2度目の緊急事態宣言、施術所は? 「来院控え」前回より目立たず
2021.01.25
1月7日に新型コロナウイルス対策として緊急事態宣言が再発令され、その対象区域が11都府県(埼玉、千葉、東京、神奈川、栃木、岐阜、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡)に拡大される中、あはき・柔整の施術所にも影響が出ている。だた、前回の宣言時(昨年4月~5月)のような混乱は見られず、感染を恐れた患者による「来院控え」もそれほど目立っていないようだ。
感染への危機意識の薄れに注意
前回、特に問題となったのは、「あはき・柔整の施術所が休業要請の対象なのかどうか」だった。行政が休業要請の対象施設を決め、発表したのが、宣言発令後の4月中旬以降だったことから、時短営業や臨時休業とするのか、通常通り営業とするのかの判断は施術所に委ねられ、迷う施術所も多かった。しかも、給付金や助成金などの支援策も流動的だった。
結果として、施術所は病院、診療所、歯科、薬局とともに、「社会生活を維持するうえで必要な医療施設」として休業対象から外されており、今回の宣言後は混乱もなく、通常通り治療を行う施術所が多いようだ。1月中旬、施術所も多く軒を連ねる大阪の『天神橋筋商店街』や『千林商店街』などでは、ほぼ全ての施術所が院外に府発行の「感染防止宣言ステッカー」を掲示するなど感染症対策に注意を払い、通常の受付時間で治療を行っていた。
リラク大手が時短で患者増や往療断りの介護施設など様々
昨春の第1波の際に頻発した「患者の来院控え」も、2回目の宣言後は起こっていない模様だ。対象である愛知県の柔整師は、「昨年のコロナによる来院患者の減少を5%ほどまで持ち直したところに再び宣言が出されたが、今はこれといって変化はない」と話す。また、リラクゼーション大手が時短営業など自粛を行っていることで患者が増えた施術所もあり、「患者さんから『やっぱりプロの仕事は違うわね』と喜んでもらっています」と神奈川の鍼灸マッサージ師。
ただ、東京・葛飾区の鍼灸師が、介護施設への往療で施設側からの断りの連絡が増えたと話すように少なからず影響は出ている。そして、2回目の宣言が飲食店を中心とした限定的な対応のため、業界関係者からは「感染への危機意識が薄れてきているのでは」と心配する声が聞かれる。
業種別ガイドラインの遵守などで対応
今年に入って、岡山・倉敷市の施術所や、栃木・真岡市の整骨院が母体のデイサービスでクラスターも発生している。内閣官房が策定する「業種別ガイドライン」には、あはき・柔整業界から、全国柔整鍼灸協同組合、日本柔道整復師会・日本柔道整復接骨医学会連名、全日本鍼灸マッサージ師会の三つが登録されており、これらを遵守した施術所内での感染防止対策などが一層求められそうだ。