「平成の30年間」で、施術者等の数はどう変わった……?
2019.10.10
柔整・鍼灸で2~3倍の伸び! 業界の規模拡大
「福岡裁判」など規制緩和が背景に
「平成」の時代で区切れば、施術者・施術所ともに飛躍的に数を増やし、業界の規模を拡大させた。柔整師は5万人強、鍼灸師も6万人強増え、それに伴う形で施術所も増加し、柔整・鍼灸に係る伸び率は2~3倍。時代が下れば下るほど、その伸びは加速しており、養成校新設を解禁した平成10年の「福岡裁判」などの規制緩和の影響が大きかったといえる。
「平成の30年間」で、施術者等の数はどう変わった……?
「平成の30年間」で、施術者等の数はどう変わった……?
2019.10.10
柔整・鍼灸で2~3倍の伸び! 業界の規模拡大
「福岡裁判」など規制緩和が背景に
「平成」の時代で区切れば、施術者・施術所ともに飛躍的に数を増やし、業界の規模を拡大させた。柔整師は5万人強、鍼灸師も6万人強増え、それに伴う形で施術所も増加し、柔整・鍼灸に係る伸び率は2~3倍。時代が下れば下るほど、その伸びは加速しており、養成校新設を解禁した平成10年の「福岡裁判」などの規制緩和の影響が大きかったといえる。
第2回国際美容鍼灸学会 顔面の鍼通電、病的共同運動起こす恐れ
第2回国際美容鍼灸学会 顔面の鍼通電、病的共同運動起こす恐れ
2019.10.10
美容鍼のリスク管理なども紹介
第2回国際美容鍼灸学会が9月8日、大手町サンケイプラザ(東京都千代田区)で開催された。
『表情筋と顔面神経の特徴をふまえた鍼灸治療―顔面神経麻痺の治療からの考察』をテーマに、粕谷大智氏(東京大学医学部付属病院リハビリテーション部鍼灸部門主任)が基調講演を行った。顔面神経麻痺の後遺症について、断裂した顔面神経が本来支配していた筋とは別の筋に迷入して過誤支配することで、病的共同運動が発生すると解説。表情筋を動かす練習、いわゆる「百面相」は一見リハビリになると思われるが、そのような粗大な筋収縮は神経の迷入や過誤支配を促進して症状を悪化させると説いた。また、表情筋には四肢の筋肉と異なり筋緊張を調整する筋紡錘が無く元々収縮優位なため、筋収縮を起こす低周波通電刺激は顔面神経麻痺には禁忌であると注意。顔面神経を刺激する鍼通電刺激は、短時間ではあるが健常者でも病的共同運動を引き起こす可能性があると示唆するデータを提示した。粕谷氏は、顔面神経麻痺の急性期には強力・粗大・対称的な随意運動は回避しなければならないと呼び掛け、徹底的な筋の揉捏法と伸張マッサージ、眼瞼挙筋を用いた開眼運動を推奨した。
シンポジウムはほんあつ治療院・大磯治療院総院長の長谷川尚哉氏を座長に、上田隆勇氏(日本美容鍼灸マッサージ協会会長)、堀口三恵子氏(堀口三恵子美容アカデミー理事長)、光本朱美氏(ハリジェンヌ代表)、粕谷氏が登壇した。上田氏は内出血への備えとして、乾いたコットンや綿棒に加え、アイシングのために氷で冷やして使用する金属製スプーンなどを用意していると述べた。また、看護師として救急病棟に長年勤めていた経験から、危機管理のためにミスやアクシデントなどを報告する独自の書式を作成。従業員にはどんな些細なことでもこの書式で報告させ、再発防止や注意喚起のために院内で事例を共有していると話した。堀口氏は解剖学・皮膚科学的に出血しやすい箇所の経穴は選択しない、光本氏はPMS(月経前症候群)の時期の施術は避け、ボトックスとヒアルロン酸の注射後は2週間空ける、といったリスク回避のポイントを挙げた。
ほかに、堀口氏による『頭部及び顔面部の鍼施術に対するMRI画像評価の検討』、野村有子氏(野村皮膚科医院)の動画講演『美容鍼灸で知っておきたい皮膚科学講座』、上田式美容鍼灸®などを用いた症例・事例研究12題が行われた。
第61回柔整教員研修会 柔整の社会的役割をテーマに331人参加
第61回柔整教員研修会 柔整の社会的役割をテーマに331人参加
2019.10.10
「柔術接骨だったかも?」柔整公認の謎
全国柔道整復学校協会(谷口和彦会長)の61回目となる教員研修会が8月24日、25日、仙台市内で開かれた。テーマは『柔道整復が社会に果たす役割』で、教員ら331人が参加した。主管校は赤門鍼灸柔整専門学校。
