『ちょっと、おじゃまします』 ~鍼灸を第一選択に~ 大阪市中央区<やまがみ鍼灸院>
2017.12.10
肩や頚のひどい凝りを訴えても湿布を処方されるだけ。原因不明の頭痛に苦しみ、脳外科でMRI検査を受けるも異常無し――。「肩こりと頭痛の解消」を掲げるやまがみ鍼灸院は開院して1年半ほどですが、そんな患者さんの駆け込み寺となりつつあるようです。院長の山上先生は、眩暈などに悩まされていた自身の経験から、頭部や頚肩部の治療を試行錯誤しながら模索してきたといいます。 (さらに…)
『ちょっと、おじゃまします』 ~鍼灸を第一選択に~ 大阪市中央区<やまがみ鍼灸院>
『ちょっと、おじゃまします』 ~鍼灸を第一選択に~ 大阪市中央区<やまがみ鍼灸院>
2017.12.10
肩や頚のひどい凝りを訴えても湿布を処方されるだけ。原因不明の頭痛に苦しみ、脳外科でMRI検査を受けるも異常無し――。「肩こりと頭痛の解消」を掲げるやまがみ鍼灸院は開院して1年半ほどですが、そんな患者さんの駆け込み寺となりつつあるようです。院長の山上先生は、眩暈などに悩まされていた自身の経験から、頭部や頚肩部の治療を試行錯誤しながら模索してきたといいます。 (さらに…)
今日の一冊 医者は患者をこう診ている 10分間の診察で医師が考えていること
今日の一冊 医者は患者をこう診ている 10分間の診察で医師が考えていること
2017.12.10
医者は患者をこう診ている 10分間の診察で医師が考えていること
グレアム・イーストン 著
河出書房新社 2,484円
胸の痛みを訴える人、転倒したという人、鬱病で自殺願望のある人、麻薬を要求する人――。ある日の午前中、英国の家庭医・総合診療専門医である著者の診察室には18件の予約が入っていた。老若男女、さまざまな疾患を持つ患者たち。予約した時間に遅刻するのは当たり前で、中には来院しなかった者もいたが、一人の患者に費やせたのは平均して約10分間。その間に、医師は患者を「どう診ていた」のか。最初の患者から最後の患者まで時系列通りに紹介し、リアルタイムなやり取りと医師としての考察を綴る。
編集後記
編集後記
2017.12.10
▽プレイステーション4を買いました。15年振りの据え置きゲーム機、お目当ては恐竜だらけの島でサバイバルするゲーム「ARK」。夜な夜な恐竜と戦い、食われたり食ったり仲良くなったりしています。島に拠点を構えることもでき、昨夜は目標だったオーシャンビューの別荘を完成させてご満悦。ゴーグル状の画面でVR(バーチャルリアリティー)を楽しめるスピンオフ作品も開発中で、今から待ち遠しい。VR技術と言えば、娯楽と並んで研究が盛んなのが医療分野。手術の訓練や遠隔医療はもちろん、最近は診察室や待合室など医療施設の内装をバーチャルで組み立てて「内覧」できるシステムも開発されたとか。独立したい施術者が、家から一歩も出ずに理想の施術所を建ててご満悦……という日も近い?(平)
あマ指師課程新設非認定処分取消裁判 大阪地裁で第3回口頭弁論
あマ指師課程新設非認定処分取消裁判 大阪地裁で第3回口頭弁論
2017.07.25
原告 職業選択の自由、志望する晴眼者も制限
被告 立法事実に関する書証を示し、今後反論
学校法人平成医療学園らが、あん摩マッサージ指圧師養成課程の新設申請を認めなかった国に対し、処分取消を求めて提訴した裁判について、1月12日、大阪地裁で第3回口頭弁論が開かれた。
原告は、訴状において、あはき法19条が職業選択の自由(憲法22条)を制限していると主張した点について、「学校・養成施設を設置しようとする者だけでなく、あん摩マッサージ指圧師の資格をとろうとする晴眼者の職業選択の自由も制限する」と明示した意見等を含む準備書面と文書提出命令申立書を1月10日付で提出した。これに対して、口頭弁論の中で、被告の国側は反論する書面とともに、19条の立法事実に関する書証を今後提出するとの意向を示した。
次回の弁論は、4月17日15時を予定。なお、当日は91席あった傍聴席は全て埋まっており、白杖を手にする視力障害者の姿が多くみられた。
平成26年度の療養費推計値 柔整3,825億円、3年連続減
平成26年度の療養費推計値 柔整3,825億円、3年連続減
2017.07.25
はり・きゅう380億円、マッサージ670億円
厚生労働省はこのほど、平成26年度の柔道整復、はり・きゅう、マッサージの療養費推計値(医療保険分)を公表した。柔整は前年度より30億円減の3825億円だった。100億円規模の減少が続いた平成24、25年度に比べ、減少幅は狭まったものの、3年連続の減少となった。はり・きゅうは380億円(前年度比4・3%増)、マッサージは670億円(同5・2%増)となっている。
なお、平成26年度は、同年4月より料金改定が施行された年で、税率が8%となった消費税への対応として、0・68%増の改定率で施術料等が引き上げられている。
区 分
平成20年度
平成21年度
平成22年度
平成23年度
平成24年度
平成25年度
平成26年度
柔道整復
3,933
4,023
4,068
4,085
3,985
3,855
3,825
対前年度伸び率
2.70%
2.30%
1.10%
0.40%
-2.50%
-3.20%
-0.80%
はり・きゆう
267
293
315
352
358
365
380
対前年度伸び率
8.10%
9.70%
7.50%
11.80%
1.80%
1.80%
4.30%
マッサージ
374
459
516
560
610
637
670
対前年度伸び率
10.30%
22.70%
12.40%
8.50%
9.00%
4.50%
5.20%
国民医療費
348,084
360,067
374,202
385,850
392,117
400,610
408,071
対前年度伸び率
2.00%
3.40%
3.90%
3.10%
1.60%
2.20%
1.90%
(注1)平成21年度までは保険局医療課、平成22年度以降は保険局調査課とりまとめの推計
