第3回あはき・柔整等の広告検討会 「施術所を医療提供施設に」との提案も
2018.10.25
地方自治体と保険者のヒアリング実施
10月10日、3回目となる『あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会』が都内で開かれた。今回は、広告指導を含む施術所管理を行う地方自治体と、療養費の審査・支給決定を行う保険者から広告に関する現状の報告に加え、意見・提案等が示された。
地方自治体からは、奈良県橿原市と愛知県豊橋市の2市。 (さらに…)
第3回あはき・柔整等の広告検討会 「施術所を医療提供施設に」との提案も
第3回あはき・柔整等の広告検討会 「施術所を医療提供施設に」との提案も
2018.10.25
地方自治体と保険者のヒアリング実施
10月10日、3回目となる『あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会』が都内で開かれた。今回は、広告指導を含む施術所管理を行う地方自治体と、療養費の審査・支給決定を行う保険者から広告に関する現状の報告に加え、意見・提案等が示された。
地方自治体からは、奈良県橿原市と愛知県豊橋市の2市。 (さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』163 前脛骨筋の筋硬度の視覚化について
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』163 前脛骨筋の筋硬度の視覚化について
2018.10.25
松本 尚純(筋・骨格画像研究会)
42歳男性。左右の前脛骨筋(以後TA)部の緊張感、張りを訴え来院する。TA膨隆部に特に症状を訴えたため圧痛を確認するも、痛みより「心地良い」との反応があった。足関節を底屈させてもストレッチがかかり、こちらも心地良いとの反応。一方、足関節を背屈させた際はTA部の詰まり感、軽度の疼痛を訴えた。
超音波画像観察装置(エコー)のエラストグラフィー機能を用いて筋の硬さを視覚化し、施術前後の筋の緊張の度合いを患者と共有することにした。【画像①】、【画像②】は、TA膨隆部の特に症状を訴えている部位をエラストグラフィーで描出したものである。赤で表示されている部分が組織の柔らかさを、青で表示されている部分が硬さを表している。TA中心部の約1.5cmの深さに高輝度で見える、筋内腱である停止腱を境に筋の硬度が大きく変わっているのを確認。停止腱より深い位置へのアプローチが必要であることが分かった。
そこで、振動系治療器の「ZERO PRO MASSAR」で右TA患部に10分間施術した。左TAに対しては寸6-3番鍼を1.5cm以上の深さに刺鍼。鍼通電器で10分間、1Hzで施術した。施術終了後、5分間のインターバルを置いて描出したのが【画像③】、【画像④】である。【画像③】からは深部までの施術効果があまり波及しなかったことが見て取れる。一方、【画像④】を見ると、刺鍼した筋内腱下部への施術の効果により筋の硬度が変化したことがうかがえる。
TA部を触診した際に感じる硬さのようなものは表層の筋ではそれほど硬度が無いことから、筋内腱である停止腱の可能性が高いことが分かった。また、刺鍼時の深度の確認のため左TA【画像④】に対してはエコーガイド下で刺入していったが、鍼先が停止腱に接触した時に得気が得られた。停止腱がTAの緊張感や張りなどを感じやすくしていることを示唆しているのではないだろうか。
柔整療養費 患者ら、奈良県橿原市を提訴
柔整療養費 患者ら、奈良県橿原市を提訴
2018.10.10
―過誤調整による不足額支払い求め―
柔整療養費に係る奈良県橿原市の国民健康保険申請書の「過誤調整」をめぐり、同市に住む患者らが原告となって、本来支給されるべき療養費の不足額の支払いなどを求める訴訟を奈良地裁で提訴した。「過誤調整」は従来、記号番号の記入漏れといった形式上の誤りにのみ実施されてきた実態にあるが、本件では数年前に同じ施術者が行った別の患者の施術で、しかも既に支給済みの療養費について、相殺処理的な控除が行われたと原告側は主張している。
6月11日付の訴状によれば、訴訟の対象となった療養費の請求は、平成29年1月から3月にかけて、橿原市内の複数の施術所において、原告らやその被扶養者が受療した施術に関するもの。これらの施術所は、いずれも全国柔整師協会(全柔協)に支給申請の代行及び療養費の代理受領を委任していた。同市は全柔協に対し、「平成26年度から平成28年度の療養費について、患者・柔整師への文書照会を行ったところ、本来支給すべきではなかった療養費が判明した」と通告。過誤支給分の返戻額を施術者ごとに算出した上で、支払いが決定していた平成29年1月から3月までの施術分の療養費から「過誤調整」の名目で相殺処理を行ったという。
