晴眼者のあマ指師課程新設めぐる裁判 仙台地裁も結審で、来年4月に判決
2019.12.10
東京、大阪、仙台の各地裁で争われている、晴眼者のあん摩マッサージ指圧師養成課程の新設をめぐる裁判が終盤を迎えている。12月2日に仙台地裁で15回目となる口頭弁論が開かれ、全ての審理が終了(結審)。判決の言い渡し日時が令和2年4月27日の15時と決まった。これで3地裁全てが結審し、判決を待つのみとなった。12月16日には、他に先立ち、東京地裁で判決が下される。
晴眼者のあマ指師課程新設めぐる裁判 仙台地裁も結審で、来年4月に判決
晴眼者のあマ指師課程新設めぐる裁判 仙台地裁も結審で、来年4月に判決
2019.12.10
東京、大阪、仙台の各地裁で争われている、晴眼者のあん摩マッサージ指圧師養成課程の新設をめぐる裁判が終盤を迎えている。12月2日に仙台地裁で15回目となる口頭弁論が開かれ、全ての審理が終了(結審)。判決の言い渡し日時が令和2年4月27日の15時と決まった。これで3地裁全てが結審し、判決を待つのみとなった。12月16日には、他に先立ち、東京地裁で判決が下される。
フレアス、「人材登録サイト」オープン
フレアス、「人材登録サイト」オープン
2019.12.10
―採用活動の強化と、あマ指師の雇用機会増を目的―
往療マッサージ事業を全国展開する株式会社フレアス(澤登拓代表取締役社長)が、スマートフォン等からでも登録できる人材登録サイト「フレアス人材バンク」を開設した。同社の採用活動の強化に加えて、あん摩マッサージ指圧師免許を有しながら就労できていない施術者の雇用機会を増やすことを目的に設置。登録は無料で、勤務地のほか、時短勤務等の「働き方」を希望できる。同社は、3月に東証マザーズに上場し、2019年9月現在、往療マッサージの拠点は38都道府県97(FC含む)。
柔整療養費 都道府県別支給状況 厚生労働省『平成30年度 療養費頻度調査』から
柔整療養費 都道府県別支給状況 厚生労働省『平成30年度 療養費頻度調査』から
2019.12.10
調査は平成30年10月の1カ月間に行われた施術に係る療養費支給申請書が対象。支給申請書のうち、全国健康保険協会管掌健康保険で30分の1、国民健康保険で60分の1、後期高齢者医療制度で50分の1の割合で抽出している。1件当たりの平均支給額は約7,179円(昨年度より141円減)だった。調査前の平成30年6月には料金改定が施行され、それに伴う柔道整復運動後療料の新設等のほか、「亜急性」の文言が削除されている。なお、『平成29年度 療養費頻度調査』を基に、昨年度の金額と、そこからの増減比率も掲載した。
Q&A『上田がお答えいたします』 広告ガイドラインの案が出たって本当ですか?
Q&A『上田がお答えいたします』 広告ガイドラインの案が出たって本当ですか?
2019.12.10
Q.
あはき・柔整の施術所広告について厚労省が検討会を開かれているようで、最近、ガイドラインの案が出たと聞きました。ポイントを教えてください。
A.
