『医療は国民のために』294 厚労省が柔整の請求代行団体を「ファクタリング」と認めないのはヘン
2020.05.10
一般に「ファクタリング」とは、他人が有する売掛債権を買い取って、その債権の回収を行うサービスを指す。医科などの診療報酬明細書では、保険請求する債権が保険医療機関の「お金」であるから、入金前に現金化する債権譲渡、いわゆるファクタリングは日常的にも行われ、また、これを専門に取り扱う金融商品も出回っている。 (さらに…)
『医療は国民のために』294 厚労省が柔整の請求代行団体を「ファクタリング」と認めないのはヘン
『医療は国民のために』294 厚労省が柔整の請求代行団体を「ファクタリング」と認めないのはヘン
2020.05.10
一般に「ファクタリング」とは、他人が有する売掛債権を買い取って、その債権の回収を行うサービスを指す。医科などの診療報酬明細書では、保険請求する債権が保険医療機関の「お金」であるから、入金前に現金化する債権譲渡、いわゆるファクタリングは日常的にも行われ、また、これを専門に取り扱う金融商品も出回っている。 (さらに…)
連載『不妊鍼灸は一日にして成らず』25 風が吹けば
連載『不妊鍼灸は一日にして成らず』25 風が吹けば
2020.05.10
「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざがあります。一つの事象が全く予測できないところに影響を及ぼすという意味です。似たものに「バタフライ効果」というものがあり、蝶の羽ばたきが竜巻を起こす可能性もあるという意味です。コロナウイルスも最初は中国のごくわずかな患者から始まりました。どこかの国の指導者は、最初にタカを括っていたらその国は最悪の事態となりました。早々にロックダウンしたところは終息傾向が早まりました。 (さらに…)
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』138 ダブルループ学習
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』138 ダブルループ学習
2020.05.10
緊急事態宣言が延長されました。鍼灸院も接骨院も自粛対象から外れていますが、患者数が減っていると思います。医療崩壊を防げと言われますが、発熱を診ないような一般の医療機関も患者数が減っていると聞いています。そもそも医療機関は非営利を求められているので、それほど資金が潤沢なわけではないところも少なくなく、今後は自粛のための医療危機が生じるかもしれません。受診を自粛してもなんとかなるような患者さんで、薬局で薬を自費で買ってセルフメディケーションで事足りるのだと分かると、ある意味、医療機関でのその診療は過剰であったとも言えるわけで、ポストコロナの医療も変わってくるかもしれません。さて、患者さんは医療機関へ戻るでしょうか。 (さらに…)
連載『中国医学情報』182 谷田伸治
連載『中国医学情報』182 谷田伸治
2020.05.10
☆癌性疼痛(多発性骨転移癌)の鍼灸治療例
南京中医薬大学・魏心昶(しんえい)らは、腎臓癌術後の骨転移による癌性疼痛の鍼灸治療例を報告(中国鍼灸、19年4期)。
患者=男、72歳、退職した職工。2017年7月10日初診。
主訴=左右肋骨部と右側頭部の疼痛が反復し1年余り、この1カ月で悪化。
現病歴=2002年右腎臓癌が発見され、切除術後一般状況は良好。1年前歯の色が濃くなり、全身各所の疼痛を自覚、南京市第一病院の検査で多発性骨代謝異常が見つかり、多発性骨転移癌の可能性が考えられたが、放射線や抗癌剤治療を拒否。鎮痛剤(Tramadol)長期服用も効果なし。17年6月9日南京市中医病院のMRI検査:右第7・9肋骨、左第8肋骨、右肩甲骨に破壊、左第6肋骨前段に骨破壊に伴う皮下軟部組織腫瘤。
現症=左右肋骨部・右側頭部・背部の疼痛顕著(VAS:8~9)、四肢運動制限なし、活力不足、食欲少、排便正常、夜間疼痛顕著、睡眠に影響。舌尖紅、苔黄膩、脈弦数。
