第25回日本統合医療学会 「統合医療の未来」テーマに
2022.02.10
「治す以前」に目を向ける時代へ
日本統合医療学会の第25回大会が昨年12月18日、19日の2日間ライブ配信で開催され、1月11日までオンデマンド配信も行われた。
大会長講演では、明治国際医療大学の矢野忠氏が大会テーマ『統合医療の未来―エコロジー・自然治癒力・ソーシャルキャピタル』について講演。 (さらに…)
第25回日本統合医療学会 「統合医療の未来」テーマに
第25回日本統合医療学会 「統合医療の未来」テーマに
2022.02.10
「治す以前」に目を向ける時代へ
日本統合医療学会の第25回大会が昨年12月18日、19日の2日間ライブ配信で開催され、1月11日までオンデマンド配信も行われた。
大会長講演では、明治国際医療大学の矢野忠氏が大会テーマ『統合医療の未来―エコロジー・自然治癒力・ソーシャルキャピタル』について講演。 (さらに…)
Q&A『上田がお答えいたします』 鍼灸療養費の支給対象となる適用疾病の拡大はなぜ進まないのか?
Q&A『上田がお答えいたします』 鍼灸療養費の支給対象となる適用疾病の拡大はなぜ進まないのか?
2022.02.10
Q.
鍼灸療養費の支給対象は疼痛除去を目的とした運動器障害、運動器疾患で、しかも医師の同意書が必要です。でも、WHOが謳う「鍼灸の効能がある43疾患」には内科疾患も含まれていますよね。拡大の可能性はありますか。
A.
鍼灸療養費は広まらないように工夫した運用が過去からされていると思われ、現状はそれらから考えられた結果なのです。療養費の支給対象は「医師による適当な治療手段のないもの」、具体的にはまず神経痛とリウマチの2疾患とし、これら同様な疼痛を主訴とする疾患で、かつ慢性病であることの要件を満たす「類症疾患」として腰痛症、頸腕症候群、五十肩の三つを特定し、計五つを支給対象疾患としました。その後、1996(平成8)年に交通事故等のムチウチ症が話題になり、当時の業界団体が国会議員要請に働きかけた政治的取り組みの成果として頚椎捻挫後遺症が追加され、現在6疾病とされています。
確かに、2001年2月のWHO(世界保健機関)の報告には急性期症状にも有効とされ、鼻炎や結膜炎、歯痛、気管支喘息や十二指腸潰瘍にも効能があるとなっています。しかし、そんなことにはお構い無しに、あくまで神経痛とリウマチは医者でもなかなか治せないので、そこに医師の同意をかませることにより、療養の給付が行われると療養費は支給されないという「医科との併給・併用を認めない療養費」の取り扱いに着目したのです。つまり、医師が鍼灸施術に同意をするということは、実質上の敗北宣言であって、原則、同意などしないだろうという狙いです。ということは、ただ医科学的及び臨床的に取り組んでも保険適用の拡大はありません。 (さらに…)
連載『汗とウンコとオシッコと…』210 条達せず……
連載『汗とウンコとオシッコと…』210 条達せず……
2022.02.10
まだまだ太陽寒水の六気の影響が強く残り、平野部でも車が立往生するくらいの雪が降った……。しかし、日差しはすでに春の気を醸し出している。早朝、霜が降りた所に太陽光線が当たると激しく気化しているのが観察できる。立春を迎える前にすでに木運太過の気が到来しているのだ。その表れとして、患者の訴える症状は例年なら仙腸関節痛や、膝の痛み、少腹痛などの上がらない病が多い時期だが、今年は頸部、腱板損傷の病名がつく肩の痛みが多い。また、上がり過ぎるから四肢末梢が虚血になり、しもやけやRA因子が無いのにもかかわらず苦肉の策として関節リウマチの病名を頂く状態が増えている。
でも中には、これに該当しない場合もある。今回はそんなお話……。
月曜日、母親に連れてこられた患者は16歳。水泳部の男子高校生だ。 (さらに…)
連載『鍼灸師・柔整師のためのIT活用講座』12 D2C(Direct to Consumer)の先
連載『鍼灸師・柔整師のためのIT活用講座』12 D2C(Direct to Consumer)の先
2022.02.10
