一枝のゆめ財団 第1回公開シンポジウム 「働き方改革」鍼灸手技で
2018.03.10
公衆衛生学も「未病治」
一般財団法人一枝のゆめ財団(矢野忠理事長)の平成29年度第1回公開シンポジウム『健康経営と東洋医学』が2月10日、東京都内で開催された。同財団は、はり・きゅう・マッサージの三療の伝統・文化を守り伝える拠点『三療プラザ館(仮)』の立ち上げを目指し、1月に設立された。
シンポジウムは矢野理事長のほか、特定社会保険労務士の内野光明氏、産業医の佐上徹氏が登壇。 (さらに…)
一枝のゆめ財団 第1回公開シンポジウム 「働き方改革」鍼灸手技で
一枝のゆめ財団 第1回公開シンポジウム 「働き方改革」鍼灸手技で
2018.03.10
公衆衛生学も「未病治」
一般財団法人一枝のゆめ財団(矢野忠理事長)の平成29年度第1回公開シンポジウム『健康経営と東洋医学』が2月10日、東京都内で開催された。同財団は、はり・きゅう・マッサージの三療の伝統・文化を守り伝える拠点『三療プラザ館(仮)』の立ち上げを目指し、1月に設立された。
シンポジウムは矢野理事長のほか、特定社会保険労務士の内野光明氏、産業医の佐上徹氏が登壇。 (さらに…)
統合医療展2018 日鍼会、セイリン・山正と共に出展
統合医療展2018 日鍼会、セイリン・山正と共に出展
2018.03.10
医師、看護師らもブースに
『第14回統合医療展2018』が1月24日、25日、「医療関係者とヘルスケア産業をつなぐ」をテーマに東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された。
『高齢者生活支援サービス展』、『メディケアフーズ展』、『保険外サービス展』との併催。3展合計で約300の企業・団体等が、医療・介護、ヘルスケアに関わる商品やサービスを紹介した。
同展後援団体の一つ、公益社団法人日本鍼灸師会(日鍼会)が、セイリン株式会社(静岡市)、株式会社山正(滋賀県長浜市)と共同で出展した。同師会員らが来場者に、毫鍼とパッチ鍼による無料施術体験を提供するなどしてPR。セイリンと山正は商品紹介スペースを設け、パッチ鍼や台座灸などを配布した。来場者の対応に当たった日鍼会地域ケア推進委員会委員長の松浦正人氏によると、 (さらに…)
今年の鍼灸師国家試験を展望する
今年の鍼灸師国家試験を展望する
2018.03.10
芦野 純夫
前厚生労働教官(元国家試験評価委員)/横浜医療専門学校学術顧問
今年で26回目を迎えた鍼灸師の国家試験は、平成5年に医療関係では初めて民間委託化され、その形式は視覚障害者への福祉的配慮から、医療の国家試験としては例外的な図表なしの単純四択(通常は多真偽五択)となった。四択問題は最も適切な正解が一つあり、紛らわしいほかの三つと識別できるかを見ている。当初の試験委員や私などの評価委員はその趣旨をあらかじめ教えられて行ってきたが、それが現場の教員側には今も十分理解されていない。試験後、明確な正解のほかに「こういう場合は正解となり得る」「誤りとはいえない」などと、彼らの指摘によって灰色の選択肢まで加えた複数正解が毎年幾つも出てくるのは問題だ。合格者を増やしたい学校協会や理教連は、かつての財団設立時の出資者であり理事ポストも握っている。しかし、財団・試験委員会は学校側の圧力に屈せず、毅然とした態度を貫いてもらいたい。
さて、今回の内容だが、前半の基礎医学からリハビリまでは標準的な問題が多く、3割方易しく作られるはずのあマ指師試験問題と、難易度で差がなくなった感がある。 (さらに…)
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』87 医療費亡国論に対する「思考実験」
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』87 医療費亡国論に対する「思考実験」
2018.03.10