広告検討会も8回を数え、今までの議論を基にようやく広告ガイドラインの案が11月中旬に提示されました。これは案なのでまだ紆余曲折がありそうですが、私が気になった点は9つ。下記に列挙しますので、参考にしてください。
①新たに「非医業類似行為」が定義付けられた。「医業類似行為に非ず」だから本来の医業行為を指すと思ったら、何と「整体・カイロプラクティック・リラクゼーション他」を指すという。これには二つの狙いがあると考えられる。まず、無資格者も「ガイドラインに適用される」との宣言。もう一つは、あはき・柔整こそが「本来の医業類似行為」だと喧伝したいというものだろう。
②「治療」「診」の文字を使わせない。よって「治療院」もダメ。
③「整骨院」の文字は、患者代表と保険者が反対したものの、医師会と事務局が容認しており、おそらく認められる。
④有資格者が無資格者を装い、広告規制を逃れる実態を改善するため、保健所への「届出名称」しか広告表示を認めない。
⑤あはきと柔整の両方の資格者は看板表記を「〇〇接骨院」「〇〇鍼灸院」と分けさせ、従来の「〇〇鍼灸整骨院」は認めない。
⑥ウェブサイト上の広告は原則規制されない。
⑦保健所が広告違反者に処罰を求めやすくするための警察への告発のマニュアル化・簡素化の提案は無し。
⑧広告を是正しない施術者に対する療養費の受領委任の取扱い5年の中止相当処分の導入も見送り。
⑨保険取扱いについては、何らかの表記を認める(医療保険取扱い、健康保険取扱い、各種保険取扱いなど)。
以上、結局は広告規制の実効性が何ら期待できない内容ですね。
しかも、法令上から見て、本来、整体・カイロプラクティックは「指圧」だから、あん摩マッサージ指圧師の免許を取得せず施術している者は「無免許施術」であり、その上、あはきと柔整は医師法上、医業として限定解除されている「医業の一部」であるとの原則を、今回も行政は完全に無視し、「非医業類似行為」という造語を作り出す始末です。もはやコメントする気も起きません。
広告ガイドライン案自体も、看板表記を改めるというのであれば、既得権はあるのか、また、経過措置はあるのかを併せて明らかにしなければ現場は混乱します。せっかくなのだから、実効性が伴う形で臨床の場に提示されることを切に望みます。
【連載執筆者】
上田孝之(うえだ・たかゆき)
全国柔整鍼灸協同組合専務理事、日本保健鍼灸マッサージ柔整協同組合連合会理事長
柔整・あはき業界に転身する前は、厚生労働省で保険局医療課療養専門官や東海北陸厚生局上席社会保険監査指導官等を歴任。柔整師免許保有者であり、施術者団体幹部として行政や保険者と交渉に当たっている。
連載『汗とウンコとオシッコと…』184 老々介護
連載『汗とウンコとオシッコと…』184 老々介護
2019.12.10
12月に至り、ようやく寒さが本格的になってきた。去年と比べると全体的には暖かいが、寒いことに変わりはない。それにより急激に末梢血管が収縮し、血圧が上がることで、体幹部背面に内臓体壁反射で各臓腑の負担が投影されやすく、頭痛や肩、腰という具合に痛みが出やすい時期だ。これは末梢血管を拡張させて血圧を下げる薬を内服していても避けられない、生理的な動きだといえる。
「先生、足が引きつって、正座が出来ないんです。それと左肩が上がりにくくなってきて……。整形外科には行ってみたんですけど、あまり変わらなくて……」
大腿四頭筋をさすりながら訴える今日の患者さんは、70代の色の白い上品な老婆だ。名を尾野さんといい、茶道を教えている。この年齢層の患者さんの治療は川端が担当するのが常なのだが、今日に限って横転先生が出張っていた。「精神的に幼いお前では厳しい」とポソッとつぶやき、脉を取り出したのだ。苦虫を噛み潰したような顔の川端だったが……。
「これ、尾野さん、あんた、胃の不快感みたいな……今よく言われる、逆流性食道炎のような症状が急に出てきとらんか?」
「えっ、先生、そんなこと分かるんですか?」
「それがワシの仕事や。これ、精神的に何か問題があった時に出てくる時の血の動きをしとるんやけど……」
「え~、そんなことまで……実は90歳の母が急に入院しまして……。もう歳ですから仕方がないんですけど、心配で……私の食事もバラバラで、今病院から帰ってきたばっかりなんですよ」
「足や左肩の痛みはそれから出てきたわけなんやな」
と、横転先生がズバリと聞く。
「そういえば、そうですわ、これ……。胃の具合と関係してるんですか?」
「そう、精神的な問題で胃酸が出にくい型の胃の充血……老々介護の負担の一つでもあるわな。胃が充血するわ。それで足に血が流れにくくなるわ、母親思いのあんたのことやから、心配も過剰になるし、心臓の拍数は上がり血圧は寒さに伴い上がってくるわで調子が狂ってる。仕事でも、茶道やったらこれから新年に向けて色々段取りがあるやろうし、あんたは焦る……まあ、そこから崩れてきた痛みやな。足や肩だけをどれだけ触っても、痛みの原因の根断ちが出来てないからすぐに戻るわけや」
