本紙調査 施術者団体アンケート 団体運営への療養費適正化の影響?
2019.05.25
柔整15団体・あはき40団体が回答
鍼灸柔整新聞では3月下旬から5月中旬にかけて、全国の施術者団体を対象に療養費や業界動向に関するアンケート調査を実施した。柔整師団体から15、あはき師団体から40の回答が寄せられ、柔整では「保険者等の行き過ぎた患者照会」、あはきでは「受領委任制度への保険者の自由参加」が、組織運営上で大きな影響を受けているなどの実態が分かった。
(さらに…)
本紙調査 施術者団体アンケート 団体運営への療養費適正化の影響?
本紙調査 施術者団体アンケート 団体運営への療養費適正化の影響?
2019.05.25
柔整15団体・あはき40団体が回答
鍼灸柔整新聞では3月下旬から5月中旬にかけて、全国の施術者団体を対象に療養費や業界動向に関するアンケート調査を実施した。柔整師団体から15、あはき師団体から40の回答が寄せられ、柔整では「保険者等の行き過ぎた患者照会」、あはきでは「受領委任制度への保険者の自由参加」が、組織運営上で大きな影響を受けているなどの実態が分かった。
(さらに…)
本紙調査 施術者団体アンケート 柔整師団体アンケート調査の質問と回答
本紙調査 施術者団体アンケート 柔整師団体アンケート調査の質問と回答
2019.05.25
柔整師団体 アンケート調査の質問と回答(回答:15団体)
【問1】ここ数年の間に、柔整療養費の受領委任取扱いに関する改正が頻繁に行われました。これらの改正点を含め、現在、貴団体が組織運営を行う上で、特に影響を受けているものを1つ選んでください。
「亜急性」の文言削除 0
柔整審査会の権限強化(面接確認の呼び出し等) 2
施術管理者の新要件(実務経験と研修受講) 4
平成30年度料金改定の内容 0
保険者等の「行き過ぎた患者照会」 7
特にない 2
その他 0
【問2】昨年5月24日付の事務連絡で、保険者による患者照会の不適切 (さらに…)
本紙調査 施術者団体アンケート 鍼灸師・マッサージ師団体アンケート調査の質問と回答
本紙調査 施術者団体アンケート 鍼灸師・マッサージ師団体アンケート調査の質問と回答
2019.05.25
鍼灸師・マッサージ師団体 アンケート調査の質問と回答(回答:40団体)
【問1】2019年1月より、業界側が要望していた「あはき療養費の受領委任制度」が導入されました。代理受領を取り扱っていた以前と比べ、貴団体から保険者等への療養費支給申請書の提出件数は (さらに…)
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』115 医療の「タスクシフト」を鍼灸でも
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』115 医療の「タスクシフト」を鍼灸でも
2019.05.25
突然ですが、クリニックを移転しました。医療機関の移転は、都道府県の定款変更の許可を取るところからスタートです。この作業は行政書士に依頼することもできますが、自分で行うことも可能で、薬学部時代の友人にアドバイスをもらいつつ自ら手続きを行いました。彼女も診療しながら書類をそろえてクリニックを移転した経験を持っています。これがとても大変な作業で、改めて感じたのは、医療機関は社会保障における重要なインフラとして優遇されてはいるものの、開業はおろか移転や廃業も自由にできず、経営もコントロールとまではいかなくとも監視されている状況にあるということです。これは自由診療であっても同じで、保険医療機関となると、日々の診療内容に審査が入り、査定される、いわばガチガチの状態。そこに働き方改革の残業上限「年720時間」が医師には適用されず、「年1860時間」まで容認されるという、「どれだけブラックなのか」との声が聞こえてきます。研修医の頃は月に100時間を超える残業は普通でしたので、驚くこともありませんが。
さて、最近、保険適用外の検査や医薬品の営業をされている方との情報交換で、興味深いことに気が付きました。今までならば保険適用になるよう働きかけるだろう検査を、保険収載を目指さずに自費のサービスとして展開し、公的保険ではなく民間保険の付帯サービス等で給付金の使い道として保険会社と連携して案内する例が出てきたといいます。事業自体は「B to B」であるため、そして採血が必要となるため、医療機関が営業先となるようですが、私はすぐに医療機関ではなく、ヘルスケアサービスを自費で行っている周辺領域への展開を提案しました。自費の検査ですから、薬局や鍼灸院から採血をクリニックへ依頼するようなモデルはどうでしょうか。そういう医療機関との連携もあり得ると思います。例えば、鍼灸院の窓口で患者さんに認知症早期発見の採血検査を案内し、近隣の医療機関に採血だけ依頼する。そして、検査結果は検査会社から個人へ戻されるという流れです。採血だけの依頼を受け付ける医療機関はあるのかと問われそうですが、療養費の同意書を依頼するよりハードルは低い気がします。今まで病院でしか行えなかったことを病院以外でできるようにする、つまり、「タスクシフト」。これが混迷極まる日本の医療を救う最大の手段だと感じています。タスクシフトが、検査の領域でも推し進められることを感じた一件でした。
また、繰り返しの案内になりますが、6月22日にタイのチュラロンコン大学における解剖実習が開催されます。医師、解剖学者、鍼灸師で、実際の人体を観察しながらディスカッションを行うほか、弁護士による法律の講座もあります。問い合わせは、(一社)健康情報連携機構(http://www.health-info.or.jp/)まで。
【連載執筆者】
織田 聡(おだ・さとし)
日本統合医療支援センター代表理事、一般社団法人健康情報連携機構代表理事
医師・薬剤師・医学博士
富山医科薬科大学医学部・薬学部を卒業後、富山県立中央病院などで研修。アメリカ・アリゾナ大学統合医療フェローシッププログラムの修了者であり、中和鍼灸専門学校にも在籍(中退)していた。「日本型統合医療」を提唱し、西洋医学と種々の補完医療との連携構築を目指して活動中。
第16回「柔整の日」記念イベント 4月14日は柔整の日
第16回「柔整の日」記念イベント 4月14日は柔整の日
2019.05.25
4月14日の「柔道整復の日」にちなんだ第16回記念イベントが同日、大阪市北区のうめきたSHIPホールで開かれた。一般社団法人日本健康創造協会主催。
「柔整ふれあいフェスタ」として、柔整施術を体験できる東洋医学体験コーナー、はり体験コーナー、整(接)骨院の医療機器体験コーナー、柔整・鍼灸の歴史を解説するパネル展示、柔道整復の日イベントキャラクター「ほねつぎ紳士」とのふれあいなどのほか、肌年齢や脳年齢を測定する健康測定コーナー、ボディジュエリー無料体験といったコーナーが設けられ、160人あまりの来場者でにぎわった。
柔整施術に9割が「満足」
鍼を受けて「良かった」8割超
「健康測定が楽しみで来た」と話したのは高齢女性の2人組。60歳だという男性も健康測定がお目当てだった。初めて鍼を体験したという女性は「全然痛くなかった。これなら子供にも」と好感触。夫の腰痛がひどいという夫婦は、保険適用の基準などについてイベントスタッフから丁寧に説明してもらったと話していた。
柔整施術と鍼の体験コーナーでは来場者アンケートを取っており、柔整施術に「満足」が7割強、「まあまあ満足」が2割弱とおよそ9割が満足と回答。鍼を受けて「良かった」と答えたのは体験者のうち8割を超えており、中には「鍼は初めて」という人も。柔整・鍼共通の「今後、整(接)骨院・鍼灸院へ行ってみようと思うか」という質問に対しては8割が「思う」と回答していた。
【柔道整復の日】
昭和45年4月14日に柔道整復師法が公布されたことから、4月14日が日本記念日協会に柔道整復の日として記念日登録されている
▲有資格者らによる施術体験コーナーも
読者プレゼント――臨床に、学びに、待合室にこの一冊を 新刊4冊
読者プレゼント――臨床に、学びに、待合室にこの一冊を 新刊4冊
2019.05.25
【大修館書店】スポーツトレーニングの常識を超えろ!
