レポート 米国・AIMCでのトリガーポイント鍼治療講義
2017.12.10
この度、アメリカのカリフォルニア州サンフランシスコにあるAIMC Berkeley(Acupuncture and Integrative Medicine College, Berkeley:バークレー鍼・統合医療専門職大学院)にて、痛み治療の一つである「トリガーポイント鍼治療」に関する講演をさせて頂く機会を得ました。 (さらに…)
レポート 米国・AIMCでのトリガーポイント鍼治療講義
レポート 米国・AIMCでのトリガーポイント鍼治療講義
2017.12.10
この度、アメリカのカリフォルニア州サンフランシスコにあるAIMC Berkeley(Acupuncture and Integrative Medicine College, Berkeley:バークレー鍼・統合医療専門職大学院)にて、痛み治療の一つである「トリガーポイント鍼治療」に関する講演をさせて頂く機会を得ました。 (さらに…)
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』81「名大医学部付属病院総合診療科統合ヘルスケアチーム」のディスカッションに参加して
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』81「名大医学部付属病院総合診療科統合ヘルスケアチーム」のディスカッションに参加して
2017.12.10
先日、『日本プライマリ・ケア連合学会第6回中部ブロック支部学術集会』にて、日本型統合医療の理念について、地域医療を担う家庭医の皆さんに教育講演をしてきました。講演の後、私と同じくアリゾナ大学のプログラムを修了した名古屋大学総合診療科の伊藤京子先生が主宰している「名古屋大学医学部付属病院総合診療科統合ヘルスケアチーム」のメンバーを主体としたシンポジウムにも参席し、家庭医らとディスカッションもしました。 (さらに…)
連載『中国医学情報』153 谷田伸治
連載『中国医学情報』153 谷田伸治
2017.12.10
☆尋常性白斑(シロナマズ)の火鍼治療
マイケル・ジャクソンが罹患したことで知られる尋常性白斑に対して、上海市皮膚病医院・宋勛らは、火鍼が効果的だったと報告した(上海鍼灸雑誌、17年8期)。 (さらに…)
『高度実践柔道整復師コース』開設 平成30年4月、日体大が大学院に
『高度実践柔道整復師コース』開設 平成30年4月、日体大が大学院に
2017.12.10
日本体育大学は平成30年4月から、大学院に保健医療学研究科修士課程を設置して『高度実践柔道整復師コース』を開設する。同コースでは「高度の臨床技量(柔道整復術)を有する臨床現場の指導者」及び「柔道整復師養成施設(大学)等の教員(柔道整復の教育者・研究者)」を養成するとしており、入学対象は柔整師の有資格者もしくは取得見込みの者。
同大学によれば、高度実践柔道整復師とは、「研究者としての資質」「臨床家としてのプロフェッショナリズム」「科学的根拠に基づく柔道整復術」「臨床現場での指導力」を備えた柔整師となっている。
詳細は同大学ホームページ(http://www.nittai.ac.jp/gakubu/graduate/medical_health/)を参照。
Q&A『上田がお答えいたします』 患者の希望による鍼灸施術の医師同意書は認められないのか?
Q&A『上田がお答えいたします』 患者の希望による鍼灸施術の医師同意書は認められないのか?
2017.12.10
Q.
先日、医師から同意書をもらって鍼灸治療を受けた患者ですが、全額不支給通知が届きました。「鍼灸院からの依頼および本人の希望のみにより医師が同意書を発行したものであり、はり師・きゅう師による施術に対する保険給付たる療養費の支給基準に該当しないと判断いたしました」と書かれています。どういうことでしょうか。
A.
