連載『織田聡の日本型統合医療“考”』86 鍼灸マッサージ師、柔整師も薬の情報の入手を
2018.02.25
1067号(2018年2月25日)、紙面記事、織田聡の日本型統合医療"考"、
医師や薬剤師だけでなく、鍼灸マッサージ師・柔整師にとっても、来院する患者さんがどんな薬を服用しているのかを知っておくことは非常に有効です。そのために薬の情報をぜひ知っておいていただきたいのですが、本屋に行って薬の本を探しても、医師や薬剤師が用いる非常に分厚い辞書のような本か、『家庭の医学』的な簡単な説明が載っている、これまた分厚い本がほとんどでしょう。さらに最近では、ジェネリック薬品(後発薬)が非常に多くなってきていて、実際に患者さんから飲んでいる薬を教えてもらっても、その薬を書籍の索引から見つけることができない場合が少なくありません。薬に関わる情報の環境は大きく変わっていて、今やインターネットを使うのが、最も正確で、かつ最も適切な情報を、タダで入手することができます。多くの人がこのことを知らないようです。
先日、私たちは『現場で役立つ薬のホント~種類・飲み方・副作用~』(織田聡・織田しのぶ・平井みどり編著、技術評論社)という本を上梓しました。よくある辞書や辞典のような本ではなく、正確な薬の情報をインターネット上から無料で手に入れて、その情報をいかに読み込むかということなどを紹介している本です。
医療機関を受診し、処方箋をもらって調剤薬局に行くと、薬と一緒に薬の説明書(薬剤情報提供文書)を渡してもらえるかもしれません。しかし、その説明書には非常に簡単な薬の解説しか書いてありません。一方、薬局でOTC薬(Over The Counter薬:処方箋を必要とせずに購入可能な医薬品)を買うと、「化粧箱」の中に詳細な説明書が入っていますね。実は病院で処方される医薬品の場合も、同じような説明書(添付文書)があるのですが、薬局で箱から出して袋に詰められる際に破棄されています。この説明書をインターネット上から無料で入手することは誰にでも可能で、薬剤情報提供文書よりも、薬の本よりも、もっと詳しい薬の情報を得ることができるのです。Google などの検索サイトから「薬の名前 添付文書」で検索すると、多くの情報が結果として表示されますが、ぜひ製薬メーカーが作成したものを直接入手するようにしましょう。
なお、この添付文書は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)が取りまとめています。『現場で役立つ薬のホント』では、このPMDAでの添付文書の入手の仕方、入手した添付文書の読み方も解説していますので、ぜひとも本屋で手に取ってみてください。
【連載執筆者】
織田 聡(おだ・さとし)
日本統合医療支援センター代表理事、一般社団法人健康情報連携機構代表理事
医師・薬剤師・医学博士
富山医科薬科大学医学部・薬学部を卒業後、富山県立中央病院などで研修。アメリカ・アリゾナ大学統合医療フェローシッププログラムの修了者であり、中和鍼灸専門学校にも在籍(中退)していた。「日本型統合医療」を提唱し、西洋医学と種々の補完医療との連携構築を目指して活動中。