『医療は国民のために』242 鍼灸とマッサージの往療料取扱いの相違
2018.02.25
1月31日の第18回あはき療養費検討専門委員会で、保険者から「鍼灸の同意書にも、マッサージと同様に、医師が“往療の必要性”の必要性を記載する項目を入れてほしい」との要望が上がったということを耳にした。
ここで、往療料加算の取り扱いをまず整理したいが、鍼灸(柔整も同様)の施術に係る往療料加算の必要性はあくまで施術者が判断することになっている。 (さらに…)
『医療は国民のために』242 鍼灸とマッサージの往療料取扱いの相違
『医療は国民のために』242 鍼灸とマッサージの往療料取扱いの相違
2018.02.25
1月31日の第18回あはき療養費検討専門委員会で、保険者から「鍼灸の同意書にも、マッサージと同様に、医師が“往療の必要性”の必要性を記載する項目を入れてほしい」との要望が上がったということを耳にした。
ここで、往療料加算の取り扱いをまず整理したいが、鍼灸(柔整も同様)の施術に係る往療料加算の必要性はあくまで施術者が判断することになっている。 (さらに…)
【寄稿】柔整業界委員の主張・上 「亜急性」は負傷の範囲を指す
【寄稿】柔整業界委員の主張・上 「亜急性」は負傷の範囲を指す
2018.02.25
田村公伸 氏
日本個人契約柔道整復師連盟常任理事
柔整業界側の委員として、柔道整復療養費検討専門委員会の場で厚労省や保険者らと議論を闘わせている日本個人契約柔道整復師連盟の田村公伸氏から本紙に寄稿があった。専門委員会の在り方に危機感を持ち、亜急性や柔整審査会の問題にも警鐘を鳴らす。
専門委ではもっと「適正化」議論を
今般の社会保障審議会柔道整復療養費検討専門委員会のテーマが、「適正化」ではなく「不正対策」として展開されたことは、柔整業界にとって大変侮辱的な出来事である。逆に国、保険者の今までにない本気度が感じられ、柔整師側はもっと危機感を持ち、業界を挙げて真剣に取り組まなければならない。
◇ ◇ ◇
■亜急性議論について
療養費の支給対象として「負傷の範囲」に用いられてきた「亜急性」という文言は、外力の加わり方であり、外傷の発生機序として負傷原因に関して用いられてきた文言であり、あくまで柔整師が療養費を取り扱う上では「亜急性」は療養費の支給対象の負傷の範囲に関しての説明に用いられてきたものである。
今回検討課題として示された「亜急性の文言の見直し」では、この亜急性という文言が負傷の範囲を示す上で表現がそぐわないという意見から「文言の見直し」という議論になったと考える。ところが柔道整復療養費検討専門委員会においては、「医学的に亜急性の外力というものは存在せず、亜急性期すなわち期間を表すもので外力を表すものではない」という意見から議論の内容が急性期、亜急性期、慢性期など「時間軸」として症状の経過を問うのか、負傷の範囲を問うのか混同された議論に変化し「文言の見直し」から「文言の解釈」へと論点がすり替わってしまった感がある。
純粋に文言の見直しを図るのであれば、当初より「療養費の支給対象の負傷の範囲」を表現している「亜急性」の文言を見直し、「急性又は酷使、反復による外傷性であることが明白な……」と見直すことを提唱したい。これは、当初からの療養費の支給対象の負傷の範囲から逸脱したものではなく、外傷の原因が不明なものまで主張するものでもなく、何ら業務範囲を拡大提示しているものではない。負傷の原因や時期は、患者からの申告により得られる情報であり、患者により「いつ・どこで・どうして・どうなった」が明確に回答できないケース、例えばコンタクト系スポーツで負傷した場合や、継続した日常動作及びスポーツ活動などで負傷した場合では「どうなった」が曖昧なケースが臨床上多くある。これらは本来全て療養費の支給対象の負傷の範囲としてとらえて問題がない症例である。
資料として下記に掲載している「国別のスポーツ外傷とスポーツ障害の取り扱い状況」を見れば、スポーツ障害やスポーツ外傷においても発信が外国である場合、それを日本語に翻訳し医学的に分かりやすいように分類した結果、適切な表現がなされていないことがうかがえる。