(注2)柔道整復、はり・きゆう、マッサージ別の療養費の算出について
○全国健康保険協会管掌健康保険(平成20年9月以前は政府管掌健康保険)、健康保険組合、船員保険、日雇特例被保険者、共済組合については推計値を、国民健康保険、後期高齢者医療制度について実績値を使用。
○なお、健康保険組合、船員保険、日雇特例被保険者、共済組合及び国民健康保険の柔道整復、はり・きゅう、マッサージ別の統計が無い又は無かった年度については、
・平成20年度以前の日雇特例被保険者については、療養費総額の実績値に全国健康保険協会管掌健康保険の柔道整復等の各々の割合を乗じ推計。
・平成21年度以前の船員保険、共済組合については、それぞれの療養費総額の実績値に全国健康保険協会管掌健康保険の柔道整復等の各々の割合を乗じ推計。
・平成22年度以降の国及び地方公務員共済組合については、療養費総額の実績値に健康保険組合の柔道整復等の各々の割合を乗じ推計。
保険者機能を推進する会、大阪で柔整問題研修会 大阪社団、「適正化理念」の進捗説明
保険者機能を推進する会、大阪で柔整問題研修会 大阪社団、「適正化理念」の進捗説明
2017.07.25
「広告違反の施術所に不支給を」との提案も
昨年12月22日、大阪府内で開かれた一般社団法人保険者機能を推進する会の『第7回柔整問題研修会』で、公益社団法人大阪府柔道整復師会(大阪社団)が、昨年発表した「療養費適正化理念」の実施状況等を説明した。療養費の適正化策を強力に推し進める保険者団体の勉強会に柔整団体が招かれるのは異例といえる。推進する会理事の長嶺秀一氏(太陽生命健保組合常務理事)は「大阪社団には適正化理念をさらに進めてもらい、私たちもできる範囲で後押ししたい」と述べた。
登壇したのは大阪社団副会長の布施正朝氏。適正化理念を発表した昨年3月から11月までの進捗を報告した。「負傷の徴候の認められない患者への医科受診指導を促進する」との理念では、初検料のみの申請書件数を集計しており、3月施術分で全体の0・04%だった割合が、11月施術分には0・18%に上がったと説明。また、医師への患者紹介用の様式も作成し、整形外科医からも了解をもらっていると述べた。違法広告への対応については、昨年8月に同会会員に向けて自主改善を求める指導通知を出し、今年3月までの徹底を図っているほか、改善された事例を近日中にホームページで公表していくとした。布施氏は、適正化理念の遂行は「府民のための公益社団法人」としての取り組みであるとし、「大阪社団は決して保険請求団体ではない」と強調。最後に、参加した保険者に向けて、「明らかに違法広告を掲示している施術所には不支給決定を出してほしい」と提案した。留意事項通知の中の「通則1」の「療養費の支給対象となる柔道整復の施術は、柔道整復師法に違反するものであってはならないこと」との記載が根拠になり得ると言い添え、業界自らも不正行為を許さないといった姿勢を示した。
また当日は、推進する会所属の健保組合などによる事例発表が複数行われた。柔整だけでなく、鍼灸・マッサージ療養費の取組事例も取り上げられ、不適切な請求に対して不支給決定を出したケースなどを中心に報告された。
第11回JATIトレーニング指導者研修・交流会 リオ五輪女子バレーチームの栄養指導を解説
第11回JATIトレーニング指導者研修・交流会 リオ五輪女子バレーチームの栄養指導を解説
2017.07.25
国際学会、2018年までの開催を視野に
NPO法人日本トレーニング指導者協会(JATI)の第11回トレーニング指導者研修・交流会が昨年12月18日、東海大学高輪キャンパス(東京都港区)で開催された。
『リオ五輪に向けた全日本女子バレーボールチームのコンディショニング』として、管理栄養士で、同チームのほかに野球日本代表チーム『侍ジャパン』、野球の上原浩治選手や大谷翔平選手など、多くの一流選手のサポートを行ってきた大前恵氏が講演。同チーム発足1年目、2014年のワールドグランプリで日本が銀メダルを得た頃は、まだカロリー計算や試合中の水分補給が不十分で、「金メダルを取ったらこれが常識になってしまうかも」と危惧していたと明かし、食事と栄養指導の重要性を強調。▽体格やポジション、選手特性に合わせて目標体重・体脂肪率を設定し、十分な炭水化物・蛋白質を摂取、▽外で摂った食事も写真をメールで送らせて栄養を計算、▽練習中は計器を付けて消費カロリーを測定、▽試合中の消費カロリーが1000㌔㌍を超えると必ず30分以内に炭水化物を摂る、▽スナック菓子は禁止するが、定義は100㌘中10㌘以上が脂質のものとし、和菓子などは自由――といった取り組みを紹介した。女性選手の傾向として、筋肉を付けることを嫌がる、隠れて間食するなど管理が難しい一方で、制限をかける意義を一人ひとりが理解しさえすれば、継続して守る力には長けていると説明。特に若い選手では、身体が大きいこと、あるいは痩せることのメリットや、どういう食べ物が夢を叶えるために良いのかといった説明を丁寧に行い、早い段階で正しい食習慣を身に付けることが重要となるとした。
国際シンポジウムでは、JATIと提携関係を結んだ豪州及び英国のストレングス&コンディショニング協会から、それぞれエミリー・ノーラン女子アドバイザー委員長、ブリジット・スワレス副理事長が来日し、両国のトレーニング指導普及や、指導者の地位向上の取り組みについて語った。座長を務めたJATIの長谷川裕理事長は、各国の団体と関係を深め、アジアのトレーナーを集めた国際学会の開催を2018年初頭までに目指すとの展望を示した。
このほか、『打撃系格闘技種目におけるチームトレーニング』(大野隆成氏・岐阜市役所)など12の講演・実技が行われた。
近畿厚生局 施術録作成ソフト広告で注意喚起 『近畿厚生局・ 厚生労働省が了承』否定
近畿厚生局 施術録作成ソフト広告で注意喚起 『近畿厚生局・ 厚生労働省が了承』否定
2017.07.25
ワンクリックで「予測カルテ」?