デジタル化によりビジネスの形が変化しつつあります。元々一般的なビジネスモデルはB2C、すなわち「企業と消費者の取引(Business-to-Consumer)」でした。企業が生産者から商品を買い、それを売る形式で、生産者と消費者の間には直接的な接点がないことが特徴です。そのために消費者の意見が反映されにくい、企業主導のビジネスとも言えます。また、企業が間に入ることで手数料がかさむため単価も高くなります。
近年ではD2C、「消費者直接取引(Direct-to-Consumer)」が注目されるようになりました。 (さらに…)
今日の一冊 年寄りは集まって住め
今日の一冊 年寄りは集まって住め
2022.02.10
年寄りは集まって住め 幸福長寿の新・方程式
川口雅裕 著
幻冬舎ルネッサンス 990円
老後は恐れの対象なのか、幸せな老後とは何か――。『老いの工学研究所』会員である高齢者1万5千人以上を対象にした「老い」や「死」についてのアンケート結果から、意外にも若い世代に手厚い社会を望む声が多数あったり、医療や保険制度に対する必要性や依存についても高齢者ならではの考えがあることが浮き彫りとなる。「健康寿命」や「老後二千万円問題」、「高齢者が集団で暮らすこと」についてのデータ分析や考察など、高齢の親を持つ子ども世代にも非常に興味深い内容になっている。
編集後記
編集後記
2022.02.10
▽160円台からなかなか下がりませんね。1リッター当たりのガソリンの価格です。いや~、高いですね。オミクロン株の流行で自粛をしていればいいのですが、小さな子どもが3人もいて、しかも習い事に行っているので車を使わないというわけにはいきません。ただ、この2月からは家にいても、パスタやしょうゆなどの食品、電気ガスも一斉に値上げ。おまけに40年前の発売以来初となる、スナック菓子の「うまい棒」も10円から12円になるとか。となれば、鍼などの治療機器にも転嫁されるのでは……と、先生方は気になってしまいますね。なお、弊紙については年間購読料は維持して頑張ります。変わった点といえば、うまい棒「360本分」が「300本分」になったということぐらいでしょうか……。(和)
京都のあはき団体、府と災害協定 避難所生活の長期化で施術者派遣
京都のあはき団体、府と災害協定 避難所生活の長期化で施術者派遣
2022.01.25
京都府鍼灸マッサージ師会(朝田聖二会長)など四つの府内あはき関連団体が、京都府と災害時支援活動に関する協定を連名で結んだ。阪神・淡路大震災から27年目となった1月17日、府庁で協定締結式を開いた。今後、災害に伴い避難所生活が長期化した際に鍼灸マッサージ師を派遣して被災者の健康支援に当たるという。
視覚障害者団体含め連名で締結
協定を結んだのは、京都府鍼灸マッサージ師会のほか、京都府鍼灸師会(森岡正和会長)、京都府あん摩マッサージ指圧師会(武秀樹会長)、京都府視覚障害者協会(久保弘司会長)で、災害協定に視覚障害者団体も名を連ねたのは業界初のケースとなる。 (さらに…)
令和4年度のあはき療養費施術管理者研修、日程決まる
令和4年度のあはき療養費施術管理者研修、日程決まる
2022.01.25
東洋療法研修試験財団が1月4日に公表。5月21日を皮切りに10月まで計5回開催され、費用は2万3,000円。同研修は、あはき療養費の受領委任を取り扱う上で義務化されている。
『医療は国民のために』335 療養費では審査請求制度を活用して泣き寝入りしないこと
『医療は国民のために』335 療養費では審査請求制度を活用して泣き寝入りしないこと
2022.01.25
公的医療保険制度の保険給付において、請求が認められなかった場合に救済措置として「審査請求制度」で不服申し立てができる。療養費は、診療報酬(医科等)と異なり、請求権者が被保険者(国保の場合は世帯主)なので、被保険者が当事者として審査請求人になることから、納得できない「不支給処分」の場合、泣き寝入りしないためにも患者に十分な説明を行う必要がある。まず注意すべき点としては、時間制限がある。保険者が不支給決定通知書を発出し、患者が通知内容を知った日の翌日から「3カ月以内」に審査請求を行わなければならない。これは法律条項なので融通が利かない。 (さらに…)
第3回日本伝統医療看護連携学会学術大会 西洋医学と鍼灸の連携テーマに
