台風19号、施術所も深刻な浸水被害 業界は被災地支援へ向けて始動
2019.10.25
10月中旬の東日本に記録的な大雨をもたらした台風19号で、被災地の柔整・あはき施術所も深刻な被害に見舞われている。
神奈川県川崎市の多摩川沿いの鍼灸整骨院では、治療機器・器材までも水に漬かるなどし、その撤去作業や片付けに追われ、経済的な損害も大きく、業務再開のめどが立っていないという。
福島県郡山市でも複数の施術所が床上・床下浸水の被害を受けている。
全日本鍼灸マッサージ師会と日本鍼灸師会が合同で立ち上げたDSAM(災害支援鍼灸マッサージ師合同委員会)は、鍼灸支援活動に向け、神奈川県、栃木県、茨城県といった被害の激しい地区に先遣隊を送るなど準備を進めているほか、日本柔道整復師会は10月13日に「台風19号災害対策本部」を立ち上げている。
保険証紛失でも施術所で受療可能
厚労省は、台風19号による被害規模を想定して台風上陸の当日である10月12日付で、「被災者が被保険者証等の紛失や家屋に残したまま避難していることにより、保険医療機関等に提示できない場合の取り扱い」について、特例措置(被災者が氏名、住所、事業所名等を申し立てることで受診できる措置)の事務連絡を発出していた。
本紙より、文書内の「保険医療機関等」の対象範囲を厚労省に問い合わせたところ、「接骨院・整骨院はもとより、今年から受領委任が導入されたことで鍼灸・マッサージ院も含まれる」と回答した。
ただ、同事務連絡は医科・歯科・調剤薬局に係る発出文書であり、療養費に係る同様の事務連絡の発出がされていない状況(10月23日時点)では、支払い側である保険者も療養費の支給にちゅうちょするといった事態が危惧される。