『柔道整復師はどのようにしてその名を得たか』と題する講演では、新潟青陵大学准教授の海老田大五朗氏が登壇。来年の2020年は「柔道整復」という言葉が内務省令「按摩術営業取締」に加えられ、柔道整復術が法的に公認されて100年目に当たる年だが、その起源が「柔術家たちによる接骨術」であるとすれば、「柔術接骨」という名称が採用されていてもおかしくなかったと疑問を呈した。この「謎」については、大正時代の帝国議会という政治の場に加え、講道館柔道の普及や接骨術の立ち位置などの影響が色濃く反映されていると言及。医療の西洋化により柔道場で盛んに行われていた接骨治療が取り締まられる中、接骨家らが柔道接骨術公認期成会運動を展開し、請願運動の代表者に「士族講道館柔道指南役・山下義韶」を擁立した点を指摘し、当時の接骨家たちと講道館柔道のつながりの強さを示した。「整復」が採用された点については、議会で政府側が「接骨医と同様のことを行う医師として整形外科医がいる」などと答弁し、西洋医療に一本化するという「医制」の観点から「接骨」を認めないとの一貫した態度が示され、その後、接骨家側のアドバイザー的存在であった医学博士の井上通泰(柔道家であり、当時の医師会の実力者)が「整復術がよかろう」と助言し、公認に至ったと解説した。海老田氏は、WHOの報告書で「柔道セラピー」と紹介され、「スポーツの名を冠する、世界で類を見ないユニークな名称を持つセラピストとして、東京オリンピックを契機に世界にアピールを」と呼びかけた。
東北大学加齢医学研究所所長の川島隆太氏による講演では、認知神経科学の観点から、大脳の前頭前野の特別な領域の機能に着目し、認知機能全般を維持・向上して、精神的な健康観を向上するための手法の開発研究などについて紹介された。
このほか、元帝京大学教授・佐藤揵氏の『温故知新―シャーキー先生の「トレーニングの生理学」に学ぶ』、宮城教育大学教職大学院教授・吉村敏之氏の『学ぶ意欲を育み、学ぶ基盤を培う』の講演2題と、『マグネット式骨折模型シミュレーターを使用したサブテキストに関する教育効果について』を含むポスター発表8題が行われた。
柔整師、あはき師の労災保険施術料金算定基準の一部改定
柔整師、あはき師の労災保険施術料金算定基準の一部改定
2019.10.10
改定内容は以下の通り。いずれも10月1日以降の施術分から適用。消費増税に伴うプラス改定で、いずれも少額の引き上げにとどまった。(令和元年9月27日付)
柔道整復師
■初検料 2,485円→2,545円(+60円)
■再検料 480円→490円(+10円)
■運動療法料 370円→380円(+10円)
■特別措置料金
<骨折、不全骨折又は脱臼>
「特別材料費」1,620円→1,670円(+50円)、「包帯交換料」720円→750円(+30円)
<捻挫・打撲>
「特別材料費」970円→1,020円(+50円)、「包帯交換料」360円→400円(+40円)
■骨折(整復料)
「大腿骨」「上腕骨・下腿骨」「前腕骨」13,800円→14,000円(+200円)
「鎖骨」「肋骨」「手根骨・足根骨・中手骨・中足骨・指(手・足)骨」6,240円→6,440円(+200円)
■不全骨折(固定料)
「骨盤」「大腿骨」11,040円→11,240円(+200円)
「胸骨・肋骨・鎖骨」4,560円→4,760円(+200円)
「下腿骨・上腕骨・前腕骨・膝蓋骨」8,400円→8,600円(+200円)
「手根骨・足根骨・中手骨・中足骨・指(手・足)骨」4,320円→4,520円(+200円)
■脱臼(整復料)
「股関節」10,800円→11,000円(+200円)
「肩関節」9,480円→9,680円(+200円)
「肘関節・膝関節」「手関節・足関節・指(手・足)関節」4,320円→4,520円(+200円)
「顎関節」2,760円→2,960円(+200円)
■後療料
「骨折」980円→990円(+10円)
「不全骨折」 830円→840円(+10円)
「脱臼」830円→840円(+10円)
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師
■初検料 2,810円→2,910円(+100円)
■施術料
<はり・きゅう>2術(はり・きゅう併用)の場合 (1日1回限り)4,040円→4,050円(+10円)
<マッサージ>温罨法を併施した場合 (1回につき)100円→130円(+30円)
変形徒手矯正術を行った場合 (1肢につき)780円→790円(+10円)
<はり又はきゅうとマッサージの併用>(1日1回限り)4,040円→4,050円(+10円)
都道府県別の就業あはき師・柔整師数 厚労省『平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況』から
都道府県別の就業あはき師・柔整師数 厚労省『平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況』から
2019.10.10
9月4日付で発表。2年前(平成28年末)の前回結果とその増減率(小数点以下2位を四捨五入)を併せて掲載する。
10月消費増税に伴う療養費料金改定 改定率0.44%でプラス改定
10月消費増税に伴う療養費料金改定 改定率0.44%でプラス改定
2019.09.25
