連載『柔道整復と超音波画像観察装置』249 超音波ガイド下鍼灸の有効性に関するシステマティックレビュー
2025.12.21
投稿日:2025.12.23
第43回日本東方医学会が11月29日、30日に順天堂大学(東京都文京区)で開催された。テーマは『順天應人―東方醫學×公衆衛生學』、主催は一般財団法人東方医療振興財団、後援は厚生労働省と日本医師会。

友岡清秀氏(順天堂大学医学部衛生学・公衆衛生学講座客員准教授)は会頭講演にて、「東方医学をどう社会に普及させるかを考えたい」と課題提起し講演を始めた。公衆衛生学について、アメリカの公衆衛生学者ウィンスローの定義より「疾病を予防し、寿命を延長し、肉体的・精神的健康と能率の増進をはかる科学であり、技術である」と引用を紹介し、全ての人・社会のための予防医学であると説明した。
東方医学との関連について『霊枢』や『素問』、『千金方』にみられるように、鍼治療を国民医療として位置付け、「治未病」を目指し、「医」は個のみでなく国家や社会を癒すことを使命とするなど、親和性が高いという。今、世界でも伝統医学が注目される方向にある反面、日本での鍼灸受療率の低迷を指摘し「『順天應人』は伝統医学を社会に普及させるキーワードになる」と大会テーマを示した。順天應人という言葉は易経にある澤火革の彖伝に由来する。革命の成功には天の道理に従うという「順天」、人心に応じるという「應人」を兼ね備えた大義名分が必要であると説かれている。友岡氏は、「順天」を天人合一思想や、自然に対する感謝や畏敬の念などを表す「東方医学」に、「應人」を人生の始まりから終わりを社会全体で考える「公衆衛生学」になぞらえ、「この2つの融合は無限の可能性がある。豊かで健やかな社会の実現に貢献できる」。さらに「鍼灸をはじめ東方医学を実践する人は順天應人的な資質を兼ね備えている。再認識し実践することは、社会をより良くすることに繋がる」と語った。

友岡清秀氏
稲葉俊郎氏(慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科特任教授)は医師として約20年の勤務の中で災害医療やコロナ禍も経験し「医療システムに限界を感じるようになった」と語った。病気を治せば健康になるという現代医療的な「病気学」から、健康になれる場に身を置けば病気は治るという自然療法・伝統医療的な「健康学」に価値観を見出し、社会的に活用すべきとの思いが募ったと話す。
稲葉氏が新しい医療の場「治る場」として構想しているのは、古代ギリシア・アスクレピオス信仰で知られる
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