柔整・あはきで質問主意書、相次ぐ
2018.08.10
―国民民主・青山氏、不必要な患者調査を指摘―
柔整・あはきに関連する質問主意書が6月13日付で複数提出されている。
国民民主党の青山大人衆院議員から、▽保険者から委託を受けた民間業者による「不必要な患者調査」を指摘する質問、▽医師会が医師に対し、骨折等の「医師の同意」を安易にしないよう求めており、柔整施術の機会が狭まれているとの疑念を呈した質問の2件。また、立憲民主党の山内康一衆院議員が、今春より開かれている施術所広告に関する検討会の開催目的やウェブサイト情報は広告に含まれるのかといった「広告規制に関する質問」を行っている。
それぞれの質問書に対し、政府は6月22日付で答弁書を送付した。
「不必要な患者調査」については、被保険者等への調査は本来、不正の疑いのある施術を確認するためで、「受診抑制」にならないよう注意を促す事務連絡(平成30年5月24日付)等により保険者に指導しているとの見解を示した。
「医師の同意」に関しては、昭和31年7月11日付の厚生省通知で「地方医師会等の申し合わせ等により、医師が柔道整復師から、脱臼又は骨折の患部に施術するにつき同意を求められた場合、故なくこれを拒否することのないよう指導すること」と各都道府県知事に通知していると説明。
「広告規制に関する質問」では、「現時点において施術所のウェブサイトによるものを含めた国民に対する情報提供の在り方や、法律の改正の要否等についてお答えすることは困難である」と回答している。
■青山議員による患者調査に関する質問主意書・答弁書
【質問主意書・要旨】
委託業者が患者調査を行う上で、平成24年3月12日付の通知「柔道整復師の施術の療養費の適正化への取組について」を逸脱している傾向が見られ、柔整師と患者の双方にとって、好ましくない状況が生じている。具体的には、保険者と委託業者との契約は出来高払いとされていることから、委託業者が患者数を水増しし、業務成績を上げるために「多部位、長期、高頻度」に該当しない患者にも調査を行っている。一般に患者調査は受診から3~4か月後に行われることが多く、患者の記憶が薄れた頃に調査を受けるため回答が不正確になりがちで、そのため柔整施術療養費支給申請書(申請書)の内容に疑義が生じ、各保険者から柔整師に申請書が返戻される。返戻後は、柔整師が患者の受診内容についてカルテ等を基に申請内容を調査しなければならず、事務の負担増を招いている。
一方、患者は本来必要のなかった患者調査を受忍しなければならない。また、調査自体が受診にうしろめたさを覚えさせ、柔整師の施術を再度利用したいという気持ちを遠ざけてしまう。この結果、受診離れが生じていることは、公益社団法人東京都柔道整復師会広報誌(平成29年12月28日)の「民間業者への二次点検(患者調査)の委託は、『繰り返す患者調査による受診抑制』『行き過ぎた調査』等の弊害を生み、真っ当な柔整師ほど患者減少の傾向が出てしまっている」との記載からも明らかである。
そこで、次について質問する。
一 委託業者による不必要な患者調査を防ぐために、各保険者による適切な指導・監督の実施が必要であり、それがなされていない場合は所管省庁による監督や是正も必要と考えるが、政府の見解を示されたい。
【答弁書・要旨】
御指摘の「不必要な患者調査」の意味するところが必ずしも明らかではないが、柔整療養費の被保険者等への調査については、「柔整療養費の被保険者等への照会について」(平成30年5月24日付)において、「本来の目的である不正の疑いのある施術等についての被保険者等への確認のために実施するものとし、受診の抑制を目的とするような実施方法は厳に慎まれたい」等と示すなど、療養費に係る制度の適切な運用が行われるよう、保険者に対する指導を行っているところである。