10月からの消費増税に伴い、柔整・あはきの両療養費とも「改定率0.44%」でプラス改定されることが決定した。厚労省が9月10日付で発表。料金が引き上げられるメニューは、柔整で初検料や再検料、マッサージで温罨法や変形徒手矯正術、はり・きゅうで初検料など。10月1日より施行される。
今回の改定は、消費税10%への増税によって治療院における仕入れ等のコスト負担増を補填する特例的なもの。改定率は、「診療報酬の改定率の2分の1」という従来の考え方が踏襲され、0.44%のプラス改定となった。
柔整療養費では、初検料が60円引き上げられて1,520円となり、再検料も10円引き上げられて410円となったほか、整復料や固定料、後療料等の骨折・脱臼に係るメニューを中心に料金が上げられた。マッサージ療養費では、温罨法が30円引き上げられて110円、変形徒手矯正術が10円引き上げられて790円など。はり・きゅう療養費は、初検料の引き上げ額100円で、1術1,710円、2術1,760円などとなった。
今回決定した改定内容は、9月6日に開かれた両療養費の検討専門委員会で厚労省が提示した料金改定案がそのまま採用された。ただ、当日の専門委員会では、保険者側の委員が改定率に対し「消費増税に係る改定は、政策改定と違い、それなりの計算根拠が必要なはずだ」と詰め寄る一幕があった。厚労省による「施術所の確定申告等から分析したが、サンプル数が少なく、活用できるデータとならなかった」との説明では、なかなか合意が得られず、最終的に座長一任として議論が終了していた。
あはき・柔整療養費の検討専門委員会 施術管理者の要件、あはきにも
あはき・柔整療養費の検討専門委員会 施術管理者の要件、あはきにも
2019.09.25
実務経験1年、出張専門以外で
9月6日に開かれた第21回あはき療養費検討専門委員会と第15回柔整療養費検討専門委員会では、消費増税対応の料金改定以外の議題も話し合われた。
あはき専門委では、柔整で既に義務化されている「施術管理者の要件(実務経験と研修受講)」をあはき療養費にも導入することを前提とし、厚労省から具体案が提示された。実務経験の期間については「当面1年間」で、実務経験の受け入れ先となる施術所の形態として「出張専門は含めない」と提案された。研修に関しては、「16時間、2日間以上の講義」や「研修実施主体は公益財団法人」、「新卒者に対する緩和措置としての特例設置」など、柔整とほぼ同様の実施内容が示された。今後、令和2年度中をめどに、導入時期を決定していくとした。往田和章氏(全日本鍼灸マッサージ師会副会長)は、「研修科目の案を見ると、職業倫理、適切な保険請求といった項目が並び、資質の向上や多職種連携を深めていくために必要と考える。しかし、健康保険を取り扱う施術管理者のみを対象としている上、受領委任参加率も健保組合で10%台と少ない状況にある。あはき受領委任を医療資源として活用するためにも、保険者の参加を厚労省で推し進めてほしい」と要望した。
■あはき受領委任の施術管理者の要件(案)
・導入時期は令和2年度中 (導入後、新たに施術管理者になる場合には実務経験と研修受講が必要となる)
・実務経験の期間は当面1年間
・実務経験は出張専門以外の施術所で
・研修時間は合計16時間、2日間以上
・緩和措置として、新卒者や導入当初に実務
経験要件を満たしている者等への特例設置
■あはき受領委任への参加保険者数(8月時点)
・協会けんぽ48(100%)
・健保組合226(16%)
・国保1785(95%)
・後期高齢者医療44(94%)
柔整専門委では、「支給基準の明確化」や「電子請求に係るモデル事業の実施」など、ここ数年来議論されてきた議題や見直し事項の進捗が厚労省より説明された。そんな中、柔整側の委員からは「保険者の行き過ぎた患者照会でルール違反も見られるが、保険者間で是正しようとの対応は行われているのか」「各都道府県の柔整審査会の審査員を公表できないのか」といった発言があった一方、保険者側からは「電子請求の仕組み作りを進めていくのは構わないが、署名の問題をまず解決すべきではないのか」「広告検討会でガイドライン作成が議論中だが、広告違反者を受領委任中止にできるよう規定してほしい」との意見が出た。
晴眼者のあマ指師課程新設めぐる裁判 東京地裁、12月16日判決言い渡し
晴眼者のあマ指師課程新設めぐる裁判 東京地裁、12月16日判決言い渡し
2019.09.25
大阪・仙台に先駆け、初の判決か
晴眼者のあん摩マッサージ指圧師養成課程の新設をめぐる裁判が、東京、大阪、仙台の3地裁で争われている中、初となる判決が東京地裁で12月16日11時半から言い渡される。
同裁判は、あはき法19条の規定により国が新設申請を認めなかったとして、学校法人平成医療学園らがその処分取消を求めて平成28年7月に提訴した。9月5日に行われた東京地裁での14回目となる口頭弁論で、原告・被告ともに主張がほぼ出尽くしたことから、結審(全ての審理を終了し、判決を待つだけの状態)となった。