株式会社大修館書店から新刊『スポーツトレーニングの常識を超えろ!』が発行された。NPO法人日本トレーニング指導者協会(JATI)編著。A5判240頁。本体価格2000円。
トレーニング理論と実践に通じた執筆者たちが、より効果的なトレーニングを行うための理論や手法について最新情報を提供する。
【医歯薬出版】セラピストのための軟部組織リリース 原著第3版
医歯薬出版株式会社から新刊『セラピストのための軟部組織リリース 原著第3版』が発行された。Mary Sanderson原著、武田功・弓岡光徳監訳。A4判変型164頁。本体価格4200円。
筋膜をはじめ腱、靱帯まで含めた軟部組織全体へアプローチする「軟部組織リリース」の考え方や具体的な手技を紹介した入門書。
【BABジャパン】ツボがある本当の意味 経絡理論を根底から覆すツボの考え方
株式会社BABジャパンから新刊『ツボがある本当の意味―経絡理論を根底から覆すツボの考え方』が発行された。著者は鍼灸師で一般社団法人整動協会代表の栗原誠氏。四六判184頁。本体価格1400円。
「ツボは経絡に沿ってあるわけではなかった!?」。常識を覆しつつ新たな時代を切り拓く、人体探求読本。
【サンルクス】ママが楽になるとアトピーが治る
サンルクス株式会社から新刊『ママが楽になるとアトピーが治る』が発行された。著者は鍼灸師・保育士の夕部智廣氏。小児科医の佐藤美津子氏監修。四六判183頁。本体価格1600円。
小児はりを行う鍼灸師が、多くの子どもアトピー治療の経験から得られた「アトピーが自然に改善していくための方法」を紹介。
※読者プレゼントの応募は終了しました。
連載『医療再考』3 「未来における鍼灸のブランディング~コミュニティーとしての鍼灸学~」
連載『医療再考』3 「未来における鍼灸のブランディング~コミュニティーとしての鍼灸学~」
2019.05.25
医療においてAIをはじめとしたテクノロジーの活用が検討されている理由は、人材不足だけではありません。医療の一部をテクノロジーに任せることで、診断の補助や高度な検査、治療のアシストなどが可能となることから、より高度な医療の実現にAIは必要不可欠でもあるのです。人材の有効活用の面からも、社会に必要とされる仕事ほど、AIなどの最新技術に任せられる部分は任せ、専門家は専門家にしかできない部分に専念するという流れはごく自然なものと言えます。そうした意味でも、鍼灸はAIに奪われない職業と高を括るのではなく、積極的にAIに仕事を任せて仕事を効率化することが重要です。
医療でAIを活用するためにはデータの数値化と一元管理が必要十分条件だとされています。その第1段階は電子カルテの普及による情報のデジタル化、第2段階がネットワークなどで情報を共有するネットワーク化。そして最終段階が共有データを集めて解析するビッグデータ化です。ビッグデータは、これからの医療におけるエビデンスの形です。RCTのような限定的なエビデンスではなく、膨大なデータから類似のデータを見つけ出す新しいエビデンスがこれからの医療を作っていくのです。実際、医学ではAIを活用するための情報整備がほぼ完了しており、これからはビッグデータを集め、画像や遺伝子などの情報解析、病気の適切な診断、さらには創薬などの分野に活用しようとしています。その意味で、医師の診察・検査・診断の体系は大きく変わろうとしており、病気の診断や適切な治療法の提案はAIの解析に任せて、医師はそのアドバイスに従って専門的な治療に専念するという時代が、目の前にまで来ています。これからの医療においては、AIを核とした情報コミュニティーに、有益な情報を提供することが重要だといえるでしょう。
その一方で、鍼灸治療は第1段階の電子カルテ化さえ行えていないため、データを一元管理することができず、個人の経験は経験でしかないのが現状です。もしも個人の診察・治療結果を数値化し、情報を一元管理することができれば、東洋医学に関する様々な情報は現代の医療にはない未病に関する有益な情報を多分に含んでいることから、病気の予防や早期発見にも役立ち、健康―未病―病気の軸で新しいエビデンスを確立していくことが可能でしょう。そして、我々鍼灸師はこのプラットフォームを基に、新たな健康経営を創造し、医療における新たな東洋医学の関わりを確立できるのです。
そのために重要となってくるのは、東洋医学のデータを利用してどのような健康経営を実現したいのかというデザイン設計です。そのデザインは医療の範囲を越え、様々な領域と連携し、社会にインパクトを与えていくことが重要となります。この、医療の枠を越えた新たな健康経営こそが、鍼灸の新しいブランディングであると考えています。
【連載執筆者】
伊藤和憲(いとう・かずのり)
明治国際医療大学鍼灸学部長
鍼灸師
2002年に明治鍼灸大学大学院博士課程を修了後、同大学鍼灸学部で准教授などのほか、大阪大学医学部生体機能補完医学講座特任助手、University of Toronto,Research Fellowを経て現職。専門領域は筋骨格系の痛みに対する鍼灸治療で、「痛みの専門家」として知られ、多くの論文を発表する一方、近年は予防中心の新たな医療体系の構築を目指し活動を続けている。
Good Products――注目商品紹介コーナー
Good Products――注目商品紹介コーナー
2019.05.25
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場所を選ばず施術できる
セイリン『セラミック電気温灸器』
セイリン株式会社(静岡市清水区)の家庭用熱療法療器、『セラミック電気温灸器』。
火を使わず煙も出ないため、施術場所を選ばない。重さ140gと軽量で、サイズもコンパクト。温度は43℃から3℃刻みで5段階に設定できる。先端部の素材はアレルギーフリーのセラミックを採用、消毒用エタノールで全面の拭き取りができるため清潔に保てる。見やすい液晶画面で温度を表示し、通知音も分かりやすい。消し忘れ防止機能付き。ホワイトとブラックの2色。
販売に関する問合せはセラピ株式会社(0120-89-8128)へ。
「痛くない! スムーズな刺入を実現!!」
セラピ『ishin CURE』
