連載『柔道整復と超音波画像観察装置』161 外側型野球肘(離断性骨軟骨炎)の超音波画像観察
2018.08.25
小野 博道(筋・骨格画像研究会)
外側型野球肘の代表的な疾患に、離断性骨軟骨炎がある。これは、投球動作時の肘関節外反ストレスにより上腕骨小頭と橈骨頭の衝突が起こって発生する、上腕骨小頭の骨軟骨障害と考えられている。病期は初期・進行期・終末期に分けられ、レントゲン画像上では透亮期・分離期・遊離期に分類される。初期から進行期にかけては無症状のケースが多く、可動域制限や疼痛などの症状が出現する時には既に終末期になっている。終末期には、遊離した骨軟骨骨片が関節に挟まれてロッキングが起き、日常生活に支障をきたすようになるため、野球をやめるという選択をする子供が少なくない。最近の調査では、障害発生に関与するのは10~11歳の年齢のみで、野球開始年齢・経験年数・週間練習時間・ポジションや肘関節痛の既往との関連性はみられず、単なる肘関節外反ストレスによる障害だけではないとも考えられている。
離断性骨軟骨炎は、初期から進行期の間に投球を禁止させることでそのほとんどが修復されるため、治療は早期発見が鍵となる。今回は、小学校4~6年生の学童野球の選手200名を対象に超音波画像観察装置(エコー)で野球肘検診を行った際の結果を報告する。方法としては、プローブを腕橈関節に対して長軸に当てがい【画像①】、小頭の骨ライン・関節軟骨を描出する。【画像②】は11歳男子の正常な上腕骨小頭の長軸画像である。検診の結果、200名中2名の選手に離断性骨軟骨炎の疑いがあった。一人は捕手(11歳)で、無症状だったが小頭の骨頭部にわずかな不正像を確認【画像③】。整形外科に紹介したところ、MRIによる検査で初期の離断性骨軟骨炎と診断された。現在、投球が少ないポジションに転向して4カ月で、修復傾向にある。もう一人は投手(11歳)で、これも無症状だったが、エコー画像では小頭の骨層部が乱れていたため【画像④】、整形外科に紹介。レントゲン画像から進行期(分離期)と診断され、投球禁止となった。
離断性骨軟骨炎は無症状であることが多い上に、進行していく疾患である。野球に打ち込む子供たちの将来のためにも、簡易的で侵襲性が無いエコーを使った定期的な野球肘検診の実施が必要かつ有効であると考える。
(参考文献)臨床スポーツ医学:Vol.34,No10「少年野球選手に生じる障害への対応と予防」松浦哲也




