第3回あはき・柔整等の広告検討会 「施術所を医療提供施設に」との提案も
2018.10.25
地方自治体と保険者のヒアリング実施
10月10日、3回目となる『あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会』が都内で開かれた。今回は、広告指導を含む施術所管理を行う地方自治体と、療養費の審査・支給決定を行う保険者から広告に関する現状の報告に加え、意見・提案等が示された。
地方自治体からは、奈良県橿原市と愛知県豊橋市の2市。 (さらに…)
第3回あはき・柔整等の広告検討会 「施術所を医療提供施設に」との提案も
第3回あはき・柔整等の広告検討会 「施術所を医療提供施設に」との提案も
2018.10.25
地方自治体と保険者のヒアリング実施
10月10日、3回目となる『あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会』が都内で開かれた。今回は、広告指導を含む施術所管理を行う地方自治体と、療養費の審査・支給決定を行う保険者から広告に関する現状の報告に加え、意見・提案等が示された。
地方自治体からは、奈良県橿原市と愛知県豊橋市の2市。 (さらに…)
あはき療養費、10月1日以降の同意書取扱い等でQ&A(2/2) 施術報告書・支給申請書関連
あはき療養費、10月1日以降の同意書取扱い等でQ&A(2/2) 施術報告書・支給申請書関連
2018.10.25
10月より適用された「同意書の新たな取り扱い」や「施術報告書の新設」などで、判断に迷うケース等での厚労省の具体的な考え方が示されている。以下は、前号で取り上げなかった「施術報告書交付料」「支給申請書」の項目から一部を抜粋。
【施術報告書交付料関係】
(問) 施術報告書の目的はどのようなものか。
(答) 施術が支給対象に当たるかどうかを保険者が判断するため、医師の同意・再同意は重要である。そのため、医師は、再同意に当たり、施術者の作成した施術報告書により施術の内容や患者の状態等を確認するとともに直近の診察に基づき再同意する。また、医師は、施術に当たって注意すべき事項等があれば同意書の「注意事項等」欄に記載し施術者に連絡する。このように、医師と施術者が文書によるコミュニケーションを図り、連携を緊密にすることにより患者に必要な施術が行われる仕組みの一環として、施術報告書の取扱いを導入したところである。
(問) 施術報告書の「施術の内容・頻度」欄及び「患者の状態・経過」欄は、記入する必要があるか。
(答) 施術報告書は、医師の再同意に資するものであり、記入して交付する必要がある。なお、保険者は、支給申請書に添付された施術報告書の写しに当該各欄の記入がない場合、施術報告書交付料を不支給として差し支えない。
(問) はりきゅうとマッサージの施術報告書が毎月交付された場合、施術報告書交付料は、毎月支給できるか。
(答) 毎月の支給はできない。施術報告書交付料は、「一の同意書、診断書により支給可能な期間の施術について、施術報告書を患者に複数回交付した場合であっても、支給は1回に限る」こととされており、具体的な取扱いとしては、6ヶ月以上の期間に対して1回支給するものである。
(問) はりきゅうとマッサージの施術報告書交付料の支給の基準について、「初療若しくは直前の医師による再同意日の属する月の5ヶ月後(初療若しくは再同意日が月の16日以降の場合は6ヶ月後)の月に施術報告書を交付した場合」とはどのような場合か。
(答) はりきゅうとマッサージの施術報告書交付料は、療養費の支給可能期間(6ヶ月)の最終月(暦月)の施術における状況等を施術報告書に記入し同月中に交付した場合に支給できるものであり、例えば平成30年10月初めに医師から再同意を受けた患者について、施術者が支給可能期間の最終月である平成31年3月下旬の施術における状況等を施術報告書に記入し同日以降の同月中に患者に交付した場合に支給できる。
(問) 施術報告書の交付日は、どのような日付を記入するか。
(答) 施術報告書の交付日は、施術を行った日ではなく、実際に施術報告書を交付した日付を記入する。
(問) 施術報告書交付料は、いつから支給できるか。
(答) 施術報告書交付料は、平成30年10月以降の施術における状況等を施術報告書に記入し、同月中に交付した場合に支給できる。そのため、9月以前の施術について施術報告書に記入する場合や9月以前に交付した場合は支給できない。
(問) 施術報告書を交付する月の施術について、複数の施術者がそれぞれ施術を行った場合、施術報告書は、誰が記載するのか。
(答) 患者に対して、中心的に施術を行った施術者が代表して記載する。
(問) 施術報告書の作成について、「やむを得ず、施術報告書を作成しない場合」とあるが、やむを得ず作成しない場合とは、どのような場合か。
(答) 例えば、施術者が視覚障害者であり、施術報告書の作成に係る負担が大きい場合等が考えられる。なお、施術報告書は、施術者と医師の連携を緊密にすることにより患者に必要な施術が行われることを目的とするものであり、特段の事情がない限り、施術者において交付するよう努めるべきものである。また、施術報告書を作成しない場合であっても、施術者は、患者を診察する医師からの施術に関する問い合わせに応じるべきものである。
〈マッサージのみ〉
(問) 変形徒手矯正術の施術報告書交付料の支給の基準とはどのようなものか。
(答) 療養費の支給可能期間(1ヶ月)内の施術における状況等を施術報告書に記入し、当該施術日の同月中に交付した場合に、当該支給可能期間中に1回に限り支給できるものである。
