JATI 第13回総会・研修会 「身体活動を伴う余暇の過ごし方(アクティブレジャー)」呼びかけ
2019.07.10
「運動の質」担保で広義の健康運動に
NPO法人日本トレーニング指導者協会(JATI)の第13回総会・研修会が6月2日、東海大学湘南キャンパス(神奈川県平塚市)で開催された。
基調講演『生活習慣病のための運動・身体活動』では、勝川史憲氏(慶応義塾大学スポーツ医学研究センター所長)が登壇。健康運動のパラダイムの変遷について、「週3~5日、中から高強度のトレーニングで体力・心肺持久力を向上すべき」とされた70年代から、95年頃には「中等度の運動を週5日以上続け、エネルギー消費量を増加することで疾患の予防・治療になる」との認識が広まったと説明。2000年代には高強度の運動は中強度の運動よりも短時間で成果を上げられ、ただのウオーキングなどよりもプログラムされた質の高い運動が有効と考えられるようになったとした。また、近年の研究によれば、座位で過ごす時間を減少・中断することによってインスリン値の低下が認められ、低強度の運動であっても10分以上持続することでメタボのリスクを低下させられると示唆。働き方のデザインを変え、よりフレキシブルな運動プログラムを取り入れることが重要になるとした。具体例としてランニングブームを挙げ、運動を目的達成の手段とする外発的動機付けよりも、運動を楽しむこと自体を目的とする内発的動機付けが運動継続に重要であり、ハイキング、園芸、釣り、楽器演奏といった身体活動を伴う余暇の過ごし方、「アクティブレジャー」を広めることが重要であり、これまで健康運動とは無関係と考えられていた分野でも、そこに運動の質を担保する仕組み作りがあれば、広義の健康運動として成立する可能性があると呼びかけた。
このほか、米国ノースキャロライナ州のアスレチックラボ・スポーツパフォーマンス・トレーニングセンターでパフォーマンス・ディレクターを務めるMike Young氏による国際講演『アスリートに対するVelocity Based Trainingの実践的応用』、分科会として『知覚・認知・反応を考慮したスプリントスピード&アジリティーの測定とトレーニング』(長谷川裕氏・JATI理事長)ほか5題の発表が行われた。