Q&A『上田がお答えいたします』 医師の診断をもって柔整師の判断を全否定し不支給処分
2019.07.25
Q.
私が3月に腰椎捻挫の施術を行った患者さんが、4月に医師から「腰椎椎間板ヘルニア」との診断を受けたのですが、5月から7月までは病院には行かずに私の施術だけを受けていました。すると、「腰椎椎間板ヘルニアは医師が治療するもので柔整師が施術するものではないから捻挫とは認められない」との理由で療養費が不支給になってしまいました。
A.
腰椎捻挫と腰椎椎間板ヘルニアがともに「腰部」であることから、単に「別物である」と主張するのはなかなか難しいですね。そこで、まずは腰椎捻挫と腰椎椎間板ヘルニアは症状が異なるということから攻めてみましょう。腰椎捻挫は腰椎の運動に関わる筋や靭帯、関節部に限局される疼痛が主症状であり、一方、腰椎椎間板ヘルニアは時間の経過とともに出てくる神経根症状である下肢放散痛が主症状です。腰椎捻挫には下肢放散痛の症状は無いので、4月から7月までの間、症状が腰部に限局されていたのであれば、仮に保険医療機関における画像診断で椎間板ヘルニアが認められていたとしても、柔整師が腰椎捻挫と判断することは問題ありません。
痺れ感が著明だったり、椅子からの立ち上がり動作やベッドからの起き上がり動作による疼痛が著明であれば、腰椎椎間板ヘルニアが疑われますが、SLR testを行った結果が(-)ならば腰椎捻挫、腰部に疼痛と熱感があったのであれば急性期の腰椎捻挫と判断でき、「言い分」を構築することができます。また、腸腰筋や腰方形筋を中心に痛みが現出していたので手技療法・電気療法を中心に行ったというのであれば、それはまさに腰椎捻挫に対する施術であり、「神経根症状は無く、限局した部位に対する施術であって、腰椎椎間板ヘルニアに対するものではない」といった主張ができるでしょう。問題は、「素人の事務職」に過ぎない保険者がこれらを理解できるかどうかですね。
【連載執筆者】
上田孝之(うえだ・たかゆき)
全国柔整鍼灸協同組合専務理事、日本保健鍼灸マッサージ柔整協同組合連合会理事長
柔整・あはき業界に転身する前は、厚生労働省で保険局医療課療養専門官や東海北陸厚生局上席社会保険監査指導官等を歴任。柔整師免許保有者であり、施術者団体幹部として行政や保険者と交渉に当たっている。




