連載『中国医学情報』142 運動後の疲労回復作用を比較ほか
2017.01.10
☆運動後の疲労回復作用を比較
黒竜江中医薬大学・韓亜鵬らは、運動後の疲労回復には按摩プラス鍼通電が、按摩のみおよび按摩プラス伝統鍼よりも良い結果だったと報告した(鍼灸臨床雑誌、16年9期)。
対象=健康な体育大学学生30例、平均年齢約20.5歳(19~21歳)、平均身長約173.7cm(168~180cm)、平均体重約67.6kg(60~75kg)。これをランダムに、治療群(按摩プラス鍼通電)・陽性対照群(按摩プラス伝統鍼)・対照群(按摩のみ)各10例に分けた。
運動法=自転車トレーニングマシンを毎分60回転で維持させ、多量の発汗や呼吸困難または回転できなくなる状態まで、5分ごとに負荷(50W)をアップさせる。1日1回、1週間。毎回運動終了10分後から治療開始。
評価法=第7日目に運動10分前・運動中・運動直後・治療後の心拍を測定、また治療前後に、Borg scale(自覚的運動強度rating of perceived exertion:RPE)で主観的疲労感を評価し、血糖・乳酸・尿蛋白・尿素窒素の数値、音・光への反応時間も測定。
治療法=按摩―リラックス按摩治療30分、1日1回、1クール7回。
鍼通電―取穴:陰陵泉・陽陵泉穴。75度で順経斜刺(50~70mm)、鍼感後に陰陵泉(-)・陽陵泉(+)穴に1Hzで通電30分(10分ごとに2分間大幅捻転強刺激)。
伝統鍼―取穴:同上。置鍼30分(刺激法:同上)。
結果=通電群は、運動開始時心拍数の上昇が最も緩く、運動中の波動範囲は最小、また血糖値の回復も最も良く、主観的疲労感と反応時間短縮でも他群と有意差あり。
☆脳卒中後の認知障害にはプラス百会・神庭刺鍼
広州中医薬大学・詹傑らは、脳卒中後の認知障害(PSCI)で、標準治療(西洋薬・中薬・標準鍼・リハビリ)とプラス百会・神庭穴刺鍼の効果を比べた(中国鍼灸、16年8期)。
対象=広東省中医院入院部の脳卒中患者50例(男33例・女17例)、平均年齢60歳(41~75歳)、平均罹患期間77日(31~176日)、脳梗塞28例・脳出血22例、教育程度:文盲6例・小卒11例・中卒以上33例。これをランダムに標準群・観察群各25例に分けた。
治療法=両群とも標準治療を実施。
西洋薬―中国の2007年ガイドラインにより、降圧剤ほか投与。4週間。
中薬―『中医内科学』(周仲英)により、中風病回復期分型標準治療。1日1剤・4週間。
標準鍼―『針灸学』(石学敏)中風篇により、極泉・尺沢・内関・合谷・委中・足三里・三陰交・太衝穴から選択し、直刺/斜刺5~10mm、平補平瀉法・置鍼30分。1日1回、1週5回、4週間。
標準リハビリ―1回3時間、1日2回、1週10回、4週間。
百会・神庭穴―0.25×40mmの鍼で順経斜刺(15度、5~8mm)、得気後に毎分180~300回捻転を2~3分、置鍼30分(10分ごとに捻転手法1回)。1日1回、1週5回、4週間。
評価法=ミニメンタルステート検査(MMSE)とモントリオール認知機能評価検査(MoCA)で評価。
結果=観察群(百会・神庭穴追加)は、標準群よりも有意に改善していた。
☆脳卒中後うつ病にはプラス膻中刺鍼
黒竜江中医薬大学・于学平らは、脳卒中後うつ病では、常用刺鍼よりプラス膻中穴刺鍼が良い結果だったと報告した(鍼灸臨床雑誌、16年8期)。
対象=同大付属第一病院鍼灸科の50例(男19例・女31例)、平均年齢57歳、平均罹患期間15週(4~24週)。これをランダムに常用群・観察群各25例に分けた。
治療法=両群で常用治療1日1回連続4週。
常用治療―麻痺者:頭鍼の頂顳前斜線(頭皮鍼刺法):風池・曲池・外関・合谷・環跳・陽陵泉・足三里・解渓・崑崙穴に平補平瀉法。嚥下障害/言語障害者:風府・天柱・廉泉穴を追加し平補平瀉法。
膻中穴0.35×40mmの鍼で下方に水平刺15~20mm、捻転提挿瀉法2分、置鍼50分(瀉法刺激2回)。
結果=ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)と神経学的評価でMESSS(modified Edinburgh-Scandinavia stroke scale)を使用し、いずれも観察群は常用群より有意に改善。臨床治療効果では、観察群は回復5例・著効13例・有効5例・無効2例で著効以上72%、常用群は回復3例・著効7例・有効11例・無効4例で著効以上40%。
黒竜江中医薬大学・韓亜鵬らは、運動後の疲労回復には按摩プラス鍼通電が、按摩のみおよび按摩プラス伝統鍼よりも良い結果だったと報告した(鍼灸臨床雑誌、16年9期)。
