レポート 大府市との地域包括協定による「東洋医学健康講座」
2022.02.10
愛知県鍼灸マッサージ師会 知多支部長 中井雄二
体験型ワークショップで楽しみながら鍼灸マッサージを啓蒙
昨年7月から12月にかけて、当会・愛知県鍼灸マッサージ師会の知多支部会員らが講師を務めた全9回シリーズの「東洋医学健康講座」を大府市横根公民館等で行いました。地域包括連携協定を結ぶ大府市からの講師依頼を受け、近年流行りの体験型ワークショップ形式で開催しました。60~90代の比較的元気な地域高齢者が、コロナ禍にもかかわらず各回5~25名集まってくれました。
シリーズものなので、テーマ・体験内容も工夫を。最初のうちは「自宅で東洋医学を取り入れよう」や「お灸体験とサルコペニア・フレイル予防」と題して、ショウガ湯や台座灸などを実際に試してもらいました。東洋医学に親しんでもらった頃に、鍼灸マッサージの概要などを説明していき、ツボ取り体験や押圧体験、施灸体験、さらには参加住民の気になる症状に合わせた施術まで最終的に行いました。
受講後、参加者から「鍼灸マッサージがぎっくり腰や寝違いなどの筋肉的な痛みだけでなく、体全体にも作用し、継続することで免疫力アップ、体質改善につながることを初めて知りました」との声が聞かれました。また公民館館長からも「普段の講座は講師の方が一方的に話すというケースが多いが、今回は参加者が積極的に体験・質問するというもので、何より楽しそうでした。周辺の公民館にもすぐに噂が広まり、必ずお声がかかりますよ」という嬉しい言葉も。一方で、「お灸はお仕置きでされるもの」との悲観的な意見が未だに多く、驚かされました。鍼灸マッサージ師に「診断権」があると誤解をしている市民も少なくない点も含め、より一層の啓発活動に力を入れるべきと感じました。
また、今回は大府市との地域包括連携協定に基づく高齢者を対象とした取り組みでしたが、不登校や引きこもりの原因として問題になっている起立性調整障害への灸指導・マッサージ施術などの提案を市に持ちかけているところですので、今後は地域の全世代にアプローチしていければと考えています。