大阪地裁は10月11日、仙台地裁は12月2日と、それぞれ次回の口頭弁論が予定されているが、弁論終結に至っておらず、他に先駆けて東京地裁で判決が下されることが濃厚となった。
鍼灸×eスポーツ講習会 「市場規模伸びていくスポーツ」
鍼灸×eスポーツ講習会 「市場規模伸びていくスポーツ」
2019.09.25
鍼の有用性の数値化、業界で
鍼灸師のeスポーツ参入に関する講習会が8月25日、東京都内で開かれた。講師はeスポーツトレーナーとして活動する鍼灸師の平松燿氏(全日本鍼灸Summarize、東京有明医療大学付属鍼灸センター)。講習会の発起人は川井大輔氏(東京都鍼灸師会)。
平松氏は、eスポーツの競技人口は1億3千万人程度、海外市場規模700億円、国内では5億円程度と説明。国内の市場規模が伸びない理由に、観戦が動画配信主体でチケット制の観戦文化が未成熟なことや、海外と比べるとeスポーツが盛んなソフトが多いXboxが主流ハードではないことなどを挙げた。一方、実況解説やコラム執筆など選手の仕事は増えていることや、日本テレビがプロチーム「AXIZ」を結成し、応援番組を放送したといった動きにも触れ、「今後伸びていくスポーツ。状況はJリーグの発足時に似ている」とした。
選手の愁訴、胃腸障害も
また、プロチームにおいて、選手が共同生活をしてゲームの訓練を行う施設「ゲーミングハウス」などで自身が実施した施術の内容を集計した(下図)。受療者数は12人で、うち9人が3回以上の鍼灸治療を受療。平均年齢21.8歳、総治療回数は延べ358回。愁訴は筋・骨格系のほか、競技特性から眼精疲労が目立つほか、シーズン中、慣れない共同生活のストレスによって便秘や下痢を訴える胃腸障害の選手が散見されたとした。また、ゲーミングハウスでの選手は、睡眠と食事を除く大半の時間がゲームの練習で、時差のある海外チームとの試合が多いため生活も不規則といった現状も紹介。選手への聞き取り調査では、身体的な不調が精神面やプレイに大きな影響を与えており、選手自身、改善したいという意識を持っていることから、鍼治療を肯定的な経験として意味付けられれば、その経験を通じて生活・健康管理の重要性を意識させられるとした。
平松氏は、チームが選手の健康管理を支える文化が根付いている既存のスポーツと異なり、一定の根拠を示さなければチームには参入できないと指摘。有用性の数値化、現場データの共有など、業界全体の後押しが必須だと呼びかけた。
鍼灸院の雇用・契約で社労士講演 無理な引き留めは「強制労働」
鍼灸院の雇用・契約で社労士講演 無理な引き留めは「強制労働」
2019.09.25
『鍼灸院のための日本一カンタンな雇用の基本の〝き〟セミナー』が9月1日、ウインクあいち(名古屋市中村区)で開かれた。
労働関連法令や社会保障法令に基づく書類等の作成代行、企業の労務管理や社会保険に関する相談・指導を行う社会保険労務士の國安院ゆみ氏(社会保険労務士事務所フェイルノート代表)が講演を行った。勤務鍼灸師が辞めようとすると院長から「患者さんを見捨てる気?」「じゃあ代わりの人を探してきて」などと言われるという話をよく耳にするが、そのようにして引き留めて働かせ続けた場合、法律上「強制労働」になりかねないと指摘。ほかにも、求人において待遇が明確でない、最低賃金が守られていない、残業代が支払われていないといった、鍼灸院で実際にあった不当な事例を列挙。事業主として人を雇用する以上、最低限の関連法の知識を身に付け、専門的な部分は社労士に相談してほしいと呼び掛けた。
また、雇用契約には労働契約と委託契約があり、前者は▽掃除やカルテ整理など院の様々な業務を行わなければならない、▽労災への加入は雇用主の義務、▽要件に該当すれば雇用保険や社会保険へ加入できる、後者は▽仕事の裁量権が大きい、▽通勤や業務中のケガは自分の保険で賄う、▽自ら確定申告をしなければならないといった、それぞれの特徴を説明。雇用主として、「うちの院に長く居続けてほしい」なら労働契約、「自分がさばききれない患者さんをその時どきでお任せしたい」なら委託契約というように、方針に合った契約方法を選択すればよいと話した。いずれにせよ、パート・アルバイトを含むどのような雇用形態でも、労働条件を明記した雇用契約書を交わすべきだと強調。自己都合退職の届け出期限(通常1カ月以上前)や、昇給・賞与が無くてもその旨を必ず記載しておくことなど、重要な項目について解説した。
『開業3年目、正社員1名パート1名、私はこうして雇用した』と題して、鍼灸師の米倉まな氏(まな鍼灸堂)が登壇した。前職で人間関係の困難さを経験したため雇用を敬遠していたが、周囲の後押しや社労士の協力もあって現在、2名を雇用。自分の時間を作れるようになり、集中力が高まったと話した。
