2025年上半期の「療術業」倒産、過去20年間で最多更新
2025.07.09
今年1月から6月までの療術業(鍼灸マッサージ院、接骨院、リラクゼーション店舗含む)の倒産件数が55件で、2006年からの20年間の上半期で過去最多を更新した。東京商工リサーチが7月6日に公表した。
前年(2024年)同期比は17%増。倒産した55件のうち、8割超(83.6%)が「売上不振」が原因だった。また、 (さらに…)
2025年上半期の「療術業」倒産、過去20年間で最多更新
2025年上半期の「療術業」倒産、過去20年間で最多更新
2025.07.09
今年1月から6月までの療術業(鍼灸マッサージ院、接骨院、リラクゼーション店舗含む)の倒産件数が55件で、2006年からの20年間の上半期で過去最多を更新した。東京商工リサーチが7月6日に公表した。
前年(2024年)同期比は17%増。倒産した55件のうち、8割超(83.6%)が「売上不振」が原因だった。また、 (さらに…)
大阪府が物価高対策で3万円支援、7月14日申請開始
大阪府が物価高対策で3万円支援、7月14日申請開始
2025.07.08
大阪府がこのほど、府内の施術所に対し、物価高騰対策の支援金として3万円(1施設当たり)を給付することを発表した。申請受付は7月14日から。
療養費の受領委任の取扱う施術所が対象となり、申請は原則オンライン上の専用フォームから行う。同一施設内であはきと柔整それぞれを行っていれば、一つの施術所とみなして重複申請はできない。支援金の支給は、審査を終えたものから順次給付するとしている。
大阪府ホームページ「大阪府医療機関等物価高騰対策一時支援金について」
また現在、他の県でも同様の支援金給付を実施している。既に申請が始まり7月末に受付を終了する自治体として、千葉県(支給額1万円)、神奈川県(同3万円)、石川県(同4万円)、三重県(同1万300円)、広島県(同7,500円)、山口県(同3万円)、佐賀県(同2万円)などがある。
千葉県:令和6年度千葉県医療機関等物価高騰対策支援事業
神奈川県:令和7年度神奈川県医療機関等物価高騰支援金
石川県:物価高騰対策支援事業(医療機関・福祉施設等)
三重県:物価高騰対策支援金
広島県:物価高騰に係る医療事業者支援事業
山口県:山口県医療機関等光熱費高騰対策支援金
佐賀県:医療・福祉・保育施設等物価高騰対応支援金
期限切れの紙の保険証でも「療養費請求は可能」、来年3月末まで
期限切れの紙の保険証でも「療養費請求は可能」、来年3月末まで
2025.07.07
マイナ保険証の本格移行に伴い、今後、有効期限切れで失効する紙などの健康保険証について、整骨院や鍼灸院等の受領委任払いを取り扱う施術所の窓口で、暫定的に2026年3月まで使える措置が取られることが分かった。
厚労省が6月27日付で、医師会などの医療関係団体や自治体に向けて発出した事務連絡「健康保険証の有効期限切れに伴う暫定的な取扱いに関する疑義解釈資料」の中で特例措置を示しており、本紙による厚労省への取材で「施術所も、医療機関と同様の取扱いとなる」との回答を得た。
特に8月以降、多くの自治体で (さらに…)
連載『中国医学情報』244 難治性の顔面神経麻痺の鍼治療 ほか
連載『中国医学情報』244 難治性の顔面神経麻痺の鍼治療 ほか
2025.07.05
☆難治性の顔面神経麻痺の鍼治療―教科書鍼法と「陽性筋結点」刺鍼法併用を比較
黒竜江中医薬大学・李郝婧らは、難治性の末梢性顔面神経麻痺患者で、常軌鍼法とそれに「陽性筋結点」刺鍼法を併用したものを比較(鍼灸臨床雑誌、2024年6期)。
対象=64例(男28例・女36例)、House-Brackmann(H-B)法の重症度:Ⅱ(軽度)5例・Ⅲ(中等度)24例・Ⅳ(やや高度)24例・Ⅴ(高度)9例・Ⅵ(完全麻痺)2例。これをランダムに常軌群・併用群各32例に分けた。常軌群:46.56±14.44歳・罹患期間3.25±1.69カ月、併用群:53.31±16.14歳・罹患期間3.56±1.93カ月。
治療法=毎週5回、計30回。
<常軌鍼法>『針灸治療学』(十三五教材)による。
①取穴―患側の陽白・四白・顴髎・地倉・頬車、左右の風池・合谷、頭頂の百会
②操作―0.25×25mmの毫鍼で刺鍼し平補平瀉手法、置鍼30分間
<陽性筋結点刺鍼法>
①陽性筋結点―仰臥位にし、患者の罹患部と同側の拇指腹で、地倉穴・目の周囲・水溝穴などから筋の走行方向になで・圧し・弾き両側を比較し、 (さらに…)
【大阪・関西万博】9月に期間限定でバーチャル鍼灸院がオープン!