【支給申請書関係】
(問) 平成30年10月1日以降、「一の同意書、診断書により支給可能な期間」内における1回目の請求については、療養費支給申請書に、新しい様式の同意書(又は診断書)の原本を添付する必要があるのか。
(答) 同意書(又は診断書)の交付年月日が平成30年10月1日以降であれば、そのとおり。保険医の同意年月日が平成30年9月以前の場合、従来の取扱いで差し支えない。その場合、療養費の支給可能期間は従来どおり(はり・きゅうは3ヶ月、マッサージは3ヶ月、変形徒手矯正術は1ヶ月)となる。
(問) 平成30年10月1日以降、「一の同意書、診断書により支給可能な期間を超えて更に施術を受ける場合は、当該期間を超えた療養費支給申請については、医師の同意書を添付すること」とされたが、はりきゅうとマッサージの支給可能期間(6ヶ月)の最終月中に保険医より同意書(又は診断書)が交付された場合、どのように取り扱うものであるか。
(答) 当該最終月(暦月)の翌月分の支給申請書に同意書(又は診断書)の原本を添付するものであるが、同意書(又は診断書)の交付により「一の同意書、診断書により支給可能な期間」が変更されるので、当該最終月分の支給申請書に添付しても差し支えないものである。
(問) 療養費支給申請書の様式については、同意書、診断書、施術報告書と異なり、平成30年10月1日以降も参考様式とされているが、従来どおり、必要に応じ保険者において必要な欄を追加することは差し支えないのか。
(答) そのとおり。なお、受領委任の取扱いに係る療養費支給申請書の様式は、参考様式ではない統一の様式であるので留意されたい。
商品紹介 吉田養真堂『MEGUREFRE―めぐリフレ―』
商品紹介 吉田養真堂『MEGUREFRE―めぐリフレ―』
2018.10.25
―5種の精油と天然メントール配合―
株式会社吉田養真堂(奈良県橿原市)の足リフレッシュシート『MEGUREFRE―めぐリフレ―』。
足の裏や足首、ふくらはぎなどに貼ってリフレッシュ。ラベンダー・グレープフルーツ・ベルガモット・マジョラム・ローズマリーの5種類の精油と天然メントールを配合した。シートの素材は水分を含まないため気化熱で体温を奪うことがなく、菌が繁殖しにくいので防腐剤不使用、パラベンフリーでかぶれにくい。1箱20枚入り、参考上代980円(税抜)。
製品に関する問合せは同社(0744-22-2374)へ。
日鍼会の第2回医療連携研修講座
日鍼会の第2回医療連携研修講座
2018.10.25
―整形外科医・内科医の講演や他職種への報告書の書き方等―
公益社団法人日本鍼灸師会(日鍼会)の2回目となる医療連携研修講座が9月16日、17日、日本鍼灸理療専門学校(東京都渋谷区)で開かれた。冒頭、日鍼会理事・研修事業担当の小川卓良氏が登壇し、研修の意義や目的を説明した。近年、無資格者の鍼灸受療層への浸食や鍼灸師激増による資質の低下、患者の受療行動・動機の変化などの要因で、従来型の鍼灸院運営が成り立たなくなっていると解説。日鍼会を含む4団体で構成する『国民のための鍼灸医療推進機構』(AcuPOPJ)の将来検討委員会における現状を打破できる事業モデルについての検討結果では、▽医療機関との連携、▽在宅医療との連携、▽産業鍼灸、▽スポーツ鍼灸、▽介護予防、などの分野が挙がっており、いずれも「医療連携ができること」が求められると述べ、自分の治療技術を向上させればいいという時代ではなくなってきていると説いた。
2日間の会期中には、医療機関への紹介状や医師・他の医療従事者に向けた報告書の書き方を学ぶワークショップが行われた。肩背部痛や嗄声などを主訴とする症例が課題に出され、40名ほどの参加者が所見等の情報も踏まえ、紹介状・報告書の作成に取り組んだ。また医師講演として、整形外科医の立花陽明氏(埼玉医科大学整形外科教授)、神経内科医の武田英孝氏(山王メディカルセンター)、内科医の松原哲氏(呉竹メディカルクリニック名誉院長)の3氏が講演し、異なる視点から外来患者を診る際のポイントや医療連携で鍼灸師に望む知識を伝えた。
「鍼灸師としてのプロフェッショナリズム」をテーマとした津田昌樹氏(日鍼会研修委員長)の講演では、過去の建築耐震構造問題やディオバン事件を例に挙げ、現在、このような事件をきっかけに社会と専門職(建築士や医師)の関係が一気に悪化する時代だと説明。鍼灸業界では、師弟関係によってプロフェッショナリズムの形成が行われてきたが、今後は広く一般に分かるよう「明文化」し、それを鍼灸師個々がいかに自律的に学んでいけるかが課題になるとした。また、そのために業団が鍼灸師という職業のブランディングを図る必要性があることも強調した。
柔整療養費 患者ら、奈良県橿原市を提訴
柔整療養費 患者ら、奈良県橿原市を提訴
2018.10.10
―過誤調整による不足額支払い求め―
柔整療養費に係る奈良県橿原市の国民健康保険申請書の「過誤調整」をめぐり、同市に住む患者らが原告となって、本来支給されるべき療養費の不足額の支払いなどを求める訴訟を奈良地裁で提訴した。「過誤調整」は従来、記号番号の記入漏れといった形式上の誤りにのみ実施されてきた実態にあるが、本件では数年前に同じ施術者が行った別の患者の施術で、しかも既に支給済みの療養費について、相殺処理的な控除が行われたと原告側は主張している。