橿原市は全面的に争う構え
一方、被告の同市は9月10日に答弁書を提出。あくまでも手続上または形式的な誤りについてのみ、過誤調整制度を含む療養費審査支払規則に基づき処理しており、指摘された相殺処理的な控除は行っておらず、原告らから請求を受けた療養費は全額支払い済みであると主張。また、代理受領権限を与えた相手は当該施術所の施術管理者であって全柔協ではないとも主張した上で、訴状の内容を否認し、全面的に争う構えをみせた。
9月20日、奈良地裁において行われた口頭弁論では、裁判官から被告に対し、受領委任の仕組みに関する詳しい説明が求められたほか、原告側からは、大阪地裁、高裁における判決(後述)を提出するので参考にしてほしい旨が伝えられた。全柔協は今後、利害関係を持つ原告側の補助参加人として裁判に関わっていく見通し。次回弁論は11月14日を予定している。
大阪市被告の裁判では患者・全柔協勝訴
過誤調整の名目で行われる相殺処理をめぐっては過去に大阪市でも問題となり、平成26年春、今回と同様に患者らが大阪市を相手取り、裁判を起こした。平成28年2月の大阪地裁判決は大阪市に未払い分の支払いを命じ、大阪市は控訴したものの、平成29年3月に大阪高裁が棄却。原告らの勝訴となった(本紙1046号参照)。
この裁判で補助参加人となっていた全柔協の関係者からは、「この判例を踏まえれば、今後同様の裁判で(原告側が)負けることはない」との声も上がっていた。
『医療は国民のために』257 「骨太の方針」から療養費廃止を危惧してしまう
『医療は国民のために』257 「骨太の方針」から療養費廃止を危惧してしまう
2018.10.10
今年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018」を読むと、保険医療に関して、「必要な保険給付をできるだけ効率的に提供しながら、自助、共助、公助の範囲についても見直していく必要がある」と書かれているのに気づく。いわゆる「骨太の方針」と呼ばれるこの方針は、国の財政を健全化するため、首相が議長を務める経済財政諮問会議での答申を経て決定したもので、関係国務大臣や有識者議員等の意見も十分に反映されている。その中に、「自助、共助、公助の範囲見直し」、つまり健康保険の保険給付範囲を“大胆に”見直すことが示されたのだ。既に薬局での売薬で購入可能な湿布薬や目薬・風邪薬を保険対象外とすることは既定路線になり、「軽度な傷病・負傷」「簡単な医療行為」「軽微で低額廉価」なものを保険から外していくということを読み取ることができる。
さて、私たちが取り扱う療養費は、被保険者や世帯主に帰属する「債権」であり、柔整師や鍼灸師のものではないことから、「請求人」である被保険者等の氏名を申請書に患者自らが請求人として「署名」している。よって、診療報酬が医師に帰属する債権であるのとは法令上の立て付けが違うのだが、実態としては、現物給付化のような保険支払いシステムとして「受領委任の取扱い」が認められている。つまり、柔整療養費とともに、来年1月より受領委任が始まるあはき療養費も、諮問会議が議論の対象としたい「軽度対応」とみなされる可能性は高いといえる。ここに、柔整療養費やあはき療養費の存続の危機を強く感じている。
もちろん、「医科本体における軽度傷病」を保険適用から除外するにあたり、軽度傷病の範囲を明確にする必要があるが、保険対象外へと真っ先に追いやられそうなのが柔整とあはきではないか。医療財源の枯渇によって医科本体のどの業界・分野も生き残りに必死だ。「近い将来、医師など食べていけない」などと評する文献も出ているようだ。そんな中で、柔整やあはきの療養費取扱いだけが温存されるわけがない。しかも、このテーマを考えるには、①混合診療のあり方、②保険給付率のあり方、③自己負担の定額化、などの議論を抱き合わせにして同時進行していくことになろうかと推察している。
ところが、業界はなぜかだんまりを決め込んでいる。まさか、「自民党の先生方が守ってくれる」という言葉をここにきても繰り返すのか。万が一、療養費から施術者取扱い分が除外され、柔整・あはき療養費が廃止となった場合をも想定に入れ、柔整業界は自費取扱いの理論構成を考えねばならないし、あはき業界は受領委任導入後の従来までの自由料金との差について、多くの疑義が生じることの検討をしておく必要があるだろう。
【連載執筆者】
上田孝之(うえだ・たかゆき)
全国柔整鍼灸協同組合専務理事、日本保健鍼灸マッサージ柔整協同組合連合会理事長