【大阪・関西万博】9月に期間限定でバーチャル鍼灸院がオープン!
2025.07.03
9月1日(月)~9月7日(日)、大阪・関西万博でバーチャル鍼灸院が開かれる。VRで鍼灸治療を体験することができ、万博で鍼灸関連の催しは初となる。発起人は伊藤和憲氏(明治国際医療大学教授)、出展は同氏が文化観光大使を務める南丹市。
バーチャル鍼灸院は、関西パビリオン京都ゾーン『ICHI-ZA一座きょうと』内、「いのち」の区画で体験できる。このブースでは、京都の市街地がオーバーツーリズムである反面、中部に位置する南丹市は、魅力ある観光資源がありながら人を呼び込めていないという課題を、ICTで解決しようという取り組みを紹介している。「養生」というキーワードのもと観光地と観光客を繋ぐガイド役を果たすのが、伊藤氏の開発したアプリ「YOMOGI+」だ。いくつかの設問に答えると、東洋医学の視点で体調・体質に合わせた観光地や体験のコンテンツが提案される。
そのコンテンツの一つにバーチャル鍼灸院がある。VRゴーグルを装着すると、 (さらに…)
【レポート】第23回世界災害救急医学会(WADEM2025)にあはき業界から初参加
【レポート】第23回世界災害救急医学会(WADEM2025)にあはき業界から初参加
2025.07.02
災害世界学会で「鍼灸マッサージ」アピール、26年ぶりの日本開催で参加者が各国から1,300人超
執筆者:災害支援鍼灸マッサージ師合同委員会(DSAM)代表・是元佑太、同会役員・樽井俊郎
5月2日から6日まで、東京都新宿区の京王プラザホテルで開催された『第23回世界災害救急医学会(WADEM2025)』に鍼灸業界の一員として参加しました。
日本での開催は26年ぶりといい、オープニングセレモニーでは天皇皇后両陛下の長女・愛子さまがご登壇され、挨拶を述べられたこともあり、多くの報道陣が詰めかけ、注目度の高い世界学会として開かれました。大会テーマには『Knowledge叡智、Courage勇気、Solidarity連帯』を掲げ、世界中の災害医療、救急医療に関する経験や研究、提案などが発表されたほか、形式も多種多様なセッションが会場の至るところで行われました。
会期中は82カ国より1,307名が参加し、ここ十数年で最多で、またアジア開催としても過去最多の数だったそうです。ドクターの参加が600名以上で、そのほかコメディカルや行政職員、研究者など。日本人の参加者は200名ほどのようで、日本に居ながらにして海外に行ったような感覚が味わえた学会でした。
DSAMとセイリン社共同で体験ブース、「amazing!」と驚く声も
そんな中、DSAMでは、鍼メーカーのセイリン株式会社様と共同で企業展示ブースに出展し、鍼灸マッサージ体験会を行いました。
2日目から4日目までの3日間で体験ブースに来られた参加者は250名を超え、実際に施術を体験された方は219名と大盛況でした。通りがかりに声を掛けた際、「鍼の経験はあるが、その時は痛くてもうやりたくない」と答える外国人参加者もおられたようで、 (さらに…)
柔整・あはきの業団の令和7年度役員改選、「現体制続投」目立つ
柔整・あはきの業団の令和7年度役員改選、「現体制続投」目立つ
2025.07.01
令和7年は、主だった柔整師・あはき師団体の役員改選の年に当たる。5月から6月にかけて総会が開かれ、役員・執行部が選出されたが、現体制を続投する団体ばかりだった。
日本柔道整復師会(日整)は長尾淳彦会長が再選され、2期目に臨む。副会長には竹藤敏夫氏、山崎邦生氏が就任した。
全国柔整鍼灸協同組合(全柔協)は理事長の上田孝之氏が2期目を続投。岸野雅方氏が会長、塚原康夫氏が専務理事と変わらずのまま。