セラピ株式会社(大阪市北区)のオリジナルディスポ鍼、醫鍼シリーズの『ishin CURE(イシン キュア)』。
鍼尖を丸く加工したことで従来品よりも刺入時の痛みを抑え、皮膚組織の損傷や内出血のリスクを軽減。従来品より鍼体に柔軟性・弾力性を持たせ、「極力痛みを軽減することに成功した」と同社。また特許技術(特許番号第3828064号)によって鍼柄の先を丸く密閉することで、施術者の指への負担も併せて軽減したという。入り数は1箱240本入。
販売に関する問い合わせは同社(0120-89-8128)へ。
オームパルサーの「最上位モデル」
全医療器『Ohm Pulser LFP-2000e』
株式会社全医療器(福岡市南区)の『Ohm Pulser LFP-2000e』。
低周波・鍼通電低周波治療器「オームパルサー」の「最上位モデル」。治療前後の変化が数値で分かる計測機能や微弱電流に調整できるマイクロカレント、人間が心地良いと感じるリズムの「1/fゆらぎ」モードなどの新機能を搭載。オプションで皮下から筋層にかけて通電刺激ができる新アイテム「電気ていしん」もある。各種数値を分かりやすくし細かく設定できるデジタル表示を採用。
販売に関する問合せはセラピ株式会社(0120-89-8128)へ。
小型・軽量タイプの光線治療器
東京医研『SUPER LIZER mini PRO』
東京医研株式会社(東京都稲城市)が『SUPER LIZER(スーパーライザー)mini PRO』を新発売。
生体深達性の高い波長帯(0.6μm~1.6μm)の近赤外線を、最大出力2,500mWでスポット状に照射する。HA-2200シリーズの機能と操作性を継承しつつ、ハンドイン治療に特化した小型・軽量タイプ。3種類の先端ユニットにより様々な部位への照射ができる。「スーパーライザーの治療効果は、ペインクリニックをはじめ多岐にわたる医療の現場で高く評価されている」と同社。
販売に関する問合せはセラピ株式会社(0120-89-8128)へ。
灸を「科学」する艾燃焼解析システム
チュウオー『MOXATH MX-5』
チュウオー(兵庫県宝塚市)の、灸を「科学」する艾燃焼解析システム『MOXATH(モクサス) MX-5』。
灸の温度や人体が得る熱量、艾の捻り方によって変わる温度の立ち上がり時間、最高温度をグラフで可視化する。測定部は人体表面を再現するため30~40℃に設定可能。パソコンに接続して使用、データの保存もできる。対応するOSはWindows。「教育・研究機関や灸の研究家に活用してもらい、灸の科学的アプローチやエビデンスの充実に」と同社。
製品に関する問合せは同社(0797-88-2121)へ。
疼痛の除去・緩和などの治療に
豊和ES『定電流治療器AAP』
疼痛の除去・緩和に豊和ES株式会社(兵庫県尼崎市)の『定電流治療器AAP』。
微弱電流で血流・神経・筋肉を活性化させて自己回復力を助け、損傷部位や筋肉を調整・回復・改善する。関節痛や腰痛、筋肉痛、野球肘やテニス肘などに効果的で、プロのアスリートの治療実績も。治療器が発する音で患部を捉えられ、音の変化で回復・改善の程度も分かる。持ち運びできるトランク収納型で往療にも便利。
販売に関する問合せはセラピ株式会社(0120-89-8128)へ。
頚・腋窩・鼠径部にフィットする冷却剤
三重化学工業『くるっとクール』
三重化学工業(三重県松阪市)の冷却剤『くるっとクール』。
三日月形で頚・腋窩・鼠径部にフィット、動脈を冷やし体温を急冷させるので熱中症対策に好適。藤田保健衛生大学病院との共同開発で、看護師の「首や脇を効果的に冷やせるものを」との声を反映した。ジェル素材は経口毒性の無い安全なものを使用、冷凍庫で凍らせても「カチカチにならない」。専用カバー付き。「病院や学校、事業所などで常備しては」と同社。
販売に関する問合せはセラピ株式会社(0120-89-8128)へ。
「お顔への施術など美容にも」
山正『NEOディスポ鍼SPタイプ5分』
株式会社山正(滋賀県長浜市)の『NEOディスポ鍼SPタイプ』に、鍼体長15mmの短い鍼で細めの番手(0.10mmと0.12mm)が新たに登場した。「お顔への施術やデリケートな施術にご使用いただけます」と同社。
カラー鍼柄で容易に鍼の番手(太さ)を確認できる。鍼柄の先が丸く、「治療家の手にもやさしい設計」。鍼体には滑らかな刺入感のためにシリコーンコーティング加工を施している。
製品に関する問い合わせは同社(0749-74-0330)へ。
5種の精油と天然メントール配合
吉田養真堂『MEGUREFRE―めぐリフレ―』
株式会社吉田養真堂(奈良県橿原市)の足リフレッシュシート『MEGUREFRE―めぐリフレ―』。
足の裏や足首、ふくらはぎなどに貼ってリフレッシュ。ラベンダー・グレープフルーツ・ベルガモット・マジョラム・ローズマリーの5種類の精油と天然メントールを配合した。シートの素材は水分を含まないため気化熱で体温を奪うことがなく、菌が繁殖しにくいので防腐剤不使用、パラベンフリーでかぶれにくい。1箱20枚入り、参考上代980円(税抜)。
製品に関する問合せは同社(0744-22-2374)へ。
貼るだけで指圧効果、肩こり、腰痛をはじめ運動前後のケアにも
和光電研『プチバン』
和光電研株式会社(大阪府八尾市)の、貼るだけで指圧効果が期待できる『プチバン』。
40年来のロングセラー『ロイヤルトップ』をベースにした、患者のセルフケアにも使える家庭用貼付型接触粒(一般医療機器)。同社では、運動前後に貼ることで疲労を軽減する、上肢の可動域を広げる、といった用途も提案、マラソン大会に『プチバン』ブースを出展するなど普及にも努めている。180粒入(写真)6,000円・60粒入2,160円(税込)など。
販売に関する問合せは和光電研商事株式会社(0120-765-890)へ。
Q&A『上田がお答えいたします』 「医師による適当な治療手段のないもの」とは?
Q&A『上田がお答えいたします』 「医師による適当な治療手段のないもの」とは?
2019.05.25
Q.
鍼灸療養費の支給対象は「医師による適当な治療手段のないもの」として「6疾病」に限定されていますが、そもそも医師による適当な治療手段のないものとはどういうことなのでしょうか。
A.