「医療費亡国論」とは、皆保険が実現した約50年前からずっと言われてきたことです。国は滅びずに何とか保たれていますが、国民医療費は41兆円を超え、今後もさらに国の財政を圧迫し続けていきます。誰もが、このままでは「まずい」と感じながら何もできていないといっても過言ではありません。
そこで、思考実験です。国の医療費負担を削減するにはどうしたらよいか。
①負担割合の増加
日本の保険医療の3割負担(高齢者1割負担)にメスを入れることです。この点は以前から言われ続けていますが、なかなか実現しません。 (さらに…)
連載『中国医学情報』156 谷田伸治
連載『中国医学情報』156 谷田伸治
2018.03.10
☆電子温灸器と温灸ボックスの治療効果を変形性膝関節症患者で比較
上海中医薬大学付属龍華病院・魯望らは、変形性膝関節症(膝OA)患者で電子温灸器と温灸ボックス(棒灸を垂直にツボ上に固定するタイプの温灸器)の効果を比べ報告した(上海鍼灸雑誌、17年10期)。
対象=外来患者66例、男16例・女50例、平均年齢63歳。いずれも西洋医学の膝OAおよび中医学の「骨痹」の診断基準に符合し、最近1カ月に同症の中西薬物やその他の療法は受けていない。これをランダムに電子群・ボックス群各33例に分けた。 (さらに…)
技術評論社から新刊 「ポケット介護 現場で役立つ薬のホント~種類・飲み方・副作用」
技術評論社から新刊 「ポケット介護 現場で役立つ薬のホント~種類・飲み方・副作用」
2018.03.10
技術評論社から新刊、「ポケット介護 現場で役立つ薬のホント~種類・飲み方・副作用」が発行された。編著は織田聡氏(医師、薬剤師、医学博士)、織田しのぶ氏(薬剤師、薬学博士)、平井みどり氏(医師、薬剤師、医学博士)。新書判240頁、本体価格1,480円。
薬の知識を「介護職や介護家族が絶対知っておきたい基礎知識」と「知っておくと医療従事者とコミュニケーションしやすくなる知識」に分けて解説。厚生労働省が管理する独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページなどから、無料で最新の情報を手に入れる方法、入手した添付文書の読み解き方も紹介する。このほか、主だった治療薬の一般名・商品名の一覧と索引を収載するほか、「薬はなぜ水以外で飲んではいけないの?」や「薬の副作用かもしれない症状は?」から、「介護職ができる薬の服用介助は?」や「医師とうまくコミュニケーションするコツは?」まで、実践的なQ&Aも網羅する。鍼灸マッサージ師、柔整師にとっても必携の一冊。
(さらに…)
JATAC第22回全国活動報告会 「脳振盪は侮れない」
JATAC第22回全国活動報告会 「脳振盪は侮れない」
2018.03.10
後年に重篤な後遺症も
NPO法人ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会(JATAC)の第22回全国活動報告会が2月11日、12日、福岡市内で開催された。
整形外科医で日本ラグビー・トップリーグのチーム「コカ・コーラレッドスパークス」や東福岡高校ラグビー部のチームドクターを務める竹田智則氏が講演を行った。 (さらに…)
Q&A『上田がお答えいたします』 「こむら返り」では「肉離れ」は起こらないのか?
Q&A『上田がお答えいたします』 「こむら返り」では「肉離れ」は起こらないのか?
2018.03.10
Q.
柔整療養費支給申請書の負傷原因欄に「左大腿部挫傷(夜間に大腿後面がつり肉離れ)、左下腿部挫傷(夜間に下腿三頭筋こむら返り発症のため肉離れ)」と記入して申請したところ、「こむら返りが原因で肉離れは起こらない」との理由で返戻されてしまいました。
A.
大腿後面が「つる」現象はハムストリングス筋の筋痙攣であり、左右にかかわらず起こり得ることです。特に、スポーツ時や筋に疲労が蓄積されている場合などによく発生します。高齢者であれば、夜間に起こることもまれではありません。また、 (さらに…)
連載『汗とウンコとオシッコと…』163 どこだ? そいつの臨界は?
連載『汗とウンコとオシッコと…』163 どこだ? そいつの臨界は?
