連載『織田聡の日本型統合医療“考”』63 『みんなのカルテ』を導入し、保険内外を含めて医療機関と連携を
2017.03.10
今回は『みんなのカルテ』のお話をしたいと思います。私が統合医療の啓蒙活動を進めているのは、西洋医学と補完医療との間にある“コミュニケーションの壁”を壊し、互いが対話し、連携をしながら医療ができるようにするためです。今まで医療機関と治療院をつなぐ患者情報共有のためのコミュニケーションネットワークはほとんどありませんでした。株式会社IMSSが開発し、その設計デザインを私が中心となって作ってきた『みんなのカルテ』は、その連携のための専用線といえます。
なお、株式会社IMSSは『リテラス・メディカ株式会社』へと社名を変更し、サポートも万全の体制を組むために社員も増やすなど、新体制となりました。「リテラス・メディカ」とは、「リテラシー」の「リテラ」、「照らす」の「テラス」、「人々が集う場所」の「テラス」という願いが込められています。様々な医療が集い、連携して情報共有できるテラスのような環境を構築し、正しい情報発信を促すとともに、国民の医療情報リテラシーを高め、医療に光を照らします。
『みんなのカルテ』は今年中に東京大学ソーシャルICTセンターのPLR(Personal Life Repository)プロジェクトと接続されます。これにより、大学病院や市中病院の電子カルテとつながることになります。とうめい厚木クリニックなど、一部では既に医療機関と治療院との連携に『みんなのカルテ』が利用されていますが、新たに都内で私のクリニックの外来とも接続することになります。保険内外を含めて医療機関との連携を必要とする鍼灸マッサージ師の皆さんには必須のツールとなるでしょう。3月中に、諸々のバグ改修や新機能を盛り込んだ新バージョンをリリースする予定で準備しています。「どうやったら医療機関と連携ができるのだろう」とお考えの施術者の方は、ぜひ『みんなのカルテ』を導入して医療・介護の現場へと出てきていただきたいと思います。
私はよく『みんなのカルテ』を国際電話の海底ケーブルに例えています。外国と日本でお互いに電話をかけようと思わなければ、単なるケーブルに過ぎません。さらに言語が翻訳されたり、共通言語があったりしなければ、対話になりません。この対話をどうやってするべきなのかというノウハウを学ぶためにこれまで展開してきたのが、「統合医療支援セミナー」です。来年度は統合医療に関わる多くの医師も参画し、教育プログラムも展開する予定です。「医療介護危機」が来ると言われる2025年に間に合うように着々と準備を進めています。一緒に日本の医療を変えていきませんか?
※リテラス・メディカ株式会社への問合せは、info@literrasmedica.jp、0800-170-9610(フリーコール)まで。
【連載執筆者】
織田 聡(おだ・さとし)
日本統合医療支援センター代表理事、一般社団法人健康情報連携機構代表理事
医師・薬剤師・医学博士
富山医科薬科大学医学部・薬学部を卒業後、富山県立中央病院などで研修。アメリカ・アリゾナ大学統合医療フェローシッププログラムの修了者であり、中和鍼灸専門学校にも在籍(中退)していた。「日本型統合医療」を提唱し、西洋医学と種々の補完医療との連携構築を目指して活動中。