橿原市 柔整療養費相殺裁判 全柔協、補助参加を申請
2019.02.10
被告・橿原市は反対「利害関係なし」
柔整療養費に係る、奈良県橿原市の国民健康保険申請書の「過誤調整」をめぐって、同市内の患者らが原告となり、本来支給されるべき療養費の不足額の支払いなどを求める訴訟が奈良地裁で続いている。今回、全国柔整師協会(全柔協)が補助参加人として裁判に関わることを原告側が申し出たが、橿原市側は反対している。
昨年6月の訴状によれば、問題となっている療養費の請求は、平成29年1月から3月にかけて、橿原市内の複数の施術所において、原告らやその被扶養者が受療した施術に関するもの。同市は、当該施術所の柔整師が過去に実施した、原告らとは全く無関係の患者に対する施術について、「患者・柔整師への文書照会を行ったところ、本来支給すべきではなかった療養費が判明した」と通告。過誤支給分の返戻額を柔整師ごとに算出した上で、支払いが決定していた原告らに対する施術分の療養費から「過誤調整」の名目で相殺処理を行ったという。
これらの施術所は、いずれも全柔協に支給申請の代行及び療養費の代理受領を委任していた。原告側は弁護士を通じ、昨年11月、全柔協の裁判への補助参加を申請。橿原市は、同12月21日付で『補助参加申出に対する異議申立書』を提出し、「補助参加人に(中略)受領委任の権限が認められない」「補助参加人には、本件訴訟の結果についてもっぱら法律上の利害関係を有していない」などとし、補助参加を却下するよう求めている。原告側は1月11日付で、さらに補助参加に関する意見書を提出。全柔協の行う受領委任の歴史的沿革を説明の上、「補助参加人が被保険者から受領委任を受けていることは明らか」「補助参加人は(中略)訴訟の結果に法律上の利害を有していることが明らか」と反論し、改めて補助参加を求めた。
なお、過去に大阪市が被告となって行われた、本件に類似した「相殺処理」に関する裁判(原告側勝訴)でも、同様に支給申請を代行していた全柔協が、補助参加を申請していた。この際、大阪市も異議を申し立てたが、裁判所は補助参加を認めている。
療養費支払いの相殺処理については、橿原市側は昨年12月28日付の2度目の準備書面で、「原告が施術所で受けた療養費は、被告によって支払い済みである」と原告の主張を否定。主張は対立している。次回口頭弁論は3月20日を予定。