連載『食養生の物語』44 『一本でもニンジン』
2017.01.25
英語でキャロット(carrot)といえば、ニンジン。キャロットという言葉は、栄養成分であるカロチンが語源なのだとか。それほどニンジンに多く含まれるカロチンは、活性酸素を除去し、免疫力を高める成分で、1982年に米国科学アカデミーで「ニンジンジュースは潰瘍とガンを癒す世紀の奇跡」という発表があったほどです。 (さらに…)
連載『食養生の物語』44 『一本でもニンジン』
連載『食養生の物語』44 『一本でもニンジン』
2017.01.25
英語でキャロット(carrot)といえば、ニンジン。キャロットという言葉は、栄養成分であるカロチンが語源なのだとか。それほどニンジンに多く含まれるカロチンは、活性酸素を除去し、免疫力を高める成分で、1982年に米国科学アカデミーで「ニンジンジュースは潰瘍とガンを癒す世紀の奇跡」という発表があったほどです。 (さらに…)
『ちょっと、おじゃまします』 「気口九道」を駆使
『ちょっと、おじゃまします』 「気口九道」を駆使
2017.01.25
問診に始まり、舌診、脈診、腹診からの施術、さらに背候診の反応点に鍼や灸、再度の脈診の後に腹部への打鍼――。古典鍼灸でじっくりと治療に取り組む桝野仁志先生は「気口九道」を筆頭に、4種の脈診法を用いています。気口九道は中国・明代の李時珍が著した『奇経八脈考』に記載されている脈診法で、経絡のどこに反応があるのかが分かりやすいといいます。また、気口九道による見立てで行う治療では左右いずれかの経穴しか使用しないので、刺す鍼の本数が通常の半分になり、「患者さんの負担も少ない」とのことです。 (さらに…)
今日の一冊 悪癖の科学 その隠れた効用をめぐる実験
今日の一冊 悪癖の科学 その隠れた効用をめぐる実験
2017.01.25
翌朝に重要な会議があっても深酒をする。健康に悪いと知りつつもタバコを吸う。恋に狂い、性欲に翻弄される。刺激を求めてバンジージャンプ。人はなぜ、世間が眉をひそめるようなことをついついやってしまうのか――。「健康のために、酒もタバコもセックスもグルメもやめた男がいる。どうなったかって? あっというまに自殺したよ」(米国のコメディアン、ジョニー・カーソン)。「悪癖」にも、何らかの効用があるのではないか。イグ・ノーベル賞受賞の心理学者が、謎多き人間の深奥に迫る。
連載『アロマテラピーをたずねて』80 精油の取り扱いにご注意を
連載『アロマテラピーをたずねて』80 精油の取り扱いにご注意を
2017.01.25
昨年末に新潟県で発生した大規模火災は記憶に新しいところですが、アロマテラピー業界でも、バスタオルやリネン、衣類に付着したアロマオイルが発火するという事故が報告されています。特にマッサージにアロマオイルを使用しているサロンで、小規模な火災が数件起こっています。
タオルに残ったアロマオイルを洗濯段階で完全に落としきらないまま乾燥機に入れた場合、あるいは乾燥機から取り出したタオルを冷まさないですぐに積み重ねて置いた場合などに出火する恐れがあります。後者は、乾燥機から取り出した温かいままのタオルをすぐに積み重ねたことによって、蓄積された酸化熱が発火の原因になったという事故です。
アロマテラピーで使用する精油は雑貨として流通していますから、「消防法上の危険物」との認識はあまりないと思います。サロン経営者は、従業員にこのことを理解させ、注意を促す必要があるでしょう。
アロマキャンドルを焚いたり、アロマポットで香りを蒸散させて部屋を香らせるという芳香浴が一般的ですが、精油はガソリンや灯油と同じように危険物のグループに属します。取り扱いを誤れば火災、爆発などの事故につながる危険性を秘めています。つまり、引火性液体なのでキャンドル式のアロマポットなどは要注意の製品といえます。精油は5~10㍉㍑、大きい瓶でも20㍉㍑程度のもので販売されているため、危険物としての表示義務は免れていますが、もし仮に500㍉㍑以上の商品があったら、それは危険物の表示が必要になります。なんだか恐ろしい話になってしまいましたが、引火点イコール発火点という意味ではありませんから、精油を保管していて自然発火するという心配はご無用です。ただし、近くに火気がある場合は、揮発した精油が引火する可能性もありますから注意してください。ちなみに最も高価なローズ精油の引火点は100℃、次にゼラニウム、クラリーセージが77℃、ラベンダー75℃、ペパーミント、イランイランなどが65℃前後となっています。
【連載執筆者】
山本 淑子(やまもと・よしこ)
山本淑子ハーブ・アロマアカデミー校長
AEAJ認定アロマテラピープロフェッショナル
編集後記
編集後記
2017.01.25
▽「私がいつ倒れてもいいように」。昨年末、預金や証券など、家の資産について母が教えてくれました。母も古希を迎え、いわゆる「終活」を始めたのです。一人でも生きていけそうですが、3階建ての二世帯住宅は一人には広すぎる……。そうだ! 1階を「こども食堂」の運営団体に提供しよう。こども食堂とは、経済的な理由などで満足な食事が取れない子どもたちに安価で食事を振る舞う取り組みで、全国に広がっているそうです。時には一緒に食卓を囲み、「食堂のおっちゃん」として慕われ、最期は彼らに看取られ……なんて初夢を見ました。正夢になったらと思うと複雑な気分です……。こども食堂と家持ち単身者のマッチング、福祉政策にどうですか? その前に嫁さんもらえ? それがなかなか……。(前)
Q&A『上田がお答えいたします』1年以上かつ週4回で支給申請書に 新たな書き込みを求められるって何?
