全日第71回東京大会 シンポジウム「腰痛に対する鍼灸治療の展望」
2022.07.25
NRS変化率、患者満足度に直結
6月上旬に開催した全日本鍼灸学会の第71回東京大会では、『腰痛に対する鍼灸治療の展望』をテーマとしたシンポジウムが開かれた。シンポジストは4人で、宝塚医療大学鍼灸学科の井上基浩氏、日本鍼灸理療専門学校付属鍼灸院の菊池友和氏、筑波技術大学保健学科鍼灸学専攻の近藤宏氏が登壇、埼玉医科大学理学療法学科の赤坂清和氏はリモートで参加した。 (さらに…)
全日第71回東京大会 シンポジウム「腰痛に対する鍼灸治療の展望」
全日第71回東京大会 シンポジウム「腰痛に対する鍼灸治療の展望」
2022.07.25
NRS変化率、患者満足度に直結
6月上旬に開催した全日本鍼灸学会の第71回東京大会では、『腰痛に対する鍼灸治療の展望』をテーマとしたシンポジウムが開かれた。シンポジストは4人で、宝塚医療大学鍼灸学科の井上基浩氏、日本鍼灸理療専門学校付属鍼灸院の菊池友和氏、筑波技術大学保健学科鍼灸学専攻の近藤宏氏が登壇、埼玉医科大学理学療法学科の赤坂清和氏はリモートで参加した。 (さらに…)
今日の一冊 食養生の知恵 薬膳食典 食物性味表
今日の一冊 食養生の知恵 薬膳食典 食物性味表
2022.07.25
食養生の知恵
薬膳食典 食物性味表
日本中医食養学会 編著
日本中医食養学会 4,400円
2006年初版発行から構築した知識を踏まえリニューアルした最新版。薬膳とは、中国伝統医学理論に基づく食材を選び、時には中薬を配合し、調理する食事。食事により「気」を充実させるという考えから美味しさも重視する。本書は、性味や効能、栄養素、機能成分などを紹介し、食物を薬膳学と現代栄養学の両面から検証できる構成になっている。薬膳の基礎知識や中薬の効能一覧、食物の効能別分類などもある。目的に合う食材を多角的に探せるため、日常の献立づくりはもちろん、いざという時も頼りになる一冊。
全日、2020年度と2021年度の「高木賞」
全日、2020年度と2021年度の「高木賞」
2022.07.22
全日本鍼灸学会は6月4日、会員の優秀な研究業績を讃える「高木賞」の授賞式を第71回学術大会東京大会内で行った。昨年の福岡大会がオンライン開催だったため、2020年度と2021年度を併せて表彰。
2020年度の高木賞奨励賞を受賞したのは、向ありさ氏(東京有明医療大学大学院博士後期課程修了)らで、「企業就労者の身体的・精神的疲労感に対する鍼灸治療と円皮鍼治療の比較-ランダム化比較試験-」が受賞論文として選ばれた。
また、2021年度の高木賞奨励賞は、田中恵氏(市立砺波総合病院 東洋医学科)らの「入院中の切迫早産妊婦に骨盤位の鍼灸治療を行った3症例」と、堀部豪氏ら(埼玉医科大学東洋医学科)の「急性期末梢性顔面神経麻痺に対する鍼治療の症例集積」が受賞した。
全日 第71回学術大会 「現代医療における鍼灸」テーマに
全日 第71回学術大会 「現代医療における鍼灸」テーマに
2022.07.10
日々の研究と臨床の継続を大切に
公益社団法人全日本鍼灸学会(若山育郎会長、全日)の第71回学術大会が6月3日からの3日間、東京有明医療大学と有明ガーデンコンファレンスセンター(ともに東京都江東区)で開かれた。3年ぶりの対面開催となった。
同大学保健医療学部鍼灸学科教授の坂井友実氏が、『現代医療における鍼灸の役割―頸部神経根症を中心として』と題して会頭講演を行った。頸椎症の病型と障害域を踏まえた上で、41例の鍼灸治療例を報告。鍼灸の強みとして、病変部近傍への組織選択的なアプローチができる点や、現代医学的な治療と併用できる点などを改めて強調した。 (さらに…)