近畿厚生局医療課は1月6日付で、管轄地域の柔道整復施術所に対し、『柔道整復施術所に対する施術録作成ソフトの販売広告について(お知らせ)』と題する通知を行った。一部の施術録作成ソフトの広告で「近畿厚生局・厚生労働省が了承」との表記がなされているとした上で、近畿厚生局が特定の販売会社に対し、このような保証を行うことはないと注意喚起した。
本紙の取材によれば、当該文面を用いた広告が昨年12月頃、施術所宛てに送付されていることが確認できた。「厚生局が認めるカルテ」「ワンクリックで自動的に予測カルテを作成」といった内容で、これまでにソフトを使用した者が近畿厚生局から呼び出し通告を受け、処分に至ったことはないとうたっている。
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』60 『混合介護』への期待と課題
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』60 『混合介護』への期待と課題
2017.07.25
1月18日の社会保障審議会の検討専門委員会で厚生労働省は、健康保険を用いた施術を行う鍼灸・あん摩マッサージ指圧師が、療養費の水増しなどで、平成20年度以降に36府県で約5万5千件、約9億5千万円以上の不正を行ってきたと報告し、対策強化の方針を打ち出しました。41兆円を超える医療費に比べれば、受療率の下がり続ける鍼灸やマッサージの療養費など微々たるものではないか、と思われる方もいるかもしれません。しかし、いずれにせよ、医療介護の公費から私費へのコストシフティングが一層加速されることは明らかです。
厚労省の報告の2日前には、東京都豊島区が、家事などの保険外サービスと介護保険サービスを組み合わせる『混合介護』を、国家戦略特区制度を利用して始める方針だと発表しました。今年度中に特区申請し、早ければ2018年度にも導入される見通しだといいます。『混合介護』については以前にもこの紙面でも言及しましたが、現状でも禁止されているわけではありません。ただし、保険内外のサービスを明確に区分することなど一定の条件を求められるため、一体的に提供するケアプランを立てるのは困難であるといえます。昨年には公正取引委員会が厚労省側に対し、混合介護の弾力化を求める報告を公表しました。
現在の混合介護は患者さん宅に様々な業者が出入りしており、中には宗教法人が布教活動の一環として生活支援のボランティアサービスを行っている例まで見受けられます。在宅診療に従事する医師の立場としては、こうした情報が医師に全く入ってこない現状に、大きな問題を感じています。出入り業種を整理し、患者さんの情報を多職種・多業種間で共有し、保険診療を軸足としながらも様々なサービスの選択肢を戦略的に編成し、適正かつ効率的なサービスを提供できる形が望ましいと考えています。
今、このようなサービスの編成はケアマネジャーがその役割を担っていますが、求められる能力が高度化しているといわれます。ここに混合介護という、保険外のサービスを含めて検討しながらケアプランを組み立てる仕組みを持ち込めば、ケアマネジャーの負担が一層大きくなる恐れがあります。また、ケアプランが属人的で、ケアマネジャーによってプランの質に格差が生じているとの指摘もある中で、ここに自費のサービスが入ってくると、適正性をどう担保するのかも大きな課題だといえます。
【連載執筆者】
織田 聡(おだ・さとし)
富山医科薬科大学薬学部卒。中和鍼灸専門学校中退。
富山医科薬科大学医学部卒後、富山県立中央病院などで研修、アリゾナ大学統合医療フェローシッププログラム修了。
平成25年に日本統合医療支援センターを設立し、代表理事を務める。
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』142 腱組織に対する超音波エラストグラフィー研究の 現状について
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』142 腱組織に対する超音波エラストグラフィー研究の 現状について
2017.07.25
宮嵜 潤二(筋・骨格画像研究会)
超音波エラストグラフィー(Real time tissue Elastography : RTE)は、2003年に日立メディコ(現日立製作所)が世界で初めて開発・製品化した技術で、非侵襲的に組織弾性を測定するものである。この技術は、主に乳腺腫瘍領域や、近年では肝線維化診断への応用などで発展してきた。08年以降、各社がRTEの製品化に参入しており、現在、機器の小型化、高解像度化に伴い、筋骨格系に対する応用も広がっている。しかし、腱や靭帯に対する研究が現状どのようになされているかは明らかではない。そこで今回は、RTEによる腱・靱帯に関する研究文献の数などから、同分野における研究の現状を調査した。
検索対象は、03年以降の、ヒトの腱に対してRTEを使用した研究の英語論文とした。検索はPubmedを使用して、キーワードを「ultrasound(超音波)」・「elastography」と、「tendon(腱)」「ligament(靱帯)」「muscle(筋)」で行った。
結果を【図1】に示す。筋骨格系に関する論文は03年から散見されるが、08年頃から大きく増加している。08年以降はシーメンス、GE、東芝、フィリップスなどの各社がRTEに参入し始めた年であることが要因だと考えられる。