Q&A『上田がお答えいたします』1年以上かつ週4回で支給申請書に 新たな書き込みを求められるって何?
2017.01.10
Q.
あはき療養費の申請書に「施術の必要性」とか「患者の状態」を記載することになるというのは本当でしょうか。何を書けばよいのか分かりません。書けなければ、患者さんに「あまり治療院に来ないでください」と言えということでしょうか。
A.
あはき療養費検討専門委員会で議論されている、「支給申請書への施術の必要性の記載並びに患者の状態の記載の義務化(1年以上かつ週4回)」のことですね。「平成29年度からの実施を目指すもの」として、議論の整理がされたところです。これを行うにあたっては、当然のことながら具体案の検討が必要であって、まずは今年度中をめどに方針を決め、周知を図った上で来年度からの実施を目指すものとなっています。しかしながら、1年以上かつ週4回の施術で、支給申請書にその必要性とともに患者さんの状態をも記載させるなどということが療養費の支給の可否にどのように結びつくのか、基準のようなものが全くありません。何でもかんでも取りあえず書けば認められるということなのでしょうか。現時点では箸にも棒にもかからない取り組みのように思えます。
これはおそらく、あはき療養費を適正化の名の下に抑制して縮小させる方策として考えられたのでしょう。背景には「1年以上通院して、かつ週に4回も施術しなければならないなんておかしいのではないか。どうしてそんなに治せないのか、どうして患者がそんなに治療院に来院するのかを医科学的な見地から説明してほしい。また、その患者の状態をつぶさに記載してもらいたい」という意図があるのです。
具体的な「施術の必要性」も「患者の状態」も、容易に書けるものではないでしょう。何とか苦心して記載したとしても、嫌がらせのような質問による返戻が繰り返され、結果としては療養費の支給申請を諦めてしまうことに直結します。実はそれが狙いなのでしょうが、あはき療養費は絶滅の道へまっしぐらとなるでしょう。何としても認めてはなりません。一方、保険者側は「週4回に限らず、1年以上の継続施術には全て、必要性と患者状態について文書での説明を求めるべきだ」などと追い打ちをかけようとする始末です。患者さんのために健康保険であはきの治療をすることがなぜこんなにも非難されるのでしょうか。このような暴挙を決して許してはいけません。
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』59 「リッチな患者情報を取りまとめる技術」 を軸に大きく活動を展開
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』59 「リッチな患者情報を取りまとめる技術」 を軸に大きく活動を展開
2017.01.10
明けましておめでとうございます。皆さんにとって酉年らしく飛躍の年となるよう祈念しております。私も大きく活動を展開していきたいと思います。
私が代表を務める日本統合医療支援センターは、昨年度まで『統合医療支援セミナー』を開催してきました。セミナーは医学生に講義するようなレベルに設定し、鍼灸マッサージ師に必要と思われる西洋医学的なレッドフラグをお伝えする内容で、好評もいただいておりました。本年度は休止しておりましたが、この1年間、セミナー内容の再検討をしていました。近いうちに大きく形を変えて再開する予定でいます。
昨年末に、『第2回統合医療多職種連携研修会』を神奈川県海老名市で開催しました。一昨年の第1回は様々な職種の人が自分の職業とは違う職の役をロールプレイするという、寸劇タイプの講習会で、職種間の壁を取り払うような研修会でしたが、今回は少し志向を変えて、新たな試みを行いました。
名古屋大学で行われているラウンドテーブルカンファレンスを見学した際、多職種が集まることで最も効果のある作業は何であるか色々考えてみた結果、「患者情報の取りまとめ」であると感じました。そこで今回は、6名ほどのグループに分かれて、提示された症例に基づいた患者役の人だけが演技をし、グループ内のその他の人はその患者役からいかに情報を聴取し、まとめ上げるかに集中するというワークショップを行いました。
その結果、通常の医療の中では出てこないような「リッチな患者情報」が、各グループより出てきました。この試みはうまくいったと思います。顔の見える連携はとても重要ですが、持続可能なコラボレーションを構築するには、この患者情報を基軸とすることが肝要だと思われます。情報がスムーズに流れると当然連携もうまく取れるようになります。
来年度の『統合医療支援セミナー』は少し名前を変え、私の他にも講師陣を迎え、このリッチな患者情報を聴取して取りまとめる技術を身に付けるなど、大きく内容も変えて実施する予定です。また、基本的な統合医療に関わる知識や理念はもちろん、医療機関との連携の方法や経営学など、今までにない内容をお伝えできればと考えております。この紙面でも紹介する予定ですので、ぜひご期待いただければと思います。