福島県鍼灸師会主催 鈴木雅雄氏、教授就任記念講演
福島県鍼灸師会主催 鈴木雅雄氏、教授就任記念講演
2022.06.10
鍼灸研修プログラム、地域医療の中で
鍼灸師の鈴木雅雄氏が福島県立医科大学会津医療センター付属研究所の教授に就任したことを受け、一般社団法人福島県鍼灸師会主催の記念講演が4月24日、開催された。郡山市民プラザ(福島県郡山市)とオンラインのハイブリッド開催で、参加費無料の県民公開講座。
鈴木氏は、世界的医学系臨床雑誌『JAMA Internal Medicine』に平成24年5月、掲載されたCOPD患者の労作時呼吸困難への鍼治療の有効性を示す論文で、研究チームに参加していたことで知られる。平成25年からは同センターの准教授に就いていた。 (さらに…)
鍼灸学会Tokyo第1回 学術研修会 パーキンソン病の鍼灸臨床テーマに
鍼灸学会Tokyo第1回 学術研修会 パーキンソン病の鍼灸臨床テーマに
2022.06.10
鍼灸と、姿勢・歩行・発声で
鍼灸学会Tokyo令和4年度第1回学術研修会が4月17日、オンラインで開催された。
「パーキンソン病の鍼灸臨床」と題して、金井正博氏(公益社団法人全日本鍼灸学会参与、木更津杏林堂院長)が講演した。中脳の黒質と呼ばれる場所にあるドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患であるパーキンソン病(PD)は、症状を緩和するには薬物療法が一般的であるが、薬を飲み続けても症状は進み、副作用のリスクが高くなるとされている。 (さらに…)
日東医の第47回学術大会 世界の鍼灸有害事象レビュー
日東医の第47回学術大会 世界の鍼灸有害事象レビュー
2022.05.25
「胸・背の置鍼中にタオルや毛布掛けない」など
日本東洋医学系物理療法学会(日東医)の第47回学術大会が3月5日、6日、オンラインで開催された。
特別講演『あはき臨床の安全管理と感染対策』では、東京有明医療大学保健医療学部の菅原正秋氏が登壇した。令和3年9月、BMJ(British Medical Journal、イギリス医師会雑誌)に発表された『鍼治療に関連した有害事象についてのシステマテックレビュー&メタアナリシス』を紹介。 (さらに…)
あはき団体、3月の折鍼事故を受けて緊急声明
あはき団体、3月の折鍼事故を受けて緊急声明
2022.05.17
あはきの業団・学会で構成される鍼灸医療安全性連絡協議会が、3月に発生したプロ野球選手の折鍼事故を受けて、「折鍼に対する注意喚起と予防策」に関する共同声明を発表した。
4月27日付で出された声明では、3月22日に生じたプロ野球投手への鍼施術による折鍼事故について詳細な経緯が報告され、注意喚起として今後の予防策を提示している。
今回の事故で生じた抜鍼困難な状況では、「施術者は、筋層内に鍼がある状態では、強い筋収縮を誘発するような手技や四肢・体幹の関節運動を行わせる手技は控える」などと注意を促している。また、▽必ず賠償責任保険に加入しておくこと、▽危機管理対策マニュアルを作成し、事故後の対応をシミュレーションしておく、といった鍼灸のリスクマネジメントにも言及している。
鍼灸医療安全性連絡協議会では、日本鍼灸師会、全日本鍼灸マッサージ師会、日本理療科教員連盟、東洋療法学校協会、全日本鍼灸学会の5団体からなる組織で、「今回のような重篤な有害事象が発生した場合に、鍼灸師全体に情報の共有・周知が可能となるようなシステム作りを進めてたい」としている。
全日本鍼灸学会HP「折鍼に対する注意喚起と予防策に関する共同声明」
レポート 第7回経絡経穴研究会が開催される!
レポート 第7回経絡経穴研究会が開催される!
