連載『織田聡の日本型統合医療“考”』112 「サウナの国」フィンランドに訪問
2019.03.25
昨年に引き続きフィンランドに仕事で行ってきました。フィンランドといえば「サウナ」。フィンランド発祥と言われており、1000年以上の歴史があります。ちなみに、サウナはフィンランド語です。フィンランドでは、生活に溶け込んでいるようで、自宅はもとよりマンションにも共同サウナがあり、いつでも気軽に楽しめるような環境があると聞いていました。日本でも温泉施設や銭湯、スポーツジムなどで親しまれていますが、なかなか家庭でサウナを楽しむということはないと思います。
前回の訪問ではサウナ体験ができなかったので、「今回こそは」と目論んでいました。幸いにも半日ほどスケジュールに余裕のある時間帯があったので、近隣のサウナを探してみたところ、思うように見つかりません。日本の銭湯ぐらい大衆サウナがあるかと思いきや、今は家庭やマンションに設置されるようになり、なかなか利用できるサウナが見つかりませんでした。誰もが利用できる大衆サウナは、今や郊外や湖の周辺(水風呂として湖に飛び込むのですね)にあって、町中からは姿を消しているようでした。
そんな現状でも、全裸で泳げるプールを備える大衆サウナがヘルシンキ駅の近くに存在します。映画「かもめ食堂」のロケ地にもなった、『Yrjonkadunスイミングホール』です。時間の都合上、そこしかないと向かいましたが、残念ながら「Women's Day」で入れず。宿泊したホテルの地下にも小さなサウナが付いていたのですが、予約がいっぱいでそれも入れず。なんと今回もサウナに入れずじまいでした。
ところで、鍼灸の直後は入浴を避けた方が良いと言われます。多くの鍼灸院のホームページでも、1~2時間後は入浴を避けて、2~3時間後には体を温めて血流を良くするという理由から入浴が勧められています。私も習った接触鍼などは、軽微な刺激でバランスを取ろうとしているところに入浴のような大きな熱刺激があると、効果をマスクして軽減してしまうので少し時間を置くようにと教わりましたが、施術前後の温熱による効果も期待されています。入浴や温熱による効果の臨床研究は、慢性心不全に対する「WAON療法」など、進められている分野もありますが、施術の前後の入浴併用効果に対する臨床研究はほとんどないようです。
今回のフィンランド訪問の一つの目的は微弱電流を使ったラクリスとサウナ業界との連携でした。サウナ業界とは良いお話ができたのですが、結局サウナには入れませんでしたので、次回は先に述べたような臨床研究を引っ提げて再訪問できるように、「かもめ食堂」で夕食をとりながら新たな計画を思い描いていたのでした。
【連載執筆者】
織田 聡(おだ・さとし)
日本統合医療支援センター代表理事、一般社団法人健康情報連携機構代表理事
医師・薬剤師・医学博士
富山医科薬科大学医学部・薬学部を卒業後、富山県立中央病院などで研修。アメリカ・アリゾナ大学統合医療フェローシッププログラムの修了者であり、中和鍼灸専門学校にも在籍(中退)していた。「日本型統合医療」を提唱し、西洋医学と種々の補完医療との連携構築を目指して活動中。