【連載執筆者】
織田 聡(おだ・さとし)
日本統合医療支援センター代表理事、一般社団法人健康情報連携機構代表理事
医師・薬剤師・医学博士
富山医科薬科大学医学部・薬学部を卒業後、富山県立中央病院などで研修。アメリカ・アリゾナ大学統合医療フェローシッププログラムの修了者であり、中和鍼灸専門学校にも在籍(中退)していた。「日本型統合医療」を提唱し、西洋医学と種々の補完医療との連携構築を目指して活動中。
厚生労働省『平成27年度 療養費頻度調査』から 柔整・あはき療養費 年齢別支給状況
厚生労働省『平成27年度 療養費頻度調査』から 柔整・あはき療養費 年齢別支給状況
2017.01.10
調査は、全国健康保険協会管掌健康保険、国民健康保険及び後期高齢者医療制度における平成27年10月の1カ月間に行われた施術に係る療養費支給申請書が対象。 (さらに…)
連載『汗とウンコとオシッコと…』149 昭和は遠くになりにけり (nostalgy)
連載『汗とウンコとオシッコと…』149 昭和は遠くになりにけり (nostalgy)
2017.01.10
無事、新玉の年を迎えることができた。年末からは局所的に大雪に見舞われたり、大風が吹き大火に遭った地域もあったりと、様々な大変な目に遭われた人達がいた。世相だけでなく、季節の流れも大変だ。年末だというのに、紅葉が残る場所、梅が咲いた場所、桜が咲いた場所、また、晩春に咲く石楠花が開花した場所まで……。秋、冬、春が混在したまま年を越したのだ。 (さらに…)
現代書林から新刊『つらい腰痛は「浮かせて」治す!
現代書林から新刊『つらい腰痛は「浮かせて」治す!
2017.01.10
現代書林から新刊
つらい腰痛は「浮かせて」治す!
現代書林から、新刊『つらい腰痛は「浮かせて」治す!』が発行された。著者は柔道整復師の中川忠典氏(日本FMT腰痛治療協会会長、ニュートン整骨院)。四六版228頁、本体価格1300円。
整形外科のリハビリテーション部門主任として2万件以上に及ぶ臨床経験を積み、治療院を開業してからも、急性腰痛にだけは積極的な治療が行えず、歯がゆい思いをしてきたという著者。悩み抜いた末にたどり着いた答えが、「そもそも腰痛は重力が原因。ならば、腰を浮かせ、重力による負荷を減らすことで、痛みの無い状態で効果的な治療を施せるのでは」というものだった。独自の鑑別法と治療機器『プロテック』の組み合わせによる『FMT腰痛治療法』を解説するほか、実際に「浮かせて治す」治療を行う全国の柔整師11人を紹介。"腰痛治療革命"へ向けて投じられた一石となるか。
連載『先人に学ぶ柔道整復』一 竹岡宇三郎(前編)
連載『先人に学ぶ柔道整復』一 竹岡宇三郎(前編)
2017.01.10
「柔道接骨術公認期成会の会長で、一日三百数十名が来院する接骨家」
柔整師として自らのルーツをどう説明していいのか分からない――こんな悩みを持ったことはありませんか。実はこれが、私が柔道整復の歴史研究を始めた理由です。3年前より早稲田大学大学院で研究を進め、その成果として、昨年、歴史書『柔道整復師―接骨術の西洋医学化と国家資格への歩み』を刊行しました。本欄では、拙著でも取り上げた、現在の柔道整復の基礎を築いた先人たちに焦点を絞り、歴史を振り返ります。多くの柔整師の先生方が自らのルーツをひも解く一助となれば、本望です。 (さらに…)
『ちょっと、おじゃまします』 ~「鍼灸への入り口」学校主導で~ <京都市南区>
『ちょっと、おじゃまします』 ~「鍼灸への入り口」学校主導で~ <京都市南区>
2017.01.10
2年ほど前にオープンした京都・桂川駅前の大型商業施設・イオンモールの中を進み、専門店街の前を抜けた先。医療機関のみがテナントとして認められるメディカルモール『me di mo』の中にある、京都桂川鍼灸院mythos361を訪ねました。
受付前に置かれたパンフレットによれば、治療メニューは実費のみ、ヘルスケアコースは首・肩、腰、足などのコースごとに分かれ20分で2500円。ベビー・キッズコースや耳ツボコース、19時から20時30分までの限定で部活帰りの中高校生向けワンコインサービスまで――。 (さらに…)
連載『中国医学情報』142 運動後の疲労回復作用を比較ほか
連載『中国医学情報』142 運動後の疲労回復作用を比較ほか
2017.01.10
☆運動後の疲労回復作用を比較
黒竜江中医薬大学・韓亜鵬らは、運動後の疲労回復には按摩プラス鍼通電が、按摩のみおよび按摩プラス伝統鍼よりも良い結果だったと報告した(鍼灸臨床雑誌、16年9期)。
