柔整の施術管理者研修 受講できず、保険取扱い断念も
2018.12.10
柔整療養費の受領委任を取り扱える「施術管理者」になるために4月から義務化された「施術管理者研修」で、受講できずに保険取扱いをやむなく断念しなければならない柔整師の存在が表面化してきている。業界内から疑問の声も上がっており、救済措置を期待している状況だ。(編集局・倉和行)
国の救済措置に期待?
昨年度までは柔整師の免許保有者であれば施術管理者になれたが、今年度より「施術所等での実務経験」とともに、「研修の受講」が新たに要件として設けられた。研修は公益財団法人柔道整復研修試験財団の主催で7月からスタート、来年3月までに全国で全28回を開く。11月末の時点で、「第16回東京会場」まで実施されている。ただ、10月開催の第11回静岡、第12回岡山、第13回沖縄の3会場は開催が中止された上、都市部の大阪会場等では、受講申込みの開始とともに予約が殺到し、すぐさま定員が埋まったが、申し込み終了数時間前に大量のキャンセルが出るといったケースもあった。そんな中、10月末に本年度の研修全ての受講申し込みが終了した。
施術管理者となるための「申し出」をしてから「1年以内」に、研修を受講して「修了」しなければならないとの規定がある中、一部の柔整師団体では、所属会員の中に受講できなかった柔整師がいるとの声も上がっている。ある団体幹部は「定員オーバーという理由で、受講を希望していた者が受講できず、受領委任の取り扱いをあきらめないといけないのか」と落胆ぎみに話す。「1年以内」が迫る柔整師もいる中で、来年度の研修日程は現時点では発表されておらず、試験財団は「早くても年末頃の発表」としている。
◇ 解説 ◇
施術管理者になりたいと望む柔整師がいるにもかかわらず、研修の運営等の環境面で受講できない柔整師がいるというのは、新要件導入の趣旨に反しており、柔整業界の発展にブレーキをかけはしないか心配だ。導入初年度とあって、ここは「1年以内」といわず、「数年以内」に引き延ばすといった配慮を厚労省に求めたい。最低でも、あと半年は様子をみてほしいものだ。