12年頃まで論文数の伸びは停滞するも、13年から再び大きく増加している。なお12年以降には、Shear wave imaging方式の Shear Wave Elastography(SWE)の使用が急増している【図2】。
10年にSSI、12年にはシーメンスから相次いでSWEの新しい機器が発表されたこととの関連が考えられる。SWEは、用手的加圧を必要とするStrain imaging方式と比べて、剪断弾性波の伝搬速度により測定することで、定量性に優れているため、研究用途の応用が進んでいるものと推察される。RTEを用いた腱組織に対する研究報告のうち、14年以降の29%(66文献中19文献)がSWEを使用しており【図3】、 SWE普及との関連も示唆された。
RTEによる腱組織研究の対象組織別の論文の内訳を、【表】に示す。腱を対象とした論文の47.3%がアキレス腱の研究で、膝蓋腱と合わせると約60%を占めていた。これらのことから、アキレス腱や膝蓋腱など大径の組織に比べて、細径の腱や組織に対してRTEを使用するには課題があるものと考えられた。
【表】腱組織における対象別の論文数(110文献中)
tissue
n
%
Achilles tendon
52
47.3
pateller tendon
12
12
flexor tendon
9
9
rotator cuff
6
6
Systematic Review
3
3
extensor tendon
2
2
ACL
2
2
others
24
24
本調査において、筋骨格系に対するRTE研究では、近年、腱組織に対してSWEを使用した研究が増加していることが明らかとなった。今後はアキレス腱や膝蓋腱以外の腱組織に対するアプローチが重要であると考えられた。
Q&A『上田がお答えいたします』 上腕部挫傷(上部)の負傷原因として 「三角筋の痛み」は「部位相違」か
Q&A『上田がお答えいたします』 上腕部挫傷(上部)の負傷原因として 「三角筋の痛み」は「部位相違」か
2017.07.25
Q.
上腕部挫傷(上部)の負傷原因として「三角筋部に痛みが出た」と記載したところ、「部位相違」と国保審査会から返戻されました。なぜ返戻されたのか分かりません。 (さらに…)
柔整療養費検討専門委員会 第9回会議 厚労省の審査会権限強化案、批判集まる
柔整療養費検討専門委員会 第9回会議 厚労省の審査会権限強化案、批判集まる
2017.07.25
審査会の体制や法的根拠から問題提起
1月18日、柔道整復療養費検討専門委員会の第9回会議が都内で開かれた。平成29年度からの実施に向けた療養費の見直し案などが厚労省により示され、柔整業界や保険者の委員らが議論を行った。柔整審査会の権限強化に関する案に対しては多くの指摘が挙がった。
(さらに…)
『医療は国民のために』216 全く議論になっていないあはき療養費検討専門委員会
『医療は国民のために』216 全く議論になっていないあはき療養費検討専門委員会
2017.07.25
1月18日に開かれた『第10回あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会』を傍聴した。驚くべき低レベルの議論で、なんら建設的な話し合いになっていなかったのが残念でならない。あはき療養費に受領委任を導入するか否かについては、「平成28年度中に明確な方向性を示すもの」と、昨年示された工程表(スケジュール案)で整理されているため、この2カ月程度の間で結論を出さなければならない。今後、年度末の3月までに、柔整よりも多くの専門委員会の開催が予定されていることからも明らかだ。仮に、受領委任を導入するか否かという議論が来年度に持ち越しとなった場合、すなわち「あはきの受領委任の導入にあたっては、引き続き検討を要する」となった場合は、保険者側の全面的な「負け」といえる。なぜなら、来年度以降も「受領委任の導入」が議論の最優先事項となり、実質的な適正化の議論に入っていけなくなるからである。 (さらに…)
連載『先人に学ぶ柔道整復』二 竹岡宇三郎(中編)
連載『先人に学ぶ柔道整復』二 竹岡宇三郎(中編)
2017.03.10
卓越した整復技術を披露し、法制化に貢献
今回は竹岡宇三郎の柔道接骨術公認期成会(期成会)の会長としての活動に迫ります。
明治末期、「接骨術」を法制化するために組織された期成会の実質的な政治活動は、萩原七郎(柔道家、接骨家)によって開始されました。柔道保存という国家的な見地に立ち、柔道家の生活確立のための経済基盤を整えようとした人物です。萩原については、『柔道接骨術公認期成会設立ノ理由』(1913年7月)の中の、「武ハ誠ニ国家精神ノ根本ナリ…(中略)…、益々光輝アルモノハ柔道ナリ…(中略)…、其奥儀ニ於テ、幸ニシテ接骨術ノ一法アルナリ、由テ以テ柔道ノ命脈ヲ持続シ来リタリ、故ニ柔道伝授ノ心法ニシテ、生々子孫ニ渉リテ断絶スルナクバ、日本特有ノ柔道ハ誠ニ永古不朽ノモノタルナリ…」との記述からその強い意志が窺えます。
