全国柔道整復学校協会 第60回教員研修会
2018.09.25
―アンチ・ドーピングの最前線 サプリメント、風邪薬に注意を―
全国柔道整復学校協会の第60回教員研修会が8月18日、19日、品川プリンスホテルアネックスタワー(東京都港区)で開かれた。
しみず整形外科リハビリクリニック理事長で日本水泳連盟のアンチ・ドーピング委員会委員を務める清水顕氏が『知っておいてほしいアンチ・ドーピングの知識』と題して講演を行った。近年、ドーピングは減少傾向にあるものの「サプリメント」による違反が報告されていると述べ、日本アンチ・ドーピング機構によれば平成28年度の違反者5名中3名、同29年度の6名中2名がサプリメントによる違反だったと説明。サプリメントは医薬品と異なり成分の全てを表示する義務が無く、さらに発売後に成分が変わることもあるとして注意を促した。
清水氏は、競技者が市販薬や処方薬を使用する際の注意点にも言及した。同じメーカーの風邪薬でも「パブロンSゴールドW」には禁止物質は含まれていないが「パブロンゴールドA」には含まれているといった事例を紹介。専門家に相談したり、違反薬の検索サービスなどで調べたりする場合は、正確な商品名を伝える・入力することが必要だと呼びかけた。また、漢方薬は含有する全ての物質が明確になっているわけではないため、禁止物質が完全に入っていないことを保証できない点からも避けた方がよく、麻黄や半夏、鹿茸などの明らかな禁止物質を含む物も少なくないと解説。さらに、禁止物質を含む防風通聖散が入っている「コッコアポ」、「ナイシトール」など、商品名からは漢方と分かりにくい物もあると話した。
『スポーツ選手とスポーツトレーナーとしての柔道整復師の関わりについて』は北京五輪・ロンドン五輪競泳日本代表帯同トレーナーで日本医学柔整鍼灸専門学校特任講師・メディカルトレーナー育成部長の黄海匡士氏と、立石諒氏(ロンドン五輪競泳銅メダリスト)、高谷惣亮氏(2014年レスリング世界選手権銀メダリスト)が登壇。選手と指導者双方の視点から見て「良いトレーナーとは?」というテーマでディスカッションが行われた。黄海氏は、柔整師がトレーナーとしてスポーツ選手に関わるからには、ただ単に動きを良くする、ケガを治す、だけでなく「早く治す技術」が求められると説いた。
ほかに寺裏誠司氏(株式会社学び代表取締役)による講演『アクティブラーニングの実践について』や、『骨折・脱臼の一人整復法』(増田哲男氏・日本医学柔整鍼灸専門学校研究開発部長)などの分科会、ポスターセッション発表が行われた。