「これ、治りますか?」
心配そうに足をさする尾野さん。
「正座があんたの仕事の一つでもあるからなぁ。胃の不快感の自覚が無くなるにつれて、足は先にましになる。肩は、ワシでもちょいと歳のこともあり時間がかかるな。まあ、あんたの心配症が無くなれば、すぐにでもましにはできるんやけど……」
「結構、それって、精神的なところからの問題と……」
「それだけやないけど、重なっただけや。まあ、来年には間に合うわ」
と、横転先生が治療を始め出した。
これは確かに自分の手には負えなかったと、諦め顔の川端だ。
【連載執筆者】
割石務文(わりいし・つとむ)
有限会社ビーウェル
鍼灸師
近畿大学商経学部経営学科卒。現在世界初、鍼灸治療と酵素風呂をマッチングさせた治療法を実践中。そのほか勉強会主宰、臨床指導。著書に『ハイブリッド難経』(六然社)。
連載『医療再考』10 AR、VRで広がる鍼灸の新しい世界
連載『医療再考』10 AR、VRで広がる鍼灸の新しい世界
2019.12.10
今回からは、新しい技術に着目し、今後の医療や鍼灸を考えていきたいと思います。
最近注目されている最新技術に、AR(Augmented Reality)とVR(Virtual Reality)があります。両者は同じように視覚を利用する技術ですが、ARは「拡張現実」と訳され、現実世界に視覚情報を重複表示させる技術なのに対して、VRは「仮想現実」と訳され、リアリティーを高めた視覚映像をスクリーンに投影する技術です。前者は「実際の風景にバーチャルの視覚情報を重ねて表示することで、目の前の世界を仮想的に拡張させる」もので、『ポケモンGO』で一躍有名になった、現実とバーチャルの融合です。後者は「非現実の世界をあたかも現実のように感じさせる」もので、VRゲームやテーマパークのアトラクションに代表されるような非現実世界での体験を示しています。そして、これらの技術は医療の分野でも活用されつつあります。
例えばARは、画像診断や治療、さらには医療技術のトレーニングに用いられています。CTやMRIなど異なる検査結果の画像から3DCGを構築し、メガネ型のARグラスに投影することで、組織や臓器の3Dモデルを映し出しながら診断・治療ができます。また、腕が切断されているにもかかわらず痛みを生じる幻肢痛患者に対し、ARグラス上で切断された腕に仮想腕を重ね合わせることで、仮想腕が動くという体験をすると幻肢痛が改善することも報告されています。さらに医療教育でも、スクリーニング教育の技術を応用し、画像データを目の前に投影し、タッチペンを使って画像を動かす形で手術や診断の練習に役立てられています。そう考えると、鍼灸においても患者さんのVT・MRI・超音波エコーなどの画像情報を施術中にARグラスに投射することで、神経や筋肉、臓器の位置などを確認しながら治療を行ったり、鍼灸施術の練習として刺鍼部位をARグラスで確認するといった、より高度で安全な治療や教育が可能になるのです。
一方VRは、特に入院患者へのサービスに応用されています。観光地や自宅を再現し、病室にいながら旅行体験や帰宅体験をしてもらうことで、入院中のストレスや不安を軽減させたり、治療や処置の負担から気をそらすといったものです。また、運動できない寝たきりの患者さんでも、VR上で歩行体験することで脳の運動野が活性化することが知られています。お年寄りや患者さんの見ている世界を体験することで、患者さんの気持ちを理解し、医療者と患者さんの距離を縮める試みも行われています。鍼灸治療においてもVR画像を用いることで、患者さんにとって快適な環境で施術することが可能となったり、鍼灸に対する恐怖心や不安感を軽減することが可能となるでしょう。
このように、新しい技術を鍼灸に導入することで、鍼灸師が苦手としていたツボの空間的認識や患者さんが抱いていた鍼への恐怖心などのマイナス面を改善し、新たなる鍼灸の世界が確立できるかもしれません。
【連載執筆者】
伊藤和憲(いとう・かずのり)
明治国際医療大学鍼灸学部長
鍼灸師
2002年に明治鍼灸大学大学院博士課程を修了後、同大学鍼灸学部で准教授などのほか、大阪大学医学部生体機能補完医学講座特任助手、University of Toronto,Research Fellowを経て現職。専門領域は筋骨格系の痛みに対する鍼灸治療で、「痛みの専門家」として知られ、多くの論文を発表する一方、近年は予防中心の新たな医療体系の構築を目指し活動を続けている。