対象=健康な体育大学学生30例、平均年齢約20.5歳(19~21歳)、平均身長約173.7cm(168~180cm)、平均体重約67.6kg(60~75kg)。これをランダムに、治療群(按摩プラス鍼通電)・陽性対照群(按摩プラス伝統鍼)・対照群(按摩のみ)各10例に分けた。
運動法=自転車トレーニングマシンを毎分60回転で維持させ、多量の発汗や呼吸困難または回転できなくなる状態まで、5分ごとに負荷(50W)をアップさせる。1日1回、1週間。毎回運動終了10分後から治療開始。
評価法=第7日目に運動10分前・運動中・運動直後・治療後の心拍を測定、また治療前後に、Borg scale(自覚的運動強度rating of perceived exertion:RPE)で主観的疲労感を評価し、血糖・乳酸・尿蛋白・尿素窒素の数値、音・光への反応時間も測定。
治療法=按摩―リラックス按摩治療30分、1日1回、1クール7回。
鍼通電―取穴:陰陵泉・陽陵泉穴。75度で順経斜刺(50~70mm)、鍼感後に陰陵泉(-)・陽陵泉(+)穴に1Hzで通電30分(10分ごとに2分間大幅捻転強刺激)。
伝統鍼―取穴:同上。置鍼30分(刺激法:同上)。
結果=通電群は、運動開始時心拍数の上昇が最も緩く、運動中の波動範囲は最小、また血糖値の回復も最も良く、主観的疲労感と反応時間短縮でも他群と有意差あり。
☆脳卒中後の認知障害にはプラス百会・神庭刺鍼
広州中医薬大学・詹傑らは、脳卒中後の認知障害(PSCI)で、標準治療(西洋薬・中薬・標準鍼・リハビリ)とプラス百会・神庭穴刺鍼の効果を比べた(中国鍼灸、16年8期)。
対象=広東省中医院入院部の脳卒中患者50例(男33例・女17例)、平均年齢60歳(41~75歳)、平均罹患期間77日(31~176日)、脳梗塞28例・脳出血22例、教育程度:文盲6例・小卒11例・中卒以上33例。これをランダムに標準群・観察群各25例に分けた。
治療法=両群とも標準治療を実施。
西洋薬―中国の2007年ガイドラインにより、降圧剤ほか投与。4週間。
中薬―『中医内科学』(周仲英)により、中風病回復期分型標準治療。1日1剤・4週間。
標準鍼―『針灸学』(石学敏)中風篇により、極泉・尺沢・内関・合谷・委中・足三里・三陰交・太衝穴から選択し、直刺/斜刺5~10mm、平補平瀉法・置鍼30分。1日1回、1週5回、4週間。
標準リハビリ―1回3時間、1日2回、1週10回、4週間。
百会・神庭穴―0.25×40mmの鍼で順経斜刺(15度、5~8mm)、得気後に毎分180~300回捻転を2~3分、置鍼30分(10分ごとに捻転手法1回)。1日1回、1週5回、4週間。
評価法=ミニメンタルステート検査(MMSE)とモントリオール認知機能評価検査(MoCA)で評価。
結果=観察群(百会・神庭穴追加)は、標準群よりも有意に改善していた。
☆脳卒中後うつ病にはプラス膻中刺鍼
黒竜江中医薬大学・于学平らは、脳卒中後うつ病では、常用刺鍼よりプラス膻中穴刺鍼が良い結果だったと報告した(鍼灸臨床雑誌、16年8期)。
対象=同大付属第一病院鍼灸科の50例(男19例・女31例)、平均年齢57歳、平均罹患期間15週(4~24週)。これをランダムに常用群・観察群各25例に分けた。
治療法=両群で常用治療1日1回連続4週。
常用治療―麻痺者:頭鍼の頂顳前斜線(頭皮鍼刺法):風池・曲池・外関・合谷・環跳・陽陵泉・足三里・解渓・崑崙穴に平補平瀉法。嚥下障害/言語障害者:風府・天柱・廉泉穴を追加し平補平瀉法。
膻中穴0.35×40mmの鍼で下方に水平刺15~20mm、捻転提挿瀉法2分、置鍼50分(瀉法刺激2回)。
結果=ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)と神経学的評価でMESSS(modified Edinburgh-Scandinavia stroke scale)を使用し、いずれも観察群は常用群より有意に改善。臨床治療効果では、観察群は回復5例・著効13例・有効5例・無効2例で著効以上72%、常用群は回復3例・著効7例・有効11例・無効4例で著効以上40%。
黒竜江中医薬大学・韓亜鵬らは、運動後の疲労回復には按摩プラス鍼通電が、按摩のみおよび按摩プラス伝統鍼よりも良い結果だったと報告した(鍼灸臨床雑誌、16年9期)。
対象=健康な体育大学学生30例、平均年齢約20.5歳(19~21歳)、平均身長約173.7cm(168~180cm)、平均体重約67.6kg(60~75kg)。これをランダムに、治療群(按摩プラス鍼通電)・陽性対照群(按摩プラス伝統鍼)・対照群(按摩のみ)各10例に分けた。
運動法=自転車トレーニングマシンを毎分60回転で維持させ、多量の発汗や呼吸困難または回転できなくなる状態まで、5分ごとに負荷(50W)をアップさせる。1日1回、1週間。毎回運動終了10分後から治療開始。