6月11日付の訴状によれば、訴訟の対象となった療養費の請求は、平成29年1月から3月にかけて、橿原市内の複数の施術所において、原告らやその被扶養者が受療した施術に関するもの。これらの施術所は、いずれも全国柔整師協会(全柔協)に支給申請の代行及び療養費の代理受領を委任していた。同市は全柔協に対し、「平成26年度から平成28年度の療養費について、患者・柔整師への文書照会を行ったところ、本来支給すべきではなかった療養費が判明した」と通告。過誤支給分の返戻額を施術者ごとに算出した上で、支払いが決定していた平成29年1月から3月までの施術分の療養費から「過誤調整」の名目で相殺処理を行ったという。
橿原市は全面的に争う構え
一方、被告の同市は9月10日に答弁書を提出。あくまでも手続上または形式的な誤りについてのみ、過誤調整制度を含む療養費審査支払規則に基づき処理しており、指摘された相殺処理的な控除は行っておらず、原告らから請求を受けた療養費は全額支払い済みであると主張。また、代理受領権限を与えた相手は当該施術所の施術管理者であって全柔協ではないとも主張した上で、訴状の内容を否認し、全面的に争う構えをみせた。
9月20日、奈良地裁において行われた口頭弁論では、裁判官から被告に対し、受領委任の仕組みに関する詳しい説明が求められたほか、原告側からは、大阪地裁、高裁における判決(後述)を提出するので参考にしてほしい旨が伝えられた。全柔協は今後、利害関係を持つ原告側の補助参加人として裁判に関わっていく見通し。次回弁論は11月14日を予定している。
大阪市被告の裁判では患者・全柔協勝訴
過誤調整の名目で行われる相殺処理をめぐっては過去に大阪市でも問題となり、平成26年春、今回と同様に患者らが大阪市を相手取り、裁判を起こした。平成28年2月の大阪地裁判決は大阪市に未払い分の支払いを命じ、大阪市は控訴したものの、平成29年3月に大阪高裁が棄却。原告らの勝訴となった(本紙1046号参照)。
この裁判で補助参加人となっていた全柔協の関係者からは、「この判例を踏まえれば、今後同様の裁判で(原告側が)負けることはない」との声も上がっていた。
『医療は国民のために』257 「骨太の方針」から療養費廃止を危惧してしまう
『医療は国民のために』257 「骨太の方針」から療養費廃止を危惧してしまう
2018.10.10
今年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018」を読むと、保険医療に関して、「必要な保険給付をできるだけ効率的に提供しながら、自助、共助、公助の範囲についても見直していく必要がある」と書かれているのに気づく。いわゆる「骨太の方針」と呼ばれるこの方針は、国の財政を健全化するため、首相が議長を務める経済財政諮問会議での答申を経て決定したもので、関係国務大臣や有識者議員等の意見も十分に反映されている。その中に、「自助、共助、公助の範囲見直し」、つまり健康保険の保険給付範囲を“大胆に”見直すことが示されたのだ。既に薬局での売薬で購入可能な湿布薬や目薬・風邪薬を保険対象外とすることは既定路線になり、「軽度な傷病・負傷」「簡単な医療行為」「軽微で低額廉価」なものを保険から外していくということを読み取ることができる。
さて、私たちが取り扱う療養費は、被保険者や世帯主に帰属する「債権」であり、柔整師や鍼灸師のものではないことから、「請求人」である被保険者等の氏名を申請書に患者自らが請求人として「署名」している。よって、診療報酬が医師に帰属する債権であるのとは法令上の立て付けが違うのだが、実態としては、現物給付化のような保険支払いシステムとして「受領委任の取扱い」が認められている。つまり、柔整療養費とともに、来年1月より受領委任が始まるあはき療養費も、諮問会議が議論の対象としたい「軽度対応」とみなされる可能性は高いといえる。ここに、柔整療養費やあはき療養費の存続の危機を強く感じている。
もちろん、「医科本体における軽度傷病」を保険適用から除外するにあたり、軽度傷病の範囲を明確にする必要があるが、保険対象外へと真っ先に追いやられそうなのが柔整とあはきではないか。医療財源の枯渇によって医科本体のどの業界・分野も生き残りに必死だ。「近い将来、医師など食べていけない」などと評する文献も出ているようだ。そんな中で、柔整やあはきの療養費取扱いだけが温存されるわけがない。しかも、このテーマを考えるには、①混合診療のあり方、②保険給付率のあり方、③自己負担の定額化、などの議論を抱き合わせにして同時進行していくことになろうかと推察している。
ところが、業界はなぜかだんまりを決め込んでいる。まさか、「自民党の先生方が守ってくれる」という言葉をここにきても繰り返すのか。万が一、療養費から施術者取扱い分が除外され、柔整・あはき療養費が廃止となった場合をも想定に入れ、柔整業界は自費取扱いの理論構成を考えねばならないし、あはき業界は受領委任導入後の従来までの自由料金との差について、多くの疑義が生じることの検討をしておく必要があるだろう。
【連載執筆者】
上田孝之(うえだ・たかゆき)
全国柔整鍼灸協同組合専務理事、日本保健鍼灸マッサージ柔整協同組合連合会理事長
柔整・あはき業界に転身する前は、厚生労働省で保険局医療課療養専門官や東海北陸厚生局上席社会保険監査指導官等を歴任。柔整師免許保有者であり、施術者団体幹部として行政や保険者と交渉に当たっている。
平成28年度国民医療費 柔整は165億円減で、5年連続減少
平成28年度国民医療費 柔整は165億円減で、5年連続減少
2018.10.10
―マッサージ・鍼灸、増加するも伸び低調―