レポート 2019日本学生トライアスロン選手権観音寺大会 ボランティア報告
レポート 2019日本学生トライアスロン選手権観音寺大会 ボランティア報告
2019.09.25
柔整ボランティア、医師・看護師との連携機能
9月1日、香川県観音寺市で開催された「2019日本学生トライアスロン選手権観音寺大会」で、全国柔整鍼灸協同組合(全柔協)所属の先生数名と共に、ボランティアに参加する学生22名を引率した。
当日は8時に大会会場の琴弾公園に到着。前日の雨でぬかるんでいたが、さほど影響は無かった。医療ブースの設営後、ゴール地点で選手の搬送を練習した。2、3人での搬送のほか、男子の大きな選手を搬送する場合に3人で安定しなければ更にサポートに入り、安全に搬送できるようにする練習も行った。今年はクラッシュ済みの氷が配布されたため、氷を砕く作業が省略できた。なお、スタート前にコンディショニングに来る選手はいなかった。
曇り空の中、女子が10時15分にスタートした。スイムでのけが人、リタイアは出なかったが、バイクでは路面の状態が悪いこともあり5、6名の選手が落車でリタイア。約60名の選手がランでゴールに向かった。ゴール地点では学生が搬送班として待機した。女子のレース中には涼しい風が吹く「良コンディション」で、ほとんどの選手が元気にゴールした。一方、13時15分からの男子のスタート前には雨が降り出し、バイクでの落車が懸念された。スイムでは、密集の中で脱臼を起こした選手が出た。学生が医療ブースに搬送し、全柔協の先生が整復を行った。バイクでは予感が的中し、集団中での接触から数名が落車。救急車、関係車両が現場に走った。医療ブースに運ばれた選手は肩や側胸部、膝等が擦過傷で大きな傷となっており、1名、骨盤部に痛みを訴え救急搬送となった。ランが始まる頃には太陽が顔を覗かせ、蒸し暑く、熱中症が発症しやすい環境となった。先頭の選手がゴールし、続々と選手達が戻ってきた。最後の直線で競い合い、ゴールに転がり込む選手や、下肢の痙攣で立てなくなる選手が続出した。30名程度の選手を搬送し、救護ブースでは医師と看護師が体温、血圧、脈拍を測り、点滴等の処置を行った。下肢の痙攣が治まらないケースでは柔整師が施術し、医師、看護師、柔整師の連携が機能していた。
学生たちは緊迫した医療現場を見学することで、今後の糧となったと思われる。最後に「感動を与える選手をサポートできる立派な医療人になってもらいたい」と話して解散した。
学生「脱臼の整復見られ良かった」
後日、参加した学生から寄せられた感想を一部抜粋する。「施術内容を教えてもらうと、まだ習っていない項目もあったが、今勉強している内容でも十分理解できた。日々の勉強の積み重ねが改めて大事だと感じた(柔整師科・1年)」。「脱臼の整復が生で見られて良かった。整復法は知らなかったが、思っていたよりも簡単に入ったのでとても驚いた(鍼灸師科・1年)」。「整復はスピーディーで痛みも無いように見えた。患者を寝かすこともなく、牽引することもない非常に優しい整復だったが、この整復法は脱臼をしたのが初めてであることが条件だと聞いた。その場に応じてベストな方法を考えなければならないことを学べた(柔整師科・2年)」。(平成医療学園専門学校柔道整復師科・竹本晋史)
平成医療学園グループ 世界最高峰のサッカーチームと提携
平成医療学園グループ 世界最高峰のサッカーチームと提携
2019.09.10
スペイン強豪・エスパニョールに学生トレーナーを現地派遣など
柔整・鍼灸養成校で全国初
全国に柔整・鍼灸の養成校を複数持つ平成医療学園が、サッカーの世界最高峰・スペイン1部リーグ所属の『RCDエスパニョール』とトレーナー研修に関するパートナーシップ契約を締結した。柔整科・鍼灸科を設置する学校法人では全国初。
8月21日には大阪市内の同専門学校で調印式を行い、岸野雅方理事長は「日本のみならず、世界のサッカーの発展に貢献できるトレーナーを育成していきたい」と述べた。エスパニョールでメディカル部門の責任者を務めるマノロ・ゴンザーレス氏(理学療法士)も同席し、トップチームから育成年代まで全カテゴリーの選手を抱える同チームの医療体制を説明し、「医療への投資が今、積極的に行われ、世界的に広がっている」とスポーツ医療の現状を語った。
今後、両者間ではトレーナー養成の交換研修制度(2日~2週間の滞在)を実施するほか、同学園の学生を最長1年間のインターン生として現地スペインに派遣していく予定という。調印式後は、ゴンザーレス氏により、同チームで実践しているトレーニング・リハビリのプランの立て方や故障者の競技復帰までの対応などの講演が行われた。
石川県金沢市 子育て支援医療費助成 整骨院・鍼灸院も窓口負担で
石川県金沢市 子育て支援医療費助成 整骨院・鍼灸院も窓口負担で
2019.09.10
所属団体問わず、10月から