評価法=第7日目に運動10分前・運動中・運動直後・治療後の心拍を測定、また治療前後に、Borg scale(自覚的運動強度rating of perceived exertion:RPE)で主観的疲労感を評価し、血糖・乳酸・尿蛋白・尿素窒素の数値、音・光への反応時間も測定。
治療法=按摩―リラックス按摩治療30分、1日1回、1クール7回。
鍼通電―取穴:陰陵泉・陽陵泉穴。75度で順経斜刺(50~70mm)、鍼感後に陰陵泉(-)・陽陵泉(+)穴に1Hzで通電30分(10分ごとに2分間大幅捻転強刺激)。
伝統鍼―取穴:同上。置鍼30分(刺激法:同上)。
結果=通電群は、運動開始時心拍数の上昇が最も緩く、運動中の波動範囲は最小、また血糖値の回復も最も良く、主観的疲労感と反応時間短縮でも他群と有意差あり。
☆脳卒中後の認知障害にはプラス百会・神庭刺鍼
広州中医薬大学・詹傑らは、脳卒中後の認知障害(PSCI)で、標準治療(西洋薬・中薬・標準鍼・リハビリ)とプラス百会・神庭穴刺鍼の効果を比べた(中国鍼灸、16年8期)。
対象=広東省中医院入院部の脳卒中患者50例(男33例・女17例)、平均年齢60歳(41~75歳)、平均罹患期間77日(31~176日)、脳梗塞28例・脳出血22例、教育程度:文盲6例・小卒11例・中卒以上33例。これをランダムに標準群・観察群各25例に分けた。
治療法=両群とも標準治療を実施。
西洋薬―中国の2007年ガイドラインにより、降圧剤ほか投与。4週間。
中薬―『中医内科学』(周仲英)により、中風病回復期分型標準治療。1日1剤・4週間。
標準鍼―『針灸学』(石学敏)中風篇により、極泉・尺沢・内関・合谷・委中・足三里・三陰交・太衝穴から選択し、直刺/斜刺5~10mm、平補平瀉法・置鍼30分。1日1回、1週5回、4週間。
標準リハビリ―1回3時間、1日2回、1週10回、4週間。
百会・神庭穴―0.25×40mmの鍼で順経斜刺(15度、5~8mm)、得気後に毎分180~300回捻転を2~3分、置鍼30分(10分ごとに捻転手法1回)。1日1回、1週5回、4週間。
評価法=ミニメンタルステート検査(MMSE)とモントリオール認知機能評価検査(MoCA)で評価。
結果=観察群(百会・神庭穴追加)は、標準群よりも有意に改善していた。
☆脳卒中後うつ病にはプラス膻中刺鍼
黒竜江中医薬大学・于学平らは、脳卒中後うつ病では、常用刺鍼よりプラス膻中穴刺鍼が良い結果だったと報告した(鍼灸臨床雑誌、16年8期)。
対象=同大付属第一病院鍼灸科の50例(男19例・女31例)、平均年齢57歳、平均罹患期間15週(4~24週)。これをランダムに常用群・観察群各25例に分けた。
治療法=両群で常用治療1日1回連続4週。
常用治療―麻痺者:頭鍼の頂顳前斜線(頭皮鍼刺法):風池・曲池・外関・合谷・環跳・陽陵泉・足三里・解渓・崑崙穴に平補平瀉法。嚥下障害/言語障害者:風府・天柱・廉泉穴を追加し平補平瀉法。
膻中穴0.35×40mmの鍼で下方に水平刺15~20mm、捻転提挿瀉法2分、置鍼50分(瀉法刺激2回)。
結果=ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)と神経学的評価でMESSS(modified Edinburgh-Scandinavia stroke scale)を使用し、いずれも観察群は常用群より有意に改善。臨床治療効果では、観察群は回復5例・著効13例・有効5例・無効2例で著効以上72%、常用群は回復3例・著効7例・有効11例・無効4例で著効以上40%。
【連載執筆者】
谷田伸治(たにた・のぶはる)
医療ジャーナリスト、中医学ウォッチャー
鍼灸師
早稲田鍼灸専門学校(現人間総合科学大学鍼灸医療専門学校)を卒業後、株式会社緑書房に入社し、『東洋医学』編集部で勤務。その後、フリージャーナリストとなり、『マニピュレーション』(手技療法国際情報誌、エンタプライズ社)や『JAMA(米国医師会雑誌)日本版』(毎日新聞社)などの編集に関わる。
今日の一冊 眠れなくなるほどおもしろい睡眠の話
今日の一冊 眠れなくなるほどおもしろい睡眠の話
2017.01.10
眠れなくなるほどおもしろい睡眠の話
関口雄祐 著
洋泉社 972円
泳ぎながら眠るイルカ。飛び続けながら眠るグンカンドリ。人間のように「寝落ち」する、ガンやキリン、オタマジャクシ――動物はさまざまな眠りを持っている。眠らないとどうなるのか。眠り過ぎるとどうなるのか。歳をとるとなぜ眠れなくなるのか。眠りに関する様々な疑問を、動物の眠りのメカニズムを通じて考察。教科書にも掲載された、イルカの脳が半分ずつ眠ることを解き明かした研究で知られる著者は言う。環境に合わせて、睡眠は毎日変わる。変わるからこそオモシロい。さあ、今日は早く布団に入ろう!
