制限などを後遺している症例で、何故指の動きが悪いのかと質問された際、的確に皮下の状態を説明することは施術者にとって非常に苦慮するところである。治療の過程で後遺を残すか否かであれば判断が付く。しかし、陳旧例では経験則から判断するしかない。後遺の原因を特定するには、X線検査やMRI検査などの画像検査を加える必要もある。言い換えると、皮下の状態を画像検査なしに判断する限り、憶測の域を脱することはできないということである。 (さらに…)