しかし、結成までに萩原は活動への賛同者集めに大変苦労します。理由は33歳という若さで、多くの接骨家が政治的指導者として認めなかったことにありました。そんな中、宇三郎は、相談に来た萩原の公認運動の姿勢に共鳴。会長の重責を引き受けます。これにより数多くの接骨家が参集し、1913(大正2)年に期成会が結成されました。柔道接骨術公認の請願書は何度か議会に提出され、その後内務省衛生局の諮問に付されました。そして公認の可否について、接骨術の「実態調査」という最後の段階に差しかかり、接骨術の「真価」について当局の理解を深める必要に迫られたのです。
実態調査の当日、当局の技官や、内務省衛生局から派遣された医学博士らが竹岡接骨院に集まりました。宇三郎は、西洋医学に基づいた病態の把握及び整復時に患者に苦痛を与えず、後遺症の少ない手順等の整復技術のほか、殺菌性の高いヒバ木の副木や、宇三郎考案の固定力が高い上、人体にフィットしやすく整形できる金属シーネを用いた合理的で科学的な固定法の実地を直接披露し、当局の認識を新たにさせました。
こうして宇三郎の卓越かつ医学的根拠に立った技術が接骨術の信頼度を高めたこともあり、1920(大正9)年に柔道接骨術は「柔道整復」として公認(按摩術営業取締規則改正)されました。この時、宇三郎は警視庁の第1回柔道整復術試験の実技担当の試験官に任命されます。これを知った全国の受験生が見学しようと、毎日何十人となく接骨院を訪れたといいます。接骨院は通常の施術に支障をきたすほどで、そこで翌年からは試験1カ月前より見学者のために接骨院2階の一室を開放し、講習会を開きました。受講料は一切取らず、門弟・宇佐美信が生理学、衛生学、解剖学、外科学、消毒等の学科を担当し、実技を宇三郎と代診の石森が担当。1日3時間程度の講習をした後、毎日模擬試験が行われ、そこで成績が明示されるなど厳しい訓練の結果、講習生のほとんどが合格との実績を上げました。講習生からは、後の全日本柔道整復師会会長の谷田部通一を輩出。宇三郎には子が無かったため、接骨院の後継者はいませんでしたが、その技術は門弟を通じて現代の柔道整復師界にも受け継がれているのです。
主な参考文献:前田勘太夫(1921)『竹岡式接骨術』、宇佐美信(年代不明)「先覚者の横顔(一)恩師竹岡先生を偲ぶ」(『日整百年史』所収)
【連載執筆者】
湯浅有希子(ゆあさ・ゆきこ)
帝京平成大学ヒューマンケア学部柔道整復学科助教
柔整師
帝京医学技術専門学校(現帝京短期大学)を卒業し、大同病院で勤務。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科博士後期課程を修了(博士、スポーツ科学)。柔道整復史や武道論などを研究対象としている。
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』63 『みんなのカルテ』を導入し、保険内外を含めて医療機関と連携を
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』63 『みんなのカルテ』を導入し、保険内外を含めて医療機関と連携を
2017.03.10
今回は『みんなのカルテ』のお話をしたいと思います。私が統合医療の啓蒙活動を進めているのは、西洋医学と補完医療との間にある“コミュニケーションの壁”を壊し、互いが対話し、連携をしながら医療ができるようにするためです。今まで医療機関と治療院をつなぐ患者情報共有のためのコミュニケーションネットワークはほとんどありませんでした。株式会社IMSSが開発し、その設計デザインを私が中心となって作ってきた『みんなのカルテ』は、その連携のための専用線といえます。
なお、株式会社IMSSは『リテラス・メディカ株式会社』へと社名を変更し、サポートも万全の体制を組むために社員も増やすなど、新体制となりました。「リテラス・メディカ」とは、「リテラシー」の「リテラ」、「照らす」の「テラス」、「人々が集う場所」の「テラス」という願いが込められています。様々な医療が集い、連携して情報共有できるテラスのような環境を構築し、正しい情報発信を促すとともに、国民の医療情報リテラシーを高め、医療に光を照らします。
『みんなのカルテ』は今年中に東京大学ソーシャルICTセンターのPLR(Personal Life Repository)プロジェクトと接続されます。これにより、大学病院や市中病院の電子カルテとつながることになります。とうめい厚木クリニックなど、一部では既に医療機関と治療院との連携に『みんなのカルテ』が利用されていますが、新たに都内で私のクリニックの外来とも接続することになります。保険内外を含めて医療機関との連携を必要とする鍼灸マッサージ師の皆さんには必須のツールとなるでしょう。3月中に、諸々のバグ改修や新機能を盛り込んだ新バージョンをリリースする予定で準備しています。「どうやったら医療機関と連携ができるのだろう」とお考えの施術者の方は、ぜひ『みんなのカルテ』を導入して医療・介護の現場へと出てきていただきたいと思います。
私はよく『みんなのカルテ』を国際電話の海底ケーブルに例えています。外国と日本でお互いに電話をかけようと思わなければ、単なるケーブルに過ぎません。さらに言語が翻訳されたり、共通言語があったりしなければ、対話になりません。この対話をどうやってするべきなのかというノウハウを学ぶためにこれまで展開してきたのが、「統合医療支援セミナー」です。来年度は統合医療に関わる多くの医師も参画し、教育プログラムも展開する予定です。「医療介護危機」が来ると言われる2025年に間に合うように着々と準備を進めています。一緒に日本の医療を変えていきませんか?