『ちょっと、おじゃまします』 ~不眠専門で一国一城の主に~ 大阪府高槻市<高槻宗八鍼灸整骨院>
『ちょっと、おじゃまします』 ~不眠専門で一国一城の主に~ 大阪府高槻市<高槻宗八鍼灸整骨院>
2019.12.10
「健康の基本は睡眠、栄養、運動。どれが欠けても健康になれるわけがありません」。そう語る、高槻宗八鍼灸整骨院の佐藤太先生。院名の「宗八」の由来はご先祖様の名前。先祖代々、自営業の家系で、幼い頃から「何か自分で事業を興して社長になれ」と祖父に言い聞かされて育ったのだとか。
「事業」を治療家の道に決めたのは高校生の頃。サッカー部の試合中に足を踏まれ骨折、通った整骨院での親身な対応がきっかけでした。柔整師免許取得後、骨折・脱臼の患者が多いという整骨院で、独立を視野に「丁稚奉公」。鍼灸師の免許を取得すると決めたのはこの時期で、10年間片耳が聴こえないという症状を院長が鍼施術で治療し、患者さんが流した感動の涙を見てから。同時期に自身も突発性難聴を治してもらい、患者さんに求められる技術だと確信したといいます。鍼灸の勉強は肌に合い、専門学校を主席で卒業。免許を取得し、いよいよ開業……かと思いきや、なんと渡米。「日本の治療しか知らない、一度海外を見よう」と、語学留学の形を取って2年間、トレーナーとしての活動を続けました。帰国後、グループ院で雇われ院長として経営のノウハウを学びながら開業資金をため、ついに独立します。
目標だった開業を果たした後、治療家として何をしたいかを考え、辿り着いたのが「不眠専門」。当時の患者さんにアンケートしたところ実に7割が睡眠に問題を抱えていた衝撃が決め手になりました。手技と鍼灸で体質を改善し、副交感神経を優位にする治療が中心。睡眠薬に頼るべきではないと減薬を呼びかけており、実際、投薬期間の長い人ほど睡眠状態の改善に時間がかかるとのこと。今後は企業やスポーツチームと提携して、睡眠を見直す機会を作っていきたいという佐藤先生。「栄養、運動の専門家に対し、睡眠の専門家の数は乏しい。とはいえ、雑誌などで睡眠が注目されることも増えてきました」と話し、この機に環境作りを進めたいと意気込みます。
佐藤 太先生
平成19年、明治鍼灸大学柔道整復学科卒業。同年、柔整師免許取得。平成24年、明治鍼灸専門学校卒業。同年、鍼灸師免許取得。35歳
今日の一冊 王家の遺伝子 DNAが解き明かした世界史の謎
今日の一冊 王家の遺伝子 DNAが解き明かした世界史の謎
2019.12.10
王家の遺伝子 DNAが解き明かした世界史の謎
石浦章一 著
ブルーバックス 1,100円
シェイクスピアの手で、醜悪な異形の悪役として描写されたイギリス国王、リチャード三世。2012年、その遺骨と思しき人骨が駐車場から掘り出され、話題となった。人骨は本当にリチャード三世なのか、そしてその死因の不審な点とは――。DNA解析の発達が覆した、英国王室、建国初期のアメリカ、古代エジプトの歴史を紹介。出生前遺伝子診断の是非や、従来の遺伝子組み換えとゲノム編集の違い、「角のない牛」や「身の多い鯛」の誕生など、最新の知見にも触れながら、『DNA歴史学』の可能性を探る。
編集後記
編集後記
2019.12.10
▽日本初の4階級制覇を達成した井岡一翔選手は階級を上げるごとに相手の骨格もパンチ力も変わるので戦い方を変えたそうです。ボクシングは減量という宿命を持つ過酷なスポーツ。井岡選手は試合前にシャドーボクシングをガンガンして1週間で6kgも落としたとか。そして、試合が終わるとがっつり食べる。さて、先日健康診断が終わりました。クールビズの服装はポッコリお腹が目立つので健康診断へ向けて7月から1日1食で3Kgの減量をしました。検査が終われば3食きっちり食べるのでリバウンド。何ともダイエットがうまくいかないようです。今度はポッコリお腹が目立つクールビズの時期に向けて来年3月あたりから減量しようかな。それともボクシングジムに通ってボディを打ってもらうかな。(松)
第8回あはき師・柔整師等の広告検討会 ガイドライン案、厚労省が提示
第8回あはき師・柔整師等の広告検討会 ガイドライン案、厚労省が提示
2019.11.25
インターネットは規制の対象外に
11月14日、8回目となる「あはき師・柔整師等の広告に関する検討会」が開かれ、過去の議論を踏まえて、厚労省が「広告ガイドライン案」を初めて提示した。意見が対立している「治療」「整骨院」の文言使用の可否などは引き続き議論を促し、それ以外は厚労省案に対する意見を聴取する形で話し合いがされた。ただ今回、突如として、「無資格施術・無資格者行為」を一括した「非医業類似行為」という用語 (さらに…)
ハリトヒト。マーケット 「教員、学生を支援できていない」?