また、『最新整形外科学大系 第23巻「スポーツ傷害」』(中山書店、2007年)に記載されているリトルリーグ肘の事例を用いた一文では当該傷害を「野球などで幼弱な発育期の肘に過大なストレスが繰り返し加わった結果、肘関節内顆に発生した病態を言う」と定義しており、「急性発症で骨片に明らかな骨折断端がある剥離骨折と、小骨片や数個に分節した亜急性発症例がある」と分類されている。「亜急性発症」は、overuse により繰り返された外力は組織に負担がかかる状態となり、微少刺激により過大なストレスを引き起こし、その結果病態組織変性が生じるが、痛み等の症状の認知が病態組織変性に遅れた状態で発症するため、「急性発症」と区別した表現で記載されていると示している。医師でもある学者が監修した文献に「亜急性発症」の記載があり、「医学的に亜急性の外力というものは存在せず、亜急性期すなわち期間を表すもので外力を表すものではない」という意見には疑問が生じる。
参考までに病理学の観点からでも医歯薬出版株式会社から出版されている『病理学概論』によれば「発病から回復に至るまでの経過時間の長短によって疾病を急性、亜急性、慢性に分類することは一般的によく行われている。すべての病気が最初から急性、慢性に分類されているのではなく、臨床経過から見た結果的な分類である」とあり、炎症についての項では「滲出は急性の時期に相当し、増殖は慢性又は亜急性期に相当する」とも記述されている。つまり、急性期=滲出性炎、慢性期=増殖性炎ということであり、経過時間によって分類はされていない。結果的に経過時間の分類に用いる用語としても、初診の段階で急性・亜急性・慢性と分類することはナンセンスである。
変形性膝関節症で関節水腫の事例を用いると、変形自体は長時間の年月をかけたもので、時間で分類するなら慢性であろう。外力で分類するなら、重力という外力により長期間を経て損傷されたものであるから亜急性である。そこにはもちろん、生活環境、労働環境など重力下で起こる微細な外力の積み重ねが大きな要因であることは言うまでもない。しかし、炎症の観点からみれば水腫という滲出が起きているので急性となる。つまり、変形という期間的にみると慢性期であるが、亜急性の外力により水腫という炎症が急性に起きたことになる。これは療養費の支給対象の負傷の範囲としてとらえて問題がない症例である。なぜなら、柔道整復学・理論の観点からいえば亜急性の外力であり、病理学の観点からいえば滲出性の炎症であるので急性である。
学校教育の場でも、外傷の発生機序とした認識のもとで急性、亜急性を区別、使用し柔道整復学においてもその概論は変わることなく教育されている。また病理学もしかりである。
医学分野において発生機序を説明する文言(用語)が存在しないのなら、亜急性を医学的文言に改めるべき議論をすることが本来の文言の見直しであり、世界的な基準を踏まえた上で臨床を行っている柔整師だけではなく養成校・学者・教員等が学術的に検証し議論を進める場を別に設け、そこでの議論としなければ根本的な解決には至らないであろう。
「亜急性」は単に療養費取り扱いの負傷の範囲を説明する文言であること。この文言が曖昧でそぐわないので見直しを図る、との本来のテーマを踏まえ、議論のすり替えをすることなく、療養費・受領委任制度は患者のための制度であることを忘れないよう議論が進むことを希望する。
後編に続く
しんきゅうサミット2018 大浦慈観氏ら、講演や実技供覧
しんきゅうサミット2018 大浦慈観氏ら、講演や実技供覧
2018.02.25
技術・研究・教育の観点から
鍼灸院の口コミサイト「しんきゅうコンパス」を運営するカリスタ株式会社主催の『しんきゅうサミット2018』が1月21日、東京都内で開催された。
公益財団法人杉山検校遺徳顕彰会理事の大浦慈観氏が『腰痛に対する鍼灸治療―鍼一本で患者の身体と心を変える』と題して講演を行った。 (さらに…)
到知出版社から新刊 「人生はあなたに絶望していない V・E・フランクル博士から学んだこと」