診断=西医:腎臓癌術後多発性骨転移、中医:骨瘤。
治療法=毎日1回、1クール5回(クール間2日休む)。
①仰臥位―0.25×40mmの鍼で、中脘・下脘・気海・関元・大横・足三里・三陰交・懸鍾・太衝・風池・右率谷に刺鍼。局部疼痛部位(左右肋骨部、右肩甲下角)に、直径10cmで上下左右4方向から15°で斜刺(深度30mm)。左右の足三里・懸鍾を各一対で通電(連続波・30Hz・約2mA)30分間。同時に湧泉に棒灸30分間。
②座位―大杼・肝兪・脾兪・腎兪の膀胱経に上向きで45°で斜刺10mm、捻転得気後、置鍼10分間。抜鍼後、膀胱経第1線の肺兪・心兪・膈兪・肝兪・脾兪・腎兪・大腸兪を上から下に直径5cmの竹製の吸い玉(閃缶)をかけ、皮膚を紅潮させる。
経過=1クール後、疼痛顕著に軽減(VAS:4~5)、食欲・睡眠も好転、鎮痛剤(Tramadol)減量(100~200mg→50mg)。2クール後、疼痛はたまにだけ(VAS:2~3)、食欲・睡眠は正常、鎮痛剤停止可能となり、歯の色浅くなる。3クール後、病状安定、疼痛目立たなくなるが、毎週3回の継続治療。17年11月10日、疼痛目立たず(VAS:2~3)、運動制限なし、食欲・排便は正常、夜間疼痛再発なし、MRI検査:骨転移部に変化なし。
☆癌性疼痛の常用穴
広西中医薬大学・唐翠娟(すいえん)らは、癌性疼痛の常用穴を分析(中国鍼灸、20年3期)。
方法=国内三つ、海外一つ のデータベースを用い、2008年1月1日~18年12月30日までの臨床文献を検索。
文献=中文67篇・英文1篇。内訳:多種癌41篇、肝臓癌9篇、胃癌6篇、肺癌5篇、乳癌4篇、卵巣癌・大腸癌・食道癌各1篇。
結果=穴位処方73首、穴位総数117穴(4回以上使用は40穴)。
①10回以上使用の穴名と回数―足三里65・内関55・太衝50・合谷48・三陰交48・阿是穴39・陽陵泉38・豊隆32・膈兪29・血海29・大椎23・肝兪22・中脘21・期門20・腎兪14・胃兪13・脾兪13・肺兪12・行間11・関元11・支溝10。
②経絡別の使用回数と穴数―膀胱経141回21穴・胃経121回13穴・肝経96回7穴・脾経91回7穴・大腸経61回6穴・心包経60回4穴・胆経54回11穴・任脈53回7穴・奇穴/阿是穴48回5穴・督脈34回7穴・三焦経23回8穴・肺経20回7穴・小腸経14回9穴・心経8回3穴・腎経5回2穴。
☆脳卒中後の手関節縮には梅花鍼併用
河北省中医院・王穎穎(えいえい)らは、脳卒中後の手関節拘縮には梅花鍼併用が効果的と報告(中国鍼灸、20年1期)。
対象=同院鍼灸科とリハビリ科入院患者72例(男35例・女37例)、平均年齢約61.5歳、平均罹患期間約58日。これをランダムに常軌群(リハビリ)・鍼併用群各36例に分けた。
治療法=1クール3週、計3クール。
①リハビリ―1)Bobath法:毎回20分間・毎日1回・毎週5回。2)日常生活活動能力訓練。
②鍼併用群―梅花鍼で手三陰経を手関節横紋下1寸→上3寸まで叩刺(80~130回/分、軽微な出血が限度)、2日1回・毎週3回。
観察指標=①自動的手関節背屈時の可動域(AROM)、②Fugl-Meyer 評価法(FMA)、③バーセル指数(BI)。
結果=①AROM:常軌群16.14±5.86、鍼併用群25.47±9.35。②FMA:常軌群25.00±4.78、鍼併用群41.78±7.36。③BI:常軌群30.22±7.74、鍼併用群41.22±9.30。
【連載執筆者】
谷田伸治(たにた・のぶはる)
医療ジャーナリスト、中医学ウォッチャー
鍼灸師
早稲田鍼灸専門学校(現人間総合科学大学鍼灸医療専門学校)を卒業後、株式会社緑書房に入社し、『東洋医学』編集部で勤務。その後、フリージャーナリストとなり、『マニピュレーション』(手技療法国際情報誌、エンタプライズ社)や『JAMA(米国医師会雑誌)日本版』(毎日新聞社)などの編集に関わる。
Q&A『上田がお答えいたします』 丸山議員の質問主意書で分かったこと
Q&A『上田がお答えいたします』 丸山議員の質問主意書で分かったこと
2020.05.10
Q.