ハリトヒト。マーケット 「教員、学生を支援できていない」?
2019.11.25
養成校、教員の在り方で提言など
『ハリトヒト。マーケット』が10月27日、関東鍼灸専門学校(千葉市美浜区)で開催された。
鍼灸業界、鍼灸学生向けウェブマガジン『ハリトヒト。』の製本化第二弾を記念したイベント。これまで掲載してきたロングインタビューのインタビュイーの中から、内原拓宗氏(関東鍼灸専門学校副校長)、赤星未有希氏(鍼灸師、がん情報ナビゲーター)、横山奨氏(アイム鍼灸院)、松田博公氏(鍼灸ジャーナリスト、黄帝内経研究家)が講演や対談を行い、企業や団体などのブースも出展した。
内原氏は業団や各流派、保健所、医師、税務署、メーカーといった就業鍼灸師を取り巻く環境について図説。教員は通常の教育だけでなく、これらに対する理解を深めた上で業界の水先案内人として学生をサポートしなければならないと指摘。しかし実際は学校の中にこもっていることが多く、十分にできていない現状にあると述べた。また、看護師やPTなどの他の医療職に比べ業団の組織率が低いことや、学術団体に所属している鍼灸師の数が全体から見るとわずかに過ぎない点に言及。養成校が、業団や学会と卒業生とをつなげられていないのが要因の一つだと説いた。
学生、色々な流派学びたい
内原氏からの「どんな養成校が望ましいか、養成校に何を求めるか」との主旨の質問に対して複数の参加者から意見が挙がった。教員経験を経て開業したという甲野功氏(あじさい鍼灸マッサージ治療院)は、近年の養成校が国試対策を重要視している実態に触れた一方で、臨床の大切さも強調。「国試に受かりさえすればいい」という生徒向けと、「卒後すぐに開業したいので臨床も充実してほしい」というニーズに応える二つのコースを設けるのはどうかと述べた。小貫英人氏(日本伝統鍼灸学会理事)は養成校では実技教育が不足しているとして、「卒後養成校」を提言。関東圏など同じエリアの複数の養成校が共同で、諸流派の臨床家を招いて実技の授業を行う場を設けるといった案を挙げた。鍼灸学科2年生の学生は、通っている学校は授業時間外のセミナーが豊富だが、スポーツや美容といったカテゴリーの内容が多いと指摘。古今の流派や治療法を学んで、自分に合ったものを見つけたいと訴えた。
▲企業などもブースを出展。施術体験も
第21回日本スポーツ整復療法学会大会 骨粗鬆症、「骨卒中」として啓蒙
第21回日本スポーツ整復療法学会大会 骨粗鬆症、「骨卒中」として啓蒙
2019.11.25
運動療法が重要な対策に
日本スポーツ整復療法学会(JSSPOT)の第21回大会が10月13日、14日、朝日医療大学校(岡山市北区)で開催された。
特別講演『骨粗鬆症―健康長寿を願って』では、マツダ病院整形外科部長の田中正宏氏が登壇した。骨粗鬆症に伴う骨折は介護保険利用の多くの割合を占め、対策は健康寿命の延伸につながると解説。10年間にわたる高齢者の追跡調査によれば、大腿骨の密度が高いほど死亡リスクが低いとした。一方で、骨粗鬆症の特徴的な病態である大腿骨近位部骨折について、術後1年の調査を行ったところ治療率が20%に満たなかったという報告を紹介。患者だけでなく、治療サイドにも骨粗鬆症に対する危機感が足りないとして、大腿骨近位部骨折を心筋梗塞・脳卒中と並ぶリスク「骨卒中」として啓蒙するといった活動をしていると述べた。また、骨粗鬆症の治療には投薬だけでなく、栄養・運動面のアプローチが重要だと説明。運動療法は転倒予防効果があるだけでなく、メカニカルストレスにより骨量が増加、骨の形態変化によって骨強度は上昇するとし、逆にギプス固定などに伴う不動化は急速な骨量減少を生じさせ、骨折を生じやすくさせると指摘した。