第3回日本伝統医療看護連携学会学術大会 西洋医学と鍼灸の連携テーマに
2022.01.25
「早期発見」後の過剰診断に警鐘
第3回日本伝統医療看護連携学会学術大会が、昨年11月28日、仙台赤門短期大学(宮城県仙台市)とオンラインでハイブリッド開催された。
特別講演『先進的な鍼灸医学―西洋医学と鍼灸の医療連携をイノベーションする』では、小川卓良氏(公益社団法人全日本鍼灸学会顧問)が講演した。安易な足し算的な連携は逆に医療費がかさみかねず、効果的な連携には東西両医学の長所と短所をよく理解し、得意な場の違いを生かしていく必要があると説明。西洋医学は薬の安易な長期・多剤投与を見直すべきであるし、鍼灸も教育制度や卒後教育の充実が不可欠だとした。また、 (さらに…)
第29回日本刺絡学会学術大会 養成校での教育目指し検討
第29回日本刺絡学会学術大会 養成校での教育目指し検討
2022.01.25
清水会長「卒業まで知らない学生も」
第29回日本刺絡学会学術大会が昨年11月21日、オンラインで開催された。
会頭講演『刺絡をとりまく教育』では、同会会長の清水尚道氏が登壇。あはき合わせて100を超える養成校中、日本刺絡学会として講義を行っている学校数はわずか6校だと紹介。教科書での言及もごくわずかなため、刺絡を活用する施術者の多くは勉強会などで自主学習しており、卒業まで刺絡を知る機会がなくてもおかしくないとした。また、「毫鍼を用いず、学校で習わない」という意味で立ち位置が近い治療として小児鍼を挙げ、刺絡は衛生操作や安全面におけるハードルがやはり高いと指摘。養成校教育の中で刺絡実技の実施は難しくとも、正確な知識を取り入れられるよう学会として推進していく必要があるとした。
「瀉血の一部」だが「切開ではない」
教育講演『汎用性のある刺絡教材とは』では、同会主催の検討委員会で作成した学校教材用『刺絡鍼法概論』の内容を、理事の奥野浩史氏が紹介した。 (さらに…)
『からだケアEXPO東京’22(第3回健康施術産業展) 』3月に
『からだケアEXPO東京’22(第3回健康施術産業展) 』3月に
2022.01.25
施術メソッドなど出展数最多、東京で
接骨院・鍼灸院などの経営支援に関する商談型展示会『からだケアEXPO東京'22 第3回健康施術産業展』が3月9日(水)~11日(金)、東京ビッグサイト南展示棟(東京都江東区)で開催される。
治療機器やベッド、レセコン、患者管理システム、運動指導のメソッドなど、施術所向け商品・サービスが一堂に会し、出展企業数は昨年の第2回を超え過去最多。入場無料(事前登録制)。ブティックス株式会社(東京都港区)が主催。
併せて業界団体の理事やグループ院経営者などによる24のセミナーも開かれる。施術者向けのプログラムとして、『柔整あはき業界と自費施術活用の今後』(上田孝之氏・全国柔整鍼灸協同組合専務理事)、『柔道整復師のアイデンティティ』(長尾淳彦氏・日本柔道整復師会理事)、『検索順位が上位でなくても集客できる方法』(光井宏氏、株式会社光井コミュニティ代表取締役)。
連載『介護予防研究会による柔整師・鍼灸師のための介護保険講座』12 機能訓練指導は加齢変化の理解が重要②
連載『介護予防研究会による柔整師・鍼灸師のための介護保険講座』12 機能訓練指導は加齢変化の理解が重要②
2022.01.25
前回、「加齢変化」に伴い身体機能の低下が、高齢者に出現することを確認しました。何より重篤化させないためには早期の介入が必要ですが、もう1点、加齢による「機能動作」にも注意したいですね。
まずは「反応時間」です。単純動作では著明な低下はありませんが、動作が複雑(運動を選択して実行する課題)になると、時間の延長が著しいと言われています。加齢によって1分間に身体に取り入れられる酸素の最大摂取量(VO2max)は下がり、特に「持久力」が低下します。 (さらに…)
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』179 ファスティング合宿に参加しませんか
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』179 ファスティング合宿に参加しませんか
