連載『先人に学ぶ柔道整復』三十九 楊心流柔術(後編)殺法、活法、急所(当身)について

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投稿日:2024.02.25

柔道整復連載

 柔整師にゆかりのある「楊心流柔術」について、今回は殺法と活法(殺活術)、そして急所(当身)についてみていきます。ご存じのように、楊心流柔術の技の特徴には、相手を攻撃するための「殺法」と、相手を蘇生する「活法」があります。殺法の技法には、仕掛け技の合間に必ずといってもよいほど、急所に対して「当て」や「蹴り」の手数を加えます。一方、急所は活法でも使用されており、この技術がのちに接骨術に引き継がれています。

 こうした殺活術は、楊心流柔術の伝書で「文章」と「胴譯図という人体図」によって残されています。「胴譯図」は「胴釈図」「胴釈ノ巻」「胴釈門」などとも呼ばれ、「胴譯(釈)」とは「人体解剖」という意味です。楊心流柔術の伝書の一つである「楊心流殺活二法」の序文には、

「楊心仙兵衛義時ナル者アリ……嘗テ長崎ニ遊テ魏ノ武管伝来ノ胴釈ノ巻ヲ受ケ(故ニ胴釈之巻ヲ以テ印可免トス)、此ノ微旨ヲ悟リハ徳ノ巻ヲ著シ、楊心流ト称ス」

と記されています。この記述を説明すると、楊心(大江)仙兵衛義時(楊心流2代目)という者が、魏の国の武管という者から伝来した胴釈ノ巻を受け、その理解をもって(印可の免状を受け)楊心流とした、とあります。つまり、胴釈ノ巻(人体解剖)の会得は楊心流の伝承にとって大変重要なことであるのが分かります。

古流楊心神道流経絡巻(鈴鹿家)

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