連載『アロマテラピーをたずねて』81 殺菌・抗菌作用に役立つホーウッド
2017.02.25
1043号(2017年2月25日号)、アロマテラピーをたずねて、紙面記事、
アロマ精油の中でも人気が高かったローズウッドの輸入規制が、ついに始まってしまいました。
昨年9月に南アフリカのヨハネスブルクで採択されたワシントン条約付属書の改正等により、1月2日から発効されました。ワシントン条約とは、米国のワシントンにおいて1973年に採択された野生動植物保護のための国際条約で、絶滅危惧種の取引を規制することを目的としています。この付属書にクスノキ科ローズウッド、マメ科のブラジリアン・ローズウッド、パナマ・ローズウッド、アフリカ・ローズウッドが記載され、これらの抽出物及び加工品についても、今年から輸入できなくなりました。これからは、無許可では海外から日本に持ち込もうとしても関税法違反で没収され、500万円以下の罰金を課されることもあります。お土産にもらっても違反ですから、注意してください。
ローズウッドの代わりになる天然品は、同じくクスノキ科のホーウッドもしくはホーリーフの精油になります。和名「ホウショウ」、漢字で「芳樟」と書き、他の木に比べて匂いが強いことから、昔はニオイクスと呼ばれていたそうです。関東地方南部から九州、台湾、中国の揚子江南部に自生しています。3年前に鹿児島の開聞山麓香料園で見学したことがあります。鹿児島では葉の部分を水蒸気蒸留し、お土産品として売られています。
クスノキといえば公園や街路樹でも見られる珍しくない木だと思われるかもしれませんが、葉に含まれている成分が全く異なります。現在、精油に利用されているのは、爽やかなフローラル様の芳香がするℓ―リナロールを約94%含んでいるケモタイプ種で、公園などで見かけるのはカンファーの香りが強いタイプです。精油には抽出されませんが、葉をお風呂に入れて入浴剤として利用することができます。
ホーウッドは、リナロールを高濃度に含み、抗菌作用、抗真菌作用、抗ウイルス作用に優れ、しかも抗不安や鎮静作用、睡眠促進作用などにも役立つ精油です。
【連載執筆者】
山本 淑子(やまもと・よしこ)
山本淑子ハーブ・アロマアカデミー校長
AEAJ認定アロマテラピープロフェッショナル