厚労省は9月21日、平成28年度の柔整・あはき療養費を含む国民医療費の結果を公表した。国民医療費は42兆1,381億円で、前年度より2,263億円減少し、10年ぶりにマイナスに転じた。療養費等は131億円減の5,427億円となり、医療費全体に占める割合は前年度と変わらず1.3%だった。
療養費等の内訳をみると、柔道整復は165億円減って3,663億円(前年度比4.3%減)。平成24年度より5年連続で減少し、その間の減少額は464億円と落ち込みが著しい。あん摩・マッサージは715億円(同1.7%増)、はり・きゆうは410億円(同3.5%増)とともに増えたものの、伸び率は低調だ。
第8回日本中医学会 漢方・中医学の心身治療を検討
第8回日本中医学会 漢方・中医学の心身治療を検討
2018.10.10
第8回日本中医学会が9月8日、9日、東京都内で開催された。第2回世界中医薬学会連合会心身医学分科会との合同開催。
戴昭宇氏(香港浸会大学中医薬学院主任中医師)による会頭講演『胃腸からみた漢方と中医学の心身医療』では、「脾胃が病むと、百病も続発」という言葉を紹介した。特に情志(精神情動)関連では、IBS(過敏性腸症候群)患者には慢性的に不安とうつ気分を持つ者が多く、統合失調症患者には胃腸症状を随伴する者が多いなど、心身が互いに影響し合っていることを示唆。有益な食物の摂取などによる腸内フローラの改善が、うつ症状の改善、統合失調症の治療効果の向上や副作用の軽減につながるとした。また、瀉心湯による心下痞の治療を例に日中両国における応用を考察したところ、中国側は主に身体症状に着目しているのに対し、日本の漢方診療は不眠、不安、狂躁、夢遊、癇証などの精神・情動異常に対する応用が目立つと方向性の違いを説明。吐き気や下痢、便秘、腹痛、頭痛など、従来身体症状としてみられたものに対しても、心身を共に重視する立場から対応を再検討すべきであり、日中の伝統医学、また、西洋医学との間でも、心身医学はお互いを補完しやすい接点になり得ると呼びかけた。
温崇凱氏(台湾中医臨床医学会理事長)の招待講演では、同氏の20年以上の臨床経験を通じて提唱する、神経伝達刺激作用を原理とし、現代医学の知識に基づいた経穴の選択を行う鍼灸施術「温氏針法」を紹介。刺鍼実技も披露した。
このほかに、招待講演として林展弘氏(台北市中医師公会理事長)の『台湾中医薬の心身医療現状』、黄立中氏(湖南中医薬大学)の『神を持つ者が平安―心理状況の癌治療効果に対する影響の分析』の2題、趙吉平氏(北京中医薬大学)による鍼灸実技講演『心身疾患の鍼灸治療における「内経」〝形神理論〟の応用』、シンポジウム5題などが行われた。
あはき療養費、10月1日以降の同意書取扱い等でQ&A(1/2) 保険医の同意、療養費の審査関連
あはき療養費、10月1日以降の同意書取扱い等でQ&A(1/2) 保険医の同意、療養費の審査関連
2018.10.10
厚労省が10月1日付で発出。10月以降の同意書取扱いの変更や施術報告書の新設等に関して、「保険医の同意」「療養費の審査」「施術料」「施術報告書交付料」「支給申請書」に分け、具体的な考えを示した。以下は保険医の同意、療養費の審査、施術料から一部抜粋。
【保険医の同意関係】
(問) 新しい同意書、診断書の様式について、様式に独自の記入欄を設ける等、適宜変更してよいか。
(答) 新しい同意書(裏面を含む。)、診断書の様式について、記入方法(手書き、パソコン等)や様式の作成方法(複写機、ワード、エクセル等)の定めはないが、様式に独自の記入欄を設ける等、保険医療機関、保険者又は施術者ごとに様式が異なり取扱いに差異が生じることは適当でないので、(厚生労働省のウェブページに掲載されている様式を使用するなど)新しい様式を使用することが望ましい。ただし、新しい様式に記載されている項目をすべて満たしていれば、各医療機関独自の項目を設けることも可能である。なお、新しい同意書の裏面については、同意書を記載する保険医に対する留意事項を記載したものであり、必ずしも両面印刷でなくとも差し支えないが、保険医は同意に際して当該留意事項を確認するものであるため、当該裏面を見開きや別紙に印刷するなど、保険医が当該裏面の内容を確認できるものであること。
(問) 同意書の「同意区分」欄について、複数の保険医が勤務する保険医療機関で引き続き同一疾病について同意書を発行する場合であって、初めて患者を診察する保険医が同意書を発行する場合、「再同意」に〇をつけるものであるか。
(答) そのとおり。
(問) 同意書の「診察日」欄と保険医の同意の欄には、どのような年月日を記入するものであるか。
(答) 「診察日」欄には、実際に患者に対して、同意する疾病に係る診察をした直近の年月日を記入し、保険医の同意の欄の同意日には、実際に同意し、同意書を交付した年月日を記入するものである。保険医療機関の都合により同意書の発行に一定期間がかかる場合等、診察日の後日に同意書を交付することもあり得ることから、診察日と同意書の交付日が同日とは限らない。
(問) 平成30年10月1日以降、療養費の支給に必要な保険医の再同意について、文書によらない口頭などによる再同意は認められないのか。
(答) そのとおり。保険医が新しい様式の同意書(又は新しい様式に記載されている項目をすべて満たしている様式)を交付する必要がある。
(問) 平成30年10月1日以降、療養費の支給に必要な保険医の再同意について、診察のない再同意は認められないのか。
(答) そのとおり。
〈鍼灸のみ〉
(問) 療養費同意書交付料の算定に際しては、保険医療機関が作成する診療報酬明細書において、同意書又は診断書の病名欄に記載した病名を記載することとされているが、はりきゅうの支給要件に該当する「頸腕症候群」が診療報酬請求における病名ではないため、同意書及び診断書の様式について、「病名」欄の「3.頸腕症候群」を「3.頸肩腕症候群」としてよいか。