※リテラス・メディカ株式会社への問合せは、info@literrasmedica.jp、0800-170-9610(フリーコール)まで。
【連載執筆者】
織田 聡(おだ・さとし)
日本統合医療支援センター代表理事、一般社団法人健康情報連携機構代表理事
医師・薬剤師・医学博士
富山医科薬科大学医学部・薬学部を卒業後、富山県立中央病院などで研修。アメリカ・アリゾナ大学統合医療フェローシッププログラムの修了者であり、中和鍼灸専門学校にも在籍(中退)していた。「日本型統合医療」を提唱し、西洋医学と種々の補完医療との連携構築を目指して活動中。
連載『中国医学情報』143 脳卒中後の感覚障害には鍼プラス十二井穴刺絡ほか
連載『中国医学情報』143 脳卒中後の感覚障害には鍼プラス十二井穴刺絡ほか
2017.03.10
今回の内容
・脳卒中後の感覚障害には鍼プラス十二井穴刺絡
・腰痛患者で鍼通電と灸頭鍼を比較
・胃カメラによる吐き気・嘔吐予防には内関穴への円皮鍼プラス穴位按圧
☆脳卒中後の感覚障害には鍼プラス十二井穴刺絡
浙江省台州市立病院・潘丹らは、脳卒中後の感覚障害患者で、鍼治療と鍼治療プラス十二井穴刺絡治療とを比較した(上海鍼灸雑誌、16年7期)。
対象=同院鍼推拿リハビリ科の外来・入院の90例(男44例・女46例)、平均年齢約41.5歳、平均罹患期間約50日、脳出血43例・脳梗塞47例。これをランダムに、鍼治療群・プラス刺絡群各45例に分けた。
治療法=鍼治療―取穴:風池・極泉・肩髃・曲池・外関・合谷・環跳・陽陵泉・足三里・懸鐘・太衝穴。0.3×50/60mmの毫鍼で、極泉・環跳穴には60mmの鍼を刺入し触電感を手足の指先に伝え、その他のツボには50mmの鍼を刺入し得気後に置鍼30分、1日1回、1週5回、4週間治療。
刺絡治療―まず十二井穴をよく揉み充血させ、三稜鍼で0.1~0.2寸刺入し、周囲を軽く圧迫し3~5滴出血させる。2日1回、1週3回、4週間治療。
評価法=フーゲル・マイヤー(Fugl - Meyer)などの評価法を使用。
結果=鍼群―臨床的回復8例・著効9例・有効13例・無効15例・総有効率66.7%、プラス刺絡群―臨床的回復18例・著効13例・有効10例・無効4例・総有効率91.1%。
☆腰痛患者で鍼通電と灸頭鍼を比較
上海市閔行区中医病院・李文順らは、腰痛患者で鍼通電と灸頭鍼の効果を比較した(上海鍼灸雑誌、16年7期)。
対象=同院鍼灸科外来患者78例(男41例・女37例)、平均年齢約40歳、平均罹患期間約6カ月。これをランダムに通電群28例・灸頭鍼群26例・薬物群24例に分けた。
治療法=各群2週間治療。
<取穴>左右の腎兪・大腸兪・委中穴および相応する夾脊穴、さらに症状により環跳・陽陵泉・崑崙穴などのツボから選択。
<刺鍼方法>患者は腹臥位、0.3×50mmの毫鍼で刺鍼(病症の虚実により補瀉手法)、患者にだるく腫れぼったい感覚を起こさせた後に置鍼。通電―患者の病状により2~3対のツボを選び、連続波で20分通電、同時に腰部を赤外線照射、2日1回。灸頭鍼―左右の腎兪・大腸兪穴で2cmの艾で毎穴2壮、2日1回。
<薬物>西洋医薬の消炎鎮痛カプセル(Celebrex)を1日3回内服。
評価法=主にマックギル疼痛質問票、VAS(視覚的アナログスケール)、日本整形外科学会とOswestryの評価スコアなど。治療前・治療1週間・治療2週間・終了後1カ月・終了後3カ月で評価。
結果=通電群28例は、治癒0例・著効16例・有効8例・無効4例・総有効率85.7%。灸頭鍼群26例は、治癒0例・著効13例・有効6例・無効7例・総有効率73.1%。薬物群24例は、治癒0例・著効9例・有効5例・無効10例・総有効率58.3%。
☆胃カメラによる吐き気・嘔吐予防には内関穴への円皮鍼プラス穴位按圧
杭州市の浙江省中医院・孫敏らは、胃カメラによる吐き気・嘔吐の予防には、内関穴への円皮鍼プラス穴位按圧が穴位按圧単独より効果的と報告した(中国鍼灸、16年11期)。
対象=心身に重篤な疾患が無く、心肺機能正常な、同院で最初に胃カメラ検査をした120例―男73例・女47例、平均年齢約37.3歳(18~65歳)。急性期の食道・胃・十二指腸疾患患者、妊娠・哺乳期の患者、急性の重症咽喉部疾患を有する患者、鎮痛剤・鎮静剤・鎮痙剤使用中の患者、コミュニケーション困難な患者、内関穴の皮膚に破損・血腫・感染・皮疹のある患者などは排除した。これをランダムに、按圧単独群・円皮鍼併用群各60例に分けた。
治療法=<穴位按圧>取穴:内関穴。胃カメラ検査15分前、治療者の母指にタルクを付け、軽く圧をかけながら持続的に回旋(120回/分)、左右のツボを交替、各穴3~5分。
<円皮鍼>上記の按圧後に、0.22×1.5mmの円皮鍼を刺入に絆創膏で固定し、胃カメラ検査終了まで患者に母指で按圧させる。
評価法=吐き気・嘔吐回数と程度(VAS)、不安感(汪向東『心理衛生評定量表手冊』1999年の心理評価40項目)。
結果=両群とも不良反応―暈鍼・切鍼・局部皮下血腫・皮膚破損など―はなかった。吐き気・嘔吐回数と程度(VAS)では、円皮鍼併用群が穴位按圧単独群より効果的で統計学的有意差があったが、不安感では両群に有意差はなかった。
【連載執筆者】
谷田伸治(たにた・のぶはる)
医療ジャーナリスト、中医学ウォッチャー
鍼灸師
早稲田鍼灸専門学校(現人間総合科学大学鍼灸医療専門学校)を卒業後、株式会社緑書房に入社し、『東洋医学』編集部で勤務。その後、フリージャーナリストとなり、『マニピュレーション』(手技療法国際情報誌、エンタプライズ社)や『JAMA(米国医師会雑誌)日本版』(毎日新聞社)などの編集に関わる。
Q&A『上田がお答えいたします』 「あはき療養費の受領委任払い導入」の行方は?
