短期連載『鍼灸教育 復興への道』第1回 専科教員制度を復活させ 温故知新を!

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投稿日:2023.12.25

あはき連載

 鍼灸は、国民医療並びに未病、健康保持増進、心身の活力に貢献し、さらに最近では老化の抑制(若返り志向)などに関心が向けられています。歴史をたどれば、二千年の実証に基づく伝統医術を継承し、江戸期から昭和期にかけてきら星のごとく名人が輩出され、その医の技術は「人間の叡智と実践」といっても過言ではありません。しかしこの40年あまり、満身の力で患者に対峙する情熱が鍼灸師から薄れているように思えます。本連載では、教育面を中心に斯界の現状を概観し、打開すべく課題を提示したいと思います。

 まず、今の斯界では、臨床から遊離した「研究」や、生理、物理作用の研究報告で重箱の隅を突くような「学会発表」、また怪しげな治療で会員集めをする「講習会」が散見されます。これは、鍼灸師として理念を欠いたまま、収入の手段だけに迎合した結果、鍼灸の質の向上もなされていない状態といえます。東洋療法研修試験財団の近年のアンケート調査では、鍼灸の国民受療率は4~5%と発表され、国民の鍼灸離れというような生やさしい話ではなく、開業鍼灸師への施療ニーズが減り、今後は限りなく「絶滅危惧種」となってしまうのではないでしょうか。一方の鍼灸師側も、自身の施術に信頼を持てないまま、ビジョンもやり甲斐も見いだせず、治療家人生を過ごしてしまう危機的な状況です。独立開業者の数も5年連続で減り続けている厳しい現状がそれを物語っています。

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