2018.03.10
春が急ぎ足でやってきている。おおよそ3月の春分のあたりで寒さの「荒れじまい」が起こり、寒の戻りがあるものだが、その気配もない。2月の三寒四温が1月の大寒あたりにあったので、『素問』の『運気論』的には、季節のめぐりは太過というところだろう……。
寒暖差が激しくなると体幹部に血流は偏位するが、それを、春ならば木が上にあげるところを、火象と絡み、『難経』的には先の季節の病を出す実邪となり、太陽小腸経の肩貞や天宗に虚熱を張り出させて五十肩様の痺証が多くなる。基礎疾患で症状の出方は異なるものの小腸経の異常を経脉の是動病ではなく、体幹部の臓腑の虚熱の放出空間として症状を現すともいえる。 (さらに…)
連載『未来の鍼灸師のために今やるべきこと』14 女性の価値観を変える~美容業界とのコラボレーションを考える~
連載『未来の鍼灸師のために今やるべきこと』14 女性の価値観を変える~美容業界とのコラボレーションを考える~
2018.03.10
女性にとって、「美」に対する飽くなき追求は幾つになっても終わらないものです。女性が化粧品をはじめとした美容全体にかけるお金は、平均で年間12万円、つまり月で1万円と言われています。化粧やスキンケアは元々セルフケアやセルフコンディショニングの要素を多分に含んでおり、美容を通じて「健康の物差し」を変えるという方法は十分に現実的でしょう。そこで今回は、実際に私が関わっている、美容と身体の健康をコラボレーションさせる二つの試みを紹介します。 (さらに…)
『ちょっと、おじゃまします』 ~無料施術で地域貢献~ おんわ整骨院<大阪府枚方市>
『ちょっと、おじゃまします』 ~無料施術で地域貢献~ おんわ整骨院<大阪府枚方市>
2018.03.10
無料施術で地域貢献
学生時代、バスケットボールをしていた松田優一先生。ケガなどでお世話になったことから治療家に憧れ、高校卒業後、柔整師の資格取得を目指します。並行して学んだオステオパシーが、後の治療の「核」となりました。腰痛だからといって腰だけを診るのではなく、身体全体から身体の使い方、姿勢など多面的にアプローチするオステオパシー。問診には時間をかけているといいます。 (さらに…)
今日の一冊 男が痴漢になる理由
今日の一冊 男が痴漢になる理由
2018.03.10
男が痴漢になる理由
斉藤章佳 著
イースト・プレス 1,512円
「痴漢は性欲をコントロールできないから行為に及ぶ」「痴漢は女性に相手にされない寂しい男である」「肌を露出した女性は痴漢に狙われやすい」。これら痴漢に関するイメージは、全て誤解だという。痴漢は依存症の一種で、痴漢になるのはごく普通の男性であり、その「普通さ」ゆえに性的問題行動が日常に紛れ込んでしまうのだと、精神保健福祉士で社会福祉士の著者は言う。「アジア最大規模」の施設でアルコールやギャンブル、薬物など様々な依存症患者と向き合ってきた経験から、痴漢の実態を解明する。
編集後記
編集後記
2018.03.10
▽11日初日の大相撲三月場所で注目の的は、ジョージア出身の関脇栃ノ心。先場所圧倒的な力で平幕優勝を遂げたのは記憶に新しい。これからも優勝し続けたら七月場所には横綱昇進があるかもね。一方、1月に現役を引退した元幕内双大竜。栃ノ心ほど体格に恵まれず、病気や両肘の故障に苦しむ相撲人生でしたが幕内まで出世したのは立派。今後は「相撲人生で学んだことを通して故郷福島市のために尽くしたい」と柔整師を目指すとか。治療などで支えてもらったから今度は支える側になりたいって。元関取の柔整師に夢が広がります。ちゃんこ料理屋と施術所を一緒に経営してたりすると「あれっ、さっきの先生がちゃんこを持ってきたぞ」って。ともかく、今後双大竜にも注目していきたいですね。(松)
診療報酬の改定内容決定で、次は療養費 慣例に従えば、改定率は0.315%?
診療報酬の改定内容決定で、次は療養費 慣例に従えば、改定率は0.315%?