2022.01.25
昨年6月に週末ファスティング合宿をやりましたが、今年もやります! 4月15日(金)から17日(日)までの二泊三日でプチ絶食に参加しませんか? ファスティング合宿といえば、体重の減量目的であったり、オートファジーによる体調体質改善、糖からアミノ酸へ消費がシフトする代謝変化などを目的とした会が多いようですが、この合宿は少し違います。上手にストレスを回避するための手段としてのファスティングです。プチ絶食は心身に対する程よいストレスになりますので、このストレスの処理の方法を学び実践するのが目的です。昨年と同じくマインドフルネスと禅についての流れで進めますが、今年はヨガインストラクターの沖知子さんとのコラボ企画となっている点が、大きく違います。 (さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』202 側頭部痛への観察
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』202 側頭部痛への観察
2022.01.25
今回の執筆者:松本 尚純(筋・骨格画像研究会)
45歳男性、長引く左側頭部の痛みで来院する。顎関節の運動でも強く嚙み締めた際はやや疼痛は増強し、たまに楽になることもあるが、顎関節の運動とは別に軽度の自発痛が継続している。本人は歯が原因かと思い、歯科医院で左上奥歯の治療を完了したが、それでも側頭部痛は続いているという。
側頭筋を触察したところ健側に比べ、患側の側頭筋部にしこりのような硬結のようなものが側頭筋の長軸方向に停止部である下顎骨方向へ約2㎝ほど触察することができた。 (さらに…)
ミシマ社から新刊「気のはなし」 科学と神秘のはざまを解く
ミシマ社から新刊「気のはなし」 科学と神秘のはざまを解く
2022.01.25
株式会社ミシマ社から新刊『気のはなし 科学と神秘のはざまを解く』が発行された。著者は『絶対に死ぬ私たちがこれだけは知っておきたい健康の話 「寝る・食う・動く」を整える』などで知られるアシル治療室院長・若林理砂氏。四六判208頁、1,870円(税込み)。
スピリチュアルなイメージを持たれがちな「気」を、中国の古典や現代科学と照らし合わせながら解説する。起源を紐解く第1章では、文字の成り立ちから、最初の気は目に見えない力などではなく、モヤモヤとしたイメージではあるが雲や米といった物理的な作用をもたらすものであったと紹介。孔子や荘子ら諸子百家の思想や、易、風水などとも親和性が高い「気」はその後長い歴史の中で形を変えながら現代まで受け継がれていく。科学万能の時代にあって未だ解き明かせない「気」とはいったい何なのか。起源から現時点での結論までを分かりやすい語り口で綴る。
(さらに…)
鍼灸マ都師会 講習会「松塾スペシャル」 学校で語られない鍼灸界の常識
鍼灸マ都師会 講習会「松塾スペシャル」 学校で語られない鍼灸界の常識
2022.01.25
「学生よ、自分流の鍼灸マップを持とう」
東京都はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧師会(森井貴司会長、都師会)が昨年11月27日、講習会『松塾スペシャル―日本鍼灸の地図帳』をオンラインで開催した。
松塾とは、鍼灸ジャーナリストで黄帝内経研究家の松田博公氏が講師を務める「鍼灸の思想を学ぶ」講座で、毎月1回、都師会会館などで定期実施されている。今回の松塾スペシャルは鍼灸学生や卒業後すぐの鍼灸師を対象に開かれ、養成校で教わらない鍼灸界の常識や日本鍼灸の核心について話された。
松田氏はまず、講習会タイトルに引っかけて「自らの鍼灸マップを持ってもらいたい」と呼びかけた上で、鍼灸は複雑極まるにもかかわらず、学生時代に「大事なこと」を全く説明されないので、いざ臨床現場に出て迷うのは当然だと説いた。その一つとして、「日本鍼灸学」の教科書が無いと指摘。中国にも韓国にも統一教科書はあり、 (さらに…)
Q&A『上田がお答えいたします』 出張専門施術者が往療料の支給要件に該当しない患者を診た時、施術料は請求できる?