編集後記
編集後記
2017.01.10
▽「だからゴルフは贅沢な遊びって言われるの」。元旦のテレビ番組を見ながらぼやきました。安倍首相がトランプ次期米大統領に贈呈したドライバーの値段が54万円だと知ったからです。こっちは3万円の中古品。しかもゴルフ場利用税が今年度も継続されるとか。この税制は贅沢税と呼ぶ人もいる消費税との二重課税で、ゴルフを健全なスポーツと真剣に考える我々には受け入れ難いもの。翌2日は息子とゴルフ。息子が運転を引き受け、父に缶ビールをおごってくれました。ビールを片手に「ナイスショット!」。お酒を飲みながらスポーツなんてゴルフだけ。体が冷えたら茶店で熱燗、昼食は焼酎のお湯割りと調子に乗っていたら気分良くフラフラに。謹んで650円也の贅沢税もお支払いして帰りました。(松)
全国個人契約柔道整復師連盟発足17団体、総会員数8,800
全国個人契約柔道整復師連盟発足17団体、総会員数8,800
2017.01.10
業界の継続と発展、後進のために
公益社団法人全国柔整鍼灸協会(岸野雅方代表、公益社団全柔協)と16の賛同団体(別表)が共同で、「全国個人契約柔道整復師連盟」を設立した。総計約8800の会員を擁する組織体として、柔整業界の継続と発展を目指す。柔道整復療養費検討専門委員会への参画に向け、取り組みを進める方針という。 (さらに…)
『医療は国民のために』215 保険適用枠は時代の変化に応じて変容するものだ
『医療は国民のために』215 保険適用枠は時代の変化に応じて変容するものだ
2017.01.10
健康保険給付の原則は疾病・負傷の治療であり、本来、病気の予防は保険適用外であったことは言うまでもない。しかし近年、給付のテリトリーに予防的な側面が入り込んできており、禁煙や出産等も認められる傾向にある。
病状が悪化して重篤な状態になった場合の医療費の高騰を危惧し、軽度な状態で治療を開始したり、病気にならないため未然に疾病への罹患を避けたりすることで、医療費を抑制したいとの考えなのだろう。ただ、病気にならないようにあらかじめ方策を講じることは、東洋医学の「未病」の概念といえ、東洋医療の得意なところだ。にもかかわらず多くの国民は、未病といえば「養命酒を飲むこと」程度の情報しか持っていない。寂しい限りだ。
柔道整復師法第15条は、医師である場合を除き、柔道整復師でなければ業として柔道整復を行ってはならないと定めている。この「業としての柔道整復は何か」について、柔道整復師法で定義をしていないのは、「学問の進展や技術の発達、社会情勢の変化等に柔軟に対処しうるよう定義しなかった」と厚生省健康政策局監修の医療関係法質疑応答集に記載がある。
現在、「急性又は亜急性の外傷性の骨折、脱臼、打撲及び捻挫であり、内科的原因による疾患は含まれず、単なる肩こりや筋肉疲労に対する施術は、保険の対象外」と健康保険適用として柔整療養費が運用されているが、これは法令ではない。厚労省保険局医療課の通知で示されたに過ぎず、いわば、行政指針としての"お手紙"程度のものといえる。そんなものを後生大事にし、律儀に従う必要はないと私は考える。
国が、柔道整復の業が社会情勢の変化等に柔軟に対処しうるようにと望んでいるならば、柔整師は臨床の場での実態に即した「業務範囲の拡大」「保険取扱い拡大」を声高に要求すべきだ。一部の業界人や整形外科医らが「骨折・脱臼の整復ができない者は柔整業界から退場すべきだ」、「骨折の整復ができなければ国家資格を持っている意味がない」などと、公の席で発言しているが、現状が全く分かっていない者として苦笑されているのをご存知か。
今、骨折・脱臼の療養費申請は0・2%~0・4%程度に過ぎない。これについては、整形外科が医療として確立したという時代の流れが影響しているのは間違いない。新鮮外傷の骨折・脱臼は観血的療法や整形外科医による保存療法が相応しいのであれば、そうすればいいだろう。
では、柔整師はといえば、臨床現場に即した、そして患者の要求に対応した施術に専念するのが望ましい方向ではないか。患者の主訴に着目すると、「肩こり」「腰痛」「加齢に伴う関節痛」などの疼痛対応が挙げられ、患者自身もこれを希望している。なぜこれを柔整師が治療してはダメなのか。「業務範囲ではない」と非難されるのであれば、業界は認められるような闘いをすれば良いだけだし、「保険適用外」だといわれるのであれば、保険適用として認めてもらう取り組みを実施すれば良いだけだ。
とはいえ、柔整業界にはこのような考えを推し進めるリーダーが不在である。確たるリーダーが出現しない限り、柔整業界のジリ貧は止められないだろう。
【連載執筆者】
上田孝之(うえだ・たかゆき)
全国柔整鍼灸協同組合専務理事、日本保健鍼灸マッサージ柔整協同組合連合会理事長
柔整・あはき業界に転身する前は、厚生労働省で保険局医療課療養専門官や東海北陸厚生局上席社会保険監査指導官等を歴任。柔整師免許保有者であり、施術者団体幹部として行政や保険者と交渉に当たっている。
あマ指師課程新設非認定処分取消裁判を考える
あマ指師課程新設非認定処分取消裁判を考える
2017.01.10
盲人の生業である「あん摩」は教えない
芦野純夫氏
昭和22年生。横浜医療専門学校学術顧問。元厚生労働省教官。
日本理療科教員連盟常任理事や東洋療法研修試験財団国試評価委員などを務める。
――口頭弁論が開かれ、論戦が始まっています
双方のここまでの主張は冷徹な憲法論議になっています。仮に、このまま判決が出るようなことになれば、遺恨を残す裁判になるでしょう。私は、原告側である横浜医療専門学校で教えていますが、国立身体障害者リハビリテーションセンター理療教育部で教官も務めるなど盲教育にも携わり、視力障害者のあん摩師の生活や心情も理解しています。彼らの雇用を守るための優先措置など、もっと制度面への言及を盛り込み、「血の通った」裁判にすべきです。
――「血の通った」裁判に?