Q&A『上田がお答えいたします』 「あはき療養費の受領委任払い導入」の行方は?
2017.03.10
Q.
3月1日に行われた「第13回あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」を傍聴してきました。受領委任払いが導入されるような展開の議論でうれしかったのですが、本当に実現するのでしょうか?
A.
私も傍聴していました。柔整療養費と同様にあはきにも受領委任払いを導入することについて、厚労省保険局の事務方が積極的に解説していましたね。さらに、療養費を支払う側である保険者側委員2名から資料の提出があり、いずれも「あはきへの受領委任の取り扱いの導入について賛成」との内容で、これには驚きました。委員は資料だけを提出して欠席しましたが、事務局による資料説明は「現状、多くの代理受領が保険者判断として実施されているのだから、受領委任を導入して何が悪い!」というような「上から目線」になっていたので、協会けんぽと健保連の委員は驚いたことでしょう。
そもそも後期高齢者医療広域連合は、あはき療養費の8割以上を支給していることから、療養費の抑制策と不正防止対策として国の指導監査体制の構築を希望していました。そのため、後期高齢者医療代表の委員は以前から繰り返し受領委任払い導入の必要性について触れ、賛成の立場で発言しています。
それにしても、今回の議論の展開には「政治的な配慮や圧力」の存在を感じますね。業界の四大団体である日本鍼灸師会・全日本鍼灸マッサージ師会・日本あん摩マッサージ指圧師会・日本盲人会連合が与党自民党に働きかけた結果、自民党幹部や政府関係者から厚労省に「受領委任払いを導入するように」とのお達しがあった……とか。
いずれ分かることですが、問題は政府や自民党が考えるほど単純ではありません。私の予測では、この紙面でも解説してきた通り、受領委任払い導入の議論の順当な落としどころは「平成29年度においても引き続き検討を要す」として継続審議の事案とされるというところでしょう。そうなれば、「保険者側の負け」です。今後の専門委員会においてもこのテーマが最重要事項となり、保険者が望む別の適正化項目に議論が集中できなくなることで、「施術者側の勝利」といえる結果になるでしょう。
【連載執筆者】
上田孝之(うえだ・たかゆき)
全国柔整鍼灸協同組合専務理事、日本保健鍼灸マッサージ柔整協同組合連合会理事長
柔整・あはき業界に転身する前は、厚生労働省で保険局医療課療養専門官や東海北陸厚生局上席社会保険監査指導官等を歴任。柔整師免許保有者であり、施術者団体幹部として行政や保険者と交渉に当たっている。
静岡県鍼灸マッサージ師会、 三島市と災害時における支援協定を締結
静岡県鍼灸マッサージ師会、 三島市と災害時における支援協定を締結
2017.03.10
県下初、公益三団体共同で
2月3日、公益社団法人静岡県鍼灸マッサージ師会と静岡県三島市は「大規模災害時における鍼灸・マッサージ施術等の支援に関する協定」を締結した。鍼灸・マッサージの団体が自治体と災害時の協定を締結するのは県下初。災害時、避難所等での施術のほか、エコノミークラス症候群の予防指導、災害対応従事者の疲労回復支援などを行う。
支援には同師会と公益社団法人静岡県鍼灸師会、公益社団法人静岡県視覚障害者協会との共同で臨む。東日本大震災では、混乱を避けるために現地入りする業界団体の一本化を希望する声が自治体などから上がったといい、静岡ではこれを教訓に、三団体の会員で構成される静岡県保険鍼灸マッサージ師会が取りまとめ役を、静岡県鍼灸マッサージ師会が窓口を務めることとなった。
静岡県保険鍼灸マッサージ師会理事・災害対策委員長の鈴井典之氏によると、鍼灸・マッサージ治療費の助成を行っている同市の長寿介護課から災害対策を担う危機管理課に働きかけてもらい、協定締結に至ったという。かねてより各会の有志らは、地元消防局による救命救急講習を受け、また、災害医療の専門家を招いて講演会を行うなどして支援への準備を進めてきた。施術だけでなく人命救助や簡単なトリアージもできるような、災害初期の要員としても役立ちたいとしている。また、東日本大震災の際に避難所となった「ビッグパレットふくしま」では鍼灸師らの予防指導によってエコノミークラス症候群の発症が無かったという実績も、協定締結の一助になったという。
大規模災害が発生した場合、「我々自身、動きが取れなくなる可能性もある」と言う鈴井氏。広域での連携の必要性を訴え、また発生の切迫性が危惧される東海地震も視野に入れ、愛知県など他県・他地域にも呼びかけて、取り組みを拡大させていきたいと語った。
連載『未来の鍼灸師のために今やるべきこと』2 医学の進歩は医療費削減につながるのか?
連載『未来の鍼灸師のために今やるべきこと』2 医学の進歩は医療費削減につながるのか?