確かに、現行の厚労省通知には「療養費の支給対象となる疾病は、慢性病であって医師による適当な治療手段のないものであり、主として神経痛・リウマチなどであって類症疾患については、これら疾病と同一範ちゅうと認められる疾病(頸腕症候群、五十肩、腰痛症及び頸椎捻挫後遺症等の慢性的な疼痛を主症とする疾患)に限り支給の対象とすること」とあり、これは昭和42年9月18日付の保険局長通知をほぼそのまま引き継いだものです(昭和42年の通知には頸椎捻挫後遺症はありませんでした)。
ただ、通知にある6疾病には医師による適当な対症療法としての治療手段はありますし、一方で6疾病ではないけれども医師には治せない疾病もあり、それらには鍼灸が適用されていません。実は、「医師による適当な治療手段のないもの」とは「慢性病とは何か」を説明した表現なのです。慢性病は医師では「治す=完治させる」ことができないから、常に対症療法で症状を和らげるとか痛みを抑えるとか、「緩解」を目的にした医療しか行えません。ならば、「同じく症状の緩解になる鍼灸もよろしいだろう」ということになったのでしょう。ではなぜ、症状に疼痛が現出している慢性病の全てが鍼灸治療の対象とならなかったのでしょうか。私は鍼灸業界の古参の方から「業界側が療養費の支給対象について、行政にこまごまと聞きに行ってしまった結果、昭和42年の保険局長通知での疾病特定に至ったのだ」というお話をうかがったことがあります。慢性病とは何かを業界側から問われたので、行政は「医師でも結局は治せないのが慢性病だから医師による治療を施しても治癒しないもの=医師による適当な治療手段のないもの」と答え、さらに業界側が「それでは、慢性病にはどんなものがありますか」と聞いたから、「まあ、リウマチとか神経痛は治らないよね」などと回答。またさらに「他には何がありますか」と尋ねられたものだから、行政は「頸腕症候群、五十肩、腰痛症」を挙げた――という具合だったようです。
「医師による適当な~」という表現は鍼灸療養費の支給決定に当たっては極めてよろしくない、運用を限定してしまいかねないものです。例えば、同意をした医師が保険者から「医師による適当な治療手段が本当になかったのですか?」と聞かれれば、医師は「いや、何らかの手立てはあることはあるが、患者に頼まれたから同意書を書いただけ」と答えるかもしれません。そうすると、同意書を添付しても「医師の医科学的判断が認められない」として不支給となってしまうのです。
【連載執筆者】
上田孝之(うえだ・たかゆき)
全国柔整鍼灸協同組合専務理事、日本保健鍼灸マッサージ柔整協同組合連合会理事長
柔整・あはき業界に転身する前は、厚生労働省で保険局医療課療養専門官や東海北陸厚生局上席社会保険監査指導官等を歴任。柔整師免許保有者であり、施術者団体幹部として行政や保険者と交渉に当たっている。
日本小児はり学会の第7回特別講演会 発達障害への小児はり、テーマに
日本小児はり学会の第7回特別講演会 発達障害への小児はり、テーマに
2019.05.25
児童施設での療育プログラム実践例を紹介
一般社団法人小児はり学会(井上悦子会長)が4月7日、神戸市内で「発達障害の理解と小児はりの対応」をテーマに特別講習会を開催した。
小児はりを「療育プログラム」に取り入れている児童発達支援施設『ウキウキさくらんぼ』の代表・真山千佳子氏が登壇。導入当初は不安だったが、小児はり後に接触障害や「人が怖い」という児童の症状が緩和したというスタッフの声や、「その晩はよく眠れた」という親御さんの声が聞かれ、現在、月3回のペースで実施していると話した。ただ、どの程度が鍼の効果であるかは確信できていないと述べた上で、ADHDや自閉症の児童が多い同施設では、「魔法のトントンと呼んで、鍼灸の先生が来るのを楽しみにしている」と語った。また、同施設を訪問している鍼灸師の上市茂生氏(大有堂鍼灸接骨院院長)が、実際に小児はりを行っている様子を動画を交えながら紹介。生活・学習環境の後方支援として、心身疲労の回復や負荷軽減を目指しており、1時間の限られた中で10人ほどの発達障害児に対し、主にローラー鍼を用いて施術を行っていると説明。反応点は顔の表情を見ることなどのポイントを挙げたほか、動画で児童に足蹴りされるシーンが映った際には、「無理に施術をしようとは考えない方が良い」と明るく呼びかけた。
このほか、昨春より臨床研究を目的に小児はりを治療に取り入れている『こども心身医療研究所』の所長・冨田和巳氏(小児科医)が、発達障害児の特徴や関わり方についての講演などを行った。
連載『先人に学ぶ柔道整復』十五 各務文献(後編)
連載『先人に学ぶ柔道整復』十五 各務文献(後編)
2019.05.25
ー実証的医学に基づいた『整骨新書』―
今回は文献の代表的な著作である『整骨新書』(1810年)の内容を見てみたいと思います。文献は、整骨術の基本は骨骼(こっかく)の解剖学であると考えていました。それは、単に本の上の研究だけではなく、斬首の刑に処せられた罪人の亡骸を実際に解剖した記録で知ることができます。文献は遺体を集め、解剖の研究を重ね、『整骨撥乱』(1804年)を著しました。しかし、これを刊行せずに底本とし、その後に『整骨新書』を刊行しました。左上の表で示した同書の内容からは、文献の実証主義をうかがい知ることができます。例えば、解剖学では骨の数について、胎児、幼児の骨の数は成人のそれと同数でないことや、手足の指の種子骨の数にも個人差があることが述べられています。また、脊髄の連結と脊髄神経の関係や各関節の構造・機能についての記載も今日の解剖学的にみても正確です。さらに、男女の骨の形状の違いについても詳述し、幼児の寛骨が3つに分かれているのは大抵7歳までであるなどの記載も見られます。
「接法篇」では、診断、整復、固定、後療法の過程を総括的に述べており、次いで、各部位の損傷についても書かれています。具体的には、頭蓋骨、胸骨・肋骨、膝蓋骨骨折や顎関節脱臼、肩関節脱臼、肘関節脱臼や各靭帯損傷に触れており、また先天性股関節脱臼や奇形、変形についても言及されています。併せて、同書の特徴の一つとして、施術に器械を使用することが挙げられます。「器械篇」では、機械器具について、設計図や使用方法についても細かく記載されています。器械を使用する際の原則は「整骨ノ術ニ於ルモ……技巧ノ及バザル所ヲタスケ、力科ノ如何トモスベカラザルヲ益シ、或イハ形物ノ不足ヲ補イ、又調摂ノ宜ニ適セシムルコト…」と述べており、自ら器械を作成し、徒手療法の有用な補助として開発しています。