金沢市が実施している「子育て支援医療費助成制度」で、10月から、対象機関に整骨院・鍼灸院が加わり、医科と同様に窓口負担のみで施術を受けられるようになることが分かった。
同制度は、健康保険に加入する市内の中学三年生までの子どもを対象に、保険診療にかかる本人負担の一部を助成するもの。通院時に「子ども医療証」を提示することで、患者の窓口負担は1日500円までとなる。また、1カ月の自己負担上限は1,000円とされ、超過した場合は約3カ月後に超過分が市から払い戻される。10月以降、整骨院・鍼灸院が対象機関に加わった場合に助成の対象となるのは、療養費の支給対象だという。
市担当者は本紙の取材に対して、制度改正の発端は公益社団法人石川県柔道整復師会からの「会員の施術所を対象として欲しい」との要望だったといい、公平性を鑑みて鍼灸院も併せて対象機関としたと話した。また、所属団体は問わず、施術所側に事前の登録や届け出は必要ないという。
なお、患者向けの案内文書や市の内部文書において、本制度の取り扱いは「現物給付方式」と呼称されており、一部地方紙では「整骨院など現物給付に」といった記事内容で報じられていた。
第14回社会鍼灸学研究会 戦後、あん摩分離した法案が存在
第14回社会鍼灸学研究会 戦後、あん摩分離した法案が存在
2019.09.10
第14回社会鍼灸学研究会が8月3日、4日、筑波技術大学春日キャンパス(茨城県つくば市)で開催された。『これからの社会と新たな日本鍼灸の形を求めて』をテーマに、現代社会との関わりや歴史などの視点から発表が行われた。
奥津貴子氏(呉竹鍼灸柔整専門学校教員)は、戦後のGHQによる占領統治下で国会提出まで至らず、幻の法案となった『あん摩術営業法(案)』について発表。法案制定の動きは、戦後に制定された『あん摩、はり、きゆう、柔道整復等営業法』の最初の改正前(昭和26年前)に起こり、鍼灸師初の国会議員・小林勝馬が議員立法として提案した。内容は鍼、灸、柔整から「按摩」を分離させて単行法とするもので、さらに、マッサージは疾病治療といった「治療目的」、按摩は疲労回復といった「慰安目的」との考えの下、按摩を医療的施術から除外し、病人を対象としないとした。奥津氏は、古来より按摩を生業としていた視力障害者の生活保障のほか、終戦を機に自らの社会的地位向上を図ろうとした業界の思惑が背景にあったと推察した。意外にもGHQからは承認を得ていたが、業界内部であん摩師の粗製濫造を招くなどの反対意見が多く、最終的に国会への提出は見送られたと説明。法制化されなかったため、出来事として教科書等に載っていないが、今も抱えている業界の課題と相通じるものがあり、重要な「歴史的事実」だと説いた。
前述の小林勝馬については、森一也氏(京都仏眼鍼灸理療専門学校教員)が発表テーマに取り上げ、参議員在職中(昭和22年から約3年間)に国会等で「あはき」に関する質疑(発言)をどの程度行っていたのかの調査結果を報告した。全199の発言のうち、あはき関連は7件で、▽生活保護法案の医療給付の医療扶助に対する質問、▽あはき柔整等営業法に関する特例案の趣旨説明、▽業界団体からの要望、等の案件であったと説明。ただ、約4割に当たる発言が逓信関連であり、あはき業界団体の支援を受けつつも、議員としてのライフワークは別にあったのではと推察した。
西洋医学と融合か、独自性追求か
模索続ける日本鍼灸
同研究会代表の形井秀一氏(筑波技術大学名誉教授)は、日本鍼灸の特色について概説。明治期は、近代化の波の中で西洋科学的な実証を基礎とした鍼灸に傾きざるを得ず、戦後になって、その西洋医学の問題点を指摘し、相対的優位性を強調した経絡治療などの古典的鍼灸が台頭したと説明。ただ、現在の鍼灸学校教育ではこれらを折衷した鍼灸師を養成している実態にあり、また江戸期にも各流派の折衷(漢蘭折衷)が見られた歴史を鑑みて、西洋医学との融合か、独自性を追求か、で常に模索していると述べた。
このほか、オーストラリア人鍼灸師のベンジャミン・チャント氏の講演『The Characteristics of Japanese Acupuncture』などが行われた。
講演『ミュージシャンを支える鍼灸師という生き方』 ツアーに帯同、フェスで数十人からケア
講演『ミュージシャンを支える鍼灸師という生き方』 ツアーに帯同、フェスで数十人からケア
2019.09.10
講演『ミュージシャンを支える鍼灸師という生き方』が8月1日、関東鍼灸専門学校(千葉市美浜区)で行われた。講師は「ミュージシャン専門」を標榜し、MAN WITH A MISSIONやMONGOL800、難波章浩などのロックバンドやミュージシャンのケアを担当している通称「メガパン」こと鍼灸師の野田峻也氏(株式会社MEGAPAN代表取締役社長)。