そもそも当校も含めて原告側の専門学校3校は、従来の3年制ではなく、4年制で申請しています。しかも、昨年末にまとめられた厚労省の学校養成施設カリキュラム等改善検討会の改正案より単位数も時間数も多く、自ら高いハードルを課した申請内容でしたが認められませんでした。ただ、今回の裁判によって新設が認められたとしても「4年制」は変えるつもりはありませんし、併せて他の学校が容易に追随できない高いハードルの規制を設けるよう国に対して求めていく考えです。新設校が雨後の筍のごとく増えた柔整や鍼灸の二の舞は絶対に避けなければなりません。
そしてもう一つは、「あん摩を教えない」ということです。多くの人が誤解されていますが、あん摩マッサージ指圧師は、3つの業が一括りにされた免許であって、一つの業ではなく、それぞれを単に呼び換えたものでもありません。法律上でいう「マッサージ」とは医療マッサージのことで、明治期に欧州から入ってきた技術を起源としており、指圧は医業類似行為として戦後禁じられた、あん摩・マッサージ以外のカイロプラクティックやその他もろもろの手技療術が、昭和30年にまとめて施術行為に組み込まれた際にその総称として選ばれた名前です。
一方、あん摩は、その長い歴史から盲人の「生業」、もっと言えば「聖業」だと考えています。あん摩独自の複雑な、揉んだり、叩いたり、擦ったりといった技は徒弟制の下で古くから伝承され、事実上、盲人にしかできない治療技術です。ですから、我々の学校で「あん摩さん」を養成するなどおこがましいことで、全く考えていません。医療マッサージの他に、盲学校等で教えられていない手技療法、特に「指圧」を指導するつもりです。
――「指圧師」の養成を主眼に置いていると
そうです。法律上は、カイロプラクティックや整体なども「指圧」に含まれます。ただ、これらを医療行為として行う免許者を養成しようにも、19条があって開設が一切認められないのが現状です。また、晴眼者が指圧やマッサージを学ぼうにも、ほとんどの養成校があはき三科で、鍼灸も併せて学習しなければならず、総合的に手技療法を学ぶ場がありません。しかも、無免許者が放任され、健康被害も多発している今、国民の正しい手技療法を受ける権利は明らかに阻害されています。
裁判で19条が俎上に載ったことで視力障害者らが過敏に反応していますが、「手技療法の中であん摩業以外の部分を担わせてくれ」というのが原告側の主張の本質であることを、理解してもらいたいと思います。
国が敗訴すれば社会問題に
時任基清氏
昭和8年生。元日本あん摩マッサージ指圧師会会長。
日本盲人会連合副会長などを歴任。昨年に日本あん摩マッサージ指圧師会会長を退任。
――裁判の行方をどう見ていますか?