到知出版社から新刊 「人生はあなたに絶望していない V・E・フランクル博士から学んだこと」
2018.02.25
人生はあなたに絶望していない
V・E・フランクル博士から学んだこと
致知出版社から新刊『人生はあなたに絶望していない―V・E・フランクル博士から学んだこと』が発行された。著者は心療内科医で、線維筋痛症といった慢性疼痛などの全人的医療を研究している永田勝太郎氏。B6変型判、174頁。本体価格1,300円。
50歳を迎えようとしていた頃、末梢から筋肉が萎縮していき、寝たきりになる病に冒された著者。絶望の淵から彼を這い上がらせたのは、師であり、アウシュビッツ強制収容所を生き抜いたビクトール・フランクル博士が遺した言葉だった――。一人の医師が、血の滲む苦しみの末、多くの患者のために難病から立ち直る姿を追う一冊。
(さらに…)
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』86 鍼灸マッサージ師、柔整師も薬の情報の入手を
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』86 鍼灸マッサージ師、柔整師も薬の情報の入手を
2018.02.25
医師や薬剤師だけでなく、鍼灸マッサージ師・柔整師にとっても、来院する患者さんがどんな薬を服用しているのかを知っておくことは非常に有効です。そのために薬の情報をぜひ知っておいていただきたいのですが、本屋に行って薬の本を探しても、医師や薬剤師が用いる非常に分厚い辞書のような本か、『家庭の医学』的な簡単な説明が載っている、これまた分厚い本がほとんどでしょう。さらに最近では、ジェネリック薬品(後発薬)が非常に多くなってきていて、実際に患者さんから飲んでいる薬を教えてもらっても、その薬を書籍の索引から見つけることができない場合が少なくありません。薬に関わる情報の環境は大きく変わっていて、今やインターネットを使うのが、最も正確で、かつ最も適切な情報を、タダで入手することができます。多くの人がこのことを知らないようです。
先日、私たちは『現場で役立つ薬のホント~種類・飲み方・副作用~』(織田聡・織田しのぶ・平井みどり編著、技術評論社)という本を上梓しました。よくある辞書や辞典のような本ではなく、正確な薬の情報をインターネット上から無料で手に入れて、その情報をいかに読み込むかということなどを紹介している本です。
医療機関を受診し、処方箋をもらって調剤薬局に行くと、薬と一緒に薬の説明書(薬剤情報提供文書)を渡してもらえるかもしれません。しかし、その説明書には非常に簡単な薬の解説しか書いてありません。一方、薬局でOTC薬(Over The Counter薬:処方箋を必要とせずに購入可能な医薬品)を買うと、「化粧箱」の中に詳細な説明書が入っていますね。実は病院で処方される医薬品の場合も、同じような説明書(添付文書)があるのですが、薬局で箱から出して袋に詰められる際に破棄されています。この説明書をインターネット上から無料で入手することは誰にでも可能で、薬剤情報提供文書よりも、薬の本よりも、もっと詳しい薬の情報を得ることができるのです。Google などの検索サイトから「薬の名前 添付文書」で検索すると、多くの情報が結果として表示されますが、ぜひ製薬メーカーが作成したものを直接入手するようにしましょう。
なお、この添付文書は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)が取りまとめています。『現場で役立つ薬のホント』では、このPMDAでの添付文書の入手の仕方、入手した添付文書の読み方も解説していますので、ぜひとも本屋で手に取ってみてください。
【連載執筆者】
織田 聡(おだ・さとし)
日本統合医療支援センター代表理事、一般社団法人健康情報連携機構代表理事
医師・薬剤師・医学博士
