連載『食養生の物語』105 シンプルで繊細な、湯豆腐
2022.02.25
春も近いとはいえ夜は寒く、温かい湯豆腐を味わいたくなりますね。江戸時代に書かれた『豆腐百珍』には「湯やっこ」という、煮る湯に葛湯を使って豆腐が浮き上がってきたところを掬い上げて食べる方法の記述があり、今の湯豆腐の原型と考えられています。
湯豆腐は、土鍋にたっぷり目の水をはって、昆布を敷いて、塩をひとつまみ。湯が沸いてきたところに、豆腐を (さらに…)
連載『食養生の物語』105 シンプルで繊細な、湯豆腐
連載『食養生の物語』105 シンプルで繊細な、湯豆腐
2022.02.25
春も近いとはいえ夜は寒く、温かい湯豆腐を味わいたくなりますね。江戸時代に書かれた『豆腐百珍』には「湯やっこ」という、煮る湯に葛湯を使って豆腐が浮き上がってきたところを掬い上げて食べる方法の記述があり、今の湯豆腐の原型と考えられています。
湯豆腐は、土鍋にたっぷり目の水をはって、昆布を敷いて、塩をひとつまみ。湯が沸いてきたところに、豆腐を (さらに…)
連載『食養生の物語』104 御御御付(おみおつけ)の三礎
連載『食養生の物語』104 御御御付(おみおつけ)の三礎
2022.01.25
おすましか、それとも白味噌か――。年が明けてしばらくは「お雑煮」が話題になります。元々、関東では澄まし汁に焼いた切り餅、関西では白味噌仕立てに丸餅が主流。結婚や転勤、人の流動と時代の変遷とともに多様化し、各家庭で異なってきているようです。また、白味噌といえば関西では甘い米味噌ですが、同じ米味噌でも関東では赤い色になり、北陸・東北では辛い赤味噌になるなど、地域によって異なります。中・四国や九州で味噌といえば、米の代わりに麦を原料とした麦麹と大豆からできる麦味噌が中心。また、東海地方だけは大豆を麹にしたものと塩だけで作る豆味噌が有名です。気候や風土によって味噌の種類も様々ですね。
ことわざには「味噌汁一杯三里の力」とあり、一杯飲むだけで三里くらいは平気で歩けるようになるほど、味噌汁は活力の源と考えられてきました。 (さらに…)
連載『食養生の物語』103 共存できる文化に
連載『食養生の物語』103 共存できる文化に
2021.12.24
「いぶりがっこがピンチ!?」。12月の初旬、そんなニュースが目に入ってきました。いぶりがっことは秋田県内陸部を中心とした地方に伝わる、主に大根を燻煙乾燥させてつくる漬物のこと。通常の「たくあん」は大根を天日干しして水分を抜いてから漬け込みますが、降雪の早い山間地では大根を戸外で干すことができないため、室内に吊るして囲炉裏火の熱と煙で燻してから漬け込むようになったのが始まりとされています。ところが今年、食品衛生法が改正され、漬物製造業に保健所の営業許可が必要になったのです。いぶりがっこ生産者の多くは小規模で、農作業小屋で昔ながらの方法で製造されてきました。新たな設備が必要になる上に生産者の高齢化もあり、今年の製造から断念するところが出てきそうというのです。 (さらに…)
連載『食養生の物語』102 良いものを、少し
連載『食養生の物語』102 良いものを、少し
2021.11.25
デパ地下や高級店のものだったら、少しくらい食べてもいいかな――。「節制すべき時に食べてもいいもの」について、特に甘いものが止められないという人に対しては、以前からこう答えてきました。「これなら大丈夫?」「あれは?」と一つ一つ答えていくとキリがありません。かといって、何でもかんでもダメというのも考えもの。そうして考え抜いたのが、先の言葉になります。スーパーやコンビニのものはやめて、デパ地下ならOKというのは、きちんとした原材料を使って丁寧に作られているものが多いことが理由。少し食べるならば良いものを、ということですね。また、価格が高めなこともあり、頻繁に、たくさん食べるわけにはいかないということもあります。そして何よりも、美味しいものが多い。楽しむ時には楽しみ、我慢する時には我慢するということでメリハリがついて、良い結果につながりやすいようです。
