JATAC第23回全国活動報告会 東京オリパラ選手村で鍼灸も
2018.10.10
NPO法人ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会(JATAC)の第23回全国活動報告会が9月16日、17日、中和医療専門学校(愛知県稲沢市)で開催された。
特別講演『東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会における医療サービスについて』は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会医療サービス部部長の宮本哲也氏が登壇した。競技会場では選手と観客への医療サービスを区分して提供すると説明。それぞれに医務室と医師・看護師を配置し、選手にはこのほかに理学療法士など競技特性に応じた人員を準備すると述べた。選手村ではポリクリニックと呼ばれる診療所を開設し、選手らの外傷や病気を治療。需要の高い、パフォーマンス向上のための理学療法系サービスも行うとし、鍼灸やオステオパシーなどの手技も想定していると述べた。
―胸骨圧迫は蘇生処置の早期から―
市民公開講座『スポーツ現場における救急処置』は公立陶生病院循環器内科兼救命救急センターの中島義仁氏が講演を行った。心肺蘇生法において、胸骨圧迫に割いた時間や開始時期によって生存率が変わることが分かるなど、近年、国際的なガイドラインで胸骨圧迫の重要性が強調されてきた経緯を解説。胸骨圧迫は蘇生処置の早期に開始し、AED(自動体外式除細動器)を使用する際などを除き心拍の再開が確認できるまで、あるいは救急救命士などの専門家に引き継ぐまで、中断は最小限にとどめるべきだと説いた。
シンポジウム『2020東京オリパラへ向けて』は原和正氏(JATAC副理事長)、田中清久氏(同理事)、中島氏が登壇。原氏は、平成10年の長野冬季オリンピックにJATACが参画できたのは県の体育協会の推薦があったからだと説明。平時からボランティアなどで地域のスポーツに貢献し続けることが大切だと訴えた。田中氏は、滋賀県障害者スポーツ協会での活動を紹介。広汎性発達障害のため痛みを訴えることができない選手がいたと述べ、パラスポーツに関わるには幅広い障害の知識が必要だと指摘した。中島氏は、チームドクターを務める日本障がい者バドミントン連盟での取り組みについて解説。障害者の多くは何らかの疾患や症状を抱えており、その微妙な体調の変化を最も身近で感じるのはトレーナーであるとして、ドクターとトレーナーのコミュニケーションの重要性を説いた。
ほかに『スポーツ大会等におけるアスレチックトレーナーの法的関係性の検討』(小野寺恒己氏・JATAC北海道支部)や『岐阜県郡上市明宝スキー場におけるスキーパトロール活動報告』(早川真氏・同岐阜支部)などの一般発表9題、中村聖一氏(SEIICHI NAKAMURA ROLFING代表)による『ロルフィングによるコンディショニング理論編・実技編』が行われた。