日鍼会が医療連携テーマの講座開催 キーワードは「連携ができる鍼灸師」
2018.05.25
公益社団法人日本鍼灸師会(日鍼会)の第1回医療連携研修講座が3月25日、東京衛生学園専門学校(東京都大田区)で開催された。日鍼会理事・研修事業担当の小川卓良氏はあいさつで、「鍼灸一本で生計を立てている者が次第に減っており、なおかつ病院内の鍼灸も減っている現状で、もっと医療・他職種との連携を高める必要があるとの意見を多数聞き、これからの時代の鍼灸師の重要なキーワードになると考えた」と開催主旨を述べた。
講演『医療連携の意義とその実践に向けて』は、埼玉医科大学医学部講師の山口智氏が登壇。連携の主眼は満足度の高い医療を提供することであり、患者の病気・症状を西洋・東洋医学の両面で捉え、治療する中で双方の信頼を深めれば、療養費の同意書問題なども解決していくと説明。そのためにも専門医と連携する際は、▽鍼灸師に可能な医療面接と検査の実施、▽血液・尿検査や画像診断の意義、▽鍼灸治療の期待できる疾患や症状の鑑別、▽古典・中医学と現代医学との接点の探求、などの資質・見識が必要になると説いた。
鍼灸院と連携する医師、1割未満 「鍼灸の効果不明」で同意書拒否
また山口氏は、昨年2月、埼玉県医師会の協力の下に実施した医師向けアンケートの結果を紹介。161名が回答し、「特定の鍼灸院と連携しているか」との質問に対して「はい」と答えた医師が1割にも満たなかったと述べた。また、回答者の約半数は施術者から同意書の依頼を受けた経験があるが、そのうちの4割は「鍼灸の効果が不明」「鍼灸院内の治療環境が分からない」との理由で同意しなかったとの厳しい回答内容も明かした。ただ、鍼治療が診療ガイドライン等で推奨されているものについては、約65%の医師が「勧めてみたい」という前向きな回答も聞かれたと報告。コクラン・システマティックレビューでは鍼灸に肯定的な結論が述べられている、一次性頭痛をはじめとする多くの疾患があり、鍼灸も評価されていることを地元医師に積極的にアピールし、連携構築に結びつけてほしいと語った。
シンポジウム『何故「医療連携ができる鍼灸師」が求められるのか?』では、スポーツ・介護・保険・災害の各分野を担当する日鍼会理事4名から、それぞれの取り組みの実績が報告されたほか、それを通じて連携の場に加わるためのポイントなどが紹介された。