このように『整骨新書』は文献の広く深い臨床経験と実証的研究に裏付けされて刊行されました。ただ、刊行までには、21歳年下の妻の黒井(1776~1845年)の存在が欠かせません。自らも勉強して医術を身に付け、夫が研究に没頭して家業をおろそかにする間、代わって医院で診療に当たりました。「女性の産婦人科医なら安心」と、かえって繁盛したともいい、また、診療が済むと文献の前に裸体をさらし、自分自身を研究の実験台に。しかし、生きた人間の外側から内部の構造を知るには限界があり、黒井は考え抜いた末、遺体を手に入れて解剖してはどうかという提案をしました。こうして秘密裡に入手した遺体を解剖するうちに、文献は内臓のさらに奥にある「骨」にたどり着きました。文献の骨格医学樹立の影にはいつも黒井の支えがあったのです。同書の出版により接骨を専門とする施術家も多く現れ、接骨は外科の一派として確立していきました。
■『整骨新書』の構成
上巻:
運動器系と生理学
中巻:
1.骨折治療学の全般的な治療方法と各部位の治療方法
2.脱臼の全般的な治療方法と各部位の治療方法
3.靭帯・筋・筋膜の損傷治療について
4.徒手療法(マッサージ)、罨法、瀉血法の手技と目的
5.使用する器械の使用法とその図
下巻:
包帯の製法、包帯法、副子固定の図示
【連載執筆者】
湯浅有希子(ゆあさ・ゆきこ)
帝京平成大学ヒューマンケア学部柔道整復学科助教
柔整師
帝京医学技術専門学校(現帝京短期大学)を卒業し、大同病院で勤務。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科博士後期課程を修了(博士、スポーツ科学)。柔道整復史や武道論などを研究対象としている。
連載『中国医学情報』170 谷田伸治
連載『中国医学情報』170 谷田伸治
2019.05.25
☆早発卵巣不全(POF)の不妊症には鍼併用治療
河南省鶴壁市の侯紹亮らは、早発卵巣不全(POF)による不妊症患者で西洋薬単独治療と鍼併用治療の効果を比較した(上海鍼灸雑誌、19年1期)。
対象=早発卵巣不全(POF)による不妊症患者96例、平均年齢約33歳(27~39歳)。これをランダムに西洋薬単独群・鍼併用群各48例に分けた。
治療法=両群とも常軌の西洋薬治療(女性ホルモン剤)。治療期間6週間(2クール)。
<鍼治療>①取穴―腎兪・百会・神庭・本神・関元・子宮(奇穴。中極穴の左右三寸)・足三里・三陰交・太渓・太衝。
②使用鍼―腎兪・関元・子宮・足三里・三陰交が0.25×40mm、百会・神庭・本神・太渓・太衝が0.25×25mm。
③操作―腎兪:脊柱に向け45°の斜刺35mm。百会・神庭・本神:後方に15°の斜刺20mm、得気後に平補平瀉法。関元・子宮・足三里:直刺35mm、得気後に重挿軽提補法。三陰交:上方に45°の斜刺、得気だけ。太渓:直刺15mm、得気後に重挿軽提補法。太衝:直刺10mm、得気後に軽挿重提補法。以上は、毎回置鍼25分(行鍼1回)。各穴を交替使用。毎週3回、1クール36回で2クール治療。
観察指標=①卵巣機能(卵巣体積・胞状卵胞数・卵巣拍動指数)、②血清ホルモンレベル(E2・FSH・LH)、③妊娠率と不良反応発生率。
結果=妊娠率は、単独群12.5%(6例)併用群31.3%(15例)。①と②では、いずれも併用群の数値が単独群より有意に良い状態。不良反応発生率は、単独群8.3%(悪心・腰痛各2例)併用群10.4%(悪心1例・暈鍼2例・腰痛2例)で有意差なし。
<付記>早発卵巣不全(POF)に対する鍼灸治療は、本年4月10日号の本欄でも紹介。
☆寒湿型の腰痛患者には通電+灸頭鍼治療
広州中医薬大学・頼鵬輝らは、明らかな神経障害のない寒湿型(冷えて痛み四肢が冷たいタイプ)の腰痛患者126例で、鍼通電・灸頭鍼・通電+灸頭鍼の3種類の治療法の効果を比較した(鍼灸臨床雑誌、19年1期)。
対象=126例(男66例・女60例)、平均年齢約51歳(30~85歳)、平均罹患期間約30日。これをランダムに3群各42例に分けた。
治療法=<取穴>腎兪・大腸兪・腰陽関・命門・阿是穴。
<操作>0.30×40~75mmの鍼で、腰部の筋肉の肥厚状況に合わせて直刺25~50mm、提挿捻転し得気後、通電または灸頭鍼治療。
<通電>電極は3組:左右の腎兪・大腸兪と阿是穴1組。断続波・2Hzで30分。
<灸頭鍼>通電と同じ穴位の鍼柄上に約2cmの長さのモグサを挿入して点火、穴位のところに火傷予防の紙片を置く。毎回30分。
<併用>通電後に灸頭鍼。
以上の治療を毎日1回、1クール6回、1週間休止後に更に12クール、計12回治療。
観察指標=JOAスコア(日本整形外科学会腰痛疾患治療成績判定基準)、VAS(視覚的アナログスケール)、FFD(指床間距離)。
結果=通電群:全快2例・著効8例・好転21例・無効11例・総有効率73.8%。灸頭鍼群:全快6例・著効14例・好転16例・無効6例・総有効率85.7%。併用群:全快12例・著効19例・好転10例・無効1例・総有効率97.6%。
☆ドライアイに対する選穴データ
甘粛中医薬大学・馬雪嬌らは、データベースを利用し中国でのドライアイに対する鍼灸治療文献の選穴状況を報告した(中国鍼灸、19年1期)。
対象=国内の3つのデータベースで検索した、2007~2017年に報告された文献145篇から、総述・動物実験などを除外した52篇。
検索結果=穴位数は経外奇穴を含め60穴。
<選穴>(カッコ内篇数)①睛明(47)、②攅竹(44)、③太陽(40)、④三陰交(32)、⑤合谷(29)、⑥風池(28)、⑦糸竹空(27)、⑧四白(26)、⑨太衝(24)、⑩太渓(21)、⑪足三里(21)、⑫承泣(17)、⑬百会(16)、⑭肝兪/腎兪(各14)、以下略。
<選経>陽経が選穴総数の62.7%で、その頻度は、①足太陽膀胱経(11穴、25.1%)、②足陽明胃経(6穴、14.0%)、③足少陽胆経(6穴、9.3%)、④足太陰脾経(5穴、9.4%)、⑤経外奇穴(5穴、9.1%)、以下略。
【連載執筆者】
谷田伸治(たにた・のぶはる)
医療ジャーナリスト、中医学ウォッチャー
鍼灸師
早稲田鍼灸専門学校(現人間総合科学大学鍼灸医療専門学校)を卒業後、株式会社緑書房に入社し、『東洋医学』編集部で勤務。その後、フリージャーナリストとなり、『マニピュレーション』(手技療法国際情報誌、エンタプライズ社)や『JAMA(米国医師会雑誌)日本版』(毎日新聞社)などの編集に関わる。