2022.04.25
教育・臨床・調査研究からみた経穴
日本経絡経穴研究会主催の第7回研究会(全日本鍼灸学会認定指定研修C講座)が2年ぶりにリモートで開催された。
日本経絡経穴研究会は、経穴部位の国際標準化を担った第二次日本経穴委員会(2012年3月に活動終了)の活動を引き継ぐかたちで発足し、経穴部位の国際標準化の見直しや『新版経絡経穴概論』の改訂協力などに加え、年に一回経絡経穴研究会を開催し、その記録集を発行してきた。コロナ禍で延期が続いていたが、2022年3月6日(日)にリモート開催が実現し、教育・臨床・調査研究からみた経穴をテーマに3講演が行われた。リモートの利点を活かし、北は北海道、南は熊本からの参加があった。 (さらに…)
日本歯科東洋医学会 学術研修会 歯科医の鍼灸練習、報告さまざま
日本歯科東洋医学会 学術研修会 歯科医の鍼灸練習、報告さまざま
2022.04.10
「工具操作のクセ」も
日本歯科東洋医学会の2021年度学術研修会が2月中旬から3月にかけて、鶴見大学会館(横浜市鶴見区)及びオンラインでハイブリッド開催された。同会は歯科治療における東洋医学的観点を研究するための医学会で、会員資格は歯科医師・医師・薬剤師・鍼灸師等の医療関係者。
研究発表では、経穴の概要や反応点の探し方、揉捻法についてなど刺鍼の手順を1から解説した認定医の中村泰規氏をはじめ、多くの演者らが、歯科医師の目線から鍼灸を練習する意義や手法について検討を行った。
英保武志氏の講演は『自分の身体で鍼の打ち方を練習する方法』について。まずは鍼枕の代用品として潰したトイレットペーパーのロールを使用し、マジックで鍼点を描いて刺鍼の練習をしたと動画付きで紹介し、歯科医独自のクセとして (さらに…)
大阪府鍼灸マッサージ師会の生涯研修会 フレイル進行抑制、鍼灸併用で
大阪府鍼灸マッサージ師会の生涯研修会 フレイル進行抑制、鍼灸併用で
2022.03.25
鍼灸マの役割、「介護予防の先」に
公益社団法人大阪府鍼灸マッサージ師会の令和3年度生涯研修会が1月23日、大阪府鍼灸マッサージ会館(大阪市阿倍野区)及びオンラインでハイブリッド開催された。
講座『介護予防と鍼灸』では、同師会理事の古田高征氏(履正社医療スポーツ専門学校教員)が講師を務めた。鍼灸単独の介入ではなく運動指導に加えての施術で、フレイルの進行防止などに対する効果を期待しているとして、運動教室での鍼灸施術実践例を紹介。大阪市淀川区での介護予防教室では、12名の参加者を鍼施術希望群5名と非施術群7名に分け、 (さらに…)
埼玉鍼灸学会 令和3年度第2回認定指定C講座 触圧刺激の影響、実験で
埼玉鍼灸学会 令和3年度第2回認定指定C講座 触圧刺激の影響、実験で
2022.03.10
脳を介し、交感神経に由来
埼玉鍼灸学会の認定指定講座が1月23日、「接触鍼」をテーマにオンライン開催された。
『触圧刺激が自律機能へおよぼす影響』について、黒澤美枝子氏(国際科学振興財団バイオ研究所、元国際医療福祉大学教授)が登壇した。ヒトでの実験では8~10℃程度の冷水に手を浸けて寒冷昇圧を生じさせた状態で、背中に触圧刺激を加えつつ血圧を測定し、降圧効果を確認。 (さらに…)
第43回日本疼痛学会 痛みに対する鍼治療でシンポ
第43回日本疼痛学会 痛みに対する鍼治療でシンポ
2022.02.25
薬物無効の難治例に改善示唆
昨年12月10日から11日にかけてウェブ開催された第43回日本疼痛学会(富永真琴会長)において、鍼治療に関するシンポジウムが行われた。テーマは『痛みに対する鍼治療の効果とその作用機序』で、全日本鍼灸学会との共催。座長の山口智氏(全日本鍼灸学会副会長)は、「第43回学会の会長を務める富永先生とは以前から灸の作用機序などについて意見を交換し、共同研究を進めたいと話してきた経緯から、こうした機会を頂きました」と共催の経緯を説明した。