公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会(全鍼師会)は、前期途中で会長に就いた長嶺芳文氏が、引き続き選任された。副会長には、狩野裕治氏、廣野敏明氏、石川英樹氏、尾野彰氏、往田和章氏が選ばれた。
公益社団法人日本鍼灸師会(日鍼会)も中村聡氏が会長2期目を決めた。副会長には小林潤一郎氏、児山俊浩氏、安田政寛氏が選出されている。
『医療は国民のために』408 オン請の「団体宛て一括支払い」は早急な結論を求めたい
『医療は国民のために』408 オン請の「団体宛て一括支払い」は早急な結論を求めたい
2025.07.01
柔整のオンライン請求(オン請)の導入時期については、昨年末に厚労省より出された「中間とりまとめ」で「当初の令和8年度稼働目標のスケジュールは見直すこと」と先送りが決まり、はたしていつから導入されるかが分からない状況にある。
そんな中で、復委任団体の立場として、オン請導入に際して最も重要と考えるのは、療養費の最終的な支払い先となる「振込口座」について、復委任団体への一括支払いが認められるか否かだ。
話を中間とりまとめに戻せば、この中で、「復委任団体は、療養費の代理請求のみ実施することとし、審査支払機関等からの支払は施術所に対して行うこと」との記載が見られる。そして、「今後、復委任団体が関与することのメリット・デメリットを勘案し、適切な仕組みについて検討することが適当である」と記載が続く。つまり、 (さらに…)
鍼灸師と精神科の連携強化をめざすAPネットワーク、参加呼びかけ
鍼灸師と精神科の連携強化をめざすAPネットワーク、参加呼びかけ
2025.06.30
鍼灸師(Acupuncturists)と精神科領域の医療従事者(Psychiatrists)がつながり、学び、助け合うための非営利団体『APネットワーク』が参加者を募集している。
APネットワークは、精神科医で昭和医科大学発達障害医療研究所副所長の中村元昭氏が、ストレスケア病棟で約10年に渡り鍼灸研究に取り組んだのち、精神疾患の当事者や予備軍に適切に鍼灸が選択できるシステム構築の必要性を実感し、令和3年12月末に立ち上げたもの。
APネットワークで行っている医療協働のための具体的な取り組みとしては、発達障害や慢性疼痛、依存症、緩和ケアなどをテーマとしたオンライン勉強会を2カ月に1回実施。専門家の講義や質疑、意見交換を行っている。
もう一つの主要な活動は、患者を安心して紹介できる「鍼灸院リスト」の作成。リストへの登録には3年の臨床経験が必須となるほか、学会参加及び卒後研修の修了などの基準を設けている。登録後の紹介においては、患者来院後の報告書の作成や適切なタイミングでの逆紹介を促すなど、信頼関係を構築し協力して患者を診るためのルール作りも進めている。
また「鍼灸院リスト」と併せて、鍼灸を分かりやすく解説する「鍼灸パンフレット」作成に取りかかっているほか、鍼灸師と精神科医療従事者がオンラインで個別ケースの相談ができるシステムづくりにも着手する予定。
6月下旬よりCAMPFIREにてクラウドファンディングを開始
6月時点で鍼灸師、医師、看護師、心理師を合わせ800名程の登録があり、さらなる活動の周知や「鍼灸院リスト」の活用を促すためのホームページ制作のため、6月21日からCAMPFIREにてクラウドファンディングを開始している。終了予定は8月11日。
立ち上げから運営に関わっている東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科助教の松浦悠人氏は、
「私たちは、精神科医をはじめとする医療従事者と鍼灸師が連携し、メンタルヘルスの悩みを抱えている人々に鍼灸という選択肢が届くようにするための活動を行っています。現在の活動の中心はオンライン勉強会や鍼灸院リストの作成ですが、今後はさらに活動を展開していく予定です。もしご興味があれば是非ご参加いただき、東西両医学が連携・共創する医療を共に創り上げていきましょう!」とコメント。
