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2024.11.19
投稿日:2022.10.20
セミナー『頭が痛い……それって頭?心? ~頭痛とメンタルの関係~』が 9 月 20 日、Zoomで開催された。主催は、鍼灸×メンタルオンラインサロンここちめいど。
身体化する頭痛
松浦悠人氏(東京有明医療大学 保健医療学部 鍼灸学科 助教)は、「うつ状態やうつ病の患者さんが訴える頭痛の特徴と鍼灸治療について」と題し、メンタル面に注目して頭痛を解説した。
頭痛の中でも「メンタル不調の部分症状としての頭痛」に焦点を当て、国際頭痛分類第 3 版において、頭痛が精神疾患と時期的に一致するなど因果関係がある「精神疾患による頭痛」に含まれる「身体化障害による頭痛」を挙げ説明。医学的な病気の存在がなく、心理社会的要因により症状が出る身体表現性障害(DSM-IV)があり、この疾患概念は国際頭痛分類第3版にて参考にされている。これは現在、身体症状に対する思考や感情が異常であると考える、身体症状症(DSM―5)に更新されているが、この身体症状症やうつ・不安などを含む原因不明で持続する症状を、医学的に説明困難な症状 (Medically Unexplained Symptom:MUS)という。痛みに関しては、▽鎮痛薬の効果なし、▽精神疾患の既往あり、 ▽増悪寛解因子が不明確、▽症状の間欠期がない、▽ストレス因子あり、などのうち2項目以上該当するとその可能性が高く、これがベースで頭痛が起こる場合がある。
また、身体化する頭痛の臨床的な特徴はうつ病と似たものも多く、見極めが大切だと話した。症状が持続する場合は、痛みやストレスにより中枢神経の感受性が変化して痛みを感じやすくなる中枢性感作もあるとし、身体症状が筋緊張など身体局所の病態か、中枢による病態のどちらに由来するか評価する必要があると説明した。
中枢性感作に鍼でアプローチ
中枢性感作は、百会、風池、内関、合谷、足三里、三陰交、太衝などの経穴を中心に鍼で治療すると話し、脳血流の変化を見るMRIで、うつ病患者の左背外側前頭前野や帯状回が賦活、両側海馬や扁桃体の活動が抑制など、脳血流のバランスがニュートラルな状態に変化する様子を示した。また、適度な食事・睡眠・運動の促しや、不調に対する苦しみや思いの傾聴共感で、患者を心身ともに整える鍼の効く体づくりも大切だと話した。
頭痛が起こるきっかけ「不明な刺激」
菊池友和氏(東洋医学研究所主任研究員)は、片頭痛は予兆期、前兆期、発作期、回復期と段階的に進むとし、fMRIによる脳活性の様子から、予兆期のきっかけが、発作の起こる 48 時間前に見られる視床下部の活性に関係あると解説。この時「不明な刺激」があったとし、その内容は肩こり、目の疲れ、ストレス、PMS、睡眠不足などメンタル、フィジカルともにありうるとした。
さらに、西洋医学では予兆期の治療薬はないと話し、鍼灸での中枢感作を抑制し不明な刺激を受けても発作を起こさない全身調整の効果に期待を寄せた。
全体でのディスカッションでは、2021年の頭痛のガイドラインで片頭痛の・緊張型頭痛の標準治療において、予防期、発作期の鍼灸治療が推奨に転じていることが、治療家の間で知られていないことを問題視し、一度推奨に転じても、次回変更の可能性はあり、臨床や研究結果で形に残し続けなければならないと課題を呈した。
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