柔整・あはき業界に転身する前は、厚生労働省で保険局医療課療養専門官や東海北陸厚生局上席社会保険監査指導官等を歴任。柔整師免許保有者であり、施術者団体幹部として行政や保険者と交渉に当たっている。
平成28年度国民医療費 柔整は165億円減で、5年連続減少
平成28年度国民医療費 柔整は165億円減で、5年連続減少
2018.10.10
―マッサージ・鍼灸、増加するも伸び低調―
厚労省は9月21日、平成28年度の柔整・あはき療養費を含む国民医療費の結果を公表した。国民医療費は42兆1,381億円で、前年度より2,263億円減少し、10年ぶりにマイナスに転じた。療養費等は131億円減の5,427億円となり、医療費全体に占める割合は前年度と変わらず1.3%だった。
療養費等の内訳をみると、柔道整復は165億円減って3,663億円(前年度比4.3%減)。平成24年度より5年連続で減少し、その間の減少額は464億円と落ち込みが著しい。あん摩・マッサージは715億円(同1.7%増)、はり・きゆうは410億円(同3.5%増)とともに増えたものの、伸び率は低調だ。
JATAC第23回全国活動報告会 東京オリパラ選手村で鍼灸も
JATAC第23回全国活動報告会 東京オリパラ選手村で鍼灸も
2018.10.10
NPO法人ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会(JATAC)の第23回全国活動報告会が9月16日、17日、中和医療専門学校(愛知県稲沢市)で開催された。
特別講演『東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会における医療サービスについて』は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会医療サービス部部長の宮本哲也氏が登壇した。競技会場では選手と観客への医療サービスを区分して提供すると説明。それぞれに医務室と医師・看護師を配置し、選手にはこのほかに理学療法士など競技特性に応じた人員を準備すると述べた。選手村ではポリクリニックと呼ばれる診療所を開設し、選手らの外傷や病気を治療。需要の高い、パフォーマンス向上のための理学療法系サービスも行うとし、鍼灸やオステオパシーなどの手技も想定していると述べた。
―胸骨圧迫は蘇生処置の早期から―
市民公開講座『スポーツ現場における救急処置』は公立陶生病院循環器内科兼救命救急センターの中島義仁氏が講演を行った。心肺蘇生法において、胸骨圧迫に割いた時間や開始時期によって生存率が変わることが分かるなど、近年、国際的なガイドラインで胸骨圧迫の重要性が強調されてきた経緯を解説。胸骨圧迫は蘇生処置の早期に開始し、AED(自動体外式除細動器)を使用する際などを除き心拍の再開が確認できるまで、あるいは救急救命士などの専門家に引き継ぐまで、中断は最小限にとどめるべきだと説いた。
シンポジウム『2020東京オリパラへ向けて』は原和正氏(JATAC副理事長)、田中清久氏(同理事)、中島氏が登壇。原氏は、平成10年の長野冬季オリンピックにJATACが参画できたのは県の体育協会の推薦があったからだと説明。平時からボランティアなどで地域のスポーツに貢献し続けることが大切だと訴えた。田中氏は、滋賀県障害者スポーツ協会での活動を紹介。広汎性発達障害のため痛みを訴えることができない選手がいたと述べ、パラスポーツに関わるには幅広い障害の知識が必要だと指摘した。中島氏は、チームドクターを務める日本障がい者バドミントン連盟での取り組みについて解説。障害者の多くは何らかの疾患や症状を抱えており、その微妙な体調の変化を最も身近で感じるのはトレーナーであるとして、ドクターとトレーナーのコミュニケーションの重要性を説いた。
ほかに『スポーツ大会等におけるアスレチックトレーナーの法的関係性の検討』(小野寺恒己氏・JATAC北海道支部)や『岐阜県郡上市明宝スキー場におけるスキーパトロール活動報告』(早川真氏・同岐阜支部)などの一般発表9題、中村聖一氏(SEIICHI NAKAMURA ROLFING代表)による『ロルフィングによるコンディショニング理論編・実技編』が行われた。
厚労省、「混合介護」で初の指針
厚労省、「混合介護」で初の指針
2018.10.10
―柔整・鍼灸、通所介護事業所で「ノー」―
介護保険が適用されるサービスと保険外サービスを組み合わせる「混合介護」について、厚労省老健局が初めてとなる指針を策定し、9月28日付で通知を発出した。混合介護の運用については、各地方の自治体によって取り扱いが異なり、その明確化が求められてきた。