ただ最近「これなら大丈夫?」の内容が変わってきました。低糖質のお菓子、カロリーオフのデザート、プリン体カットのビール系飲料など、消費者が気にするポイントをウリにした商品が増えてきています。 (さらに…)
連載『食養生の物語』101 健康の七大条件
連載『食養生の物語』101 健康の七大条件
2021.10.25
健康でいるために、どうすればいいか――生きていく上で永遠の課題かもしれません。連載も百回を超えて三桁に踏み出す節目の今回は、改めて食養生の原点を振り返り、健康について考えてみようと思います。マクロビオティック(食養)の創始者ともいわれる桜沢如一氏は健康の定義を分かりやすく「健康の七大条件」として説かれました。①疲れない、②ご飯がおいしい、③よく眠る、④もの忘れをしない、⑤ゆかいでたまらない、⑥思考も行動も万事スマート、⑦ウソをつかない、の七項目です。①から③までは生理的条件。すぐに「疲れた」と言うことなく元気に動ける、ご飯は質素なものでもおいしく食べられる、枕に頭を置いて数分で眠れて時間がくればパッと目覚められること……いわば動物として生きていくのに必要なことと言えるでしょう。④から⑥は心理的条件。記憶力と判断力に優れ、怒りや怖れや不安がなくいつもにこやかで、敏速な行動力を備えていることです。人間社会で生きていく上での必要な条件と言えそうです。最後の⑦は正義のための絶対条件とされています。それぞれの項目を単純に考えてみれば、純粋無垢な子どものありのままの姿とも言えます。今という時間を生きていることで、過去に引きずられることなく、未来を心配することもなく、不安のない状態と考えられます。 (さらに…)
連載『食養生の物語』100 心と食の養い
連載『食養生の物語』100 心と食の養い
2021.09.24
「何を食べればいいの?」と尋ねられても、即答できるものではありません。また、日々どんなものを食べているかを聞かせてもらうと、「何をやめるか」を先に考えるべき、食べ過ぎの人のほうが多いようにも感じます。健康のために「何を食べればいいか」「何をすればいいか」というような、「これさえやっておけば」という分かりやすい〝正解〟はないのでしょう。とは言っても、ウイルスに負けない体づくりにも、生活習慣病の予防にも、健康な身体づくりにも共通することはあります。それは心のあり方です。 (さらに…)
連載『食養生の物語』99 飽きない食欲の秋
連載『食養生の物語』99 飽きない食欲の秋
2021.08.25
「秋には辛いものが良いの?」と尋ねられることがあります。東洋医学を学び始めると直面しがちな問題ですね。五行論でいう「五味」で、秋には「辛」となっていることから、辛いものを食べると良いと解釈されることがあるようです。ですが、こうした時にいわゆる辛いものとしてイメージされがちなスパイスや香辛料の類は、発汗を促して毛穴を開かせます。真夏には向いているものですが、気温が下がって空気が乾燥してくる秋からの季節になっても毛穴を開かせていることで風邪にダメージを受けて、風邪を引きやすくなってしまうのです。
秋は五味では「辛」、五色では「白」ですので、白くて辛いものと考えてみましょう、大根・生姜・白ネギなどが該当します。発汗まではさせない程度に、気・血を巡りやすくさせる発散作用はあるものと理解します。
中でも「白くて辛い」の代表格といえば、大根おろし。 (さらに…)
連載『食養生の物語』98 働かざるもの食うべからず
連載『食養生の物語』98 働かざるもの食うべからず
2021.07.25
「子どもの頃の誕生日の食事の想い出は?」と聞かれたら何と答えますか。「団塊ジュニア」とも呼ばれる第二次ベビーブーム世代が、今年から50歳代になっていきます。これよりも上の世代は、先の質問に「この日に母親が炊いたカレーが美味かった」とか「ハンバーグが忘れられない」などと即答するそうです。ところが、これよりも下の世代になると「ケーキ」以外には思い出せない人がほとんどになる。特別な日のメニューが特別なものではなくなったのです。高度経済成長期を経て、ご馳走が日常になり、外食の機会が一気に増えたことが伺えます。
