あマ指師課程新設非認定処分取消裁判・大阪地裁 国側、2年前のあん摩業調査で反論
2018.09.10
1080号(2018年9月10日号)、あマ指師課程新設をめぐる裁判、紙面記事、
―19条の立法目的、今も正当性ある―
学校法人平成医療学園らが、晴眼者のあん摩マッサージ指圧師養成課程の新設申請を認めなかった国に対し、処分取消を求めている裁判で、8月22日に大阪地裁で10回目となる口頭弁論があった。今回は被告の国側から反論文書が提出され、証拠書類として併せて提出された平成28年秋実施のあん摩業に関する受療状況等の実態調査を主な論拠としながら、主張が展開された。
同調査は、平成28年度の厚生労働科学特別研究事業として実施され、筑波技術大学教授の藤井亮輔氏が研究代表者を務めた。アンケート回答数は4,605人で、調査時に営業を行っていたのが3,836人。被告側は、▽3,836人のうち、視覚障害者は18.7%であり、その中で障害者等級が1、2級の者は85.1%と、重度障害のある視覚障害者があん摩業に強く依存している、▽1カ月の患者数(中央値)が晴眼者と2~2.5倍の開きがあり、格差が生じている、▽平成27年分の年収(中央値)が晴眼者の3分の1の水準にとどまっている、▽接骨院、鍼灸院、リラクゼーション店舗等の同業者が相当数増えていることを背景に、あん摩施術所の受療者数がかなり減少している可能性があり、あん摩への需要に対しあマ指師の就業者数(供給量)が不足している状況にはない、などの調査結果を列挙し、視覚障害者のあマ指師の職域を優先する「あはき法19条」の立法目的が現在も正当性を有していることが同調査で確認できると強調した。
また、マッサージ需要の相当部分が無資格業者に流れているとの理由から、19条の存在が無資格者の増大を招いているとの原告側の主張に反論。無資格者の増大によって19条の手段としての必要性が失われるものではなく、さらに無資格者の増大を回避するため、19条を廃止すれば、視覚障害者の生計維持がますます困難となるとした。昭和57年に中和鍼灸専門学校(現中和医療専門学校)の晴眼者定員が増加された点については、当時と原告による申請時(平成28年)では、あはき師業を取り巻く社会・経済情勢等も異なるなどと説明した。
当日の口頭弁論では、被告側から「現時点における被告の主張は、今回までで出し尽くした」旨が述べられた一方、原告側は「今回の反論は藤井氏による調査に基づいたもので、これまでこちらが問題とする論点に答えていない」とし、次回以降、藤井氏の証人尋問を求めるとともに、再度反論を行う意向を示した。次回は、11月9日を予定。