あはき国家試験 令和3年から問題数・時間増へ
2019.07.10
「試行試験」行い、視覚障害者にも配慮
令和3年のあはき国家試験(第29回)から試験問題数が増やされ、それに伴って試験時間も延長される見通しだ。試験を実施する公益財団法人東洋療法研修試験財団が設置した「あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師国家試験あり方検討会」がこのほど公表した報告書で提言している。
提言では「あん摩マッサージ指圧師」試験の問題数は現行の150問から160問に、「はり師・きゅう師」は160問から180問に増。試験時間は、晴眼者は4時間から4時間20分に、視覚障害者は6時間から6時間30分(「はり師」「きゅう師」単独受験の場合は晴眼者4時間10分、視覚障害者6時間20分)に延長、となっている。あマ指師試験の「あマ指理論」は現行の10問から12問へ、はり師・きゅう師の「リハビリテーション医学」は10問から12問など、科目別問題数については報告書の別紙に一覧でまとめられている(下図参照)。同検討会は平成30年度から施行されている新カリキュラムに対応するため平成28年10月に設置。令和元年5月まで分科会も含めて計11回開催し、並行して晴眼者と視覚障害者を対象に「試行試験」も行ってきた。あマ指で1回、はり・きゅうで2回行われた試行試験では問題数と試験時間を変更して行い、事後に受験者らの意見を聞いた。「解答時間は十分あったが見直しは途中までしか終わらなかった」「問題が多いと目が疲れて見えにくくなる」といった視覚障害者の声に配慮しながら、問題数と時間を調整したという。また、新カリキュラムにおいては臨床能力の向上が主眼とされていることから、基礎医学と臨床医学の連結問題や臨床に直結する知識を問う総合問題を更に増やすことや、専門分野の問題比率を高めることが望ましいとして、科目別問題数に反映した。
五択形式は不採用、従来の四択のまま
試行試験では、四択形式の問題は偶発的に正解を選択する確率が高いことが指摘されているとして五択の問題も採用して検証したが、視覚障害者から「読む分量、選択肢を読み返す回数が増え、集中力が低下した」といった声が上がった上、「問題の難易度は四択、五択にかかわらず作問者の意図である程度の調整が可能」との判断から、従来の全問四択形式を踏襲するという。
試験財団は報告書を諮問委員会である「出題基準検討委員会」と「試験委員会」に提出、今後は両委員会での検討が進められる。