皆川陽一氏(帝京平成大学ヒューマンケア学部)は線維筋痛症患者に対する鍼治療について、一般に診断に使用される圧痛点18カ所が経穴の位置と高い確率で一致し、関連性が示唆されるとしたほか、2010年以降5件のメタ解析が報告されるなどエビデンス蓄積が進んでいると説明。 (さらに…)
第25回日本統合医療学会 「統合医療の未来」テーマに
第25回日本統合医療学会 「統合医療の未来」テーマに
2022.02.10
「治す以前」に目を向ける時代へ
日本統合医療学会の第25回大会が昨年12月18日、19日の2日間ライブ配信で開催され、1月11日までオンデマンド配信も行われた。
大会長講演では、明治国際医療大学の矢野忠氏が大会テーマ『統合医療の未来―エコロジー・自然治癒力・ソーシャルキャピタル』について講演。 (さらに…)
第3回日本伝統医療看護連携学会学術大会 西洋医学と鍼灸の連携テーマに
第3回日本伝統医療看護連携学会学術大会 西洋医学と鍼灸の連携テーマに
2022.01.25
「早期発見」後の過剰診断に警鐘
第3回日本伝統医療看護連携学会学術大会が、昨年11月28日、仙台赤門短期大学(宮城県仙台市)とオンラインでハイブリッド開催された。
特別講演『先進的な鍼灸医学―西洋医学と鍼灸の医療連携をイノベーションする』では、小川卓良氏(公益社団法人全日本鍼灸学会顧問)が講演した。安易な足し算的な連携は逆に医療費がかさみかねず、効果的な連携には東西両医学の長所と短所をよく理解し、得意な場の違いを生かしていく必要があると説明。西洋医学は薬の安易な長期・多剤投与を見直すべきであるし、鍼灸も教育制度や卒後教育の充実が不可欠だとした。また、 (さらに…)
第29回日本刺絡学会学術大会 養成校での教育目指し検討
第29回日本刺絡学会学術大会 養成校での教育目指し検討
2022.01.25
清水会長「卒業まで知らない学生も」
第29回日本刺絡学会学術大会が昨年11月21日、オンラインで開催された。
会頭講演『刺絡をとりまく教育』では、同会会長の清水尚道氏が登壇。あはき合わせて100を超える養成校中、日本刺絡学会として講義を行っている学校数はわずか6校だと紹介。教科書での言及もごくわずかなため、刺絡を活用する施術者の多くは勉強会などで自主学習しており、卒業まで刺絡を知る機会がなくてもおかしくないとした。また、「毫鍼を用いず、学校で習わない」という意味で立ち位置が近い治療として小児鍼を挙げ、刺絡は衛生操作や安全面におけるハードルがやはり高いと指摘。養成校教育の中で刺絡実技の実施は難しくとも、正確な知識を取り入れられるよう学会として推進していく必要があるとした。
「瀉血の一部」だが「切開ではない」
教育講演『汎用性のある刺絡教材とは』では、同会主催の検討委員会で作成した学校教材用『刺絡鍼法概論』の内容を、理事の奥野浩史氏が紹介した。 (さらに…)
第49回日本伝統鍼灸学会 学術大会 ICDへの経絡病証収載振り返り
第49回日本伝統鍼灸学会 学術大会 ICDへの経絡病証収載振り返り
2022.01.10
「共通フォームの電子カルテ」提言
第49回日本伝統鍼灸学会学術大会が昨年11月13日、14日に開催された。沖縄の会場からインターネットを通じて配信するオンライン開催で、年末までアーカイブ配信も行われた。
和辻直氏(明治国際医療大学)の教育講演では、2019年のICD-11(国際疾病分類第11版)への経絡病証収載について取り上げた。ICDはWHOが異なる国や地域における死亡や疾病のデータの体系的な記録、分析などを行うために作成する分類であり、ICF(国際生活機能分類)、ICHI(医療行為の分類)と並ぶWHOの中心分類の一つ。30年ぶりの大改訂となった第11版は、電子環境での活用を前提としたシステムとなり、公衆衛生など新知見に加えて東アジア伝統医学(漢方・鍼灸)を導入したことが話題となった。近代医学の恩恵を受けるのは世界人口の30%程度であり、世界の健康管理の65%以上は伝統的医療によるものであるとの現状を踏まえたものだが、和辻氏は、伝統医学章はあくまで補章であり、効果そのものを保証するものではなく、伝統医学に関する整備に向けてデータを集積するためのものだと説明した。