2017.03.10
医学は目覚ましいほどに進歩しています。以前は難病と考えられていたAIDSや癌などの疾患でも、医学の進歩により生存率が伸び、完治までは難しくともコントロールが可能となるなど、明るい兆しが認められています。さらに今後は、iPS細胞やゲノム解析などの未知の技術や治療法が次々と開発され、ほとんどの病気が治療できるようになるかもしれません。
その一方で表面化してきたのが、前回取り上げた高額医療費の問題です。近年癌治療の分野で注目を浴びている免疫治療薬「オプジーボ」という新薬があります。この新薬は今までの薬とは異なり、免疫に作用して癌の進行を抑えるという新しい仕組みのため、従来の抗癌剤で無効だった患者にも効果が期待でき、一部の抗癌剤と併用がしやすいなどの利点があります。最近では皮膚癌に続いて肺癌に適応が拡大され、他の癌への適応拡大も期待されています。
しかし、新薬の効果以上に話題になったのが、オプジーボにかかる治療費です。オプジーボによる治療費は1人当たり年間約3500万円と試算されており、1カ月の治療費に換算すると300万近くになります。本邦ではオプジーボは保険適応である上に、高額療養費制度による負担額の軽減が認められているため、所得によっても負担額は異なりますが、月3万5千円から最大25万円で治療を受けられます。裏を返せば、患者1人につき年間3千万円以上が国の負担となるということです。もし、適応となる肺癌患者(1万5千人)がオプジーボを利用したとすれば、国の負担は6300億円とも試算されており、国の財政破綻につながる危険性まで指摘されているのです。
年間3千万円のお金で1人の命が助かるというのは素晴らしいことかもしれません。しかし、現行の医療制度を続けていけば、医学が進歩すればするほど国の負担が多くなり、破綻という結果につながりかねません。ギリシャの例を考えれば、国の財政破綻もあり得ないものとは言い切れません。
そう考えると、本邦の医療制度は限界に近づいており、変革の時期を迎えています。そのような現状を踏まえ、我々鍼灸師は、現行の医療制度の中で生き残る道を考えるのか、従来とは異なる新たなシステムができるのを待つのか、あるいは自らの手でそれを作るのかという岐路に立たされています。将来の鍼灸師のため、私たちはどの選択をするべきなのでしょうか。
【連載執筆者】
伊藤和憲(いとう・かずのり)
明治国際医療大学鍼灸学部長、鍼灸師
2002年に明治鍼灸大学大学院博士課程を修了後、同大学鍼灸学部で准教授などのほか、大阪大学医学部生体機能補完医学講座特任助手、University of Toronto,Research Fellowを経て現職。専門領域は筋骨格系の痛みに対する鍼灸治療で、「痛みの専門家」として知られ、多くの論文を発表する一方、近年は予防中心の新たな医療体系の構築を目指し活動を続けている。
『ちょっと、おじゃまします』 ~ED・男性不妊専門の鍼灸院~ 平癒堂鍼灸<大阪市淀川区>
『ちょっと、おじゃまします』 ~ED・男性不妊専門の鍼灸院~ 平癒堂鍼灸<大阪市淀川区>
2017.03.10
「勃起不全(ED)は血管と男性ホルモン、自律神経に由来する立派な病気。虚血性心疾患に先行することも多くあなどれませんが、世間では正確に理解されていないのが現状です」。そう語るのは、鍼灸師の平谷透先生。ED・男性不妊を専門とする数少ない鍼灸院『平癒堂鍼灸』の院長です。
平谷先生が東洋医学の道を意識するようになったのは、大学卒業後、紳士服メーカーの営業として激務に励む中、ストレスと過労から胃を痛めたことがきっかけでした。病院では信頼できる医師に出会えず、たどり着いたのが、故・入江正先生の漢方薬局でした。劇的な症状改善に感動し、定期的に通うようになる中で目にしたのが、入江先生の鍼治療を受けて楽になったとお礼を言う、嬉しそうな患者さんの様子。「患者さんから、お金と一緒に感謝の気持ちを受け取れる」――。その光景をとても魅力的に感じ、退職後、関西鍼灸短期大学(当時)に入学しました。
在学期間中は、入江先生から独自の脉診法を用いた治療を学ぶ一方、学校ではトリガーポイント療法の第一人者の黒岩共一教授に師事。入江式とトリガーポイント、いずれも伝統的な枠組みにとらわれない二つの治療理論が、現在まで続く治療の柱になったそうです。同短大を首席で卒業後、黒岩教授から紹介された治療院での勤務や、平成医療学園専門学校での非常勤講師の仕事を通じ、15年間、延べ約3万人もの患者さんに施術を行ってきたとか。その中で、中年期以降の男性の臀部・腰部のこわばりと、男性機能の低下の関連性に着目。腰部周辺への鍼治療で改善が見込めると考え、昨年秋、平癒堂鍼灸の開業に至りました。
平癒堂の大きな特徴はプライバシーへの配慮。完全予約制の上、待合室は入口・出口が仕切られ、治療中に次の患者さんが訪れても顔を合わせることはありません。オフィス街のビルの7階という立地もあり、目立たず来院できるとか。トリガーポイントと、入江式による自律神経へのアプローチを組み合せ、『世間の男性の性への意識を変えること』を自身のミッション(人生の目標)と定めながら、日々の治療に当たっています。
平谷透先生
48歳。平成15年、関西鍼灸短期大学(当時)卒業。同年はり師・きゅう師免許取得。平成23年、トリガーポイント健康クラブ設立。平成28年、平癒堂鍼灸開業