APネットワークへの参加は無料で、心の病を持つ人をみる医療従事者に向け広く募っている。登録はこちら
■CAMPFIRE「APNET」へのクラウドファンディングページへのリンクはこちら
『ちょっと、おじゃまします』回り道したから見えた、治療家としてのかたち 滋賀県長浜市<鍼処 和み月>
『ちょっと、おじゃまします』回り道したから見えた、治療家としてのかたち 滋賀県長浜市<鍼処 和み月>
2025.06.27
「遠回りもしたけれど、たくさんの人達との縁がこの場所につながっています」。そう語るのは滋賀県長浜市で『鍼処和み月』を営む山田大貴先生。その言葉通り山田先生の歩みは、決して一直線ではありませんでした。鍼灸との出会い、福岡での修行、さらに海外での挑戦を経て開業。治療家としての成長の裏には、数々の出会いと偶然、そして「患者さんのために」という変わらぬ思いがありました。
高校時代、野球に打ち込んでいた山田先生は、腰のケガで歩くのも困難な状態に。複数の整形外科を受診したものの改善せず、知人の紹介で鍼治療を受けたところ、初回から効果を実感したといいます。その後も治療を重ねて完治に至ると、東洋医学に関心を抱くようになり、明治国際医療大学への進学を決めました。大学時代には、あるイベントをきっかけに、のちに師匠となる秋山勇人先生と親交を結ぶと、卒業後は秋山先生が治療院を構える福岡に移り、4年半にわたって修行を積みます。鍼灸の技術だけでなく、漢方や食養生など幅広い学びを得ました。
修行を終え、地元に戻るか迷っていると、大学時代の先輩から「スペインのサッカーチームでトレーナーをしないか」と声がかかります。 (さらに…)
デスクトップ(2025年6月20日/1233号より)
デスクトップ(2025年6月20日/1233号より)
2025.06.26
▽「ミスタープロ野球」と呼ばれた長嶋茂雄さんが亡くなられました。「昭和100年」に当たるこの年に逝去されたのは、いわゆるひとつの象徴的な出来事というか……。追悼特集で過去の華麗なプレーを見ながら、ネットで色々調べると、ランニングホーマー通算3本、ホームスチール挑戦は6回(2回成功)なんていう面白い記録も残していました。
昭和50年代に広島で生まれ、根っからのカープファンの身としては、引退後の監督時代しか知らず「メークドラマ」で大逆転された側で悔しかったことを覚えていますが、数々の痛快エピソードもあり全く憎めない人ですね。中でも長嶋節はもう天才すぎて理論的に話していようが伝わらず、ここは鍼灸の名人と言われる先生方と通じる点も!? 昭和は遠くなりにけり。(和)
連載『あはき師・絵本作家 かしはらたまみ やわらか東洋医学』75 素問・三十七 『気厥論』
連載『あはき師・絵本作家 かしはらたまみ やわらか東洋医学』75 素問・三十七 『気厥論』
2025.06.25
邪気は素問篇第五で、皮毛・肌膚・筋脈・六腑・五臓とだんだん深くに進むと書かれていました。体内に留まり病となった後は、素問篇第二十七に、邪気はどう進むかというきまりがなく、どこに行くのか分からないと書かれていました。
この篇では、体の中にいる邪気は、気が厥している状況に応じて場所を移動すると書かれています。 (さらに…)
2023年度自賠責の柔整施術費、約510億円で2年連続増
2023年度自賠責の柔整施術費、約510億円で2年連続増
2025.06.24
請求件数も約18万件で増加
2023年度において自賠責保険に請求した柔整施術費の総額が約510億円であった。前年度より約38億円増え、2年連続で増加した。損害保険料率算出機構が毎年春に発行する『自動車保険の概況』で公表した。 (さらに…)
今日の一冊 なぜテンプライソギンチャクなのか?
今日の一冊 なぜテンプライソギンチャクなのか?