同通知の中で、「通所介護サービスを提供中の利用者に対し、保険外サービスを提供する場合の取扱い」の項目において鍼灸マッサージ・柔整に関する言及がみられた。通所介護では、介護保険と保険外サービスを区分することが可能な「理美容サービス」などが一部認められているが、鍼灸や柔道整復等については、「通所介護事業所内において、施術を行うことはできない」と明記された。なお、「無資格者によるマッサージの提供は禁止されている」との文言もみられた。
柔整、昨年度より5億円減 協会けんぽ 平成29年度報告
柔整、昨年度より5億円減 協会けんぽ 平成29年度報告
2018.09.25
―1件当たりの支給額減が背景―
このほど、全国健康保険協会(協会けんぽ)が公表した「平成29年度事業報告書(案)」の中で、療養費の支給額等の状況が示された。柔整療養費の支給額は667億円で、昨年度より5億円の減少。1件当たりの支給額も63円減少し、4,369円だった。この結果について協会けんぽは、「協会への加入者が増加したのに伴い支給件数は増えたものの、1件当たりの支給額が減少したのが主な原因だ」としている。
同報告書では、「多部位(3部位以上)かつ頻回(月15回以上)」の申請件数も報告されており、20万4,407件で申請件数全体の1.32%。昨年度よりも2万5,689件減少し、減少幅も広がった。また、協会けんぽが平成29年度に実施した患者への文書照会は、6万3,244件増え33万4,286件だった。
なお、マッサージ療養費は14億500万円で、1件当たり1万9,760円。はり・きゅう療養費は31億6,000万円で、1件当たり6,896円。
全国柔道整復学校協会 第60回教員研修会
全国柔道整復学校協会 第60回教員研修会
2018.09.25
―アンチ・ドーピングの最前線 サプリメント、風邪薬に注意を―
全国柔道整復学校協会の第60回教員研修会が8月18日、19日、品川プリンスホテルアネックスタワー(東京都港区)で開かれた。
しみず整形外科リハビリクリニック理事長で日本水泳連盟のアンチ・ドーピング委員会委員を務める清水顕氏が『知っておいてほしいアンチ・ドーピングの知識』と題して講演を行った。近年、ドーピングは減少傾向にあるものの「サプリメント」による違反が報告されていると述べ、日本アンチ・ドーピング機構によれば平成28年度の違反者5名中3名、同29年度の6名中2名がサプリメントによる違反だったと説明。サプリメントは医薬品と異なり成分の全てを表示する義務が無く、さらに発売後に成分が変わることもあるとして注意を促した。
清水氏は、競技者が市販薬や処方薬を使用する際の注意点にも言及した。同じメーカーの風邪薬でも「パブロンSゴールドW」には禁止物質は含まれていないが「パブロンゴールドA」には含まれているといった事例を紹介。専門家に相談したり、違反薬の検索サービスなどで調べたりする場合は、正確な商品名を伝える・入力することが必要だと呼びかけた。また、漢方薬は含有する全ての物質が明確になっているわけではないため、禁止物質が完全に入っていないことを保証できない点からも避けた方がよく、麻黄や半夏、鹿茸などの明らかな禁止物質を含む物も少なくないと解説。さらに、禁止物質を含む防風通聖散が入っている「コッコアポ」、「ナイシトール」など、商品名からは漢方と分かりにくい物もあると話した。
『スポーツ選手とスポーツトレーナーとしての柔道整復師の関わりについて』は北京五輪・ロンドン五輪競泳日本代表帯同トレーナーで日本医学柔整鍼灸専門学校特任講師・メディカルトレーナー育成部長の黄海匡士氏と、立石諒氏(ロンドン五輪競泳銅メダリスト)、高谷惣亮氏(2014年レスリング世界選手権銀メダリスト)が登壇。選手と指導者双方の視点から見て「良いトレーナーとは?」というテーマでディスカッションが行われた。黄海氏は、柔整師がトレーナーとしてスポーツ選手に関わるからには、ただ単に動きを良くする、ケガを治す、だけでなく「早く治す技術」が求められると説いた。
ほかに寺裏誠司氏(株式会社学び代表取締役)による講演『アクティブラーニングの実践について』や、『骨折・脱臼の一人整復法』(増田哲男氏・日本医学柔整鍼灸専門学校研究開発部長)などの分科会、ポスターセッション発表が行われた。
第16回JSSPOT九州支部大会 足関節のスポーツ傷害中心に
第16回JSSPOT九州支部大会 足関節のスポーツ傷害中心に
2018.09.25
―整形外科領域の動向も―
日本スポーツ整復療法学会(JSSPOT)の第16回九州支部大会が、8月19日、久留米大学御井キャンパス(福岡県久留米市)で開催された。