結論から言えば、あなたの加入している健保組合が勉強不足で、誤った不支給処分をしたということです。 (さらに…)
第26回日本柔道整復接骨医学会学術大会 スポーツ後は「温めろ」
第26回日本柔道整復接骨医学会学術大会 スポーツ後は「温めろ」
2017.12.10
運動生理学の観点から
第26回日本柔道整復接骨医学会学術大会が11月3日、4日、『地域のゲートキーパーとしての柔道整復師―安心・安全な柔道整復の提供のために』をテーマに大阪市内で開催された。
札幌医科大学医学部細胞生理学講座の當瀨規嗣氏が、『新しい運動生理学―スポーツケアを中心に』と題して特別講演を行った。スポーツ後の身体の冷却は、疲労や痛みからの回復とは無関係であることが近年の研究で分かってきていると述べ、冷却はむしろ回復を遅らせると指摘。 (さらに…)
連載『汗とウンコとオシッコと…』160 anemia for yourself
連載『汗とウンコとオシッコと…』160 anemia for yourself
2017.12.10
今年は紅葉の色合いが美しい。特に山の谷間の色合いが、日の当たる斜面に比べて素晴らしい。秋の長雨と、例年よりも早い冬の到来の影響だが、厳しい影響を受けているのが我々の身体、そして財布だ。野菜が高騰しており、特に葉物が高い。体幹に熱が強い人、陰気を付けたい人には影響が大きいだろう。どんな影響が出るかは人それぞれだが、便秘傾向を基に、冬場なのに上焦に影響する病が増加する可能性が出てくるわけだ。逆に冷えを強く感じる人は、下半身に病態を現すことが多いだろう。
森畑の友人で、高校の体育教師の服部氏が、16歳の陸上部の生徒を連れてきた。名を橋爪君といい、地方大会で好成績を収め、全国に向かうための地区大会優勝を目指しているという。長距離を走る橋爪君の主訴は左膝内側部の痛みと、時折感じる脱力だ。MRIなどの検査では構造的な問題は無いが、走れる時と走れない時の差が激しい。中学生の時からこの傾向はあり、夏場は大丈夫だが、秋口になると決まってこの症状が強まっていくということだった。大会の成績が心配なのもあっていつになく必死な服部先生が、見るに見かねて治療に通わせるようになったという次第だ。 (さらに…)
連載『未来の鍼灸師のために今やるべきこと』11 治療・予防・未病の境界線~予防と養生の違い~
連載『未来の鍼灸師のために今やるべきこと』11 治療・予防・未病の境界線~予防と養生の違い~
2017.12.10
鍼灸の将来について語る際には、今後の医療を見据えた上での議論が大切です。本邦の医療費は年々増加しており、このままの医療を維持できない現状を考慮すると、今後の医療が「治療」から「予防」へとシフトしていくことは明白でしょう。そして予防を広めるために不可欠なのが、国民が持っている「健康の物差し」を「病気」から「未病」や「健康」に変えていく作業です。そのため、ここまでは、主に「物差し」に一番ズレが生じている、病気の人たちの価値観を変えるための様々な取り組みを紹介してきました。 (さらに…)
『ちょっと、おじゃまします』 ~鍼灸を第一選択に~ 大阪市中央区<やまがみ鍼灸院>
『ちょっと、おじゃまします』 ~鍼灸を第一選択に~ 大阪市中央区<やまがみ鍼灸院>
2017.12.10
肩や頚のひどい凝りを訴えても湿布を処方されるだけ。原因不明の頭痛に苦しみ、脳外科でMRI検査を受けるも異常無し――。「肩こりと頭痛の解消」を掲げるやまがみ鍼灸院は開院して1年半ほどですが、そんな患者さんの駆け込み寺となりつつあるようです。院長の山上先生は、眩暈などに悩まされていた自身の経験から、頭部や頚肩部の治療を試行錯誤しながら模索してきたといいます。 (さらに…)
今日の一冊 医者は患者をこう診ている 10分間の診察で医師が考えていること
今日の一冊 医者は患者をこう診ている 10分間の診察で医師が考えていること
2017.12.10
医者は患者をこう診ている 10分間の診察で医師が考えていること
グレアム・イーストン 著
河出書房新社 2,484円
胸の痛みを訴える人、転倒したという人、鬱病で自殺願望のある人、麻薬を要求する人――。ある日の午前中、英国の家庭医・総合診療専門医である著者の診察室には18件の予約が入っていた。老若男女、さまざまな疾患を持つ患者たち。予約した時間に遅刻するのは当たり前で、中には来院しなかった者もいたが、一人の患者に費やせたのは平均して約10分間。その間に、医師は患者を「どう診ていた」のか。最初の患者から最後の患者まで時系列通りに紹介し、リアルタイムなやり取りと医師としての考察を綴る。
編集後記
編集後記
2017.12.10
