日個連が自民党本部で勉強会 「個人契約の柔整師の声、届けたい」
2018.06.25
―亜急性→「捻れや外力+慢性至ってない」―
全国の個人契約柔整師団体で構成される日本個人契約柔道整復師連盟(日個連、会員数約8,800)が6月7日、都内の自民党本部で柔整療養費に関する勉強会を開いた。当日参加したのは、日個連から公益社団法人全国柔整鍼灸協会(公社全柔協)、協同組合近畿整骨師会など11団体、会員外から協同組合中央接骨師会など5団体。行政側から出席した厚労省保険局保険医療企画調査室長・谷田貝泰之氏と療養指導専門官・都竹克宜氏に加え、元厚生労働副大臣の木村義雄参院議員(自民党)も同席し、柔整療養費の受領委任に関する昨今の改正等で意見交換を行った。
まず木村議員があいさつに立ち、「柔整療養費は、40兆円を超える国民医療費のほんの1%に満たないにもかかわらず標的になり、他にもある不適切な部分は野放しにされている。地域医療の〝プライマリーケア的な役割〟を担っている点を鑑みれば、かつての4,000億円台まで取り戻さないとならない」と述べた。公社全柔協理事長の岸野雅方氏も、「6月からの料金のプラス改定で本来なら取扱高も増えるはずだが、今後も数十億単位で減少し続けそうだ。今回料金が引き上げられた項目も、前回改定同様に骨折・脱臼が中心で、後療等の日々の診療の中で収入に結びつくものではない」と厳しい現状に触れ、同勉強会を通じて個人契約の団体・柔整師の声を届けていきたいと語った。
意見交換では、日個連側から亜急性について言及され、5月24日付の厚労省通知で「急性又は亜急性」の文言が削除され、代わりに「外傷性が明らかな骨折、脱臼、打撲及び捻挫」となったが、従来の「亜急性」が示していた「酷使、反復、過剰な損耗」による症例も範囲内なのかが問われた。谷田貝氏は「非常にシンプルに言うと、〝捻れや外力によるもの〟と〝慢性に至っていない〟の二つを満たす骨折、脱臼、打撲、捻挫であれば、全て支給対象になる。酷使、反復、過剰な損耗もこの二つを満たせば範囲に入るものと考える」と返答。今後、この問題では具体的なケースを厚労省から示すことは無いとも付け加えた。
「協定の優位性」うたう社団を指摘
協定と契約の一本化で、業界まとまる
また、日個連側が以前より主張してきた「柔整審査会」の委員構成の偏りの是正や公正な委員選出に絡めて、最近、公益社団法人日本柔道整復師会(日整)の地方組織である都道府県柔道整復師会(社団)のいくつかが、療養費支給申請書の審査における「協定の優位性」をPRしていると指摘。これに対し、谷田貝氏は「〝協定だから、審査が簡単に済むよ〟とうたうのは行き過ぎなので指導している」と回答。また、昨秋より実施している柔整審査会の権限強化の状況を見極めながら、その一方で柔整審査会の審査基準・仕組みも厚労省で実態を調べ、運用のルールを定めていきたいと話した。この問題については、日個連側は、そもそもの原因は協定と契約のダブルスタンダードにあると改めて指摘。この問題が業界内の軋轢を生じさせており、一本化すれば、業界も自然とまとまってくると強調し、「協定を先行させた制度運営を行ってきたのは紛れもなく厚労省なので、一本化に向けて音頭を取ってほしい」と要請した。これを受け、谷田貝氏は「できる限りの環境作りはするが、最後は業界の各団体による話し合いが大事だと考えている」と見解を示した。
このほか、行き過ぎた患者照会を注意した5月24日付の事務連絡について、厚労省側の説明の後、双方で詳細が確認された。