対象=健康な体育大学学生30例、平均年齢約20.5歳(19~21歳)、平均身長約173.7cm(168~180cm)、平均体重約67.6kg(60~75kg)。これをランダムに、治療群(按摩プラス鍼通電)・陽性対照群(按摩プラス伝統鍼)・対照群(按摩のみ)各10例に分けた。
運動法=自転車トレーニングマシンを毎分60回転で維持させ、多量の発汗や呼吸困難または回転できなくなる状態まで、5分ごとに負荷(50W)をアップさせる。1日1回、1週間。毎回運動終了10分後から治療開始。
評価法=第7日目に運動10分前・運動中・運動直後・治療後の心拍を測定、また治療前後に、Borg scale(自覚的運動強度rating of perceived exertion:RPE)で主観的疲労感を評価し、血糖・乳酸・尿蛋白・尿素窒素の数値、音・光への反応時間も測定。
治療法=按摩―リラックス按摩治療30分、1日1回、1クール7回。
鍼通電―取穴:陰陵泉・陽陵泉穴。75度で順経斜刺(50~70mm)、鍼感後に陰陵泉(-)・陽陵泉(+)穴に1Hzで通電30分(10分ごとに2分間大幅捻転強刺激)。
伝統鍼―取穴:同上。置鍼30分(刺激法:同上)。
結果=通電群は、運動開始時心拍数の上昇が最も緩く、運動中の波動範囲は最小、また血糖値の回復も最も良く、主観的疲労感と反応時間短縮でも他群と有意差あり。
☆脳卒中後の認知障害にはプラス百会・神庭刺鍼
広州中医薬大学・詹傑らは、脳卒中後の認知障害(PSCI)で、標準治療(西洋薬・中薬・標準鍼・リハビリ)とプラス百会・神庭穴刺鍼の効果を比べた(中国鍼灸、16年8期)。
対象=広東省中医院入院部の脳卒中患者50例(男33例・女17例)、平均年齢60歳(41~75歳)、平均罹患期間77日(31~176日)、脳梗塞28例・脳出血22例、教育程度:文盲6例・小卒11例・中卒以上33例。これをランダムに標準群・観察群各25例に分けた。
治療法=両群とも標準治療を実施。
西洋薬―中国の2007年ガイドラインにより、降圧剤ほか投与。4週間。
中薬―『中医内科学』(周仲英)により、中風病回復期分型標準治療。1日1剤・4週間。
標準鍼―『針灸学』(石学敏)中風篇により、極泉・尺沢・内関・合谷・委中・足三里・三陰交・太衝穴から選択し、直刺/斜刺5~10mm、平補平瀉法・置鍼30分。1日1回、1週5回、4週間。
標準リハビリ―1回3時間、1日2回、1週10回、4週間。
百会・神庭穴―0.25×40mmの鍼で順経斜刺(15度、5~8mm)、得気後に毎分180~300回捻転を2~3分、置鍼30分(10分ごとに捻転手法1回)。1日1回、1週5回、4週間。
評価法=ミニメンタルステート検査(MMSE)とモントリオール認知機能評価検査(MoCA)で評価。
結果=観察群(百会・神庭穴追加)は、標準群よりも有意に改善していた。
☆脳卒中後うつ病にはプラス膻中刺鍼
黒竜江中医薬大学・于学平らは、脳卒中後うつ病では、常用刺鍼よりプラス膻中穴刺鍼が良い結果だったと報告した(鍼灸臨床雑誌、16年8期)。
対象=同大付属第一病院鍼灸科の50例(男19例・女31例)、平均年齢57歳、平均罹患期間15週(4~24週)。これをランダムに常用群・観察群各25例に分けた。
治療法=両群で常用治療1日1回連続4週。
常用治療―麻痺者:頭鍼の頂顳前斜線(頭皮鍼刺法):風池・曲池・外関・合谷・環跳・陽陵泉・足三里・解渓・崑崙穴に平補平瀉法。嚥下障害/言語障害者:風府・天柱・廉泉穴を追加し平補平瀉法。
膻中穴0.35×40mmの鍼で下方に水平刺15~20mm、捻転提挿瀉法2分、置鍼50分(瀉法刺激2回)。
結果=ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)と神経学的評価でMESSS(modified Edinburgh-Scandinavia stroke scale)を使用し、いずれも観察群は常用群より有意に改善。臨床治療効果では、観察群は回復5例・著効13例・有効5例・無効2例で著効以上72%、常用群は回復3例・著効7例・有効11例・無効4例で著効以上40%。
【連載執筆者】
谷田伸治(たにた・のぶはる)
医療ジャーナリスト、中医学ウォッチャー
鍼灸師
早稲田鍼灸専門学校(現人間総合科学大学鍼灸医療専門学校)を卒業後、株式会社緑書房に入社し、『東洋医学』編集部で勤務。その後、フリージャーナリストとなり、『マニピュレーション』(手技療法国際情報誌、エンタプライズ社)や『JAMA(米国医師会雑誌)日本版』(毎日新聞社)などの編集に関わる。