富山医科薬科大学医学部・薬学部を卒業後、富山県立中央病院などで研修。アメリカ・アリゾナ大学統合医療フェローシッププログラムの修了者であり、中和鍼灸専門学校にも在籍(中退)していた。「日本型統合医療」を提唱し、西洋医学と種々の補完医療との連携構築を目指して活動中。
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』155 牽引型骨端症(セーバー病)の超音波観察
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』155 牽引型骨端症(セーバー病)の超音波観察
2018.02.25
後藤 陽正(筋・骨格画像研究会)
少年スポーツに関わる治療家にとって、成長期に発生する骨端症は厄介なものである。個人差はあるが、競技パフォーマンスや成績に大きく影響するからだ。骨端症は圧潰型と牽引型に分類される。圧潰型は原因不明で、血行が障害されて骨壊死を引き起こしたり、処置を誤ると変形性関節症へ移行してしまったりすることもある。牽引型は、骨強度が未発達な時期に繰り返し外力が加わることで骨端核が損傷を受けて発症する。過度なスポーツ活動が誘因のため、罹患者にとってスポーツ自体が苦痛なものとなってしまうこともある。牽引型にはオスグッド・シュラッター病とセーバー病があり、オスグッド・シュラッター病は大腿四頭筋の過度な牽引により脛骨粗面部に裂離損傷が引き起こされ、セーバー病は下腿三頭筋・アキレス腱と足底筋群・足底筋膜の張力によって踵骨隆起部が分節化する。セーバー病は小学生高学年、オスグッド・シュラッター病は中学生の時期に好発し、いずれもスポーツ活動の休止や、成長軟骨板の閉鎖時期が近付くことによって症状は治まる。今回は、セーバー病に罹患した症例を紹介する。
患者は少年柔道クラブに所属する12歳の男子。左右の踵骨部に疼痛があり、下腿三頭筋の柔軟性の低下や足底部のアーチ低下などを呈していたため、セーバー病と判断した。疼痛は3カ月前に発現し、徐々に増強してきたとのこと。骨端核と足底部の状態を把握する目的から超音波画像観察装置(エコー)による観察を実施した。エコーでは、音波の侵入度合いによって分節の度合いが観察できる。【画像①】は左側の踵骨部の画像で、分節を示唆する音波の侵入が強いことが見て取れる。【画像②】は右側の踵骨部の画像。分節を示唆する部位の音波の侵入は左側に比べると弱い印象を受ける。【画像③】は左右の足底部の画像である。骨表層の筋群が高エコーになっており、縦アーチの消失による慢性的伸張状態が筋萎縮を引き起こしていると推測される。
セーバー病では踵骨隆起部の観察だけでなく、足底部の組織状態を把握することも重要である。アーチ崩れによる慢性的な筋の伸張状態は筋力低下を引き起こし、症状を更に悪化させる要因にもなる。画像を通じて足底筋群の説明をすることで自宅でのトレーニングの必要性を患者に理解してもらえば、結果的に治療効果の向上につながると考える。
※画像はいずれもクリックで拡大
日本スポーツ医科学学会 第1回学会東京大会 多職種連携促進など目的に設立
日本スポーツ医科学学会 第1回学会東京大会 多職種連携促進など目的に設立
2018.02.25
笹川氏「普段からのコミュニケーションが先行」
織田氏「業界外の付き合い、医師も不得手」
一般社団法人日本スポーツ医科学学会(笹川隆人会長)の第1回学会東京大会が1月21日、東京都内で開催された。一般社団法人診療連携ネットワーク協会(織田聡代表)との共催。
同学会は、公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会でのスポーツ関連の部会における議論を契機に設立された学術団体。鍼灸・マッサージに限らず、柔整師やPT、医師を含むスポーツ分野における医学、トレーニング学、栄養学、情報科学分野全般において、学術の発展及び連携の促進を図ることを設立主旨とする。
講演は主に笹川氏と織田氏の対談形式で進められた。笹川氏は、 (さらに…)
Q&A『上田がお答えいたします』 なぜ私たち柔整師がこんなにも攻撃されるのですか?