▽プレイステーション4を買いました。15年振りの据え置きゲーム機、お目当ては恐竜だらけの島でサバイバルするゲーム「ARK」。夜な夜な恐竜と戦い、食われたり食ったり仲良くなったりしています。島に拠点を構えることもでき、昨夜は目標だったオーシャンビューの別荘を完成させてご満悦。ゴーグル状の画面でVR(バーチャルリアリティー)を楽しめるスピンオフ作品も開発中で、今から待ち遠しい。VR技術と言えば、娯楽と並んで研究が盛んなのが医療分野。手術の訓練や遠隔医療はもちろん、最近は診察室や待合室など医療施設の内装をバーチャルで組み立てて「内覧」できるシステムも開発されたとか。独立したい施術者が、家から一歩も出ずに理想の施術所を建ててご満悦……という日も近い?(平)
あマ指師課程新設非認定処分取消裁判 大阪地裁で第3回口頭弁論
あマ指師課程新設非認定処分取消裁判 大阪地裁で第3回口頭弁論
2017.07.25
原告 職業選択の自由、志望する晴眼者も制限
被告 立法事実に関する書証を示し、今後反論
学校法人平成医療学園らが、あん摩マッサージ指圧師養成課程の新設申請を認めなかった国に対し、処分取消を求めて提訴した裁判について、1月12日、大阪地裁で第3回口頭弁論が開かれた。
原告は、訴状において、あはき法19条が職業選択の自由(憲法22条)を制限していると主張した点について、「学校・養成施設を設置しようとする者だけでなく、あん摩マッサージ指圧師の資格をとろうとする晴眼者の職業選択の自由も制限する」と明示した意見等を含む準備書面と文書提出命令申立書を1月10日付で提出した。これに対して、口頭弁論の中で、被告の国側は反論する書面とともに、19条の立法事実に関する書証を今後提出するとの意向を示した。
次回の弁論は、4月17日15時を予定。なお、当日は91席あった傍聴席は全て埋まっており、白杖を手にする視力障害者の姿が多くみられた。
平成26年度の療養費推計値 柔整3,825億円、3年連続減
平成26年度の療養費推計値 柔整3,825億円、3年連続減
2017.07.25
はり・きゅう380億円、マッサージ670億円
厚生労働省はこのほど、平成26年度の柔道整復、はり・きゅう、マッサージの療養費推計値(医療保険分)を公表した。柔整は前年度より30億円減の3825億円だった。100億円規模の減少が続いた平成24、25年度に比べ、減少幅は狭まったものの、3年連続の減少となった。はり・きゅうは380億円(前年度比4・3%増)、マッサージは670億円(同5・2%増)となっている。
なお、平成26年度は、同年4月より料金改定が施行された年で、税率が8%となった消費税への対応として、0・68%増の改定率で施術料等が引き上げられている。
区 分
平成20年度
平成21年度
平成22年度
平成23年度
平成24年度
平成25年度
平成26年度
柔道整復
3,933
4,023
4,068
4,085
3,985
3,855
3,825
対前年度伸び率
2.70%
2.30%
1.10%
0.40%
-2.50%
-3.20%
-0.80%
はり・きゆう
267
293
315
352
358
365
380
対前年度伸び率
8.10%
9.70%
7.50%
11.80%
1.80%
1.80%
4.30%
マッサージ
374
459
516
560
610
637
670
対前年度伸び率
10.30%
22.70%
12.40%
8.50%
9.00%
4.50%
5.20%
国民医療費
348,084
360,067
374,202
385,850
392,117
400,610
408,071
対前年度伸び率
2.00%
3.40%
3.90%
3.10%
1.60%
2.20%
1.90%
(注1)平成21年度までは保険局医療課、平成22年度以降は保険局調査課とりまとめの推計
(注2)柔道整復、はり・きゆう、マッサージ別の療養費の算出について
○全国健康保険協会管掌健康保険(平成20年9月以前は政府管掌健康保険)、健康保険組合、船員保険、日雇特例被保険者、共済組合については推計値を、国民健康保険、後期高齢者医療制度について実績値を使用。
○なお、健康保険組合、船員保険、日雇特例被保険者、共済組合及び国民健康保険の柔道整復、はり・きゅう、マッサージ別の統計が無い又は無かった年度については、
・平成20年度以前の日雇特例被保険者については、療養費総額の実績値に全国健康保険協会管掌健康保険の柔道整復等の各々の割合を乗じ推計。
・平成21年度以前の船員保険、共済組合については、それぞれの療養費総額の実績値に全国健康保険協会管掌健康保険の柔道整復等の各々の割合を乗じ推計。
・平成22年度以降の国及び地方公務員共済組合については、療養費総額の実績値に健康保険組合の柔道整復等の各々の割合を乗じ推計。
保険者機能を推進する会、大阪で柔整問題研修会 大阪社団、「適正化理念」の進捗説明
保険者機能を推進する会、大阪で柔整問題研修会 大阪社団、「適正化理念」の進捗説明
