「鍼灸師の機能訓練指導員」で 介護予防研究会が厚労省と協議
2019.02.25
「6カ月の実務経験」の撤廃、容易ではない
NPO介護予防研究会(佐藤司理事長)が2月8日、平成30年度より資格要件に認められた「鍼灸師の機能訓練指導員」について、都内で厚労省と協議を行った。同研究会は平成17年に発足し、介護予防に関する調査・研究等のほか、研修事業も実施しており、今春からは介護保険の現場で即戦力として活躍できる機能訓練指導員の鍼灸師等を養成する「認定研修」もスタートさせる。
当日は、佐藤理事長と理事の中川裕章氏、厚労省側からは老健局ら関係部局の7名の担当者が出席。公明党の横山信一参院議員も同席したという。協議に当たっては、同研究会が要望書を提出。▽鍼灸学校において、機能訓練指導員の基礎知識や技術的支援が獲得できる教育カリキュラムの創設、▽現在示されている「6カ月の実務経験」という要件に加え、鍼灸師が現場で活躍できる専門的な知識・技術が得られる研修会、教育カリキュラムを2021年度介護保険改正までに創設、▽現場での研修制度に関して、業界団体なども含めた合意形成ができる場の設置、などを要望として求めた。
これらを受け、厚労省側は、今後の制度改正は、社会保障審議会介護給付費分科会で丁寧に話し合わなければならず、平成30年度に機能訓練指導員要件も緩和したばかりで早急には難しいとした上で、「障害者雇用への影響を統計調査する必要もあり、何らかの調査を進める方針だが、詳細はまだ決まっていない」「6カ月の実務経験については、分科会の意見交換時にそれ以上の期間を求める委員もおり、撤廃は容易ではない」との見解を示した。ただ、同研究会の行う「認定研修」への否定的な意見は無く、また現場の声を聞くという観点から同分科会に同研究会を招聘することは可能だとの回答も得られたといい、「好意的に要望を聞いてもらえた」と中川氏は話す。
同研究会では現在、鍼灸師の機能訓練指導員に関するアウトカム指標(普及率、施設属性、男女比率、雇用率等)を分析・検討しており、他団体とのコンセンサスを図りながら、さらなる認定研修の推進と要件緩和等に向けた取り組みを進めていくとしている。