丸山穂高衆院議員が提出した『柔道整復師に対する保険者による調査に関する質問主意書』に対する政府の答弁書を読んだのですが、難しくてよく分かりません。
A.
令和2年3月13日提出の質問主意書ですね。保険者や柔整審査会からの「施術録(カルテ)のコピーを療養費支給申請書に添付してください」との返戻に対する、「なぜ施術録のコピーを付けなければならないのか」との疑義からこのような質問主意書の提出に発展したものと推察できます。 (さらに…)
連載『汗とウンコとオシッコと…』189 垣根無し
連載『汗とウンコとオシッコと…』189 垣根無し
2020.05.10
藤の花が4月末に咲いた。日差しは夏だというのに、風は涼風だ。初夏が到来した割に空気が冷たく、太陽光線の紫外線で焼かれている割には発汗がうまくいかない。そのために、3月から4月にかけてよく現れる少陽胆経の病が多く見られる。片頭痛、めまい、寝違い様の頸部痛、仙腸関節痛、膝内側痛だ。 (さらに…)
連載『医療再考』15 何のためにエビデンスを構築するのか―鍼灸の信頼価値とは
連載『医療再考』15 何のためにエビデンスを構築するのか―鍼灸の信頼価値とは
2020.05.10
現代の医療はエビデンスを求め、重視する傾向にあります。ある疾患に対してどのような選択肢が存在し、その中でどの選択肢が最も効果的かという情報は、最善の医療を提供するためにはとても重要です。重篤な疾患では予後にも影響するために尚更です。そして、このエビデンスが立体的に構築されていくと、「Aの場合はB」「Cの場合はD」というようにアルゴリズムを形成し、ガイドライン化を進めることができます。だからこそ、医療においてエビデンスは信用であり、鍼灸の世界でもエビデンスの構築が進められているのです。 (さらに…)
今日の一冊 からだとこころの健康学
今日の一冊 からだとこころの健康学
2020.05.10
からだとこころの健康学
稲葉俊郎 著
NHK出版 737円
「私たちが思い描く『健康』は、間違っている?」。西洋医学だけではなく伝統医療、補完代替医療、民間医療も広く修めた医師である著者が、西洋医学の心身を科学の力を借りて他力で管理していく考えと、東洋医学の身体感覚を整えて自力を活かして健康になっていく二つの視点から考察。「あたま」「からだ」「こころ」の三つのつながりから、健康に生きる心構えを伝授する。普段は意識しない「自分の仕組み」を改めて知れば、健康の概念が一変する。医学知識ゼロで読める、目からウロコのレッスン。
『医療は国民のために』293 新型コロナウイルスへの対応で思うこと
『医療は国民のために』293 新型コロナウイルスへの対応で思うこと
2020.04.24
新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。各施術者団体には、所属している会員の施術者から「院を開けるか、休業すべきか」との問い合わせが殺到していることだろう。仮に「院を開けるべきだ」と言えば、ウイルス罹患による損害補填の問題が持ち上がり、また「休業すべき」と言えば、その間の休業補償の問題が生じるなど、いずれも「金銭的補填」が浮上し、よって各団体とも明言が難しい。つまるところ、開設している施術者自身の判断ということになる。
そもそも今回の緊急事態宣言において、「医療」はその対象となっていない。 (さらに…)
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』137 「備え」つつ、「感染・発症防止」を
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』137 「備え」つつ、「感染・発症防止」を
2020.04.24