2017.07.25
「広告違反の施術所に不支給を」との提案も
昨年12月22日、大阪府内で開かれた一般社団法人保険者機能を推進する会の『第7回柔整問題研修会』で、公益社団法人大阪府柔道整復師会(大阪社団)が、昨年発表した「療養費適正化理念」の実施状況等を説明した。療養費の適正化策を強力に推し進める保険者団体の勉強会に柔整団体が招かれるのは異例といえる。推進する会理事の長嶺秀一氏(太陽生命健保組合常務理事)は「大阪社団には適正化理念をさらに進めてもらい、私たちもできる範囲で後押ししたい」と述べた。
登壇したのは大阪社団副会長の布施正朝氏。適正化理念を発表した昨年3月から11月までの進捗を報告した。「負傷の徴候の認められない患者への医科受診指導を促進する」との理念では、初検料のみの申請書件数を集計しており、3月施術分で全体の0・04%だった割合が、11月施術分には0・18%に上がったと説明。また、医師への患者紹介用の様式も作成し、整形外科医からも了解をもらっていると述べた。違法広告への対応については、昨年8月に同会会員に向けて自主改善を求める指導通知を出し、今年3月までの徹底を図っているほか、改善された事例を近日中にホームページで公表していくとした。布施氏は、適正化理念の遂行は「府民のための公益社団法人」としての取り組みであるとし、「大阪社団は決して保険請求団体ではない」と強調。最後に、参加した保険者に向けて、「明らかに違法広告を掲示している施術所には不支給決定を出してほしい」と提案した。留意事項通知の中の「通則1」の「療養費の支給対象となる柔道整復の施術は、柔道整復師法に違反するものであってはならないこと」との記載が根拠になり得ると言い添え、業界自らも不正行為を許さないといった姿勢を示した。
また当日は、推進する会所属の健保組合などによる事例発表が複数行われた。柔整だけでなく、鍼灸・マッサージ療養費の取組事例も取り上げられ、不適切な請求に対して不支給決定を出したケースなどを中心に報告された。
第11回JATIトレーニング指導者研修・交流会 リオ五輪女子バレーチームの栄養指導を解説
第11回JATIトレーニング指導者研修・交流会 リオ五輪女子バレーチームの栄養指導を解説
2017.07.25
国際学会、2018年までの開催を視野に
NPO法人日本トレーニング指導者協会(JATI)の第11回トレーニング指導者研修・交流会が昨年12月18日、東海大学高輪キャンパス(東京都港区)で開催された。
『リオ五輪に向けた全日本女子バレーボールチームのコンディショニング』として、管理栄養士で、同チームのほかに野球日本代表チーム『侍ジャパン』、野球の上原浩治選手や大谷翔平選手など、多くの一流選手のサポートを行ってきた大前恵氏が講演。同チーム発足1年目、2014年のワールドグランプリで日本が銀メダルを得た頃は、まだカロリー計算や試合中の水分補給が不十分で、「金メダルを取ったらこれが常識になってしまうかも」と危惧していたと明かし、食事と栄養指導の重要性を強調。▽体格やポジション、選手特性に合わせて目標体重・体脂肪率を設定し、十分な炭水化物・蛋白質を摂取、▽外で摂った食事も写真をメールで送らせて栄養を計算、▽練習中は計器を付けて消費カロリーを測定、▽試合中の消費カロリーが1000㌔㌍を超えると必ず30分以内に炭水化物を摂る、▽スナック菓子は禁止するが、定義は100㌘中10㌘以上が脂質のものとし、和菓子などは自由――といった取り組みを紹介した。女性選手の傾向として、筋肉を付けることを嫌がる、隠れて間食するなど管理が難しい一方で、制限をかける意義を一人ひとりが理解しさえすれば、継続して守る力には長けていると説明。特に若い選手では、身体が大きいこと、あるいは痩せることのメリットや、どういう食べ物が夢を叶えるために良いのかといった説明を丁寧に行い、早い段階で正しい食習慣を身に付けることが重要となるとした。
国際シンポジウムでは、JATIと提携関係を結んだ豪州及び英国のストレングス&コンディショニング協会から、それぞれエミリー・ノーラン女子アドバイザー委員長、ブリジット・スワレス副理事長が来日し、両国のトレーニング指導普及や、指導者の地位向上の取り組みについて語った。座長を務めたJATIの長谷川裕理事長は、各国の団体と関係を深め、アジアのトレーナーを集めた国際学会の開催を2018年初頭までに目指すとの展望を示した。
このほか、『打撃系格闘技種目におけるチームトレーニング』(大野隆成氏・岐阜市役所)など12の講演・実技が行われた。
近畿厚生局 施術録作成ソフト広告で注意喚起 『近畿厚生局・ 厚生労働省が了承』否定
近畿厚生局 施術録作成ソフト広告で注意喚起 『近畿厚生局・ 厚生労働省が了承』否定
2017.07.25
ワンクリックで「予測カルテ」?