基調講演『足部・足関節におけるスポーツ傷害』では、吉村一朗氏(福岡大学医学部整形外科学教室)が登壇。日本整形外科学会の新患患者に関する調査では足関節の靭帯損傷が7番目、外傷全体では2番目に多く、スポーツ安全協会のデータでもスポーツ傷害の25%以上が足部・足関節とされるなど、足部は傷害の好発部位だとした。一方で、足部には30個以上の骨が存在するため診断が困難であり、安易に捻挫として片付けられているケースも多いと指摘。実際の症例を交えながら、靭帯損傷のほか、足関節後方インピンジメント症候群、有痛性外脛骨障害、第二中足骨頭の骨端症(フライバーグ病)など、鑑別を要する障害を列挙。関節軟骨損傷で用いられる骨髄刺激(マイクロフラクチャー法)では、近年、病変のサイズが大きい場合など幾つかの条件下で、予後の不良が指摘されており、そうした場合には骨軟骨片固定術、骨軟骨移植術など他の治療法が選択されることが増えているなど、整形外科領域で選択されている治療も解説した。
このほか、篠原純司氏(九州共立大学スポーツ学部)による講演『足関節捻挫の病態とスポーツ活動復帰に向けたリコンディショニングについて』、牛島詳力氏(関西医療大学)の『動的アライメント修正を目的としたテーピング』、会員による研究発表として『サッカー選手における足関節捻挫の一考察』(吉塚亮一氏・城南スポーツ整骨院)、『大腿前面筋挫傷の保存療法の適応と限界』(吉岡直紀氏・タケダスポーツ・ビューティークリニック)、『下肢機能・動きを良くするためのデイサービスの機能訓練のポイント』(西原清氏・宇佐整骨院)の3題が行われた。
第27回国家試験の日程決定
第27回国家試験の日程決定
2018.09.10
―あマ指師2/23、はり師 2/24、きゅう師2/24、柔整師3/3(全て平成31年)―
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師のそれぞれ27回目となる国家試験の日程が9月3日、厚労省ホームページで公表された。あマ指師は平成31年2月23日(土)、はり師は平成31年2月24日(日)、きゅう師は平成31年2月24日(日)、柔整師は平成31年3月3日(日)。
なお、柔整師の試験日と東京マラソンの開催日が重なっており、当日、都内の公共交通機関等の混雑が予想されると、厚労省が注意を促している。
労災保険の柔整施術で料金改定 平成30年9月以降の施術分より
労災保険の柔整施術で料金改定 平成30年9月以降の施術分より
2018.09.10
―再検料・運動療法料が引き上げ―
労災保険の柔整施術に係る施術料金等が、9月以降の施術分から変更される。厚労省労働基準局長が平成30年8月24日付で改定文書を発出した。再検料、運動療法料、骨折・不全骨折・脱臼の後療料で料金が引き上げられたほか、骨折・不全骨折・脱臼で特別材料の交換が必要になった場合に2回まで特別材料費を算定できることとなった。
NPO法人介護予防研究会 介護予防事業でセミナー開催
NPO法人介護予防研究会 介護予防事業でセミナー開催
2018.09.10
―三谷氏「総合事業、キャパシティー膨大」―
NPO法人介護予防研究会・鍼灸柔整稲門会らによる、介護予防事業に関するセミナーが7月29日、東京都内で開催された。テーマは『柔道整復師・鍼灸マッサージ師にとっての集客と収益を兼ね備えた新たな戦略』。
講師を務めた同研究会外部理事の三谷誉氏(柔整師、鍼灸マッサージ師)は、地域包括ケアシステムを推進する国の動向を踏まえた上で、今後、治療家にとって療養費、自費、総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)の「三つの歯車」の相乗効果が重要になると提唱した。
平成27年末、ケアマネジャーの会議の場で、『急性症状の改善は以前のADLに戻る鍵』として、柔整師の往療によって腰部打撲に対する後療法、運動指導を実施した症例を紹介し、訪問リハビリや訪問看護、通所リハビリとの費用比較、その地域における施術所の数なども取り上げたところ、「こんなことが出来るなら早く言ってくれ」など大きな反響を得たほか、他職種からの問い合わせも相次いだと説明。地域医療の連携に参画し、面識を広げると共に、何ができるのかを周知することで信頼が得られるとした。
総合事業については、訪問型サービス、通所型サービスのいずれにおいても、法人格が必要かどうか、生活相談員が必要かどうかなど、まず各自治体の基準を調べることが必要だと説明。愛知県内で通所型サービスを運営する三谷氏の場合、施設に必要な設備を確かめるため、市役所や消防署に確認に赴いて意見を聞き、誘導灯を設置したといった経験に触れた。また、市役所への申請では修正を指示され差し戻されることも多いが、素直に指示に従って再提出を続ければ、数回で問題なく認可されるため焦る必要はないといったアドバイスも行った。三谷氏は、今後、要支援指定を受けた国民のほとんどが総合事業を利用することになり、キャパシティーは膨大なものがあると説明。総合事業への参画は長期的な安定経営につながると呼びかけた。