2025.06.24
泉 貴人 著
晶文社 1870円
イソギンチャクの新種発見数24種で、日本人歴代トップの著者が東大落研で鍛えた話芸をもって、「俺が」「俺の」と超強気にしゃべり倒す。えび天そっくりの表題の他にも「イチゴカワリギンチャク」や「リュウグウノゴテン」など、印象的な名前を付けたその経緯が余すことなく語られる。
「俺様」な文体とは裏腹に分類学の専門書としても詳細に記されており、学問としての楽しさや研究者の奮闘を垣間見ることができる。肩肘張らずに読めるのに、読み終わる頃には分類学の見方が少し変わっている、そんな一冊。
商品紹介 日進医療器『ユニコディスポ鍼 長柄』
商品紹介 日進医療器『ユニコディスポ鍼 長柄』
2025.06.23
「持つ部分」だけ長くした長柄鍼、鍼柄28mmで複雑な手技も
鍼灸器具ブランドの「ユニコ」を展開する日進医療器株式会社(大阪市中央区)が、鍼柄部分を長くした『ユニコディスポ鍼 長柄』を6月23日に新発売した。
鍼体は1寸で、一般的に使用されている鍼柄の長さ(20mm)より8mm長くした長柄仕様。鍼柄が28mmとなったことで、指をかけるスペースが十分確保され、安定した「持ち心地」と細やかな「操作性」を実現。同社によると、経絡治療家の大上勝行氏と共同開発し、「私のように散鍼や細かい手技操作を多用する鍼灸師には、鍼柄の短さがネックになることもあり、日々の臨床でもう少しこうだったらと感じていた部分が、まさに形になった」と太鼓判をもらえたという。
鍼体と鍼柄はステンレス製で、鍼径は0.14mm。指先にフィットしやすい六角鍼管が付き、1箱240本入り(鍼8本と鍼管1本のセット×30)。
製品の詳細や販売に関する問い合わせ等は、日進医療器(0120-993-118)、もしくは同社ホームページまで。
また、同製品の発売を記念して、8月3日には大上氏を講師に招いた特別講演『よくわかる経絡治療講座―長柄鍼で増やせる手技のバリエーション』が大阪市内で催される。経絡治療をこれから学ぶ方のや学生の参加も可能。主催は経絡治療学会阪神部会、共催は日進医療器。申込みは専用フォームを。
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』243 超音波画像診断による筋ストレイン評価
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』243 超音波画像診断による筋ストレイン評価
2025.06.21
宮嵜潤二(筋・骨格画像研究会)
筋ストレイン(筋損傷)は、スポーツ活動や日常生活で頻繁に発生し、その予防、診断、リハビリテーションは重要な課題である。超音波画像観察は非侵襲的かつリアルタイムに筋組織の状態を評価できるため、筋ストレイン評価に有用と考えられる。本稿では、筋ストレインに対する超音波画像評価の研究動向をレビューする。本レビューは、PubMedを用いて2025年5月31日現在までに公開された文献を検索し、超音波画像が筋ストレイン評価に用いられた11文献を採択した【参考文献一覧】。
筋ストレインは、筋がその伸張限界を超えた際に発生するとされ、筋の硬さや伸張性が損傷リスクに影響を与えることが示唆されている。Yanagisawaら(2011)は、Real-time Tissue Elastography(RTE)が運動後の筋硬度変化を高い再現性で捉えることを示し、超音波画像が筋の変化評価に有用であることを明らかにした。Kayら(2016)は、 (さらに…)
ケガや熱中症などスポーツ中の安全確保で検討会、スポ庁
ケガや熱中症などスポーツ中の安全確保で検討会、スポ庁
2025.06.20
ガイドライン策定に向け、年度末までに意見とりまとめ
スポーツ庁が6月9日、運動やスポーツ中のケガ防止を含む安全対策を議論する検討会を都内で開いた。
国として今後、スポーツ活動全般において安全を確保するための包括的なガイドライン(指針)を策定することを目指しており、それに向け有識者らを集めて協議を重ねていく。議論する内容は、外傷への対応や熱中症等による事故のほか、暴力やハラスメント、ドーピングといった幅広い分野に及ぶ。
検討会メンバーには、スポーツ関連団体をはじめ、医師会やアスレティックトレーナー団体も含まれており、最新のスポーツ医科学の知見を踏まえ、議論を深めていくようだ。定期的に会合を開き、今年度を目途に検討会としての意見をとりまとめる予定としている。
産婦人科のエキスパートを育てる『鍼灸師のための周産期ケア講座』、7月から東京で開催
産婦人科のエキスパートを育てる『鍼灸師のための周産期ケア講座』、7月から東京で開催
2025.06.20
産婦人科エキスパート鍼灸師を養成する『鍼灸師のための周産期ケア講座 東京Edition』が、7月27日(日)、8月24日(日)、9月28日(日)の3回シリーズで開催される。会場は東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターを予定、主催は辻内敬子先生(せりえ鍼灸室)が代表を務める女性鍼灸師フォーラム。