日本で初めてICD-11が紹介されたのは2011年6月に共催された全日本鍼灸学会学術大会・日本伝統鍼灸学会における東郷俊宏氏の発表で、 (さらに…)
接骨医学会 第30回学術大会 「膝部の臨床と学術の融合」テーマに
接骨医学会 第30回学術大会 「膝部の臨床と学術の融合」テーマに
2021.12.24
一般社団法人日本柔道整復接骨医学会(安田秀喜会長)の第30回学術大会が11月13日、14日、帝京平成大学池袋キャンパス(東京都豊島区)で開催された。当日の模様はライブ配信され、後日配信のオンデマンドを含めたハイブリッド形式で実施。大会テーマは『臨床と学術の融合―Knee ver.』。
大会会長講演では、帝京平成大学学長の冲永寛子氏が『柔道整復学における大学のミッション』をテーマに登壇した。 (さらに…)
第15回日本小児はり学会学術集会 患児との接し方に工夫、様々
第15回日本小児はり学会学術集会 患児との接し方に工夫、様々
2021.12.24
▲坂崎氏の講演の様子
コミュニケーションの取り方に関心
第15回日本小児はり学会学術集会が11月7日、オンラインで開催された。例年の人気プログラム「小児はり体験会」も動画での配信となったが、開会式の中で井上悦子会長は、コロナ禍での開催に理解と協力が得られたことに対して感謝を述べた。
特別講演では、さかざきこどもクリニック院長・坂崎弘美氏が「知ってびっくり! 使ってHappy! こども漢方」というテーマで登壇。夜泣き、癇癪、歯ぎしり、不眠、腹痛、頭痛など豊富な治療経験の中から、西洋医学では対応できない症状に対して漢方を処方する有効性を話した。 (さらに…)
公立大学の医学部教授に鍼灸師・鈴木氏就任
公立大学の医学部教授に鍼灸師・鈴木氏就任
2021.12.08
福島県立医科大学会津医療センターの鈴木雅雄氏が、同センター付属研究所(漢方医学研究室)の教授に就任した。12月1日付。鍼灸師が公立医科大学で教授になったのは、富山大学教授の髙岡裕氏に次ぐ例で、鍼灸業界にとっては快挙といえる。
明治国際医療大学(旧明治鍼灸大)卒業後、京都大学大学院医学研究科ポスドク、明治鍼灸大学臨床鍼灸学講座准教授などを経て、2013年に同センター漢方医学研究室の准教授に就いた。慢性閉塞性肺疾患(COPD)を研究対象とし、2012年5月に鈴木氏を含む研究グループが「COPD患者の主訴である労作時呼吸困難に対して、鍼治療が有効であること」を世界で初めて実証し、その研究成果が世界的医学系臨床雑誌『JAMA Internal Medicine』に掲載された。
鈴木氏より教授就任の心境についてコメントをもらったので、以下に掲載する。
「当付属研究所の設立目的の一つとして、科学的にまだ不明な点が多い漢方領域(鍼灸・漢方薬)に対して、研究を行い、その成果を会津から世界に発信することがあります。特に私は臨床研究を重視しており、これまで培ってきた臨床データから質の高い科学的根拠を発信していきたいと考えています。
会津医療センターには2013年に赴任して7年になります。当初は臨床や研究が軌道に乗らず失敗の連続でしたが、年を追うごとに徐々に成果が見られるようになり、臨床面では各診療科からの依頼が増え、研究面では競争的研究費(政府の科学技術研究支援)の獲得などが続くようになりました。また、2014年から医療鍼灸師の育成にも乗り出し、鍼灸研修生の雇用を始めました(待遇:福島県准職員)。研修は前期2年間、後期3年間の計5年間で医療における鍼灸を学んでもらいます。
これらの成果の積み重なりが後押しとなって、今回、教授に就任するに至りました。もちろん、私の力よりも各教授陣と医療スタッフ(特に当研究所スタッフと鍼灸研修生)の指導と支援のお陰です。私が教授を拝命したことは、漢方医学のEBMの構築を飛躍させることが使命と考えています。大変な重責ですが、楽しみたいとも思っています」
※記事は2月16日付で修正。今回の就任に関して「過去に前例がないという」と報じた先の記事を訂正し、お詫びいたします。