「認定鍼灸師・機能訓練指導員」養成講座、スタート
実務経験6カ月の要件を研修で
NPO法人介護予防研究会では、機能訓練指導員として介護施設等で働くことができる鍼灸師を養成する『認定鍼灸師・機能訓練指導員養成講座』を始める。
鍼灸師が機能訓練指導員と認められるためには、鍼灸師以外の機能訓練指導員を配置する施設・事業所に6カ月以上勤務し、機能訓練指導に従事した経験が必要。同会では、「既に鍼灸師として勤務・開業している者が働きながら要件を満たすことは困難」との声に応え、通信講座及び2日間のスクーリング(面接授業)を受けた鍼灸師に対し、原則最低週1回以上・6カ月間の実地研修を行い、現場の管理者の修了評価を経て、「機能訓練・認定鍼灸師」として認定する制度を創設した。厚労省の許可を受けて、10月より開講する計画。実地研修は同会が認定した機能訓練型デイサービスにおいて行うものとしており、当面は東京の事業所での研修を予定する。
受講対象者は鍼灸師、鍼灸学生(実地研修は有資格者のみ)。受講料は15万円(テキスト・実地研修費用込み、分割払い可能)。申込み・問合せは同会(TEL 03-3909-8031、FAX 03-5963-8132)まで。
柔整療養費の30年度料金改定等のQ&A発出 「亜急性」見直しも
柔整療養費の30年度料金改定等のQ&A発出 「亜急性」見直しも
2018.08.25
厚労省が8月9日付で発出。6月以降の料金改定や亜急性の文言見直しへの見解が示された。問16に対しては、施術者団体の一部から「今回の亜急性見直しで支給対象を『時間軸』で捉えないとしたことに反する見解となっている」と疑問の声が上がってい
(さらに…)
第2回あはき・柔整等の広告検討会 業界側が広告事項の追加等を提案
第2回あはき・柔整等の広告検討会 業界側が広告事項の追加等を提案
2018.08.10
―保険適用・料金ほか、整骨院表記も可能に―
7月18日、2回目となる『あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会』が都内で開かれた。年度内のガイドライン作成に向け、今回はあはき・柔整業界側の広告規制見直しに関する意見・要望等が示された上で、議論が交わされた。
意見・要望等を述べたのは、全日本鍼灸マッサージ師会(全鍼師会)、日本鍼灸師会(日鍼会)、日本盲人会連合(日盲連)、日本柔道整復師会(日整)の4団体。いずれの団体も (さらに…)
全柔協ら、国交省と面談 自賠責の不正請求を防ぐ提案
全柔協ら、国交省と面談 自賠責の不正請求を防ぐ提案
2018.08.10
―自賠責にも審査会設置を―
自賠責保険の柔整施術費に係る取り扱いが厳しさを増す中、公益社団法人全国柔整鍼灸協会(岸野雅方理事長、全柔協)の幹部らが7月18日、国土交通省を訪れ、自賠責担当者と面談を行った。
全柔協によると、近年の自賠責における柔整施術関連の諸問題について意見交換を行う中で、不正請求を未然に防ぐために「自賠責保険における審査会の設置」を要請したという。長い歴史の中で安定的な制度運営を行ってきた点を強調し、消極的な姿勢を見せる国交省側に対し、全柔協側は、「まず、業界側で自主的に審査会を立ち上げることも想定している。自賠責で一番の問題と言われている施術日数のごまかしは確実に減ると考えており、その実効性を第三者の目から見て、制度に取り入れるか否かを検討してほしい」と提案した。
全柔協側は併せて、「請求において医師の同意書を必須にしようと損害保険会社や医師会が動いている」「接骨院に通院している患者には医師は後遺障害証明書を書かない、と患者に伝えている損保会社もある」といった情報提供も行い、指導するよう求めた。
日本AT学会の第7回学術大会 スポーツ中の心臓突然死、どこでも
日本AT学会の第7回学術大会 スポーツ中の心臓突然死、どこでも
2018.08.10
一般社団法人日本アスレティックトレーニング学会(広瀬統一代表理事)の第7回学術大会が7月7日、8日、横浜市内で開催された。同学会は、学問領域としてのアスレティックトレーニング学の確立、アスレティックトレーナーの社会的認知の向上等を目的に平成24年に設立。学術大会には2日間で約380人が集まった。