野田氏は、ライブツアーではまず、リハーサル前に「リハーサルのための体づくり」として、例えばボーカルであればベストな音程で歌えるよう整えたり、前日に痛めた喉などをケアしたりすると説明した。リハーサルと本番との間の空き時間は「微調整」に費やし、「もうちょっと高い声が出せないか?」といったリクエストにも対応。ライブ後には翌日のためのアフターケアに当たるとともに、良いパフォーマンスができていたか、音響や撮影担当者にもヒアリングを行って今後の参考にすると解説した。一方、多数のバンド、ミュージシャンが出演する「音楽フェス」では会場に設けられた施術ブースに出演者らが終日頻繁に出入りするため、出演前なのか後なのか、彼らのスケジュールを把握。スタッフへの采配も振るいつつ、1日に延べ40~50人、規模によっては70~80人に施術しており、日本最大級とされる「カウントダウンジャパン」の際には100人にも上ったと話した。
「追っかけ」から「ツアースタッフ」に
野田氏は、「アスリートをケアするように、バンドマンのケアをする仕事があってもいいのではとの思いから鍼灸師になった」と語った。あるバンドの「追っかけ」をしていた際、「いつもライブに来てくれているけど、何をしている人なの?」と、メンバーから声をかけられたのを契機にツアースタッフとして採用され、雑務もこなしながらケアに従事。バンド同士の口コミでケアの仕事が増え、より規模の大きなフェスを任されるまでになって、「自分一人では限界だ」とスタッフの雇用の必要性を感じて株式会社を設立、現在では、ライブやフェスの主催者との予算の折衝なども行っていると述べた。
令和初の国家試験、日程決定 柔整の問題数増 必修問題「30→50」
令和初の国家試験、日程決定 柔整の問題数増 必修問題「30→50」
2019.09.10
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師のそれぞれ28回目となる国家試験の日程が9月2日、厚労省ホームページで公表された。
あマ指師は令和2年2月22日(土)、はり師は令和2年2月23日(日)、きゅう師は令和2年2月23日(日)、柔整師は令和2年3月1日(日)。なお、平成30年度から施行されている新カリキュラムに対応して、柔整師国家試験の「必修問題」は従来の30問から50問に増える。
柔整7億円減、件数も減少 協会けんぽ 平成30年度報告
柔整7億円減、件数も減少 協会けんぽ 平成30年度報告
2019.09.10
このほど、全国健康保険協会(協会けんぽ)が公表した「平成30年度事業報告書(案)」の中で、療養費の支給額等の状況が示された。
柔整療養費は7億円減の660億円で、2年連続減少となった。前年度まで増加を続けていた件数は初めて減少に転じ、3万4千件減の約1,523万件。1件当たりの支給額も37円減少し、4,332円だった。
部位ころがしも調査、6万件強
同報告書では、「多部位(3部位以上)かつ頻回(月15回以上)」の申請への対応も言及されており、41万4,073件(昨年度から約8万件増)の患者への文書照会を実施したところ、「多部位かつ頻回」が前年度よりも1万4,747件減少し、18万9,660件となったと報告している。また、「部位ころがし」の請求に対しても6万679件の文書照会を行ったとしている。
なお、マッサージ療養費は13億5,900万円で、1件当たり1万9,944円。はり・きゅう療養費は30億5千万円で、1件当たり6,986円。ともに、支給額は減少したものの、1件当たりの金額は増加している。
はり・きゅう療養費 都道府県別支給状況 厚生労働省『平成30年度 療養費頻度調査』から
はり・きゅう療養費 都道府県別支給状況 厚生労働省『平成30年度 療養費頻度調査』から
2019.09.10
調査は、全国健康保険協会管掌健康保険、国民健康保険及び後期高齢者医療制度における平成30年10月の1カ月間に行われた施術に係る療養費支給申請書が対象。支給申請書のうち、全国健康保険協会管掌健康保険で6分の1、国民健康保険で10分の1、後期高齢者医療制度で10分の1の割合で抽出している。1件当たりの平均支給額は約11,670円。また、『平成29年度 療養費頻度調査』を基に、昨年度の金額と、そこからの増減比率も掲載した。
東洋療法学校協会 第43回教員研修会 臨床実習の現状、教員らが解説
東洋療法学校協会 第43回教員研修会 臨床実習の現状、教員らが解説
2019.08.25
呉竹、「臨床教育研究センター」設置
公益社団法人東洋療法学校協会の第43回教員研修会が8月6日、7日、静岡県沼津市のプラサヴェルデで開催された。