近畿厚生局医療課は1月6日付で、管轄地域の柔道整復施術所に対し、『柔道整復施術所に対する施術録作成ソフトの販売広告について(お知らせ)』と題する通知を行った。一部の施術録作成ソフトの広告で「近畿厚生局・厚生労働省が了承」との表記がなされているとした上で、近畿厚生局が特定の販売会社に対し、このような保証を行うことはないと注意喚起した。
本紙の取材によれば、当該文面を用いた広告が昨年12月頃、施術所宛てに送付されていることが確認できた。「厚生局が認めるカルテ」「ワンクリックで自動的に予測カルテを作成」といった内容で、これまでにソフトを使用した者が近畿厚生局から呼び出し通告を受け、処分に至ったことはないとうたっている。
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』60 『混合介護』への期待と課題
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』60 『混合介護』への期待と課題
2017.07.25
1月18日の社会保障審議会の検討専門委員会で厚生労働省は、健康保険を用いた施術を行う鍼灸・あん摩マッサージ指圧師が、療養費の水増しなどで、平成20年度以降に36府県で約5万5千件、約9億5千万円以上の不正を行ってきたと報告し、対策強化の方針を打ち出しました。41兆円を超える医療費に比べれば、受療率の下がり続ける鍼灸やマッサージの療養費など微々たるものではないか、と思われる方もいるかもしれません。しかし、いずれにせよ、医療介護の公費から私費へのコストシフティングが一層加速されることは明らかです。
厚労省の報告の2日前には、東京都豊島区が、家事などの保険外サービスと介護保険サービスを組み合わせる『混合介護』を、国家戦略特区制度を利用して始める方針だと発表しました。今年度中に特区申請し、早ければ2018年度にも導入される見通しだといいます。『混合介護』については以前にもこの紙面でも言及しましたが、現状でも禁止されているわけではありません。ただし、保険内外のサービスを明確に区分することなど一定の条件を求められるため、一体的に提供するケアプランを立てるのは困難であるといえます。昨年には公正取引委員会が厚労省側に対し、混合介護の弾力化を求める報告を公表しました。
現在の混合介護は患者さん宅に様々な業者が出入りしており、中には宗教法人が布教活動の一環として生活支援のボランティアサービスを行っている例まで見受けられます。在宅診療に従事する医師の立場としては、こうした情報が医師に全く入ってこない現状に、大きな問題を感じています。出入り業種を整理し、患者さんの情報を多職種・多業種間で共有し、保険診療を軸足としながらも様々なサービスの選択肢を戦略的に編成し、適正かつ効率的なサービスを提供できる形が望ましいと考えています。
今、このようなサービスの編成はケアマネジャーがその役割を担っていますが、求められる能力が高度化しているといわれます。ここに混合介護という、保険外のサービスを含めて検討しながらケアプランを組み立てる仕組みを持ち込めば、ケアマネジャーの負担が一層大きくなる恐れがあります。また、ケアプランが属人的で、ケアマネジャーによってプランの質に格差が生じているとの指摘もある中で、ここに自費のサービスが入ってくると、適正性をどう担保するのかも大きな課題だといえます。
【連載執筆者】
織田 聡(おだ・さとし)
富山医科薬科大学薬学部卒。中和鍼灸専門学校中退。
富山医科薬科大学医学部卒後、富山県立中央病院などで研修、アリゾナ大学統合医療フェローシッププログラム修了。
平成25年に日本統合医療支援センターを設立し、代表理事を務める。
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』142 腱組織に対する超音波エラストグラフィー研究の 現状について
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』142 腱組織に対する超音波エラストグラフィー研究の 現状について