教育講演1『スポーツ現場における心臓突然死ゼロを目指して』では、医師で慶應義塾大学スポーツ医学研究センター専任講師の真鍋知宏氏が登壇した。発症後24時間以内に死亡する「突然死」は国内で年間7万人に上り、その6割以上は「心臓性突然死」だと説明。スポーツ中の事例では、2011年夏にサッカー元日本代表選手、2012年ロンドン五輪前のノルウェー水泳選手がともに急性心筋梗塞で帰らぬ人となり、社会的に話題に上ったが、その原因・発生頻度を含む統計データは乏しく、詳細な検討があまり行われていないと指摘した。その中で真鍋氏自身が関わった近年の調査に触れ、2011年4月から2018年3月までの461のマラソン大会(総参加数300万人以上)において、57例の心肺停止例があったとし、その発生率は「10万人あたり1.69人」だったと報告。また、心肺停止と走行距離・時間との間に相関はみられず、「どの地点でも心肺停止は起こり得る」と強調した。さらに、全競技を調査対象に、日本臨床スポーツ医学会が2016年より実施している『J-SPORTSCAR study』にも言及し、現時点で心臓超音波検査などのメディカルチェックが予防に有用だと示されていると話した。
高校運動部でトレーナー介入増
国際武道大学の西山侑汰氏による一般演題『高校運動部活動におけるトレーナー介入実態の経年的推移』では、ある大学の2011年度から2018年度までの新入生(3,937名)に対し、「高校の部活動でトレーナーがいたか」と質問したところ、2015年度以降はトレーナー介入率が45~52%で、増加傾向にあると報告された。サッカー・陸上・野球部での介入が目立ち、介入内容は「治療(マッサージなど)」の回答が多かったとした。
このほか、杉山ちなみ氏(株式会社リボンプロジェクト)の大会長講演『アスレティックトレーニング学のアートを探る』などが行われた。
第1回健康回復フォーラム『かがやき』
第1回健康回復フォーラム『かがやき』
2018.08.10
―パラアスリートらが登壇 障害の特性知って―
一般社団法人日本健康回復協会(藤本斉理事長、JHRA)の「第1回健康回復フォーラム かがやき」が7月8日、東京都内で開催された。
衆院議員で2020年東京オリンピック・パラリンピック大会推進議員連盟事務局長の馳浩氏が基調講演を行った。健常者、障害者を問わずスポーツを楽しむことで理解を深め合う「ユニファイドスポーツ」を紹介。鍼灸マッサージ師や柔整師はその場を支える側に立ってほしいと訴えた。また、2年前に痛風を患った際には「スポーツに関わる人間がこれではいけない」と反省したと説明。健康になった今も週5回、1日1時間程度の運動を行っていると述べ、治療家もスポーツに携わるのであれば、そのぐらいの意識を持つべきだと呼びかけた。
パネルディスカッション『障害者アスリートの現状と代替医療との接点―東京パラリンピックに向けて、代替医療が出来る貢献とは?』は藤野好正氏(ふじの整骨院院長、リオパラリンピック視覚障害者柔道帯同トレーナー)、門田正久氏(理学療法士、日本障がい者スポーツ協会強化委員)、廣瀬誠氏(同パラリンピック視覚障害者柔道銀メダリスト)、三浦浩氏(同パラリンピックパワーリフティング5位入賞)が登壇した。藤野氏は、視覚障害者と一口に言っても、夜は一人では全く行動できない人、逆に昼間の野外は明る過ぎてつらい人というように様々であると解説。一人ひとりの特性を知った上で接していかなければならないと話した。門田氏は、日本障がい者スポーツ協会の認定資格「障がい者スポーツトレーナー」は毎年定員割れが危惧されるほど応募が少なかったが、東京パラリンピックの開催が決定した途端に激増したと指摘。中には「ハクをつける」ためだけに資格を取ろうとしている者もいるとして、本当にスポーツが好きで支援をしたいという志のある人物を求めると呼びかけた。廣瀬氏は、視覚障害者柔道の練習環境は年々改善されてきているが、一方でサポートしてくれる人たちの負担が大きくなっていると指摘。自分は競技を引退したが、スポーツで培った「人間力」を社会に還元すべく、今後は選手の強化などに尽力したいと語った。三浦氏は、自分の場合、競技直前に鍼などで筋を緩められるのは困ると解説。トレーナーは一方的に自分の意見を押し付けないでほしいと述べ、競技特性と障害の特性を併せて知ってほしいと訴えた。
ほかに、鍼灸・柔整専門学校の生徒を対象に、接骨院や鍼灸院を運営する企業らによる就職説明会「就職フェスタ」が行われた。
柔整・あはきで質問主意書、相次ぐ
柔整・あはきで質問主意書、相次ぐ
2018.08.10
―国民民主・青山氏、不必要な患者調査を指摘―
柔整・あはきに関連する質問主意書が6月13日付で複数提出されている。