(答) 療養費の支給対象として留意事項通知に定められているものは頸腕症候群であり、同意書及び診断書の様式の「病名」欄については「3.頸腕症候群」であるが、頸肩腕症候群は頸腕症候群の別名であるため、「3.頸肩腕症候群」に変更して差し支えない。
〈マッサージのみ〉
(問) 新しい同意書の様式の「往療」欄に「往療を必要とする理由」欄が追加されたが、施術の同意を行った保険医の往療に関する同意の判断基準はどのようなものか。
(答) 往療が必要な状況とは、患者が疾病や負傷のため自宅で静養している場合等、外出等が制限されている状況をいうものである。保険医は、例えば、患者が独歩による公共交通機関を使用した保険医療機関や施術所への通院や通所が困難な状況(付き添い等の補助が必要、歩行が不自由であるためタクシー等の使用が必要等)であるか否か、患者が認知症や視覚、内部、精神障害などにより単独での外出が困難な状況(全盲の患者や認知症の患者等、歩行は可能であっても患者自身での行動が著しく制限されている、循環器系疾患のため在宅療養中で医師の指示等により外出等が制限されている等)であるか否か、介護保険の要介護度や他職種との連携状況等を踏まえ、往療に関する同意を行うものである。
【療養費の審査関係】
(問) 支給申請書に添付されている同意書(又は診断書)について、平成30年10月1日以降に交付された同意書(又は診断書)が従来の様式であった場合、保険者はどのように取り扱うか。
(答) 平成30年10月1日以降に保険医が同意書(又は診断書)を交付する場合、保険者の審査に資するため、診察区分及び診察日の明記された新しい様式(少なくとも新しい様式に記載されている項目をすべて満たしている様式)での交付が必要となることから、申請者に返戻し、新しい様式(又は従来の様式を取り繕った様式)の同意書(又は診断書)の添付を求めることとなる。なお、従来の様式の同意書(又は診断書)の交付に際し保険医が患者を診察している場合、新しい様式(又は従来の様式を取り繕った様式)による同意書(又は診断書)の年月日は、交付済の従来の様式の同意書(又は診断書)の年月日と同日で交付して差し支えない。
(問) 平成30年10月以降の施術分の支給申請書について、平成30年9月以前の同意の場合、どのように取り扱うか。
(答) 平成30年9月以前の保険医の同意(初回の同意(同意書の交付)が平成30年9月以前であり初療日が10月以降である場合を含む。)について、文書によらない再同意、文書による同意(診察のうえ新しい様式で受けた同意を含む。)などにかかわらず、療養費の支給可能な期間は従来どおりの期間(はり・きゅうは3ヶ月、マッサージは3ヶ月、変形徒手矯正術は1ヶ月)である(平成30年10月1日以降の施術に際し、保険医が新しい様式の同意書(又は診断書)を改めて交付する必要はない。)。
【施術料関係】
〈鍼灸のみ〉
(問) きゅうについて、もぐさを使用しない場合、療養費の支給は可能か。
(答) もぐさを使用せず、電気温灸器を使用した場合であっても支給して差し支えない。
商品紹介 全医療器『Ohm Pulser LFP-2000e』
商品紹介 全医療器『Ohm Pulser LFP-2000e』
2018.10.10
―オームパルサーの「最上位モデル」―
株式会社全医療器(福岡市)の『Ohm Pulser LFP-2000e』。低周波・鍼通電低周波治療器「オームパルサー」の「最上位モデル」。
治療前後の変化が数値で分かる計測機能や微弱電流に調整できるマイクロカレント、人間が心地良いと感じるリズムの「1/fゆらぎ」モードなどの新機能を搭載。オプションで、皮下から筋層にかけて通電刺激ができる新アイテム「電気ていしん」もある。各種数値を分かりやすくし細かく設定できるデジタル表示を採用。
販売に関する問合せはセラピ株式会社(0120-89-8128)へ。
JATAC第23回全国活動報告会 東京オリパラ選手村で鍼灸も
JATAC第23回全国活動報告会 東京オリパラ選手村で鍼灸も
2018.10.10
NPO法人ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会(JATAC)の第23回全国活動報告会が9月16日、17日、中和医療専門学校(愛知県稲沢市)で開催された。
特別講演『東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会における医療サービスについて』は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会医療サービス部部長の宮本哲也氏が登壇した。競技会場では選手と観客への医療サービスを区分して提供すると説明。それぞれに医務室と医師・看護師を配置し、選手にはこのほかに理学療法士など競技特性に応じた人員を準備すると述べた。選手村ではポリクリニックと呼ばれる診療所を開設し、選手らの外傷や病気を治療。需要の高い、パフォーマンス向上のための理学療法系サービスも行うとし、鍼灸やオステオパシーなどの手技も想定していると述べた。
―胸骨圧迫は蘇生処置の早期から―
