講演『ミュージシャンを支える鍼灸師という生き方』 ツアーに帯同、フェスで数十人からケア
2019.09.10
講演『ミュージシャンを支える鍼灸師という生き方』が8月1日、関東鍼灸専門学校(千葉市美浜区)で行われた。講師は「ミュージシャン専門」を標榜し、MAN WITH A MISSIONやMONGOL800、難波章浩などのロックバンドやミュージシャンのケアを担当している通称「メガパン」こと鍼灸師の野田峻也氏(株式会社MEGAPAN代表取締役社長)。
野田氏は、ライブツアーではまず、リハーサル前に「リハーサルのための体づくり」として、例えばボーカルであればベストな音程で歌えるよう整えたり、前日に痛めた喉などをケアしたりすると説明した。リハーサルと本番との間の空き時間は「微調整」に費やし、「もうちょっと高い声が出せないか?」といったリクエストにも対応。ライブ後には翌日のためのアフターケアに当たるとともに、良いパフォーマンスができていたか、音響や撮影担当者にもヒアリングを行って今後の参考にすると解説した。一方、多数のバンド、ミュージシャンが出演する「音楽フェス」では会場に設けられた施術ブースに出演者らが終日頻繁に出入りするため、出演前なのか後なのか、彼らのスケジュールを把握。スタッフへの采配も振るいつつ、1日に延べ40~50人、規模によっては70~80人に施術しており、日本最大級とされる「カウントダウンジャパン」の際には100人にも上ったと話した。
「追っかけ」から「ツアースタッフ」に
野田氏は、「アスリートをケアするように、バンドマンのケアをする仕事があってもいいのではとの思いから鍼灸師になった」と語った。あるバンドの「追っかけ」をしていた際、「いつもライブに来てくれているけど、何をしている人なの?」と、メンバーから声をかけられたのを契機にツアースタッフとして採用され、雑務もこなしながらケアに従事。バンド同士の口コミでケアの仕事が増え、より規模の大きなフェスを任されるまでになって、「自分一人では限界だ」とスタッフの雇用の必要性を感じて株式会社を設立、現在では、ライブやフェスの主催者との予算の折衝なども行っていると述べた。