国民民主党の青山大人衆院議員から、▽保険者から委託を受けた民間業者による「不必要な患者調査」を指摘する質問、▽医師会が医師に対し、骨折等の「医師の同意」を安易にしないよう求めており、柔整施術の機会が狭まれているとの疑念を呈した質問の2件。また、立憲民主党の山内康一衆院議員が、今春より開かれている施術所広告に関する検討会の開催目的やウェブサイト情報は広告に含まれるのかといった「広告規制に関する質問」を行っている。
それぞれの質問書に対し、政府は6月22日付で答弁書を送付した。
「不必要な患者調査」については、被保険者等への調査は本来、不正の疑いのある施術を確認するためで、「受診抑制」にならないよう注意を促す事務連絡(平成30年5月24日付)等により保険者に指導しているとの見解を示した。
「医師の同意」に関しては、昭和31年7月11日付の厚生省通知で「地方医師会等の申し合わせ等により、医師が柔道整復師から、脱臼又は骨折の患部に施術するにつき同意を求められた場合、故なくこれを拒否することのないよう指導すること」と各都道府県知事に通知していると説明。
「広告規制に関する質問」では、「現時点において施術所のウェブサイトによるものを含めた国民に対する情報提供の在り方や、法律の改正の要否等についてお答えすることは困難である」と回答している。
■青山議員による患者調査に関する質問主意書・答弁書
【質問主意書・要旨】
委託業者が患者調査を行う上で、平成24年3月12日付の通知「柔道整復師の施術の療養費の適正化への取組について」を逸脱している傾向が見られ、柔整師と患者の双方にとって、好ましくない状況が生じている。具体的には、保険者と委託業者との契約は出来高払いとされていることから、委託業者が患者数を水増しし、業務成績を上げるために「多部位、長期、高頻度」に該当しない患者にも調査を行っている。一般に患者調査は受診から3~4か月後に行われることが多く、患者の記憶が薄れた頃に調査を受けるため回答が不正確になりがちで、そのため柔整施術療養費支給申請書(申請書)の内容に疑義が生じ、各保険者から柔整師に申請書が返戻される。返戻後は、柔整師が患者の受診内容についてカルテ等を基に申請内容を調査しなければならず、事務の負担増を招いている。
一方、患者は本来必要のなかった患者調査を受忍しなければならない。また、調査自体が受診にうしろめたさを覚えさせ、柔整師の施術を再度利用したいという気持ちを遠ざけてしまう。この結果、受診離れが生じていることは、公益社団法人東京都柔道整復師会広報誌(平成29年12月28日)の「民間業者への二次点検(患者調査)の委託は、『繰り返す患者調査による受診抑制』『行き過ぎた調査』等の弊害を生み、真っ当な柔整師ほど患者減少の傾向が出てしまっている」との記載からも明らかである。
そこで、次について質問する。
一 委託業者による不必要な患者調査を防ぐために、各保険者による適切な指導・監督の実施が必要であり、それがなされていない場合は所管省庁による監督や是正も必要と考えるが、政府の見解を示されたい。
【答弁書・要旨】
御指摘の「不必要な患者調査」の意味するところが必ずしも明らかではないが、柔整療養費の被保険者等への調査については、「柔整療養費の被保険者等への照会について」(平成30年5月24日付)において、「本来の目的である不正の疑いのある施術等についての被保険者等への確認のために実施するものとし、受診の抑制を目的とするような実施方法は厳に慎まれたい」等と示すなど、療養費に係る制度の適切な運用が行われるよう、保険者に対する指導を行っているところである。
西日本豪雨で施術所も被害、岡山で水没
西日本豪雨で施術所も被害、岡山で水没
2018.07.25
―既に鍼灸支援も―
7月上旬に西日本を襲った豪雨では、柔整・あはき施術所も甚大な被害を受けている。市街地の約3割が浸水した岡山県倉敷市真備町では、少なくとも2軒の治療院が水没被害に遭った。建て替え・改築が必要な状況で、再建の見通しは立っていないという。
被害の最も大きい広島県では、福山市山手町と三原市本郷町で床上浸水した治療院があった。また、土砂災害により死者を出した広島市安芸区矢野東にあるくりはら整骨院の院長は「ふたつ隣の古い民家は床下が浸水し、治療院横の川があと1mで氾濫していた」と切迫した当時の状況を話す。運良く浸水は免れ、患者の安否確認も含めて翌日(7日)に治療院を開けたが、患者はなかった。すぐさま治療院を閉め、泥を土嚢に入れるなどの周辺の復旧活動に加わったという。
支援の動きとしては、認定特定非営利活動法人AMDAが7月14日から、岡山県鍼灸師会と朝日医療大学校と協同し、真備町の避難所へ鍼灸治療の支援を開始した。