連載『汗とウンコとオシッコと…』177 今更……
連載『汗とウンコとオシッコと…』177 今更……
2019.05.25
令和元年だ。これで筆者も三代の年号の変化を経験した。過去に例のない10連休が明け、いつになく身体の調子が悪いという話も聞く。普通は連休の内に過食したり、気温上昇に伴う暑さに身体がついてこれず崩れることが多いが、今年はいつになく涼しい。日差しは強いが北海道では五月に雪が降り、風が冷たい。燕の飛来は確認したものの、飛ぶ姿はあまり見ない……。今年の夏は、いわゆる冷夏の可能性が高い。そうなると自律神経的には、太陽光線に当たることで、光線量で時計を決定するわけだが、涼しいので発汗しきれない状態が形成される。発汗といっても不感蒸散の減少だ。
「先生、一週間くらい前からなんですけど、両肩が痛くて、ぐ~っと詰まってくる感じなんです……」
そう語るのは三十代前半、ちょっと微妙なお年頃の色の白い独身女性だ。
「目が痛くて、ふらふらすることも……それで、ちょっと息苦しくて……頭痛がでたりでなかったりで。ロキソニン飲んでもあまり変わらなく、胃の調子も悪くなって……。これでも白川先生に言われてから、私なりにしっかり歩いてるんですけど……」
訴えを聞くのは横転先生。普段は白川女史が施術を担当しているが、今日は彼女は公休のため、代わりに横転先生が施術することになった。森畑、川端の男子両名のガサツさでは対応できないと、横転先生に申し送りをしていたわけだ。
脉をとりながら、横転先生は「これ、大小便の出が急に悪くなったわな」と確認する。
「そうなんです。連休中はそこそこ運動もできてよかったんですけど……」
「歩いてたりすると、風を受けるとゾクッとするやろ」
「そ、そうなんです……カーっと火照りかけたと思ったら、ゾクゾクして、薄ら寒く感じます。それからしばらくすると頭の後ろが痛んだりして……」
「そうやろなぁ。これ、歩いてる運動してる時間帯はいつなんや? 会社帰りの夜に歩いてるんか?」
「はい、夜です」
「これなあ……夜の涼風に当たって体表が冷えて、汗を止めてるんやわ。体温を守ろうとして尿まで止めてる。さらに、身体を治そうとして、脱水予防で便まで少なくした。つまり、風邪を引いてるんやな。それで発熱するけど、中途半端に熱が出かけた時に火照って頭痛がする。体表が冷えてるから発汗しきれなくて、火照りが止まったらゾクゾクする、中途半端な状態なんや。女性の不定愁訴と混同されがちなやつやな……。利尿しながら体表をあっためるようにするわ。まあ、この症状は尿さえ出てくれたら一回で治る」
「え~、もっと早く来ればよかった」
一方、川端は腕を組み、あごに手を当てながら、斜めに頭を倒し、うなずきながら、一人で悦に入っている。川端思考フィールドだ。
「虚邪でござるな、黄耆建中湯に柴胡を加味?」
(今更何を言ってる……)
この時は邪魔くさいので、最近はみんな関わらない……。
【連載執筆者】
割石務文(わりいし・つとむ)
有限会社ビーウェル
鍼灸師
近畿大学商経学部経営学科卒。現在世界初、鍼灸治療と酵素風呂をマッチングさせた治療法を実践中。そのほか勉強会主宰、臨床指導。著書に『ハイブリッド難経』(六然社)。
連載『食養生の物語』72 茶は養生の仙薬
連載『食養生の物語』72 茶は養生の仙薬
2019.05.25
「夏も近づく八十八夜」と唄われる茶摘みの季節。立春から八十八日目、ゴールデンウイーク頃に茂ってきた茶葉を摘み取ったものが、柔らかく甘味があって上質な「一番茶」。期間とともに出てくる新たな芽を摘み取る度に、二番茶・三番茶と、だんだんと品質は下がるとされています。特に高級とされる「玉露」は、一番茶を収穫する前に覆い、一定期間日光を遮断してから摘み取ります。日を遮ると、アミノ酸の一種のテアニンが豊富でうま味の強いお茶になるのです。日光を遮断せず、光合成が進めば、渋み成分であるカテキンが増加していき、スッキリとした味わいの「煎茶」として出回ります。収穫時期が夏から秋へと遅くまで成長した茶葉から製茶されるものは「晩茶」「番茶」と呼ぶようになっていったようです。摘まれた茶葉は、蒸した後、揉んで針の様な形に整えて乾燥させます。その後に焙煎したものが「ほうじ茶(焙じ茶)」。元は一部の地域で「ほうじ茶」を「番茶」と呼んでいたのが広まっていき、最近では「番茶」と「焙じ茶」は同一視されることが多いようです。食養生では「三年番茶」といって、収穫時期を遅らせ秋以降まで育成した茎を刈り取り、ゆっくりと時間をかけて焙じた後、倉庫で熟成させたお茶を飲用することを勧めています。足掛け三年にわたる時間と丁寧な製法とで独特の甘みと味わいがあり、体を冷やさないお茶でもあります。
紅茶や烏龍茶も緑茶と同じツバキ科のチャノキ(学名カメリアシネンシス)から作られ、違いは発酵の度合いです。茶葉には酵素があり、手を加えなければ発酵は進んでいきます。最も発酵を促進させるのが紅茶。茶葉を揉み込んでから十分に発酵させ、乾燥させたものです。インドやスリランカといった、気温が高く発酵を促しやすい国が産地なのも納得です。烏龍茶はこの酵素の働きを途中で止めた半発酵状態のもの。竹などでできた特有の筒状の入れ物に茶葉を入れて回転させ葉に傷をつけて発酵を促します。発酵の度合いをみて、炒って酵素の働きを止め、製茶します。その土地の料理に合うよう、それぞれの食文化と結びついてきた歴史があるのですね。
茶の渋み成分カテキンは、1980年代後半から、殺菌、抗ウイルス、抗酸化、血圧上昇抑制、血中コレステロール調節、血糖値調節、免疫増強など多くの作用が確認されてきました。病原性大腸菌O-157を通常飲まれる濃度の緑茶エキスに加えたら3時間後には千分の1に減少、5時間後には完全に死滅したとの報告もあります。カテキンだけに「勝て菌」とも言えそうです。近年では「体脂肪が気になる方に」という茶カテキンを有効成分とした特定保健用食品まで販売されています。茶を日本に広めた鎌倉時代の禅僧・栄西禅師は『喫茶養生記』で、「茶は養生の仙薬なり」と著しています。ここまで健康に良いと評価されることを8百年も前に見抜いていたのでしょうか。
【連載執筆者】
西下圭一(にしした・けいいち)
圭鍼灸院(兵庫県明石市)院長
鍼灸師
半世紀以上マクロビオティックの普及を続ける正食協会で自然医術講座の講師を務める。
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』170 前距腓靭帯損傷の観察