平成30年度から実施されている新カリキュラムによって1単位から4単位に引き上げられた臨床実習について、船水隆広氏(東京医療専門学校)と池田弘明氏(中和医療専門学校)が各校の現状について解説した。船水氏は、呉竹学園グループでは教育の最重要項目を臨床実習ととらえ、臨床教育・実習・研究を目的として2019年度に「臨床教育研究センター」を発足し、マネジャーに鍼灸・柔整学科長経験者を配置して取り組んでいると説明。東京医療専門学校の外部臨床実習について、1学年は見学実習20時間(4時間×5施設以上)、2学年は実習20時間(8時間×2施設に加え医療機関や介護・スポーツ施設で4時間)、3学年は45時間(1施設における8時間×3日を2回)を実施していると紹介した。
また、見学実習の対象施設は通常の治療院にとどまらずスポーツ系や婦人科系、美容系など多岐にわたり、大学病院などでの実習も行っていると述べた。
学生、実習先に不満も
実習後、学生と実習先の双方にアンケート調査を行っており、学生からは「鍼灸接骨院が予想以上に鍼をしていて驚いた」「治療院によってスタイルがあり、患者さんの質の違いも多いことが理解できた」といった感想があった一方で、「カーテンの外でずっと立たされ、あまり学習にならなかった」「治療院によっては、実習に対して理解が乏しいと感じた」という不満も上がっていたと説明。実習先からは「同じ学生にもう一度来てもらえば、学びたい内容の深掘りができて良いのではないか」「事前に学生本人の紹介文があった方がアドバイスがしやすい」などの提案があったと話した。
池田氏は、同校の臨床実習はベッド16台規模の付属治療院で実施しており、1人の生徒が1年間に施術を行う一般患者数は本科(あはき)で65~75人、専科(はり、きゅう)で35~45人程度となっていると説明した。▽新患の場合、問診・身体診察、刺鍼・施灸は教員が行うが、来院数回目の患者は生徒が担当する、▽新患の病態把握、治療部位決定・選穴をするのは教員だが、数回目の患者は病状や生徒の質によっては生徒に任せるといった、実習における役割を紹介。ただし、患者の送り出しなどを除く治療に関わる全ての場面において、教員による指導・監視及び介助は徹底していると述べた。
ほかに特別講演『省察的実践家としてのプロフェッショナルを育てる』(藤沼康樹氏・医療福祉生協連家庭医療学開発センター長)、市民公開講座『統合医療と地域活性』(山本竜隆氏・朝霧高原診療所院長)などが行われた。
第2回災害支援鍼灸マッサージ師合同育成講習会 「エコノミー症候群」予防に有効
第2回災害支援鍼灸マッサージ師合同育成講習会 「エコノミー症候群」予防に有効
2019.08.25
発症が疑われたら速やかに医師へ申し送りを
日本鍼灸師会(日鍼会)と全日本鍼灸マッサージ師会(全鍼師会)の共催による『第2回災害支援鍼灸マッサージ師合同育成講習会』が7月21日、大阪市内で開催された。
矢津田善仁氏(日鍼会危機管理委員会)は、被災地で多く見られるエコノミークラス症候群の誘因には、過密な避難所生活や車中泊による運動・体動の制限、トイレ環境・物資不足による水分摂取の不足があると解説。危険因子として、年齢が70歳以上、眠剤を使用している、下腿の腫脹、などを挙げた。エコノミー症候群が疑われる患者に遭遇した場合は速やかに医師・保健師に申し送りをするべきだと注意。鍼灸マッサージ師は、鍼・マッサージによる血流改善や運動指導などにより、その予防にこそ力が発揮できると説いた。
また、避難所に入るのは主に高齢者などの災害弱者で、慢性疾患を抱えている可能性が高いと指摘。さらに、災害の初期は避難所が整備されておらず、「硬くて冷たい床に毛布1枚で寝る」といった状況が想定されると説明。そのような環境下では高齢者はすぐに体調を崩してしまうとして、そのケアにも対応できる鍼灸マッサージ師は、災害初期から必要とされていると呼び掛けた。
災害協定締結の意義、経緯など
府・県単位で行政との災害協定を締結している滋賀県、岡山県、大阪府の師会から、飯塚季也氏(滋賀県鍼灸師会会長)、内田輝和氏(岡山県鍼灸師会会長)、堀口正剛氏(大阪府鍼灸師会、日鍼会危機管理委員会)が登壇。飯塚氏は、被災地での無資格者による健康被害が避難所からの受け入れ拒否につながっていると指摘。協定を締結していれば初期段階から避難所に入ることができ、無資格者による「場荒らし」を防げるとして、協定の意義を説いた。内田氏は、平成27年から始まった「おかやまマラソン」で毎回ボランティアでケアを行ってきた実績が平成30年の協定締結に結実したと説明。堀口氏は、平成26年に大阪府に協定締結の打診をした際はとりあってもらえず、大阪府鍼灸師会の学術講習会に災害対策を組み込んだり、大阪府主催の災害ボランティアの研修会に参加し続けたりするなどして自己研鑽と認知度向上に努めた結果、平成30年の締結にこぎつけたと語った。
このほかに、災害医療ACT研究所のメンバーらによるグループワーク『避難所アセスメント演習』、朝日山一男氏(全鍼師会災害対策委員会)の『西日本豪雨災害活動状況報告』、助産師で、鍼灸師でもある山田真由美氏の講演が行われた。