Q&A『上田がお答えいたします』 広告ガイドラインの案が出たって本当ですか?
2019.12.10
Q.
あはき・柔整の施術所広告について厚労省が検討会を開かれているようで、最近、ガイドラインの案が出たと聞きました。ポイントを教えてください。
A.
広告検討会も8回を数え、今までの議論を基にようやく広告ガイドラインの案が11月中旬に提示されました。これは案なのでまだ紆余曲折がありそうですが、私が気になった点は9つ。下記に列挙しますので、参考にしてください。
①新たに「非医業類似行為」が定義付けられた。「医業類似行為に非ず」だから本来の医業行為を指すと思ったら、何と「整体・カイロプラクティック・リラクゼーション他」を指すという。これには二つの狙いがあると考えられる。まず、無資格者も「ガイドラインに適用される」との宣言。もう一つは、あはき・柔整こそが「本来の医業類似行為」だと喧伝したいというものだろう。
②「治療」「診」の文字を使わせない。よって「治療院」もダメ。
③「整骨院」の文字は、患者代表と保険者が反対したものの、医師会と事務局が容認しており、おそらく認められる。
④有資格者が無資格者を装い、広告規制を逃れる実態を改善するため、保健所への「届出名称」しか広告表示を認めない。
⑤あはきと柔整の両方の資格者は看板表記を「〇〇接骨院」「〇〇鍼灸院」と分けさせ、従来の「〇〇鍼灸整骨院」は認めない。
⑥ウェブサイト上の広告は原則規制されない。
⑦保健所が広告違反者に処罰を求めやすくするための警察への告発のマニュアル化・簡素化の提案は無し。
⑧広告を是正しない施術者に対する療養費の受領委任の取扱い5年の中止相当処分の導入も見送り。
⑨保険取扱いについては、何らかの表記を認める(医療保険取扱い、健康保険取扱い、各種保険取扱いなど)。
以上、結局は広告規制の実効性が何ら期待できない内容ですね。
しかも、法令上から見て、本来、整体・カイロプラクティックは「指圧」だから、あん摩マッサージ指圧師の免許を取得せず施術している者は「無免許施術」であり、その上、あはきと柔整は医師法上、医業として限定解除されている「医業の一部」であるとの原則を、今回も行政は完全に無視し、「非医業類似行為」という造語を作り出す始末です。もはやコメントする気も起きません。
広告ガイドライン案自体も、看板表記を改めるというのであれば、既得権はあるのか、また、経過措置はあるのかを併せて明らかにしなければ現場は混乱します。せっかくなのだから、実効性が伴う形で臨床の場に提示されることを切に望みます。
【連載執筆者】
上田孝之(うえだ・たかゆき)
全国柔整鍼灸協同組合専務理事、日本保健鍼灸マッサージ柔整協同組合連合会理事長
柔整・あはき業界に転身する前は、厚生労働省で保険局医療課療養専門官や東海北陸厚生局上席社会保険監査指導官等を歴任。柔整師免許保有者であり、施術者団体幹部として行政や保険者と交渉に当たっている。