第13回社会鍼灸学研究会 「日本鍼灸のガバナンス」を考察
2018.09.10
第13回社会鍼灸学研究会が8月4日、5日、東京医療福祉専門学校(東京都中央区)で開催された。『日本鍼灸のガバナンスを考える』をテーマに、歴史や制度、国際情勢といった視点からの発表等が行われた。
同研究会代表の形井秀一氏(筑波技術大学名誉教授)は、「コーポレートガバナンス」や「パブリックガバナンス」という具体的な用例を参考に、「日本鍼灸のガバナンス」について、▼鍼灸界における意思決定、執行、監督に関わる機構、▼鍼灸の効率的かつ健全な活動を可能にするシステム、と説明。明治期以降の医療制度内の位置付けや教育制度に着目すると、行政、主として厚労省のガバナンス機能が働いてきたといい、鍼灸界全体の意見と言えるような「組織としての決定」が果たして示されてきたのか、疑問を呈した。また、ISOやICDといった伝統医療分野の国際標準策定会議等の交渉の場では、中国や韓国が国策としてこれに当たっている点に言及。日本でも最近、『医心方』をユネスコに登録させようという動きも見られるが、諸外国と対峙する自国の代表者を後押しするほどの支援体制には至っていないとした。
同会副代表の箕輪政博氏(千葉県立千葉盲学校教諭)は、制度史の側面から日本鍼灸のガバナンスを考察。戦後の連合国総司令部(GHQ)による「鍼灸禁止勧告」という危機が、業界の統一的なガバナンスを一気に形成し、存続運動を展開させ、現行のあはき法につながる法律第217号の制定を生んだと解説した。その後の昭和63年の法改正で、厚生大臣実施の国家試験への変更に際し「東洋療法試験財団」の設置等に尽力した、鍼灸関連7団体で構成する「あはき等法推進協議会」(推進協)にも言及。箕輪氏は、「試験財団=厚労省とも読み替えられるので、ガバナンス機能は強化されたといえるが、それを主導し、現在でも業界活動の中心的立場にある推進協の活動の実態があまり見えない」と述べ、若い鍼灸師の中には推進協の存在すら知らないという者も多くいると指摘した。
小野直哉氏(同会副代表、未来工学研究所)は、ガバナンス強化という点で昨今の災害分野の動きに言及。行政やDMATから業界の窓口一本化の要請を受け、業団や災害支援団体等による『日本災害鍼灸マッサージ連絡協議会(仮称)』が発足し、連携して支援活動に当たっていると紹介した。
このほか、森一也氏(京都仏眼鍼灸理療専門学校)の『質問主意書に基づく鍼灸関連の議論動向調査』、川腰つよし氏(和ら会)の『日本鍼灸が生き残るためのロードマップ』などの発表が行われた。