2018.02.25
具体的な議論は4月以降に
療養費の料金改定に影響する平成30年度診療報酬の改定内容が決定した。改定率は診療報酬全体でマイナス1.19%、医師の人件費などに当たる「本体」部分は0.55%引き上げられることとなった。
柔整、あはき療養費の料金改定は、通常、診療報酬改定と同じ年度に行われ、施行は診療報酬より少し時期を遅らせて実施される。また改定率については、慣例的に診療報酬本体部分のうちの「医科」の改定率の2分の1とされている。今回、「医科」がプラス0.63%だったことを踏まえれば、0.315%近辺のプラス改定になることが見込まれる。
過去、民主党政権時代には「慣例」に反した改定率もみられたが、直近の平成28年度改定では「2分の1」が守られている(下表参照)。現在、柔整・あはきの両療養費検討専門委員会では不正防止策を中心に議論が行われており、特にあはき専門委では往療料加算を引き下げるか否かが大きな争点になっている。料金改定については、4月以降、具体的な議論が展開されていくものと思われる。
札幌市あはき施術費助成 新制度へ
札幌市あはき施術費助成 新制度へ
2018.02.25
国保加入者から全市民(65歳以上)へ
施術対象を健康増進に拡大
札幌市が今秋、65歳以上の市民を対象に、新たな鍼灸マッサージ施術費の助成制度を開始することが分かった。 (さらに…)
『医療は国民のために』242 鍼灸とマッサージの往療料取扱いの相違
『医療は国民のために』242 鍼灸とマッサージの往療料取扱いの相違
2018.02.25
1月31日の第18回あはき療養費検討専門委員会で、保険者から「鍼灸の同意書にも、マッサージと同様に、医師が“往療の必要性”の必要性を記載する項目を入れてほしい」との要望が上がったということを耳にした。
ここで、往療料加算の取り扱いをまず整理したいが、鍼灸(柔整も同様)の施術に係る往療料加算の必要性はあくまで施術者が判断することになっている。 (さらに…)
【寄稿】柔整業界委員の主張・上 「亜急性」は負傷の範囲を指す
【寄稿】柔整業界委員の主張・上 「亜急性」は負傷の範囲を指す
2018.02.25
田村公伸 氏
日本個人契約柔道整復師連盟常任理事
柔整業界側の委員として、柔道整復療養費検討専門委員会の場で厚労省や保険者らと議論を闘わせている日本個人契約柔道整復師連盟の田村公伸氏から本紙に寄稿があった。専門委員会の在り方に危機感を持ち、亜急性や柔整審査会の問題にも警鐘を鳴らす。
専門委ではもっと「適正化」議論を
今般の社会保障審議会柔道整復療養費検討専門委員会のテーマが、「適正化」ではなく「不正対策」として展開されたことは、柔整業界にとって大変侮辱的な出来事である。逆に国、保険者の今までにない本気度が感じられ、柔整師側はもっと危機感を持ち、業界を挙げて真剣に取り組まなければならない。
◇ ◇ ◇
■亜急性議論について
療養費の支給対象として「負傷の範囲」に用いられてきた「亜急性」という文言は、外力の加わり方であり、外傷の発生機序として負傷原因に関して用いられてきた文言であり、あくまで柔整師が療養費を取り扱う上では「亜急性」は療養費の支給対象の負傷の範囲に関しての説明に用いられてきたものである。
今回検討課題として示された「亜急性の文言の見直し」では、この亜急性という文言が負傷の範囲を示す上で表現がそぐわないという意見から「文言の見直し」という議論になったと考える。ところが柔道整復療養費検討専門委員会においては、「医学的に亜急性の外力というものは存在せず、亜急性期すなわち期間を表すもので外力を表すものではない」という意見から議論の内容が急性期、亜急性期、慢性期など「時間軸」として症状の経過を問うのか、負傷の範囲を問うのか混同された議論に変化し「文言の見直し」から「文言の解釈」へと論点がすり替わってしまった感がある。
純粋に文言の見直しを図るのであれば、当初より「療養費の支給対象の負傷の範囲」を表現している「亜急性」の文言を見直し、「急性又は酷使、反復による外傷性であることが明白な……」と見直すことを提唱したい。これは、当初からの療養費の支給対象の負傷の範囲から逸脱したものではなく、外傷の原因が不明なものまで主張するものでもなく、何ら業務範囲を拡大提示しているものではない。負傷の原因や時期は、患者からの申告により得られる情報であり、患者により「いつ・どこで・どうして・どうなった」が明確に回答できないケース、例えばコンタクト系スポーツで負傷した場合や、継続した日常動作及びスポーツ活動などで負傷した場合では「どうなった」が曖昧なケースが臨床上多くある。これらは本来全て療養費の支給対象の負傷の範囲としてとらえて問題がない症例である。