視力障害者のあん摩マッサージ指圧師は既に生計維持がままならない中で、国が敗訴することだけは何としても避けねばなりません。もしそうなれば、間違いなく社会問題となるでしょう。19条に「視覚障害者であるあん摩マッサージ指圧師の生計の維持が著しく困難」になる場合は申請を承認しないとする根拠があり、また、「公共の福祉」という観点から19条が違憲になるとは考えにくく、最終的に国が勝つのではないかと思いますが、裁判に発展した以上、我々も多少の覚悟は必要かもしれません。
――19条が争点になったことで、視力障害者団体を中心に反対の声が高まっています
まず考え方の順序として、19条を見直す前に、視力障害者のあマ指師の生活が困らない状況を作ることが前提であるべきです。これだけ多くの無免許者が町に溢れ、事実上あん摩マッサージ指圧業を行っている今、我々の職域は狭められ、これまで引き継がれてきた徒弟的な開業モデルが維持できなくなってきています。無免許者への取り締まりも、過去に悪質な業者を告発し、起訴へとつなげて有罪となった事例もありますが、これが一罰百戒にならず、また、行政当局も本腰を入れて取り締まりに取り組んでくれないのが現状です。このような中で、晴眼者のあマ指師が増えれば、視力障害者の施術所に来る患者さんは間違いなく減り、さらに経済的に苦しい状況に追い込まれてしまいます。たとえ治療技術に遜色がないとしても、視力障害者と晴眼者では施術所の構えひとつとってみてもその差は歴然で、経営力の差がそのまま現れてくるでしょう。また、移動や文書作成においても、視力障害者が不利であることは明らかです。
そのためにも自治体が運営する施術所を作っていくことが必要だと考えます。そこで視力障害者のあマ指師を雇用することで、安定した収入を得られる方策になります。既に新宿区立障害者福祉センターなど都内のいくつかの区で実施されており、これを各地に設置し、全国にも広げていくべきです。行政の支援により勤務者として生計を立てられる状況を構築し、併せてヘルスキーパーとしての雇用先の拡充も一層図るなど、これらの環境整備が達成された後に「19条見直し」という選択肢が出てくる、と以前より思っていました。
――裁判の判決次第では19条廃止の可能性も有り得ます
実のところ、この19条の問題を、私が80歳を過ぎた今日まで引きずっているとは思ってもいませんでした。もう少し早く解決しているものだと。それはさておき、現状において国の敗訴だけは避けなければならない点は強調しておきます。最低でも、和解の範囲内で決着をつけなければ大変な事態になるでしょう。和解は裁判所の判断ですが、もしそうなった場合、視力障害者団体も関係者として意見を求められると思います。その際は、多少の妥協はしないといけないことを、我々も考えておかないといけないでしょう。
平成28年度JATAC本部主催講習会in大阪 テーピング、筋の予備緊張促進
平成28年度JATAC本部主催講習会in大阪 テーピング、筋の予備緊張促進
2017.01.10
効果的なストレッチ、独自開発
NPO法人ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会(JATAC)の平成28年度本部主催講習会(大阪)が昨年12月11日、大阪市北区の平成医療学園専門学校で開かれた。
一般(学生)会員向けテーピング講習会は関西医療大学講師でNATA―ATCの牛島詳力氏が講義と実技を行った。牛島氏は、テーピングとは「ケガの痛みを軽減させて再び試合に臨めるようにする」ものではなく、あくまでも外傷や傷害の予防を目的としていると説明。関節可動域の制限、筋、腱など軟部組織の制御、筋の予備緊張の促進といったテーピングの効果に触れ、『(足関節)内反角速度の減少』『テーピングの皮膚刺激が腓骨筋の反応時間を短縮する』などの研究報告も紹介した。
また、テーピングの課題点として運動後の「緩み」と「コスト」を挙げ、▽35%の可動域制限をかけても1時間の運動後には5・5%に低下した、▽内反ストレスに対する抵抗力が10%増加したものの40分後には0・6%になった、といったデータを提示。競技特性にもよるが、テーピングは試合や練習の前後などに切り取って外し、一から巻き直すことが多いと述べた。例えばバスケットボールの場合、試合当日は1人の選手に4、5本のテープを使う場合もあると解説。効率の良い巻き方や、適切な素材選びなどを心がけるよう呼びかけた。
阪神のトレーナー登壇
『野球で頻発する外傷、関節部へのアプローチ』は阪神タイガースのトレーナーで鍼灸師・柔整師の小滝康樹氏が登壇。阪神タイガースでのトレーナー業務の内容や流れ、使用する道具などについて概説した後、数多くの関節部の外傷に携わった経験から開発した「ストラクションベルト」を紹介した。
ストラクションベルトはクッション付きのベルトで、牽引や固定によってストレッチングとモビライゼーション、さらに整復動作の補助ができる道具であると、実演を交えて解説。ベッドなどに対象者の身体の一部を固定すれば、代償運動を防いで目的の筋肉だけを効率的に伸ばせるとし、骨折、脱臼の整復の補助も、より安全に行えると述べた。講演後の実技では、ベルトを利用したハムストリングスなどのストレッチや、股関節などのモビライゼーションを指導した。
しんきゅうしに、きっとなるよ!!
しんきゅうしに、きっとなるよ!!
2017.01.10
小児はり受けた小学生が夢を作文に。堺市広報紙で
「わたしは、しんきゅうしになりたいです」
このような書き出しで始まる小学2年の女子児童の作文が、大阪府堺市の広報紙『広報さかい』の平成28年12月号に掲載されているのを見つけた。書いたのは美木多小学校(同市南区)に通う西口恵衣さん。見出しの『きっとなるよ!!』との言葉通り、鍼灸師への大きな夢を描いている。
幼い頃よりぜんそくに苦しむ中、小児はりとの出会いが大きかったようで、「わたしは今、小児はりをしてもらってぜんそくが出ていません。だからほかの人たちもなおしてあげたい」と記している。また、鍼灸師を目指し、体のことを知るため本を読んでいることや、両親に市販の台座灸を据えて「練習」していることも文中に書き添えている。「しんきゅうしにぜったいなって、いろいろな人のびょう気やけがをなおしてあげたいです」と文末にその強い思いを込めた。
将来、鍼灸師を志そうと思い立った西口さんに治療を行った鍼灸師の先生には心より敬意を表したい。また、鍼灸治療が地域に深く根付いていることを改めて実感できた。