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』170 前距腓靭帯損傷の観察
2019.05.25
鈴木 孝行(筋・骨格画像研究会)
20代の男性。柔道の練習中に畳に足をとられて足関節が内返しになり受傷、その直後から足関節外側部に痛みが出現したため来院した。
患部を診察したところ、自発痛、運動痛はもちろんのこと、外果部の腫脹や前距腓靭帯付近の圧痛が確認でき、内返しのストレステストで疼痛が増強、患側での荷重負荷も困難で跛行がみられた。そのことを踏まえて「前距腓靭帯損傷」と判断したが、念のため腓骨下端部の骨折の有無を確認するため、超音波画像観察装置で患部を観察することにした。
まず健側画像中の組織の位置を確認する。①は「腓骨下端部」、②の高エコーラインは「距骨」、③の帯状のラインが「前距腓靭帯」である。全体的に組織間の境界が明確になっている。患側の画像は健側の画像と比較すると、まず確認できるのが前距腓靭帯部の黄色い実線の円で囲んでいる所の不整画像である。健側では靭帯組織の帯状のラインが鮮明に描出されていたが、患側では靭帯に損傷があるため出血や炎症物質が滲出、低エコー領域が増加して不整になっているのが認められた。また、点線の円で囲んでいる腓骨下端部の観察では、健側と変わらず鮮明な高エコーラインが描出されていたので、骨折は無いと判断できた。
今回のような足関節周辺の損傷では、靭帯組織の損傷だけではなく、腓骨下端部骨折を伴うこともあるので、見逃さぬように観察して判断を行わなければならない。超音波観察装置を使用して健側と患側とを比較観察することで多くの情報が得られ、患者にも実際に画像を確認してもらえば客観的な説明が可能になり、インフォームドコンセントをより明確に行うことができる。軟部組織損傷及び骨折に対する超音波画像観察の必要性は今後も高いと考えられる。
連載『不妊鍼灸は一日にして成らず』13 リプロ学会報告2
連載『不妊鍼灸は一日にして成らず』13 リプロ学会報告2
2019.05.25
前回お話しした「日本レーザーリプロダクション学会」では3回にわたって、鍼灸・レーザー(近赤外線直線偏光)の生殖領域におけるデータを発表してきました。そのうちの一つが、昨今認定施設が増えてきた着床前診断をクリアした胚移植時の、同療法下での妊娠率です。
着床前診断は、受精卵が胚盤胞に育った時に外側(栄養外胚葉)の一部を切除し、その細胞のDNAを増幅して量を調べ、染色体の数的異常を見つけ出す検査です。流産は長らく母体に原因があると言われてきましたが、昨今では、受精卵に何らかの異常があった場合、受精卵または胎児が成長を止めてしまうか、子宮が受精卵を放擲することが多いと言われています。着床前診断をクリアした胚盤胞の着床率は未検査胚盤胞より高くなりますが、子宮には受精卵の異常を感知して良いものを引き受け、悪いものを拒絶する能力が一定程度備わっているからです。現段階で、着床前診断をクリアした胚盤胞は最も妊娠しやすい受精卵だと言えるでしょう。それでも、必ず妊娠するわけではありません。ならば妊娠しない理由とは何でしょう。それを解明するための様々な研究があります。例えば、ERA(子宮内膜着床能)検査は子宮内膜の脱落膜化がいつ起こっているのかを調べる検査。昔から言われている「着床の窓」は、通常月経開始から14日目(d14)に排卵が起こったとして、受精卵が卵管膨大部から卵割を経て子宮に降りてくるのが5、6日目ですから、d19~20頃が「着床の窓」が開いている時期だと言えますが、これが時としてずれる場合があります。それを実際に検査で調べるのです。そしてそのずれを確かめてから移植日を決定すると、着床率が上がるというわけです。この他にEMMA(子宮内膜マイクロバイオーム)検査というものがあり、これは子宮内の細菌叢の組成を調べる検査です。簡単に言えば、悪玉菌がたくさんあると内膜が炎症状態となり、免疫が不用意に活性化され、受精卵が攻撃されて妊娠の阻害要因になるので、細菌叢を調べるわけです。こういった研究は他にもあるのですが主に着床率を上げるために行われており、なぜ妊娠しないのかを解明するのに「これが絶対的」というものはありません。妊娠が、多種多様な要素が複雑に入り組んだ事象であることを物語っていますね。
さて、私達が使用する「近赤外線直線偏光治療機」についてお話しします。これには、星状神経節ブロック(SGB)を薬剤ではなく安全な手技で行うために開発された経緯があります。薬剤によるSGBは手技が難しくかつ副作用があるため、それを無くすために様々な光線機器が医療機関でも使用されています。ある日、某大学病院で膠原病の治療を受けていた初老の御婦人が来院されました。外来担当の医師から「スーパーライザーという機械がある所を探して、星状神経節に照射してもらいなさい」と言われたとのことでした。円形脱毛症治療で同機を使っている病院もあり、また継続的に使用すると花粉症を抑制する効果も一定程度確認できます。これらは全て免疫疾患ですね。つまり星状神経節という交感神経節に特殊な光を照射すると、免疫系統に影響が及ぶのです。着床障害の原因に免疫の過剰反応があると説明しましたが、現在、レーザー光を星状神経節に照射して胚移植を行うのが有効だと言われています。では、いつ、どれくらいの頻度で行えば良いのか。先日の学会では理化学研究所研究員から、週に一度、できれば数日ごとが適正間隔であるといったお話がありました。当院では、過去の免疫系疾患の治療実績から胚移植に対する照射間隔を決めていますが、研究員の見解と一致していました。経験則と理論が合致したわけで、ここでも理論的根拠が得られたのです。
【連載執筆者】
中村一徳(なかむら・かずのり)
京都なかむら第二針療所、滋賀栗東鍼灸整骨院・鍼灸部門総院長
一般社団法人JISRAM(日本生殖鍼灸標準化機関)代表理事
鍼灸師
法学部と鍼灸科の同時在籍で鍼灸師に。生殖鍼灸の臨床研究で有意差を証明。香川厚仁病院生殖医療部門鍼灸ルーム長。鍼灸SL研究会所属。
JISRAM第2回公開講座 鍼刺激による精液所見の改善など
JISRAM第2回公開講座 鍼刺激による精液所見の改善など
2019.05.25
『男性不妊のAtoZ』テーマに
一般社団法人JISRAM(日本生殖鍼灸標準化機関)の第2回公開講座が3月24日、京都市内で開催された。テーマは『男性不妊のAtoZ』。