資料として下記に掲載している「国別のスポーツ外傷とスポーツ障害の取り扱い状況」を見れば、スポーツ障害やスポーツ外傷においても発信が外国である場合、それを日本語に翻訳し医学的に分かりやすいように分類した結果、適切な表現がなされていないことがうかがえる。
また、『最新整形外科学大系 第23巻「スポーツ傷害」』(中山書店、2007年)に記載されているリトルリーグ肘の事例を用いた一文では当該傷害を「野球などで幼弱な発育期の肘に過大なストレスが繰り返し加わった結果、肘関節内顆に発生した病態を言う」と定義しており、「急性発症で骨片に明らかな骨折断端がある剥離骨折と、小骨片や数個に分節した亜急性発症例がある」と分類されている。「亜急性発症」は、overuse により繰り返された外力は組織に負担がかかる状態となり、微少刺激により過大なストレスを引き起こし、その結果病態組織変性が生じるが、痛み等の症状の認知が病態組織変性に遅れた状態で発症するため、「急性発症」と区別した表現で記載されていると示している。医師でもある学者が監修した文献に「亜急性発症」の記載があり、「医学的に亜急性の外力というものは存在せず、亜急性期すなわち期間を表すもので外力を表すものではない」という意見には疑問が生じる。
参考までに病理学の観点からでも医歯薬出版株式会社から出版されている『病理学概論』によれば「発病から回復に至るまでの経過時間の長短によって疾病を急性、亜急性、慢性に分類することは一般的によく行われている。すべての病気が最初から急性、慢性に分類されているのではなく、臨床経過から見た結果的な分類である」とあり、炎症についての項では「滲出は急性の時期に相当し、増殖は慢性又は亜急性期に相当する」とも記述されている。つまり、急性期=滲出性炎、慢性期=増殖性炎ということであり、経過時間によって分類はされていない。結果的に経過時間の分類に用いる用語としても、初診の段階で急性・亜急性・慢性と分類することはナンセンスである。
変形性膝関節症で関節水腫の事例を用いると、変形自体は長時間の年月をかけたもので、時間で分類するなら慢性であろう。外力で分類するなら、重力という外力により長期間を経て損傷されたものであるから亜急性である。そこにはもちろん、生活環境、労働環境など重力下で起こる微細な外力の積み重ねが大きな要因であることは言うまでもない。しかし、炎症の観点からみれば水腫という滲出が起きているので急性となる。つまり、変形という期間的にみると慢性期であるが、亜急性の外力により水腫という炎症が急性に起きたことになる。これは療養費の支給対象の負傷の範囲としてとらえて問題がない症例である。なぜなら、柔道整復学・理論の観点からいえば亜急性の外力であり、病理学の観点からいえば滲出性の炎症であるので急性である。
学校教育の場でも、外傷の発生機序とした認識のもとで急性、亜急性を区別、使用し柔道整復学においてもその概論は変わることなく教育されている。また病理学もしかりである。
医学分野において発生機序を説明する文言(用語)が存在しないのなら、亜急性を医学的文言に改めるべき議論をすることが本来の文言の見直しであり、世界的な基準を踏まえた上で臨床を行っている柔整師だけではなく養成校・学者・教員等が学術的に検証し議論を進める場を別に設け、そこでの議論としなければ根本的な解決には至らないであろう。
「亜急性」は単に療養費取り扱いの負傷の範囲を説明する文言であること。この文言が曖昧でそぐわないので見直しを図る、との本来のテーマを踏まえ、議論のすり替えをすることなく、療養費・受領委任制度は患者のための制度であることを忘れないよう議論が進むことを希望する。
後編に続く
しんきゅうサミット2018 大浦慈観氏ら、講演や実技供覧
しんきゅうサミット2018 大浦慈観氏ら、講演や実技供覧
2018.02.25
技術・研究・教育の観点から
鍼灸院の口コミサイト「しんきゅうコンパス」を運営するカリスタ株式会社主催の『しんきゅうサミット2018』が1月21日、東京都内で開催された。