この稿が読まれるのは、ちょうど「夏の土用」の頃。土用とは夏だけにあるわけでなく、春夏秋冬のそれぞれの季節の変わり目に存在し、次の季節に備えての滋養強壮の時季とされてきました。 (さらに…)
連載『食養生の物語』97 目の覚めるワサビ
連載『食養生の物語』97 目の覚めるワサビ
2021.06.25
「目の覚める臭い」と聞いてどんな香りを想像するでしょうか。実はその代表格として認められているのが、ワサビの臭い。ワサビ臭は深い眠りからでも目が覚める可能性が高いことから、ワサビ臭がする気体を噴射することで聴覚障害者に火災を知らせる警報装置が日本で開発され、海外メディアでも話題になっています。
ワサビの辛味成分を加工した抗菌シートが、テイクアウト弁当などで品質保持のために使われているのを見かけたこともあるかもしれません。これはワサビの辛味成分であるアリルイソチオシアネート(イソチオシアン酸アリル)による抗菌作用を活用したもの。東京都立衛生研究所での実験(1988年)では、サバやタラなどの魚に繁殖して食中毒の原因となる寄生虫アニサキスの活動がワサビで鈍ることが観察されています。塩水にワサビを溶かしたものの中にアニサキスを入れると、15分ほどで明らかに動きが弱まったのです。この実験でのワサビの量はヒトの胃袋に換算すると100㌘に相当するので、現実的に摂取するのは難しいものの、特筆に値する結果でしょう。
この他にもワサビの成分が大腸菌、黄色ブドウ球菌、緑濃菌などに対して増殖を阻止する作用があることや、ワサビにはカビの繁殖を抑える防カビ作用や防臭効果があることも分かっています。これらのことから、生の魚を食べるときにワサビをつけることは食味にはもちろん、衛生面からも良いことの裏付けとなるでしょう。生魚にワサビ、抗菌力が知られていたかは定かではありませんが、古人の知恵には驚かされますね。
ワサビ(山葵)は、日本原産のアブラナ科ワサビ属の植物。食する歴史は古く、現存する最古の薬物辞典とされる『本草和名』(923年)では、菜の部に「和佐比」の記述があります。また、江戸時代後期の類書(百科事典)といわれる『守貞漫稿』(1837年)には、マグロの刺身とコハダの間にワサビを挟んで食べることが普及していったとの記載があり、魚の刺身と共に口にすることで胃がスッキリするところが好まれたようで、生臭さを消し食欲を増進させる効果や抗菌作用についても、この頃から知られていたのではと考えられています。
ただ、抗菌作用があるといっても、あくまで味を引き立てる薬味であって、薬剤ではありません。防カビ作用や、雑菌の繁殖を抑える抗菌作用があっても、殺菌作用はありません。寄せ付けないようにする忌避剤としての役割はあっても殺虫剤ではありません。より美味しくいただくためのものであり、食生活に悪影響を起こさないよう予防してくれるものなのです。何事も過信は禁物。食材自体が新鮮なものを食べることが大切なのは言うまでもありません。カビや雑菌などは消してしまうのではなく、テーブルに寄ってこないように避け、私たちの身体に悪影響のないようにさえすれば良いはず。ワサビの抗菌作用をこれからの季節に食中毒の予防に上手に役立てながら、ウィズコロナ時代の“共存”の意味を考えていきたいものですね。
【連載執筆者】
西下圭一(にしした・けいいち)
圭鍼灸院(兵庫県明石市)院長
鍼灸師
半世紀以上マクロビオティックの普及を続ける正食協会で自然医術講座の講師を務める。
連載『食養生の物語』96 魔除けのニンニク
連載『食養生の物語』96 魔除けのニンニク
2021.05.25