このほか、元阪神タイガース選手で野球解説者の八木裕氏による一般公開講座『プロ野球 今昔物語』、理学療法士・アスレティックトレーナーで、広島大学大学院医系科学研究科教授でもある浦邉幸夫氏の特別講演『運動器疾患をサイエンスする』、桂進乃介氏(現代戦技研究会KUSEMONO TACTICAL代表、柔道整復師)の特別講演『医療人のセキュリティ』、スポーツ損傷に対するコンディショニングエクササイズをテーマにしたワークショップなどが行われた。
なお、本大会では参加者に向けて、抄録が掲載された会報を事前にインターネットで公開。担当者は「以前は配布していたが、経費削減のための判断」と話すが、会場には抄録にアクセスできるQRコードが掲示され、スマホやタブレットで抄録を確認する参加者の姿も見られた。参加者の一人は「会場への移動中に手軽に内容を確認することができたので、この方が便利」と話していた。
埼玉県 MJG接骨院、HP広告で景表法違反
埼玉県 MJG接骨院、HP広告で景表法違反
2019.11.25
▲問題とされた表示
「患者から選ばれて全国1位」
「やせプログラム」根拠なし
接骨院チェーンを全国展開する「株式会社MJG」(木﨑優太社長)が自社のホームページで掲げていた「全国の患者様から選ばれてNo.1」とうたった表示に客観性が無いなどとして、埼玉県が11月18日、同社に行政処分を下した。景品表示法(景表法)への抵触の事実(優良誤認)が認められるとし、措置命令として違反表示を取り消すよう命じている。
違反があったのは、少なくとも平成30年11月から今年10月までの間に掲載していた「全国の接骨院でMJG接骨院は三冠達成!」といった、患者や医師から同社が高い評価を受けていたことを示す表示(上記画像)など。埼玉県によると、同社自身が調査会社に委託し、同社を含む整骨院10社のイメージ調査をネット上で収集した内容であって、無作為抽出方法でサンプルを選定せず、作為が生じない客観的な調査に基づいていなかったとした。また、複合高周波EMSを用いた「やせプログラム」と称するサービスの内容表示も、裏付けとなる合理的な根拠が示されず、優良誤認表示に当たると認定した。
県内の消費生活支援センターの窓口には、同社の数十万円を超える施術プログラムの解約などの相談が54件寄せられていたという。今回、措置命令を出した消費生活課担当官は、「甚だしい不当表示や住民からの相談・苦情の多い事業者の情報に基づいて調査に着手している。8月末に消費生活支援センターから受けた情報提供が、今回、措置命令の対象としたきっかけともなっている」と話していた。
AMDA、宮城県で鍼灸支援 台風19号
AMDA、宮城県で鍼灸支援 台風19号
2019.11.25
1週間で延べ142人施術
災害時等に医療・保健衛生分野の支援活動を行う「認定特定非営利活動法人AMDA」(アムダ)が、台風19号で甚大な被害を受けた宮城県丸森町の避難所で、10月23日から31日の間、鍼灸支援を行った。AMDA災害鍼灸ネットワーク代表世話人・今井賢治氏によると、「避難所内で日に日に鍼灸が認知され、自宅の片付けや職場から帰宅した避難者などの夕方以降のニーズも少なくなかった」とし、延べ142人に施術したと話す。また、活動終了後も避難者が鍼灸治療を受けられるように、地元の治療院を訪問し、被災状況などの把握に努めた。鍼灸支援チームが避難所を撤退する31日には、業務を再開した治療院3軒に引き継ぎをしたという。
写真:AMDA提供
照会文書の誤送付、52件 滋賀後期高齢、あはき療養費で
照会文書の誤送付、52件 滋賀後期高齢、あはき療養費で
2019.11.25
11月7日、滋賀県後期高齢者医療広域連合が、あはき療養費の照会文書を本人以外の被保険者に誤って送付していたことをホームページで公表した。
対象者は7月に県内の特定の施術所で施術を受けた被保険者で6市・52件。そのうち37件は配達先不明で戻ってきたものの15件は全く違う被保険者に届いてしまったという。同連合は当該被保険者に謝罪するとともに、文書の回収を行った。