昨年、男性学・雄性学の権威的な学会である日本アンドロロジー学会で「鍼刺激による精液所見の改善」について研究発表を行った伊佐治景悠氏(SR鍼灸烏丸院長)が登壇した。仙骨部(副交感神経領域)への鍼刺激が交感神経を介して前立腺機能を高め、精液の液状化を促進するPSA(前立腺特異抗原)の精漿中の濃度を上昇させて精子運動を活性化させることが明らかになったと解説。また、鼠径部(交感神経領域)への鍼通電刺激により精巣の血液循環が改善されて造精機能が高まり、精子の数と運動率が上昇すると考えられると述べた。これらの治療法は男性不妊に有用であると示唆されるが、不妊治療中の継続が肝要ではないかとも話していた。
JISRAM会長の中村一徳氏は現在、男性不妊の症例集積にも取り組んでいると説明。一般の産婦人科でも使われている位相差顕微鏡と、精子数の迅速かつ正確な計算及び運動性評価が行えるマクラー精子カウントチャンバーを使用していると述べた。症例の一つとして、鍼灸・レーザー併用治療によって精子の総数800万が6125万に、総運動数144万が1378万に改善するなどして、顕微授精しか選択肢が無いとされていたにもかかわらず人工授精での妊娠にまで至ったケースを紹介。ほかに、精液量が極めて少なかった患者や、病気入院で無精子症になったといった患者の例を挙げ、「顕微鏡導入後1年半にして実に様々な症例に遭遇した。今後も治療と効果の因果関係を探り、検証を行って治療法を確立したい」と語った。
JISRAMの研究グループ「おたまじゃくしの会」のメンバーらは、スマートフォンの動画撮影機能を利用して簡便に精子を観察できるキットを用い、鍼治療の効果を検証したと述べた。経穴は解剖学的に精巣が近いことや経験則的な生殖器への効果などを鑑みた上で、自分で刺鍼できる箇所として足五里を選択し、キットは「TENGAメンズルーペ」を採用。刺鍼後、動きが悪かった精子が活発になった、精子の数が増えた、といった例が見られたとして、それらの動画を提示した。
このほか、島田昌之氏(広島大学教授)による『精巣、精嚢腺と精子の酸化ストレス―それぞれの誘導因子と妊孕力との関係』、井上正康氏(健康科学研究所所長)の『はるかなる命の旅―現代の生殖医療と21世紀病の逆襲』が行われた。
連載『あはき師・絵本作家 かしはらたまみ やわらか東洋医学』7 「元気は、はじめのき」
連載『あはき師・絵本作家 かしはらたまみ やわらか東洋医学』7 「元気は、はじめのき」
2019.05.25
この絵は、お母さんのおなかの中にいる9カ月目の赤ちゃんです。赤ちゃんの周りにいるのは元気たち。現代医学的には胎児を育てるのはお母さんですが、私の絵本のお話しではお父さんとお母さんの元気が合わさって赤ちゃんを育てています。元気たちは赤ちゃんの体に入って先天の気となり、生まれた後もずっとおなかにいて、一生の間、命を支え続けるのです。
【連載執筆者】
かしはらたまみ
あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師
自身の子どもに東洋医学の概念を伝えるため「絵本」という表現を選択。色粘土を使った独自の手法で絵を描いている。これまでに『陰陽五行 まわるき』『おなかがいたくなるまえに』を自費出版し、ブログで『やわらか黄帝内経素問』も連載。絵本の購入はネット通販サイト・BASE「やわらか東洋医学」(https://touyouigaku.thebase.in/)から。
『ちょっと、おじゃまします』 ~鍼灸を身近に楽しく~ 鍼灸ユニット『moxies』
『ちょっと、おじゃまします』 ~鍼灸を身近に楽しく~ 鍼灸ユニット『moxies』
2019.05.25
「思っていたより熱くない!」「温かい……」「ちょっと熱いかな」。4月のある日、東京・原宿のイベントスペース「VACANT」から、こんな声が漏れ聞こえていました。誰かが「全然熱を感じません」と言うと、「あ、それはかなりの重症だからなんですよ~」という声が。その瞬間、笑いが沸き起こりました。声の主は、この日開かれたイベント『moxies(モクシーズ)の東洋医学講座』の講師、鍼灸師の亀割文子さん。彼らは、棒灸のかざし合いっこをしていたのです。
文子さんは同じく鍼灸師である夫・透さんと鍼灸ユニット『moxies』を結成、自宅や治療院のある山梨をはじめ東京や京都、香川、広島など全国でワークショップや出張治療を行ってきました。透さんによると「鍼灸師にとっては身近な鍼灸も、周りの人には敷居の高いもの。鍼灸治療を身近に、楽しく感じてもらい、健やかな人が一人でも増えることを目標に活動しています」とのこと。今回おじゃました講座は文子さんの「ソロ活動」で、気の概念や気滞、気虚について講義した後、棒灸による施灸を参加者が2人1組で互いに行うというものでした。参加したのはほとんどが一般の女性でしたが、男性の姿も。みな鍼灸に興味があるといい、セルフで台座灸をしている、パッチ鍼を使っている、という方もいました。講座で使用した冊子と棒灸に加え、パッチ鍼、ハーバルバスエッセンスをお土産として配布。バスエッセンスの中身はよもぎとラベンダーですが、よもぎは亀割さん夫婦の自宅近くに自生しているもので、ラベンダーは友人が栽培しているものだとか。イベント終了時、参加者たちの表情は心なしか来た時よりも和らいでいるようでした。
今後の展開について透さんは「よもぎを使ったお灸は自然の産物であり、土に還るサステイナブル(持続可能)な医療資源。お灸以外にも、よもぎを利用した様々な健康法を取り入れていきたいです」と話しています。
【鍼灸ユニットmoxies】
HP http://www.moxies.jp/
▼一般の方へ向けたワークショップ。東洋医学の概念を講義した後、棒灸を指導
今日の一冊 免疫と「病」の科学
今日の一冊 免疫と「病」の科学
2019.05.25
免疫と「病」の科学
宮坂昌之・定岡 恵 著
ブルーバックス 1,188円
病原体などの異物が体内に侵入すると免疫系が働いて、組織が赤くなり、腫れて熱を持ち、痛むようになる、いわゆる炎症反応。通常、炎症は体の中で起きている異常状態に対する正常な防御反応で一過的なものだが、例外的にダラダラとくすぶるように続くことがあり、これを慢性炎症と呼ぶ。近年の免疫学の研究では慢性炎症が脳梗塞や関節リウマチ、糖尿病、アルツハイマー病などあらゆる疾患と深く関わっていることが分かってきた。日本の免疫学の指導者らが、そのメカニズムとともに最新の治療法についても解説する。