市民公開講座『スポーツ現場における救急処置』は公立陶生病院循環器内科兼救命救急センターの中島義仁氏が講演を行った。心肺蘇生法において、胸骨圧迫に割いた時間や開始時期によって生存率が変わることが分かるなど、近年、国際的なガイドラインで胸骨圧迫の重要性が強調されてきた経緯を解説。胸骨圧迫は蘇生処置の早期に開始し、AED(自動体外式除細動器)を使用する際などを除き心拍の再開が確認できるまで、あるいは救急救命士などの専門家に引き継ぐまで、中断は最小限にとどめるべきだと説いた。
シンポジウム『2020東京オリパラへ向けて』は原和正氏(JATAC副理事長)、田中清久氏(同理事)、中島氏が登壇。原氏は、平成10年の長野冬季オリンピックにJATACが参画できたのは県の体育協会の推薦があったからだと説明。平時からボランティアなどで地域のスポーツに貢献し続けることが大切だと訴えた。田中氏は、滋賀県障害者スポーツ協会での活動を紹介。広汎性発達障害のため痛みを訴えることができない選手がいたと述べ、パラスポーツに関わるには幅広い障害の知識が必要だと指摘した。中島氏は、チームドクターを務める日本障がい者バドミントン連盟での取り組みについて解説。障害者の多くは何らかの疾患や症状を抱えており、その微妙な体調の変化を最も身近で感じるのはトレーナーであるとして、ドクターとトレーナーのコミュニケーションの重要性を説いた。
ほかに『スポーツ大会等におけるアスレチックトレーナーの法的関係性の検討』(小野寺恒己氏・JATAC北海道支部)や『岐阜県郡上市明宝スキー場におけるスキーパトロール活動報告』(早川真氏・同岐阜支部)などの一般発表9題、中村聖一氏(SEIICHI NAKAMURA ROLFING代表)による『ロルフィングによるコンディショニング理論編・実技編』が行われた。
厚労省、「混合介護」で初の指針
厚労省、「混合介護」で初の指針
2018.10.10
―柔整・鍼灸、通所介護事業所で「ノー」―
介護保険が適用されるサービスと保険外サービスを組み合わせる「混合介護」について、厚労省老健局が初めてとなる指針を策定し、9月28日付で通知を発出した。混合介護の運用については、各地方の自治体によって取り扱いが異なり、その明確化が求められてきた。
同通知の中で、「通所介護サービスを提供中の利用者に対し、保険外サービスを提供する場合の取扱い」の項目において鍼灸マッサージ・柔整に関する言及がみられた。通所介護では、介護保険と保険外サービスを区分することが可能な「理美容サービス」などが一部認められているが、鍼灸や柔道整復等については、「通所介護事業所内において、施術を行うことはできない」と明記された。なお、「無資格者によるマッサージの提供は禁止されている」との文言もみられた。
小児はりで発達障害児を支援 大阪の通所施設に鍼灸師訪問
小児はりで発達障害児を支援 大阪の通所施設に鍼灸師訪問
2018.09.25
―「療育プログラム」として月3回、毎回10人程施術―
「小児はり」で発達障害の児童を支援する動きが広がり始めている。大阪市天王寺区にある児童発達支援事業所『ウキウキさくらんぼ』では、通所児童への療育プログラムとして小児はりを設けている。月に3回、鍼灸師が訪問し、1時間ほど小児はりを行う。施術に訪れているのは、一般社団法人日本小児はり学会の会長・井上悦子氏と、同会所属の上市茂生氏(大有堂鍼灸接骨院院長)。
7月下旬、上市氏が施術するベッド前には、ADHD(注意欠陥多動性障害)や自閉症の児童10人程が順番待ちの列を作っていた。施設内でも人気のプログラムになっているという。
同事業所では平成29年2月の開設時から小児はりを取り入れている。何か事業所として特色を出せる療育プログラムはないかと考えていた時、井上氏と知り合い、小児はりを知った。導入当初は、施術効果が分からず事業所スタッフの不安もあったようだが、親御さんから「小児はりを受けた晩はよく眠れる」との声を多く聞き、驚いたという。また、小児はり後の2、3時間は気持ちも落ち着き、作業療法的な訓練にも集中して取り組めている。井上氏は歯車鍼や松葉鍼、上市氏はイチョウ鍼やローラー鍼などを用い、「とにかく気持ちいいと感じる鍼」を実践。体に触れられることを嫌がるという特徴が発達障害児によくみられるが、「今では自らお腹を出して施術を待っている子もいる」と上市氏は話す。当初は月1回、第3土曜のみだったプログラムも、「平日も提供したい」との事業所側の要望で、現在は平日実施も含めて月3回に。井上氏は、「小児はりへの理解も得られ、順調に利用されている。ただ、もともと大阪を中心に関西では、小児はりは庶民に親しまれていた治療法だった。今一度、その普及につながってほしい」と語った。
小児はり研究会も発足させ、医療機関と臨床研究スタート
また両氏は昨年、履正社医療スポーツ専門学校専任教員の桑原理恵氏や森ノ宮医療大学鍼灸学科教授の尾﨑朋文氏とともに、小児はりのエビデンス創出に向け、「小児はり研究会」を立ち上げた。6月より、こども心身医療研究所(冨田和巳所長、大阪市)で出張施術を行うなど、心療小児科の専門医がいる医療機関の協力の下、小児はりの臨床研究を進めている。
あはき受領委任の支払方法 将来的に受領委任か、償還払いか
あはき受領委任の支払方法 将来的に受領委任か、償還払いか
2018.09.25
―厚労省「代理受領は今後、対応不可」と―
来年1月から受領委任の取り扱いが始まるあはき療養費の支払方法が、「受領委任制度に基づく支払い」か「償還払い」に限定される見通しだ。厚労省が8月14日付で発出した健康保険組合宛ての事務連絡で、今後は前記の二つの方法となり、民法上の取り扱いである「代理受領」は認められなくなる(対応不可)と示した。