委託業者が宛名の住所と氏名の組み合わせを誤って印字したことが原因。同連合は業者にチェック体制の強化を指示し、業者においては文書作成時及び発送時の確認を複数人で実施して、確認が完了したもののみを発送するよう徹底するとしている。
レポート YNSA学会全国大会、盛況に
レポート YNSA学会全国大会、盛況に
2019.11.25
創始者・山元医師が実技を披露、新しい治療点も
10月19日、『第7回YNSA(山元式新頭鍼療法)学会全国大会』がシェラトン・グランデ・オーシャンリゾート宮崎(宮崎市)で行われた。台風19号による飛行機の欠航が相次いだにもかかわらず、全国から100名近い鍼灸師、医師、歯科医師、獣医師らが集まった。
一般口演7題、ポスター発表は4題が行われ、日本国内のみならず、トルコの医師や台湾の中医師からも発表があり、YNSAに対する世界的な注目度の高さがうかがわれた。また初の試みとして、会員によるYNSAシンポジウムも行われた。特別講演は加藤直哉医師による『人は死んだらどうなるのか―死生学研究で学位を持つ日本唯一の医師、加藤が伝える死後世界の科学的研究』。死後の世界や臨死体験などについて、客観的かつ科学的な学術研究を重ねた結果導き出された講演の内容に、全員が熱心に聴き入っていた。最後のセッションでは、YNSA創始者で会長の山元敏勝医師が実技を披露。デモンストレーション患者の様々な症状が山元医師の治療によってみるみる良くなっていくさまに、会場からは驚きの声が上がっていた。また今回も全国大会限定で新しい治療点が披露され、YNSAの更なる発展の可能性を感じさせた。
閉会の言葉として副会長の山元美智子医師が「皆でこれからもYNSAで患者さんを笑顔にしていきたい」と述べ、盛大な拍手とともに全国大会は終了した。(YNSA学会事務局長 冨田祥史)
広告検討会の厚労省担当者「ガイドライン、今年度めどに」 全鍼師会の全国大会で明かす
広告検討会の厚労省担当者「ガイドライン、今年度めどに」 全鍼師会の全国大会で明かす
2019.11.10
昨年5月以降、7回開催されている「あはき師及び柔整師等の広告に関する検討会」の厚労省担当者が、新たな広告規制等を盛り込んだ「広告ガイドライン」を今年度内に策定・公表したい考えであることが分かった。10月20日、21日に横浜市内で開かれた全日本鍼灸マッサージ師会(伊藤久夫会長、全鍼師会)の第18回東洋療法推進大会の中で明かした。また、ガイドライン施行後の展望にも言及した。 (さらに…)
台風19号に伴う特例措置 あはき療養費にも適用
台風19号に伴う特例措置 あはき療養費にも適用
2019.11.10
台風19号の被災者に対し、医科等で講じられている特例措置があはき療養費にも適用される。厚労省が10月30日付の事務連絡で示した。患者の避難先への往療や、被保険者証等の紛失で施術所に提示できない場合でも受療が認められるなど。令和2年1月末の施術まで適用される。
こころ鍼灸協会オープニングセミナー 心身をケアできる鍼灸師育成へ
こころ鍼灸協会オープニングセミナー 心身をケアできる鍼灸師育成へ
2019.11.10
経絡治療や美容鍼、中医学など
一般社団法人こころ鍼灸協会(吉田小百合代表理事)のオープニングセミナーが9月22日、東京都内で開催された。同協会は「こころとからだの両側面からケアができる鍼灸師または医療関係者の育成、仕事支援、社会貢献」を目的に発足。今後の活動の一環として経絡治療や美容鍼、漢方などの様々な講座の開催を予定しており、同セミナーは講師陣の紹介を兼ねたものとなった。