こんなにも大変な世の中になってくるとは、誰も想像していなかったのではないでしょうか。ただ、日本は幸運なことに、欧米ほどの感染拡大や医療崩壊には至っていません。世の中は自粛ムード一色ですが、これがこのまま景気低迷のムードにのしかかり、非常事態宣言解除後の経済回復の足を引っ張るのではないかと心配しています。日本人らしいとは思いますが、このままではまずい。
治療院経営者は自粛閉院し、資金繰りに奔走されているケースもあるかと思いますが、比較的、今は時間があります。私のクリニックでも、患者さんが通院を不安がって電話再診になったり、予約変更が増えたりしています。発熱者の対応もしていますので最前線には違いありませんが、普段と比べると少し時間的余裕ができました。そのような「空いた時間」を、家で子供と過ごしたり、新しい趣味を始めたりして費やしていませんか。家族と過ごすことも大切ですが、外出自粛で命を守りつつ、これからの経済的混乱を生き残らなければなりません。この時間の使い方で、後々の差が出てくると私は思います。自粛解除になった時に何をすれば生き残れるのか、どのような世の中になるのか先を読んで、今から準備を進めなければなりません。明けてから準備するのでは遅いです。未確定要素が多すぎる未来を、あらゆる想定でシミュレーションしまくって、何が必要かを考えて考えまくる必要があります。そして、シミュレーションするには情報を収集してそれを吟味することが必要です。一辺倒な情報収集では不十分で、他人とは違う視点や視野が求められます。前提をも疑うような大局的な思考回路が生き抜く力につながると思います。
一方で、自分が感染しているようでは元も子もありません。誰もが高い確率で誰もがウイルスに「汚染」される前提で動くべきです。汚染されたからといって、必ず「感染」するわけではありません。体外への「汚染」→体内へ入ることによる 「感染」→ウイルスが増幅して「発症」という流れがあります。「感染」→「発症」しないためには、ウイルスを体内に入れないこと、増殖させないこと。そのためには手指消毒とうがいが重要です。ウイルスが付着して感染の原因となる上気道粘膜は、天然のマスクでもあります。頻回にうがいをしてマスクを洗浄しましょう。また、感染成立には「宿主(健康状態)」「感染経路(接触感染・飛沫感染)」「感染源(感染者の咳痰等の飛沫、便等の排泄物)」の3要素があります。感染経路や感染源ばかりが注目されがちですが、宿主が強ければ発症しないし、発症したとしても重症化しません。暴飲暴食や湯冷め、夜ふかしなど、風邪のきっかけになるような行動を控えることが何より大事です。
【連載執筆者】
織田 聡(おだ・さとし)
日本統合医療支援センター代表理事、一般社団法人健康情報連携機構代表理事
医師・薬剤師・医学博士
富山医科薬科大学医学部・薬学部を卒業後、富山県立中央病院などで研修。アメリカ・アリゾナ大学統合医療フェローシッププログラムの修了者であり、中和鍼灸専門学校にも在籍(中退)していた。「日本型統合医療」を提唱し、西洋医学と種々の補完医療との連携構築を目指して活動中。
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』181 第5中足骨基底部骨折(下駄骨折)①
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』181 第5中足骨基底部骨折(下駄骨折)①
2020.04.24
竹本 晋史(筋・骨格画像研究会)
第5中足骨基底部骨折、いわゆる「下駄骨折」について、超音波画像観察装置(以下、US)を用いて患部を観察し、整復、固定後に経過観察を行った症例を2回に分けて報告する。 (さらに…)
Q&A『上田がお答えいたします』 ウェブサイト上の表現の野放し状態について
Q&A『上田がお答えいたします』 ウェブサイト上の表現の野放し状態について
2020.04.24
Q.