また各健保組合に対し、被保険者の費用負担のあり方や審査のあり方など、支払方法等において重要な項目と関係することから、現存の支払方法から変更しない場合でも、その旨を組合会で審議するよう求めた。さらに、償還払いを採用する健保組合のうち、現在、代理受領に基づく支払いを認めている健保組合においては、その廃止日を併せて議決することも要請している。なお、受領委任開始後の支払方法を整理した参考資料も添付されている。
行政系保険者を中心に参加表明
あはき療養費の受領委任では、保険者に参加・不参加の判断が委ねられており、厚労省が11月30日までに同省ウェブページで保険者全体の参加状況を掲示する予定となっているが、7月下旬頃より、市町村国保や後期高齢者医療広域連合を中心に保険者自らがあはき師や施術者団体宛てに参加の意向を伝える文書を送っている。本紙が入手した情報では、愛知県下の国保及び後期高齢者医療広域連合をはじめ、市町村国保では那須塩原市、葛飾区、青梅市、岡山市、後期高齢者医療広域連合では茨城県、栃木県、山梨県、三重県などが来年1月のスタート時からの参加を明らかにしている。施術者側も来年1月から受領委任を取り扱うには「施術管理者」になることが必須で、10月31日までに申出に関する書類一式の提出が必要だ。具体的な申出手続きについては、各地方厚生(支)局のウェブページに情報がアップされている。
柔整、昨年度より5億円減 協会けんぽ 平成29年度報告
柔整、昨年度より5億円減 協会けんぽ 平成29年度報告
2018.09.25
―1件当たりの支給額減が背景―
このほど、全国健康保険協会(協会けんぽ)が公表した「平成29年度事業報告書(案)」の中で、療養費の支給額等の状況が示された。柔整療養費の支給額は667億円で、昨年度より5億円の減少。1件当たりの支給額も63円減少し、4,369円だった。この結果について協会けんぽは、「協会への加入者が増加したのに伴い支給件数は増えたものの、1件当たりの支給額が減少したのが主な原因だ」としている。
同報告書では、「多部位(3部位以上)かつ頻回(月15回以上)」の申請件数も報告されており、20万4,407件で申請件数全体の1.32%。昨年度よりも2万5,689件減少し、減少幅も広がった。また、協会けんぽが平成29年度に実施した患者への文書照会は、6万3,244件増え33万4,286件だった。
なお、マッサージ療養費は14億500万円で、1件当たり1万9,760円。はり・きゅう療養費は31億6,000万円で、1件当たり6,896円。
全国柔道整復学校協会 第60回教員研修会
全国柔道整復学校協会 第60回教員研修会
2018.09.25
―アンチ・ドーピングの最前線 サプリメント、風邪薬に注意を―
全国柔道整復学校協会の第60回教員研修会が8月18日、19日、品川プリンスホテルアネックスタワー(東京都港区)で開かれた。
しみず整形外科リハビリクリニック理事長で日本水泳連盟のアンチ・ドーピング委員会委員を務める清水顕氏が『知っておいてほしいアンチ・ドーピングの知識』と題して講演を行った。近年、ドーピングは減少傾向にあるものの「サプリメント」による違反が報告されていると述べ、日本アンチ・ドーピング機構によれば平成28年度の違反者5名中3名、同29年度の6名中2名がサプリメントによる違反だったと説明。サプリメントは医薬品と異なり成分の全てを表示する義務が無く、さらに発売後に成分が変わることもあるとして注意を促した。
清水氏は、競技者が市販薬や処方薬を使用する際の注意点にも言及した。同じメーカーの風邪薬でも「パブロンSゴールドW」には禁止物質は含まれていないが「パブロンゴールドA」には含まれているといった事例を紹介。専門家に相談したり、違反薬の検索サービスなどで調べたりする場合は、正確な商品名を伝える・入力することが必要だと呼びかけた。また、漢方薬は含有する全ての物質が明確になっているわけではないため、禁止物質が完全に入っていないことを保証できない点からも避けた方がよく、麻黄や半夏、鹿茸などの明らかな禁止物質を含む物も少なくないと解説。さらに、禁止物質を含む防風通聖散が入っている「コッコアポ」、「ナイシトール」など、商品名からは漢方と分かりにくい物もあると話した。
『スポーツ選手とスポーツトレーナーとしての柔道整復師の関わりについて』は北京五輪・ロンドン五輪競泳日本代表帯同トレーナーで日本医学柔整鍼灸専門学校特任講師・メディカルトレーナー育成部長の黄海匡士氏と、立石諒氏(ロンドン五輪競泳銅メダリスト)、高谷惣亮氏(2014年レスリング世界選手権銀メダリスト)が登壇。選手と指導者双方の視点から見て「良いトレーナーとは?」というテーマでディスカッションが行われた。黄海氏は、柔整師がトレーナーとしてスポーツ選手に関わるからには、ただ単に動きを良くする、ケガを治す、だけでなく「早く治す技術」が求められると説いた。
ほかに寺裏誠司氏(株式会社学び代表取締役)による講演『アクティブラーニングの実践について』や、『骨折・脱臼の一人整復法』(増田哲男氏・日本医学柔整鍼灸専門学校研究開発部長)などの分科会、ポスターセッション発表が行われた。
第16回JSSPOT九州支部大会 足関節のスポーツ傷害中心に
第16回JSSPOT九州支部大会 足関節のスポーツ傷害中心に
2018.09.25
―整形外科領域の動向も―
日本スポーツ整復療法学会(JSSPOT)の第16回九州支部大会が、8月19日、久留米大学御井キャンパス(福岡県久留米市)で開催された。