同講座は、5月に東京都はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧師会主催で開催された、産婦人科医の百枝幹雄先生(総合母子保健センター 愛育病院院長)による『周産期の基礎知識』を引き継ぐ形で実施。女性鍼灸師フォーラムが長年取り組んでいる「鍼灸×助産プロジェクト」の一環として催し、目標は以下の2つ。
「妊婦さんを治療するために必要な知識と技術を兼ね備えた臨床力を身につけること」
「産科医や助産師と協力して妊婦さんをサポートするコミュニケーション力を磨くこと」
午前は講義で学び、午後は演習を含むワークショップの時間を設けてしっかりと「インプット」する。本講座を修了したら、11月15日(土)、16日(日)に開催される『第39回日本助産学会学術集会』の企業展示ブースにて、医師・助産師・看護師などの医療従事者へ鍼灸の魅力と効果を直接伝えるスタッフとして活動する「アウトプット」の機会もゴールとして設けられている。
7月開催『助産師の視点で鍼灸師にも知っておいて欲しいこと』は鍼灸師で看護師、助産師でもある井上律子先生(せりえ鍼灸室/みやした訪問看護ステーション)、8月開催『産科領域の鍼灸マッサージ 最新エビデンスと治療の実際、ほか』は小井土善彦先生(せりえ鍼灸室院長)、豊久美先生(横浜医療専門学校教員)、9月開催『東洋医学の周産期ケア』は辻内敬子先生が担当する。
また、全回参加者で、この連続講座の「第1回」と位置づけている5月講座の参加を逃した人には、アーカイブ視聴の特典もあり。
「次世代を担う子どもたちを産み育てる女性の健康支援ができる鍼灸マッサージ師が増えることを願っています。そこで、つわり、腰痛、逆子……と、妊婦さんのつらい症状にも対応できるように、共に学びましょう。ご参加をお待ちしています」と辻内先生。
詳しい内容や参加申し込みは女性鍼灸師フォーラムのページからご確認を。
モクサアフリカ、今秋に南アフリカで灸の健康支援を実施
モクサアフリカ、今秋に南アフリカで灸の健康支援を実施
2025.06.19
モクサアフリカが10月に南アフリカで「灸による健康支援」を予定している。この活動は、灸の普及・定着が見込める医療資源の少ない土地において、効果を体感してもらい使用を拡大する、「新規開拓」も視野にいれた取り組みとして継続してきたもの。
モクサアフリカは2008年に設立されたイギリスのチャリティ団体。アフリカのダーバンにある麻薬中毒や結核、HIV患者の支援施設「ベルヘブンハームリダクションセンター(Bellhaven harm reduction center) 」から相談を受け、取り組みを開始した。なお2022年に始まり今回で3回目になる。
前回の2023年は日本から3名、イギリスから2名でチームを結成し、現地の医療従事者やスタッフとともに同センターで7日間に渡り活動。基本となる直接灸やイヤーシードを使い延べ270人に治療をした。「痛みが軽くなった」「体が楽になったと感じる」など効果を喜ぶ声が聞かれ、連日通う患者もいたという。その様子はNHKをはじめ、数々の一般メディアでも取り上げられた。
今回も前回同様にダーバンにて活動を予定している。
口コミで広がり始めた灸。定着には課題も
ボランティアに参加したメンバーは「2022年の活動を開始した当初は、お灸を見たことのない人々に良さを理解してもらうことにとても苦労したけれど、継続のかいあって口コミで広がり続けている」と手ごたえを話す。また、コミュニティの安全性向上もあってか灸を受けに来る女性が増えているとも。
そもそもモクサアフリカは、資源の限られた環境での結核治療に対し、伝統的な灸治療を科学的に検証し、補助的治療法として確立することを目指し設立された。それも踏まえ、このプロジェクトは、伝統医療により現地NPOと協力して、社会的に脆弱な層を支援し、地域主導の運営体系構築を目指すという社会貢献モデルという側面もある。
数日のみの治療体験では灸の定着には程遠く、継続のための現地スタッフの雇用、育成のための資金源づくりなど今後の課題も浮かび上がってきている。
現在モクサアフリカでは一緒に活動できるメンバーを募集中、寄付も募っている。興味のある方や活動に賛同する方はモクサアフリカHPから確認を。
▼モクサアフリカの日本での灸の普及活動の記事も公開中!
『アースデイ東京2025』でモクサアフリカがお灸体験
連載『現場で使える! 治療家のための実践英会話』5 痛みの種類を聞く一言
連載『現場で使える! 治療家のための実践英会話』5 痛みの種類を聞く一言
2025.06.18
痛みの種類を聞く一言
宮口先生/宮 鍼灸師の佐藤さん/佐
佐藤:「昨日は、外国人の患者さんに『どんな痛みか』を聞くのに苦労しました」
宮口:「痛みの種類は重要ですよね。"What is the pain like?" (痛みはどのような感じですか?)というと、痛みの質を尋ねられますよ」
佐藤:「なるほど! 私、"How is your pain?" って聞いちゃって……」
宮口:「あるある(笑)。それだと『痛みの調子は?』という意味になりますね」
佐藤:「そうなんです! 患者さんから"My pain is fine, thank you." (痛みは元気です)って笑われてしまいました」 (さらに…)