2017.07.25
宮嵜 潤二(筋・骨格画像研究会)
超音波エラストグラフィー(Real time tissue Elastography : RTE)は、2003年に日立メディコ(現日立製作所)が世界で初めて開発・製品化した技術で、非侵襲的に組織弾性を測定するものである。この技術は、主に乳腺腫瘍領域や、近年では肝線維化診断への応用などで発展してきた。08年以降、各社がRTEの製品化に参入しており、現在、機器の小型化、高解像度化に伴い、筋骨格系に対する応用も広がっている。しかし、腱や靭帯に対する研究が現状どのようになされているかは明らかではない。そこで今回は、RTEによる腱・靱帯に関する研究文献の数などから、同分野における研究の現状を調査した。
検索対象は、03年以降の、ヒトの腱に対してRTEを使用した研究の英語論文とした。検索はPubmedを使用して、キーワードを「ultrasound(超音波)」・「elastography」と、「tendon(腱)」「ligament(靱帯)」「muscle(筋)」で行った。
結果を【図1】に示す。筋骨格系に関する論文は03年から散見されるが、08年頃から大きく増加している。08年以降はシーメンス、GE、東芝、フィリップスなどの各社がRTEに参入し始めた年であることが要因だと考えられる。
12年頃まで論文数の伸びは停滞するも、13年から再び大きく増加している。なお12年以降には、Shear wave imaging方式の Shear Wave Elastography(SWE)の使用が急増している【図2】。
10年にSSI、12年にはシーメンスから相次いでSWEの新しい機器が発表されたこととの関連が考えられる。SWEは、用手的加圧を必要とするStrain imaging方式と比べて、剪断弾性波の伝搬速度により測定することで、定量性に優れているため、研究用途の応用が進んでいるものと推察される。RTEを用いた腱組織に対する研究報告のうち、14年以降の29%(66文献中19文献)がSWEを使用しており【図3】、 SWE普及との関連も示唆された。
RTEによる腱組織研究の対象組織別の論文の内訳を、【表】に示す。腱を対象とした論文の47.3%がアキレス腱の研究で、膝蓋腱と合わせると約60%を占めていた。これらのことから、アキレス腱や膝蓋腱など大径の組織に比べて、細径の腱や組織に対してRTEを使用するには課題があるものと考えられた。
【表】腱組織における対象別の論文数(110文献中)
tissue
n
%
Achilles tendon
52
47.3
pateller tendon
12
12
flexor tendon
9
9
rotator cuff
6
6
Systematic Review
3
3
extensor tendon
2
2
ACL
2
2
others
24
24
本調査において、筋骨格系に対するRTE研究では、近年、腱組織に対してSWEを使用した研究が増加していることが明らかとなった。今後はアキレス腱や膝蓋腱以外の腱組織に対するアプローチが重要であると考えられた。
Q&A『上田がお答えいたします』 上腕部挫傷(上部)の負傷原因として 「三角筋の痛み」は「部位相違」か
Q&A『上田がお答えいたします』 上腕部挫傷(上部)の負傷原因として 「三角筋の痛み」は「部位相違」か
2017.07.25
Q.
上腕部挫傷(上部)の負傷原因として「三角筋部に痛みが出た」と記載したところ、「部位相違」と国保審査会から返戻されました。なぜ返戻されたのか分かりません。 (さらに…)
柔整療養費検討専門委員会 第9回会議 厚労省の審査会権限強化案、批判集まる
柔整療養費検討専門委員会 第9回会議 厚労省の審査会権限強化案、批判集まる
2017.07.25
審査会の体制や法的根拠から問題提起
1月18日、柔道整復療養費検討専門委員会の第9回会議が都内で開かれた。平成29年度からの実施に向けた療養費の見直し案などが厚労省により示され、柔整業界や保険者の委員らが議論を行った。柔整審査会の権限強化に関する案に対しては多くの指摘が挙がった。
(さらに…)