広告において「治す」「治療」「診断」などの表記(表現)は医科以外に認められていませんが、現在、ウェブサイト上では放置されています。これらの表現は柔整師法・医師法・景品表示法の観点から見てどうなのでしょうか。また、MJGの「やせプログラム」やウェブサイト上の「全国1位」という表記について消費者庁の行政指導がありましたが、接骨院がウェブサイトで同様の表記を行った場合、指導が入るのでしょうか? (さらに…)
連載『食養生の物語』83 食術継承のチャンス
連載『食養生の物語』83 食術継承のチャンス
2020.04.24
新型コロナウイルスの感染拡大からの外出自粛要請、そして緊急事態宣言。不安で何もできなくなってしまう人と、できることを探してやろうとする人との差が出てきています。
当院の患者さんには、どうせ家に居てもすることがないならと、断食(ファスティング)を実践してみている方が複数名いらっしゃいます。断食の効果には、胃腸の負担をなくすことで自然治癒力を向上させる効果があるといわれるほか、心も体も澄んできて落ち着きを得られます。何より、数日間食べずにいても平気でいられるという実体験は大きいでしょう。
何をしたらいいか分からないという患者さんには、親子で料理をする時間を持つように伝えました。普段であれば学校に行き、部活動や塾、習い事などで忙しい子どもたちにとって、なかなか時間を割けないことです。とはいえ、地震や台風などの災害時とは違ってガス・水道・電気といったライフラインは保たれていて普段と変わらず、普段と違うのは家族が家にいることだけです。だからこそ、家事手伝いに参加させ、「おふくろの味」を伝えていく絶好の機会ではないでしょうか。20年前に著された『伝統食の復権』(島田彰夫著・東洋経済新報社)という書籍では、「葉の付いたダイコンが一本あったとします。そこから何種類の料理がつくれるでしょうか」と、生きていく知恵を『食術』として親から子に継承していく必要性が説かれていました。大根があれば、煮物はもちろん生で食べることもでき、漬けて漬物に、干して切干大根にすれば保存食にもなる。葉っぱも炒めたりして利用できますよね。バリエーション豊かに、飽きずに美味しく食べ続けることは生きる術なのです。食養生では「一物全体」といって、自然にあるがままの状態、丸ごと全体でバランスが取れていて、そのままいただくことが体内のバランスを取るのにも望ましいという考えがあります。穀物は精白せず、野菜は皮ごと・葉ごと、できるだけ丸ごと食べるのが健康に良いとされています。現代栄養学の観点からも、植物の皮や葉には栄養が豊富であることが分かっています。普段なら半分・部分にカットされたものを買うようなものでも、今だからこそ丸ごと一つで買ってきて、様々な調理法で使い切ってみることをすすめます。買い物に外出する機会を減らし、ゴミを減らすこともできます。「食術」を見直し、継承できるチャンスとして前向きに取り組んでみてはいかがでしょうか。
外出自粛要請の頃から、スーパーマーケットではインスタント麺やレトルト食品、缶詰などが売り切れていったところが多かったようです。繰り返しになりますが、ライフラインが保たれていて外出自粛が長期化している現状、備蓄は必ずしもこうした非常食である必要はなかったはずです。メディアの情報に振り回されて過度に不安にならず、「情報断食」も心掛けたいところですね。
【連載執筆者】
西下圭一(にしした・けいいち)
圭鍼灸院(兵庫県明石市)院長
鍼灸師
半世紀以上マクロビオティックの普及を続ける正食協会で自然医術講座の講師を務める。
連載『あはき師・絵本作家 かしはらたまみ やわらか東洋医学』18 「それでも春はやってきた」
連載『あはき師・絵本作家 かしはらたまみ やわらか東洋医学』18 「それでも春はやってきた」
2020.04.24
黄帝内経素問には、春には人の心にやりたいことが自然と湧くと書かれています。 (さらに…)
今日の一冊 感染症 増補版
今日の一冊 感染症 増補版
2020.04.24
感染症 増補版
井上 栄 著
中公新書 902円
平成15年、香港で起きたSARSの流行。日本人観光客は多く存在したにもかかわらず、日本人の患者が出なかったのはなぜか――そんな問いかけから始まる、感染症への探究。伝染病との闘いの歴史、病原体の種類や性質、伝播の基礎知識と遮断法、そしてこれから気を付けるべき感染症……コレラから新型インフルエンザまで、感染症研究の第一人者として知られる著者が、平易な文体で分かりやすく解説する。平成18年に発行されたロングセラーに、新型コロナウイルスの特徴や予防法に関する考察を加えた増補版。