Q&A『上田がお答えいたします』 出張専門施術者が往療料の支給要件に該当しない患者を診た時、施術料は請求できる?
2022.01.25
Q.
あはき出張専門施術者が患者に求められ患家へ行って施術をした際に該当患者が歩行困難等ではなく、往療料の支給要件に該当しなかった場合、往療料の算定をせず施術料のみの請求は認められますか?
A.
マッサージであれば医師の同意書に往療に関する指示があるはずですから、鍼灸の場合について考えます。往療料の支給要件を満たさないのですから、往療料の算定ができないのは当然です。ただその場合、出張専門施術者が施術料のみで請求することは認めないとする記載は、厚労省保険局長通知の受領委任の取扱規程にも、医療課長通知で示された療養費の取扱いに関する留意事項等にも、医療課発出の事務連絡の疑義解釈資料にもありません。 (さらに…)
連載『食養生の物語』104 御御御付(おみおつけ)の三礎
連載『食養生の物語』104 御御御付(おみおつけ)の三礎
2022.01.25
おすましか、それとも白味噌か――。年が明けてしばらくは「お雑煮」が話題になります。元々、関東では澄まし汁に焼いた切り餅、関西では白味噌仕立てに丸餅が主流。結婚や転勤、人の流動と時代の変遷とともに多様化し、各家庭で異なってきているようです。また、白味噌といえば関西では甘い米味噌ですが、同じ米味噌でも関東では赤い色になり、北陸・東北では辛い赤味噌になるなど、地域によって異なります。中・四国や九州で味噌といえば、米の代わりに麦を原料とした麦麹と大豆からできる麦味噌が中心。また、東海地方だけは大豆を麹にしたものと塩だけで作る豆味噌が有名です。気候や風土によって味噌の種類も様々ですね。
ことわざには「味噌汁一杯三里の力」とあり、一杯飲むだけで三里くらいは平気で歩けるようになるほど、味噌汁は活力の源と考えられてきました。 (さらに…)
連載『あはき師・絵本作家 かしはらたまみ やわらか東洋医学』39 素問・一 『上古天眞論』
連載『あはき師・絵本作家 かしはらたまみ やわらか東洋医学』39 素問・一 『上古天眞論』
2022.01.25
今回から、黄帝内経についてのお話を始めたいと思います。黄帝は、大昔の人が百歳を過ぎても元気にすごしていたと知り、医学者の岐伯に聞きます。岐伯は、今の人も上古聖人のように生きれば天寿を全うできるのに、しないから五十歳ぐらいで衰えるのだと答えます。
岐伯:
「陰陽とこの世界の法則を知る」、「季節に合わせて暮らす」、「ちょうどいいを守る気持ち[節]を持つ」、「まるで水を飲むようにお酒を飲まない」、「房事に溺れない」、「働き過ぎないように気を付けつつ働くことは続ける」、「浮かれすぎず落ち込みすぎず穏やかな心で過ごす」、「自分が住む土地と静かな暮らしを大切にする」。
これらを守って生きれば、病気になってもちゃんと治り、疲れてもぐったりせず、思うように生きることができます。心は惑わされないし、たくさんの不安に恐れることもありません。そうして百歳をこえてなお元気に過ごした後に天寿を終えて、世を去るのです。
【連載執筆者】
かしはらたまみ
あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師
自身の子どもに東洋医学の概念を伝えるため「絵本」という表現を選択。色粘土を使った独自の手法で絵を描いている。これまでに『陰陽五行 まわるき』『おなかがいたくなるまえに』を自費出版し、ブログで『やわらか黄帝内経』も連載。絵本の購入はネット通販サイト・BASE「やわらか東洋医学」から。