Q&A『上田がお答えいたします』 なぜ私たち柔整師がこんなにも攻撃されるのですか?
2018.02.25
Q.
厚労省の発表では、柔整療養費が4年連続でマイナスだとか。高齢の患者さんが整形外科に流れているからではないでしょうか。
A.
今年初め、厚労省から平成27年度の療養費の推計値が発表されました。おっしゃる通り、柔整の療養費は対前年度比36億円減で4年連続のマイナスです。療養費が抑制され続けた結果、柔整業界が縮小しているのは、廃業の届出数を確認するまでもなく肌で感じられますね。 (さらに…)
連載『食養生の物語』57 クセが強いが万能薬、セロリ
連載『食養生の物語』57 クセが強いが万能薬、セロリ
2018.02.25
おととし解散した某アイドルグループに「セロリが好きだったりするのね」と歌われたように、好き嫌いの分かれる野菜の代表格として知られるセロリ。冬から春にかけては季節が陰から陽へと転化するため、この時期に旬を迎える葉物野菜にはアクの強いものがいくつかあり、中でもセロリの香りは独特。良い香りと思う人がいれば別の人からは嫌われるという変わった性質を持った香りです。日本では、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際、加藤清正が持ち帰ったのが最初で「清正ニンジン」と呼ばれていたようです。江戸時代にオランダ人が長崎に持ち込んだ品種が「オランダ三つ葉」と呼ばれたとの記載もあります。いずれにしても、やはり特有の香りが日本人には受け入れられず、洋食文化が定着するまではなかなか広まらなかったようです。 (さらに…)
連載『アロマテラピーをたずねて』93 不眠症の改善にバイオレットリーフ
連載『アロマテラピーをたずねて』93 不眠症の改善にバイオレットリーフ
2018.02.25
フランス南部、コート・ダジュールで冬の最大のイベントといえば、ニースのカーニバルです。2月の中旬から15日間にわたって、中心地のマセナ広場で繰り広げられます。特に、海岸通りのプロムナード・デ・ザングレを練り歩く「花のパレード」は圧巻で、蘭の花やバラ、グラジオラスなど地元で栽培された花で豪華にアレンジされた何台ものフロートがパレード。フロートに乗った美女から、観客に次々と花が投げられていきます。 (さらに…)
『ちょっと、おじゃまします』 ~ストレッチングで患者さんのため~ 大阪府枚方市<からだ運動工房 香里整骨院>
『ちょっと、おじゃまします』 ~ストレッチングで患者さんのため~ 大阪府枚方市<からだ運動工房 香里整骨院>
2018.02.25
『運動で健康な身体をつくる』を掲げる「からだ運動工房」香里整骨院。柔整施術とストレッチングを中心に、地域の健康増進に取り組んでいます。
院長の与儀先生が治療家を志したのは、営業職として飛び回っていた20代の頃。「この仕事は『ありがとう』と言われることがない」「人のためになるような仕事を」――そんな思いで転職を決め、知人の紹介で整骨院の門を叩きました。「いかにも昔ながら」だという院で患者さんとの接し方や言葉遣いを叩きこまれる一方、専門学校で出会ったのがストレッチング。「間違ったストレッチングで逆に身体に負荷をかけている指導者も多い」そうで、日本ストレッチング協会で基本に徹した技術を学んだ結果、卒業を前に最高資格である講師の認定を受けました。
免許取得後、3年間の雇われ院長の経験を経て地元で開業。閑静な住宅地の地域性に合わせて民家を改装、素朴な門構えを目指しました。特徴はやはりストレッチングで「ほぼ全ての患者さんに運動の指導をする」とのこと。症状にもよりますが、多くの場合に必要なのは「『インナーユニット』のスイッチを入れる」ことだといいます。腹横筋、横隔膜、多裂筋、骨盤底筋を指し、これらの筋肉に意識して力を入れられるようになると、身体の軸が安定し、ブレや余分な動きが減って、膝や股関節の痛みの多くが改善するそうです。身体を鍛えている方でも、インナーユニットは意識できていないことが多いとか。坂道が多い立地もあり、多くの患者さんから「坂を登るのが楽になった」と喜ばれています。
