鍼灸学系大学協議会主催 第3回サマーセミナー 鍼灸独自の診療ガイドライン、作成呼びかけ
2019.08.10
モデル・コア・カリキュラム作成進捗報告も
鍼灸学系大学協議会主催の第3回サマーセミナーが7月13日、14日、大阪市内で開催された。テーマは『鍼灸学系大学における教育と鍼灸研究の現状と未来』。
ワークショップ『鍼灸における診療ガイドライン作成について』では、若山育郎氏(関西医療大学保健医療学部学部長)が、西洋医学のものではない、鍼灸独自の診療ガイドラインの作成を提唱した。中国や韓国では既に腰痛、うつ病など多くの疾病で作成されていることや、信頼性を高めるために病院の協力が必要となる大規模な比較試験に比べて取り組みやすいことなどを理由に挙げた。また、対象とする疾患は日常の診療でよく遭遇するものだけでなく、今後鍼灸が活躍していける分野も作成していくという発想が必要だと説明。そのためには、作成に必要なシステマティックレビューができる人材の養成が求められるとして、加盟大学における公募・講習会の実施を呼びかけた。フロアからは「今、システマティックレビューを学びたい若手・中堅が増えている。NPO法人日本コクランセンターが実施した有料のセミナーにも30名ほどの参加者があった」と情報提供があり、各大学の代表者からも「若者にぜひ学んでほしい」「やるかやらないかではなく、どういう風に進めるかの問題だ」といった声が上がった。
また、内布敦子氏(兵庫県立大学副学長・看護学教育モデル・コア・カリキュラム策定ワーキンググループ座長)による、看護系大学を例にした講演『大学コアカリキュラム作成までの道のり』と、その内容を踏まえたワークショップ『鍼灸学系大学協議会モデル・コア・カリキュラム作成の進捗状況の報告』が行われた。矢野忠氏(同協議会理事長)はワークショップで、「モデル・コア・カリキュラムが存在しないがために、国家試験の出題基準が教育の目標になっている」と指摘。鍼灸教育の目的は試験の合格ではなく、基本的な臨床能力を身に付けた医療人・社会人としての鍼灸師育成で、鍼灸学教育の喫緊の課題だとした。
このほか、中山健夫氏(京都大学大学院教授)が、EBM及び医療倫理について講演を行った。