世界のあらゆるツボを表現するISO国際規格が発行

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投稿日:2026.02.10

あはき学術・教育

 昨年11月、国際貿易で不可欠となる国際規格を定めるISO(国際標準化機構)において、ISO 16843-1「腧穴の表現に関わる範疇構造規格」がIS(国際規格)として発行された。これは電子カルテなどでツボを表現するための「ツボの情報規格」に当たり、世界の伝統医学にツボを刺激する様々な治療法がある中で、これらのツボを包括的に表現するためのもの。

 将来的にデータが集積されれば、世界中のツボを比較検討し臨床に役立てられる可能性を秘めている。また、このプロジェクトは日本が主導し、日本鍼灸の独自性も表現可能な規格にできたため、日本の鍼灸師が世界で活躍する場面でイレギュラーとされるリスクを回避できる意義も大きい。

 この決定に至るまでの経緯などについて、2005年からWHO、ISOにおける伝統医学の国際標準化会議に日本東洋医学サミット会議(JLOM)メンバーとして参加し、ISO16843-1については2010年の提案時よりプロジェクトリーダーを務めた東郷俊宏氏(明治国際医療大学客員教授)に話を聞いた。

各国の伝統医療を尊重する国際規格を

 提案の契機は、保健医療情報分野の国際規格化に関する専門委員会(ISO/TC215)で日本の代表として会議に参加していた廣瀬康行教授(琉球大学)から、「日本鍼灸を守るためには、『日本と中国の鍼灸は違う』と伝統医療の多様性ばかり主張するのでなく、多様な伝統医療のあり方を包括的に表現できる枠組みを提案し、日本鍼灸を表現できるようにするべき」と聞かされ賛同したことから。その背景には、会議では「多様性があるからこそ、個別性を失わず、その多様性を包含するような規格が必要だ」という意見が必ず多数を占めてきたという経緯がある。

 また、会議で中国から提起される情報規格のほとんどが、同国の国内規格をそのまま国際規格とするものとなっており、各国の教育機関で標準化されている用語や法令への配慮を欠くことがしばしば起こっていた。

 例えば、日本と中国の葛根湯は構成生薬や各生薬の使用量なども異なり、処方名は同じでも薬物としては別物といえる。鍼灸治療で使われるツボも2008年にWHOで位置が標準化されたものの、現在でも日本と中国、韓国で同意が得られていないツボが存在するなど、「同一名称でありながら指し示すモノが異なる」という問題があり、単純な標準化は、伝統的に培われてきた知識や経験を脅かす可能性もある。

 さらにツボに着目をすると、東アジア伝統医学の鍼灸のみならず、アーユルヴェーダやタイ医学、チベット医学などツボを用いる医療は世界中に多数存在し、耳鍼や手の鍼、YNSAといった頭鍼で使うツボなど古典的な経絡に依拠しないツボも存在するという問題もあった。そこで、これらの様々なツボに関する情報を整理し、表現できる枠組を規定する必要があると考え、2010年の提案に至ったのだと説明する。

東郷俊宏氏

東郷俊宏氏

 ところが

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