近隣の公民館では毎月健康教室を開いてストレッチングを指導。当初3、4人だった参加者も今は毎回20人ほどで、高齢者だけでなく、健康を意識する50代ぐらいの方も。健康教室を切っかけに来院する患者さんも多いといいます。「家でも自分でトレーニングできるように」という方針もあり、患者さんが継続して来院するのは長くても2カ月程度。それでも口コミで患者さんの伸びは順調で、「将来は施術者を増やしつつ、より運動に力を入れていきたいですね」と展望を語ります。
▲民家を改装した院内には多くのトレーニング器具が
▲地域の公民館での健康教室
与儀健太先生
平成20年平成医療学園専門学校卒業、同年柔道整復師免許取得。37歳
今日の一冊 心を操る寄生生物
今日の一冊 心を操る寄生生物
2018.02.25
心を操る寄生生物 感情から文化・社会まで
キャスリン・マコーリフ 著
インターシフト 2,484円
ある種のハチの幼虫は取りついたクモを操り、さなぎとして過ごすのに適した寝床を作らせる。冬虫夏草の名で知られるキノコはアリに寄生し、胞子を飛ばせる場所まで移動させてそこに固定する。自己の繁殖や利益のために他の生物に寄生する寄生生物たち。サイエンスライターである著者は、これらの寄生生物はヒトの行動様式や社会性にまで影響を与えていると指摘。その概念を実証するための新興分野「神経寄生生物学」の専門家らに取材し、驚くべき寄生生物の生態から人間に与える影響までを考察する。
編集後記
編集後記
2018.02.25
▽末っ子の長女が2歳を前に、先日買ってあげた人形に夢中です。ままごと遊びの時だけでなく、家の中では肌身離さずといった感じで、お風呂にも持ち込もうとする始末。ただ、最近のおもちゃの人形はすごいですね。お風呂に入れてもいいようで、お湯に濡らすと髪の毛の色もピンクに変わったりします。そんなことに感心しつつ風呂からあがり、ドライヤーで子ども三人の髪を乾かした後、しばらくすると、妻が「全然乾いていない」と一言。何のこっちゃと見てみると、ビチョビチョの人形を指さしていました。ほったらかしておくとすぐカビが生えるとかで、こちらが「別に風邪を引くことも無いのに」とぼやく間もなく、四人目のドライヤーを命じられました。女の子って大変ですね。(和)
第13回柔整療養費検討専門委員会 亜急性議論、依然平行線たどる
第13回柔整療養費検討専門委員会 亜急性議論、依然平行線たどる
2018.02.10
保険者「支払基金を療養費でも」
1月31日、第13回柔道整復療養費検討専門委員会が都内で開かれた。今回は、検討課題のうち、主に「亜急性」と「1部位目から申請書に負傷原因を記載させること」について議論された。
亜急性については、昨年3月21日の同委員会で厚労省から、亜急性の文言は削除しない上で、①負傷の原因が明らかであること、②身体の組織の損傷の状態が慢性に至っていないものであること、の2点を現行通知に追記する案が示されていたが、合意に至っていない。 (さらに…)
『医療は国民のために』241 医療保険財政基盤としてのマクロ的到達点の受け皿は「民間保険」だ
『医療は国民のために』241 医療保険財政基盤としてのマクロ的到達点の受け皿は「民間保険」だ
2018.02.10
我が国の今後の医療保険における財政政策をマクロ(巨視)的な視点で見た場合、到達点目標を達成するための方向性は、大きく二つに分けることができる。 (さらに…)
第18回あはき療養費検討専門委員会 受領委任導入前の論戦続く
第18回あはき療養費検討専門委員会 受領委任導入前の論戦続く
2018.02.10
往療距離加算の廃止と再同意の文書化、行き過ぎ?