基調講演『足部・足関節におけるスポーツ傷害』では、吉村一朗氏(福岡大学医学部整形外科学教室)が登壇。日本整形外科学会の新患患者に関する調査では足関節の靭帯損傷が7番目、外傷全体では2番目に多く、スポーツ安全協会のデータでもスポーツ傷害の25%以上が足部・足関節とされるなど、足部は傷害の好発部位だとした。一方で、足部には30個以上の骨が存在するため診断が困難であり、安易に捻挫として片付けられているケースも多いと指摘。実際の症例を交えながら、靭帯損傷のほか、足関節後方インピンジメント症候群、有痛性外脛骨障害、第二中足骨頭の骨端症(フライバーグ病)など、鑑別を要する障害を列挙。関節軟骨損傷で用いられる骨髄刺激(マイクロフラクチャー法)では、近年、病変のサイズが大きい場合など幾つかの条件下で、予後の不良が指摘されており、そうした場合には骨軟骨片固定術、骨軟骨移植術など他の治療法が選択されることが増えているなど、整形外科領域で選択されている治療も解説した。
このほか、篠原純司氏(九州共立大学スポーツ学部)による講演『足関節捻挫の病態とスポーツ活動復帰に向けたリコンディショニングについて』、牛島詳力氏(関西医療大学)の『動的アライメント修正を目的としたテーピング』、会員による研究発表として『サッカー選手における足関節捻挫の一考察』(吉塚亮一氏・城南スポーツ整骨院)、『大腿前面筋挫傷の保存療法の適応と限界』(吉岡直紀氏・タケダスポーツ・ビューティークリニック)、『下肢機能・動きを良くするためのデイサービスの機能訓練のポイント』(西原清氏・宇佐整骨院)の3題が行われた。
商品紹介 東京医研『SUPER LIZER PX』
商品紹介 東京医研『SUPER LIZER PX』
2018.09.25
―赤外線を高出力でスポット状に照射―
東京医研株式会社(東京都稲城市)の『 SUPER LIZER(スーパーライザー) PX 』。
生体深達性の高い波長帯(0.6μm~1.6μm)の赤外線を、最大出力10Wでスポット状に照射する。「高出力パルス照射の採用で、より高い治療効果と安全性を両立」と同社。2カ所同時照射可能なType2(写真)とシングル仕様のType1があり、疾患や部位ごとに豊富なユニットも付属。本紙で『不妊鍼灸は一日にして成らず』を連載中の中村一徳氏も臨床で活用している。
販売に関する問合せはセラピ株式会社(0120-89-8128)へ。
厚生労働省『平成29年度 療養費頻度調査』から はり・きゅう療養費 都道府県別支給状況
厚生労働省『平成29年度 療養費頻度調査』から はり・きゅう療養費 都道府県別支給状況
2018.09.25
調査は、全国健康保険協会管掌健康保険、国民健康保険及び後期高齢者医療制度における平成29年10月の1カ月間に行われた施術に係る療養費支給申請書が対象。支給申請書のうち、全国健康保険協会管掌健康保険で6分の1、国民健康保険で10分の1、後期高齢者医療制度で10分の1の割合で抽出している。1件当たりの平均支給額は約11,115円。また、『平成28年度 療養費頻度調査』を基に、昨年度の金額と、そこからの増減比率も掲載した。
あマ指師課程新設非認定処分取消裁判・大阪地裁 国側、2年前のあん摩業調査で反論
あマ指師課程新設非認定処分取消裁判・大阪地裁 国側、2年前のあん摩業調査で反論
2018.09.10
―19条の立法目的、今も正当性ある―
学校法人平成医療学園らが、晴眼者のあん摩マッサージ指圧師養成課程の新設申請を認めなかった国に対し、処分取消を求めている裁判で、8月22日に大阪地裁で10回目となる口頭弁論があった。今回は被告の国側から反論文書が提出され、証拠書類として併せて提出された平成28年秋実施のあん摩業に関する受療状況等の実態調査を主な論拠としながら、主張が展開された。
同調査は、平成28年度の厚生労働科学特別研究事業として実施され、筑波技術大学教授の藤井亮輔氏が研究代表者を務めた。アンケート回答数は4,605人で、調査時に営業を行っていたのが3,836人。被告側は、▽3,836人のうち、視覚障害者は18.7%であり、その中で障害者等級が1、2級の者は85.1%と、重度障害のある視覚障害者があん摩業に強く依存している、▽1カ月の患者数(中央値)が晴眼者と2~2.5倍の開きがあり、格差が生じている、▽平成27年分の年収(中央値)が晴眼者の3分の1の水準にとどまっている、▽接骨院、鍼灸院、リラクゼーション店舗等の同業者が相当数増えていることを背景に、あん摩施術所の受療者数がかなり減少している可能性があり、あん摩への需要に対しあマ指師の就業者数(供給量)が不足している状況にはない、などの調査結果を列挙し、視覚障害者のあマ指師の職域を優先する「あはき法19条」の立法目的が現在も正当性を有していることが同調査で確認できると強調した。
また、マッサージ需要の相当部分が無資格業者に流れているとの理由から、19条の存在が無資格者の増大を招いているとの原告側の主張に反論。無資格者の増大によって19条の手段としての必要性が失われるものではなく、さらに無資格者の増大を回避するため、19条を廃止すれば、視覚障害者の生計維持がますます困難となるとした。昭和57年に中和鍼灸専門学校(現中和医療専門学校)の晴眼者定員が増加された点については、当時と原告による申請時(平成28年)では、あはき師業を取り巻く社会・経済情勢等も異なるなどと説明した。
当日の口頭弁論では、被告側から「現時点における被告の主張は、今回までで出し尽くした」旨が述べられた一方、原告側は「今回の反論は藤井氏による調査に基づいたもので、これまでこちらが問題とする論点に答えていない」とし、次回以降、藤井氏の証人尋問を求めるとともに、再度反論を行う意向を示した。次回は、11月9日を予定。