学生・若手鍼灸師向けイベント『未来を学ぶ』 「産業鍼灸師」の実現を
2018.08.25
―「受療率5%」は「95%の伸びしろ」―
鍼灸専門学校生や若手鍼灸師向けのイベント『未来(いま)を学ぶ』が7月23日、千葉市美浜区の関東鍼灸専門学校で開催された。
川井治療院院長で東京都鍼灸師会理事の川井大輔氏が、鍼灸マッサージ業界の発展や治療家の地位向上のために業界団体が取り組むべきことを提言した。企業が従業員の健康増進によって生産性向上につなげるなど、国も推奨している「健康経営」に着目し、そのような企業の取り組みに業団が参画することを提案。企業の健康イベントに鍼灸師を派遣してサポートするといった具体例を挙げ、最終的に企業内で定期的な施術を行う「産業鍼灸師」の実現を目指す構想を語った。交通事故の自賠責保険に鍼灸治療は適用されにくく、個々の鍼灸師が苦心して保険会社との交渉に当たっている現状に言及。業団が保険会社と施術回数や料金の基準などを取り決め、鍼灸師と保険会社との橋渡しをすればより円滑になるのではないかと述べた。無資格者問題にも触れ、取り締まるだけでなく妥協点も見いださなければならないと指摘。業者の店舗に管理責任者としてあマ指師の有資格者を設置する、有資格者団体における研修を必須化して将来的に国家資格を取得してもらう、といった案を提示した。
また川井氏は、引退する開業鍼灸師には、業団が斡旋する若手に院を引き継がせて独立を助けてもらう代わりに、業団から年金を支給してはどうかと話した。
治療院の口コミサイト「しんきゅうコンパス」を運営するカリスタ株式会社代表取締役の前田真也氏が登壇。鍼灸師に必要なスキルは「患者さんを長く診られる力」だと述べ、開業鍼灸師には加えて経営力が求められると説明した。また、「患者さんの人生を豊かにすることへのこだわり」「人・外部環境のせいにしない」など「伸びる」鍼灸師の条件を提示。「ポジティブさ」も大切だとして、鍼灸受療率が5%しかないと嘆くよりも「95%も伸びしろがあると考えよう」と呼びかけた。
ほかに、美容鍼灸でテレビや雑誌などのメディアに取り上げられているあはき師、倉内夕氏によるデモンストレーションも行われた。