1月31日、都内で開かれた『第18回あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会』では、受領委任導入の前に先行実施される不正対策について、これまでの議論をまとめた厚労省案が示された。「往療内訳書」や、医師に再同意の判断を求める際に送付する「施術報告書」、患者に施術内容を確認してもらうために交付する「一時負担金明細書」といった文書の新たな作成が盛り込まれたほか、往療料や再同意の在り方を巡っては問題ごとに二つの案(下記参照)が提案されたが、業界側と保険者側の間で意見に大きな隔たりがあった。 (さらに…)
刺鍼で長胸神経麻痺「まずあり得ない」 尾﨑朋文氏、日本臨床鍼灸懇話会で解説
刺鍼で長胸神経麻痺「まずあり得ない」 尾﨑朋文氏、日本臨床鍼灸懇話会で解説
2018.02.10
日本臨床鍼灸懇話会の定例会が昨年12月10日、大阪市東成区の森ノ宮医療学園専門学校で開催された。 (さらに…)
あマ指師課程新設非認定処分取消裁判・大阪 第7回口頭弁論
あマ指師課程新設非認定処分取消裁判・大阪 第7回口頭弁論
2018.02.10
学園側「全国一律で新設規制は不可解」
19条制定前のあはき審議会では地域性に着目?
学校法人平成医療学園らが、晴眼者のあん摩マッサージ指圧師養成課程の新設申請を認めなかった国に対し、処分取消を求めて提訴した裁判で、1月19日、第7回口頭弁論が大阪地裁であった。あはき法19条1項が職業選択の自由を制限している(憲法22条違反)と訴える原告側が、全国一律で新設を規制していることや視覚障害者を巡る経済環境が改善されているとの側面から従来の主張を補足する文書を提出した。 (さらに…)
文科省発表 柔整・鍼灸「専門職大学」4校申請
文科省発表 柔整・鍼灸「専門職大学」4校申請
2018.02.10
秋までに開設の可否を判断
文部科学省が昨年12月21日に発表した平成31年度開設予定の開設申請があった「専門職大学」13校の中に、柔道整復・鍼灸の課程を持つ学校が4校あることが分かった。
【専門職大学】
平成31年度より創設される新たな高等教育機関。卒業すれば大学と同様に学士の学位を得ることができる。既存の大学と比べて、専任教員数のおよそ4割以上を実務経験者とし、適切な指導体制の確保された企業内実習を単位に含むなど、より実践的な職業教育に重点を置く。
(さらに…)
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』85 国民の意識改革から健康保険の利用の仕方を変えるべき
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』85 国民の意識改革から健康保険の利用の仕方を変えるべき
2018.02.10
2018年度の診療報酬・介護報酬改定のテーマは、地域包括ケアシステムの実現のための、かかりつけ医やかかりつけ薬剤師などの各職種の職域拡大に加え、多職種連携とその連携のための遠隔診療にあるようです。
改定が抜本的にならないのは仕方がないにせよ、大きな流れとしては負担の分散や連携による効率化に焦点が当たっているのは間違いありません。一方、今まで地域包括ケアシステムの実現のために過大評価されていたサービスからいつはしごが外されるかは、皆が不安に思っているところでしょう。 (さらに…)