「コロナにはニンニクがいいの?」と、患者さんから尋ねられました。どういうことかと思ったら、コロナ禍でニンニクの売上が伸びているとテレビでやっていたとのこと。ニンニク単体だけでなく、ニンニクを使った料理全般が増えているとか。ただ、最大の理由はソーシャルディスタンスのようです。外出して人と会う機会が減り、人と距離を取るようになり、またマスクを着けていることもあって、臭いを気にしなくなったということのようですね。以前であれば翌日が休みの日のみに食べていたニンニク料理も、平日に食べる人が増えたというのが真相ということになります。とはいえ、治療者としては、患者さんとの距離が近いので平日は控えるのがエチケットでしょう。 (さらに…)
連載『食養生の物語』95 酸っぱい真実
連載『食養生の物語』95 酸っぱい真実
2021.04.23
「お酢ってどれだけ飲めば体が柔らかくなるの?」と患者さんから尋ねられることがありますが、実際には、ただ酢を飲んだだけで柔軟性が向上することはないでしょう。酢で体が柔らかくなるという話が広がった背景には、肉料理に酢を使うことで、肉が柔らかくなることがあるようです。酢に含まれる酢酸や酵素にはタンパク質を分解する働きがあるのでその効果と考えられがちですが、それだけではなく酢によって肉が酸性に傾くことで水分の保持力が上がり、料理としては柔らかく仕上がるという面もあります。
もしも、たくさん酢を飲んで体が柔らかくなるのであれば、たっぷりの酢で料理すれば肉は溶けてなくなってしまうかもしれませんし、飲み過ぎれば私たちの身体は砕けてしまうかもしれませんよね。 (さらに…)
連載『食養生の物語』94 茶番より番茶
連載『食養生の物語』94 茶番より番茶
2021.03.25
春、花粉症の季節です。2月から飛び始めたスギが落ち着くと、3月下旬からはヒノキ花粉がピークを迎えます。今年は昨年よりもやや多いとの予測が出ています。この季節によく勧めるのが、番茶を使ったお手当てです。
花粉症による目の痒みには、番茶での洗眼。お猪口など小さめの器にぬるめの番茶を注いで塩を一つまみ加えたところに目を当ててパチパチまばたきします。痒みを鎮め、炎症も抑えてくれます。市販の洗眼薬は添加物も心配ですし、涙など目に必要な成分も洗い流してしまうため、あまりおすすめしません。また、番茶湿布もおすすめ。 (さらに…)
連載『食養生の物語』93 荒波にもまれたヒジキ
連載『食養生の物語』93 荒波にもまれたヒジキ
2021.02.25
「味覚がおかしいので診てほしい」との電話を受けました。まさか新型コロナ……と疑いそうになったものの、発熱や喉・鼻の症状はない様子。過去にお孫さんのインフルエンザを治療してからの信頼あっての連絡でもあり、念のため他の患者さんと行き交うことのないよう前後に長めの時間を確保の上、来院してもらいました。少し前から体がだるいのが続いていたそうで、その日は自律神経の調整のために本治法のみ。翌週に来院された時にはもう味覚は戻り、体力も回復してきていた様子でした。気になるのは今後、何を食べたらいいのかということ。味覚には亜鉛。亜鉛の多いのは牡蠣などの貝類。牡蠣ばかりを食べるわけにもいかないので、蜆の味噌汁を週に何度かと、海藻のミネラルも併せて摂るためヒジキの煮物を積極的に食べるよう勧めました。 (さらに…)
連載『食養生の物語』92 春への難転
連載『食養生の物語』92 春への難転
2021.01.25
ただいま冬の土用の真っ最中。土用が終わるのが2月2日の節分、そして2月3日には立春と、暦の上では春はもうすぐです。1月には、3日に自然薯をすりおろしたとろろ汁を食べる「三日とろろ」、7日に春の七草をお粥にする「七草粥」と、胃腸を調える風習が続きます。11日の「鏡開き」で下げた鏡餅を口にするのは、歯固めの意味もあるようです。いずれも年末年始のご馳走続きから体を労わり、最も寒い時季に備えるためのもの。土用も同じで、体調を調えておくための期間といえます。夏の土用がうなぎで有名ですが、 (さらに…)
連載『食養生の物語』91 お屠蘇を、どうぞ
連載『食養生の物語』91 お屠蘇を、どうぞ
2020.12.25
お正月、おせち料理と合わせていただくのが「お屠蘇」。元旦に日本酒の封を切り、お屠蘇として飲むところも多いようですが、本来「お屠蘇」は特別なお酒です。