東京都の休業要請、あはき・柔整の施術所は対象外
東京都の休業要請、あはき・柔整の施術所は対象外
2020.04.14
新型コロナウイルスの緊急事態宣言を受け、東京都が要請している休業施設について、「鍼灸、マッサージ、柔道整復の施術所」が対象外であることが分かった。都が4月13日夕、休業を要請する対象施設などの詳細を公表した。
発表では、あはきと柔整の施術所は、病院、診療所、歯科、薬局とともに、「医療施設」に含まれ、「社会生活を維持するうえで必要な施設」として休業の対象外となった。備考欄には「適切な感染防止対策の協力を要請 ※有資格者が治療を行うもの」との記載があった中、「整体院」も含まれていたのは疑問というほかない。
『医療は国民のために』292 療養費改定率で実施される「医科の半分」に思う
『医療は国民のために』292 療養費改定率で実施される「医科の半分」に思う
2020.04.10
あはき・柔整療養費の次期料金改定が迫っている。2年前の前回(平成30年度)改定では、プラス改定となった。療養費の改定率については、20年も前から続いている「医科の2分の1(半分)」というルールが存在していることは、周知の通りだろう。ちなみに、大昔にはなぜか「歯科の半分」ということもあったと記憶しているが、それはともかく、現在、この「2分の1ルール」(実際はルールというほどのものではなく、単なる申し送りに過ぎないが……)に対し、支払い側の保険者はもちろん、施術者側である業界も否定的な見解を示している。 (さらに…)
連載『不妊鍼灸は一日にして成らず』24 パンデミックとは
連載『不妊鍼灸は一日にして成らず』24 パンデミックとは
2020.04.10
新型コロナウイルスのパンデミック真最中です。当院の従業員達に「パンデミックはどうして起こるのか」と問うと、返答があいまい。流行の大きさは、ウイルスと免疫のどういった攻防で変わるのでしょう。感染防御については薄くしか勉強してこなかったので、復習も兼ねて振り返ります。例外的な場合もありますが、まずは三つの言葉を示します。「①抗原原罪による免疫の抑制」「②突然変異による抗原ドリフト」「③遺伝子組み換えによる抗原シフト」です。 (さらに…)
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』136 新型コロナに「抗体検査」を
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』136 新型コロナに「抗体検査」を
2020.04.10
こんなにも、新型コロナウイルスの話を続けることになるとは思いませんでした。この原稿を書いているのは4月6日。明日には、ついに緊急事態宣言が出されていることでしょう。多くの施術者が治療院を閉めたり、半ば休業状態になったりしているのではないかと想像します。色々な噂が飛び交う中、正確に情報をつかむように努力しましょう。コロナに関しては一日ごとに新しい情報が入ってきて、検証され、廃れていく――。そんな目まぐるしい情報の更新があります。足元の情報に飛びつきたくなりますが、大局的に判断して、少し先を見通すようにすると、冷静に落ち着くこともできます。
さて現在、SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)の診断に「抗体検査」を行うべきだという言論が飛び交っています。 (さらに…)
連載『中国医学情報』181 谷田伸治
連載『中国医学情報』181 谷田伸治
2020.04.10
☆全身性無汗症の鍼治療例
成都中医薬大学・趙映らは、難病の無汗症の鍼治療例を報告(中国鍼灸、19年9期)。
患者=男、51歳。
主訴=全身無汗で6カ月あまり。時々身体の倦怠疲労感あり。
現病歴=半年前、特に誘因なしに全身無汗となり、暑い日や運動後も無汗。病状が次第に重くなり、日常活動に影響するが、他に異常なし。皮膚科の検査では異常なしで、自律神経失調と診断されるが服薬せず。後に自ら益気補脾方剤(内容不明)を服用するが無効。
現症=顔色悪く、肥満体でBMI27.3、睡眠中よだれ出る、酒やタバコの嗜好なし、運動後に息切れを自覚、外食多く、脂肪分の多い甘い物を好む、小便黄色、大便正常、睡眠可、舌胖苔白膩、唇舌乾燥状態、脈象濡軟無力。
診断=無汗症。証は湿遏営衛、肺脾気虚。
治法= (さらに…)