公益財団法人杉山検校遺徳顕彰会理事の大浦慈観氏が『腰痛に対する鍼灸治療―鍼一本で患者の身体と心を変える』と題して講演を行った。 (さらに…)
到知出版社から新刊 「人生はあなたに絶望していない V・E・フランクル博士から学んだこと」
到知出版社から新刊 「人生はあなたに絶望していない V・E・フランクル博士から学んだこと」
2018.02.25
人生はあなたに絶望していない
V・E・フランクル博士から学んだこと
致知出版社から新刊『人生はあなたに絶望していない―V・E・フランクル博士から学んだこと』が発行された。著者は心療内科医で、線維筋痛症といった慢性疼痛などの全人的医療を研究している永田勝太郎氏。B6変型判、174頁。本体価格1,300円。
50歳を迎えようとしていた頃、末梢から筋肉が萎縮していき、寝たきりになる病に冒された著者。絶望の淵から彼を這い上がらせたのは、師であり、アウシュビッツ強制収容所を生き抜いたビクトール・フランクル博士が遺した言葉だった――。一人の医師が、血の滲む苦しみの末、多くの患者のために難病から立ち直る姿を追う一冊。
(さらに…)
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』86 鍼灸マッサージ師、柔整師も薬の情報の入手を
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』86 鍼灸マッサージ師、柔整師も薬の情報の入手を
2018.02.25
医師や薬剤師だけでなく、鍼灸マッサージ師・柔整師にとっても、来院する患者さんがどんな薬を服用しているのかを知っておくことは非常に有効です。そのために薬の情報をぜひ知っておいていただきたいのですが、本屋に行って薬の本を探しても、医師や薬剤師が用いる非常に分厚い辞書のような本か、『家庭の医学』的な簡単な説明が載っている、これまた分厚い本がほとんどでしょう。さらに最近では、ジェネリック薬品(後発薬)が非常に多くなってきていて、実際に患者さんから飲んでいる薬を教えてもらっても、その薬を書籍の索引から見つけることができない場合が少なくありません。薬に関わる情報の環境は大きく変わっていて、今やインターネットを使うのが、最も正確で、かつ最も適切な情報を、タダで入手することができます。多くの人がこのことを知らないようです。
先日、私たちは『現場で役立つ薬のホント~種類・飲み方・副作用~』(織田聡・織田しのぶ・平井みどり編著、技術評論社)という本を上梓しました。よくある辞書や辞典のような本ではなく、正確な薬の情報をインターネット上から無料で手に入れて、その情報をいかに読み込むかということなどを紹介している本です。
医療機関を受診し、処方箋をもらって調剤薬局に行くと、薬と一緒に薬の説明書(薬剤情報提供文書)を渡してもらえるかもしれません。しかし、その説明書には非常に簡単な薬の解説しか書いてありません。一方、薬局でOTC薬(Over The Counter薬:処方箋を必要とせずに購入可能な医薬品)を買うと、「化粧箱」の中に詳細な説明書が入っていますね。実は病院で処方される医薬品の場合も、同じような説明書(添付文書)があるのですが、薬局で箱から出して袋に詰められる際に破棄されています。この説明書をインターネット上から無料で入手することは誰にでも可能で、薬剤情報提供文書よりも、薬の本よりも、もっと詳しい薬の情報を得ることができるのです。Google などの検索サイトから「薬の名前 添付文書」で検索すると、多くの情報が結果として表示されますが、ぜひ製薬メーカーが作成したものを直接入手するようにしましょう。
なお、この添付文書は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)が取りまとめています。『現場で役立つ薬のホント』では、このPMDAでの添付文書の入手の仕方、入手した添付文書の読み方も解説していますので、ぜひとも本屋で手に取ってみてください。
【連載執筆者】
織田 聡(おだ・さとし)
日本統合医療支援センター代表理事、一般社団法人健康情報連携機構代表理事
医師・薬剤師・医学博士
富山医科薬科大学医学部・薬学部を卒業後、富山県立中央病院などで研修。アメリカ・アリゾナ大学統合医療フェローシッププログラムの修了者であり、中和鍼灸専門学校にも在籍(中退)していた。「日本型統合医療」を提唱し、西洋医学と種々の補完医療との連携構築を目指して活動中。