屠は「屠る」で邪気祓いを、蘇は「蘇り」で生気の蘇生を意味します。新年の無病息災を願い、数種の薬草を組み合わせた「屠蘇散」を日本酒に浸して作ります。屠蘇散には漢方の生薬を用い、主として、 (さらに…)
連載『食養生の物語』90 新米をよろしく
連載『食養生の物語』90 新米をよろしく
2020.11.25
「新米」の広告を見掛けると、今年の収穫も無事に終わったんだなという感じがします。早ければ9月頃から見掛ける新米ですが、JAS法(日本農林規格等に関する法律)に基づく「玄米及び精米品質表示基準」によって義務付けられた表示として、収穫した年の12月31日までに精米・袋詰めされたお米に限り新米と表示していいことになっています。 (さらに…)
連載『食養生の物語』89 おうちか、現地か
連載『食養生の物語』89 おうちか、現地か
2020.10.23
外出自粛期間中に、お取り寄せグルメで「おうち時間」を楽しんで、今度は「トラベル」や「イート」のGoToキャンペーンを利用して現地で食したという人もおられるのではないでしょうか。自宅に取り寄せたのと全く同じものであっても、現地で食べれば美味しさが違って感じられますね。ただ、これが長期滞在するとまた変わるし、移り住んでしまえばまた違うでしょう。ましてや、生まれ育った故郷の味となると違って当然です。 (さらに…)
連載『食養生の物語』88 生命に不可欠な塩
連載『食養生の物語』88 生命に不可欠な塩
2020.09.25
「敵に塩を送る」とは、戦国時代に上杉謙信が敵対関係にあった武田信玄に塩を送って苦境から救った逸話に由来する言葉。塩が活力の源であることの表れでもあります。英語で塩はsalt。給料を意味するsalaryと共にラテン語のsal(塩)に由来します。日本でも平安時代の官吏の給料が塩で支払われていたそうです。塩は生きていく上で不可欠なものと考えられてきたのですね。陰陽五行で生命力を主る「腎」を養うのは「鹹」、塩のこと。塩分が過不足なく補われることが大切だと考えられています。生命は、30億年前に海の中で誕生したもの。私たちの細胞レベルで、細胞外液が海水とよく似た成分で満たされているのはその名残と考えられますし、アトピー性皮膚炎の人が海水浴に行くことで改善するといわれるのも納得いきます。 (さらに…)
連載『食養生の物語』87 免疫力を育ててみる
連載『食養生の物語』87 免疫力を育ててみる
2020.08.25
「免疫力を上げるために何を食べればいいですか」――新型コロナウイルス感染症の広がりとともに、こう尋ねられる機会が増えました。しかし、これさえ食べておけば大丈夫という決め手となるような食物などありません。そんな魔法のような食物があれば、皆がそれを食べて元気になり、とっくの昔に病気はなくなっているはずですね。
古代ギリシャの医聖ヒポクラテスの残した言葉に「身体にとって良いことをするか、できなければ少なくとも悪いことをするな」とあります。あれこれやり過ぎ、食べ過ぎの現代人は、むしろ何も食べずに断食するほうが手っ取り早く免疫力が上がるかもしれません。まず過食を止めること。胃腸の疲れは自然治癒力を弱める原因の一つです。
その上で強いて言うのなら、大根を上手に摂り入れてみてはいかがでしょうか。 (さらに…)
連載『食養生の物語』86 エブリデイ・熱中症対策
連載『食養生の物語』86 エブリデイ・熱中症対策
2020.07.22
本当なら、東京オリンピックが開幕して盛り上がっていた頃でしょうか。暑い夏と言えば、熱中症が心配な季節です。真夏のイメージがある熱中症ですが、実は5月の初夏の頃から注意が必要なもの。今年はその時期に緊急事態宣言や休校などで外出する機会が少なかったために尚更です。暑熱順化といって、暑さに徐々に慣れることで適切に汗をかいて体温調節を行える体になっていく期間が短かったのです。
マスクの着用により、呼気からの蒸散が抑えられていることも心配です。 (さらに…)