日本伝統鍼灸学会理事で呉竹学園臨床教育研究センターマネージャーの船水隆広氏が『こころの病に鍼治療』をテーマに講演と実技を行った。精神と肉体は一体で分かつことができないという概念を表す「心身一如」は本来、「身」に重きを置いた「身心一如」であったと説明。鬱病などはまず、頭が痛い、だるい、眠れないといった身体症状が先に来るが、これらを改善することで鬱そのものの治療につながると述べ、鍼灸師の得意とするところだと説いた。患者の目を閉じさせた際にまつ毛が震えている、舌診で舌の震えが認められるといった場合は気血両虚、髪がパサついているのは津液不足、腎と深く関わる耳が硬くなっているのは相当な疲労がたまっているから、など診察のポイントを列挙。鬱病の人は胸鎖乳突筋が硬くなっていることが多く、頚部を緩めるのも有効だと話した。実技では、経脈に沿って気を流すため、?鍼を当てて、回して、手で触れる、を繰り返す「さざ波」、2本の?鍼で同時に2カ所を押す「双龍」といった独自のテクニックを披露。セイリン株式会社製のセラミック電気温灸器を?鍼のように用いる使用法も紹介した。
東京医療専門学校専任講師の松峰理真氏は、「Could you fill out this medical questionnaire?(この問診表に記入してくれませんか)」「Could you lie on your back?(仰向けになってもらえますか)」といった、臨床で使える英会話についてレクチャー。また実技では、眼の下のくまが青ければ?血、黒であれば気虚、茶色ならば陰虚、などの知識を交えつつ美容鍼を行った。
心療内科・ベスリクリニック理事長の田中伸明氏は鬱病などの精神疾患の薬物治療に代わるとされる最新の治療法、TMS(磁気治療)を紹介。TMSと鍼灸治療の効果の発生機序を図説して類似性を指摘した。
ほかに、飯田泰久氏(グローバル・ジェロントロジー・センター理事)による『南カリフォルニア大学ジェロントロジー学/美齢学』、針生信氏(株式会社針信代表)の『漢方薬から見る本当の中医学』が行われた。
(株)メディケーション 薬店併設事業説明会 治療院に薬店併設で相乗効果
(株)メディケーション 薬店併設事業説明会 治療院に薬店併設で相乗効果
2019.11.10
鍼灸院や整骨院に薬店を併設し、相乗効果で安定した収益を得る――。その経営モデルを提示しているのが、株式会社メディケーション(齋藤聖賢代表取締役)。10月6日と20日に、大阪市内で同社のフランチャイズ(FC)加盟を募る薬店併設事業説明会を開いた。
平成30年の接骨院等の倒産件数は93件(前年比36・7%増)と前年より大幅に増加、この10年間では最多となり、5年連続で前年を上回っている。20日の説明会で、同社の薬店責任者で取締役の藤井宏行氏は、この背景には過当競争や保険の審査の強化があると解説し、同社では同業者との差別化を図るため、また保険に頼らなくとも安定した経営ができるよう、薬店の併設という事業展開に至ったと話した。「痛みなどの症状があっても、病院に行く前にまずはドラッグストアや薬店に行くという人は多い」と指摘。薬店に来た客にヒアリングを行い、ケースによっては整骨院での施術を勧めているとした。また、整骨院での治療と薬店の商材による日頃のケアの組み合わせによって患者の経済的負担も軽減されるとし、例えば軽度の椎間板ヘルニアでも病院で手術すると42万円かかるが、同社の整骨院では3万5千円に抑えられると述べた。
薬の管理登録販売者になるには5年以内に積算2年以上(月80時間以上の勤務×24カ月分)の登録販売者としての実務・業務経験が必要になる。藤井氏は、大手ドラッグストアチェーンで勤務して条件を満たすのは、シフトの融通が利かないため院を運営しながらでは困難なうえ、業務は雑用がほとんどという実態にあると説明。受け皿として同社の薬店での研修も行っているとして、FC加盟を呼び掛けた。
最後に齋藤代表があいさつに立ち、「安価な慰安を提供しているというような今の業界のイメージを払拭したい。同じ思いを持った先生方とともに事業を発展させていきたい」と語った。
今後、説明会は12月1日(日)、15日(日)にも開催される。参加費は2,000円、定員20名。問い合わせは藤井氏(06・6623・2257)へ。