レポート 米国・AIMCでのトリガーポイント鍼治療講義
2017.12.10
この度、アメリカのカリフォルニア州サンフランシスコにあるAIMC Berkeley(Acupuncture and Integrative Medicine College, Berkeley:バークレー鍼・統合医療専門職大学院)にて、痛み治療の一つである「トリガーポイント鍼治療」に関する講演をさせて頂く機会を得ました。 (さらに…)
レポート 米国・AIMCでのトリガーポイント鍼治療講義
レポート 米国・AIMCでのトリガーポイント鍼治療講義
2017.12.10
この度、アメリカのカリフォルニア州サンフランシスコにあるAIMC Berkeley(Acupuncture and Integrative Medicine College, Berkeley:バークレー鍼・統合医療専門職大学院)にて、痛み治療の一つである「トリガーポイント鍼治療」に関する講演をさせて頂く機会を得ました。 (さらに…)
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』81「名大医学部付属病院総合診療科統合ヘルスケアチーム」のディスカッションに参加して
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』81「名大医学部付属病院総合診療科統合ヘルスケアチーム」のディスカッションに参加して
2017.12.10
先日、『日本プライマリ・ケア連合学会第6回中部ブロック支部学術集会』にて、日本型統合医療の理念について、地域医療を担う家庭医の皆さんに教育講演をしてきました。講演の後、私と同じくアリゾナ大学のプログラムを修了した名古屋大学総合診療科の伊藤京子先生が主宰している「名古屋大学医学部付属病院総合診療科統合ヘルスケアチーム」のメンバーを主体としたシンポジウムにも参席し、家庭医らとディスカッションもしました。 (さらに…)
連載『中国医学情報』153 谷田伸治
連載『中国医学情報』153 谷田伸治
2017.12.10
☆尋常性白斑(シロナマズ)の火鍼治療
マイケル・ジャクソンが罹患したことで知られる尋常性白斑に対して、上海市皮膚病医院・宋勛らは、火鍼が効果的だったと報告した(上海鍼灸雑誌、17年8期)。 (さらに…)
Q&A『上田がお答えいたします』 患者の希望による鍼灸施術の医師同意書は認められないのか?
Q&A『上田がお答えいたします』 患者の希望による鍼灸施術の医師同意書は認められないのか?
2017.12.10
Q.
先日、医師から同意書をもらって鍼灸治療を受けた患者ですが、全額不支給通知が届きました。「鍼灸院からの依頼および本人の希望のみにより医師が同意書を発行したものであり、はり師・きゅう師による施術に対する保険給付たる療養費の支給基準に該当しないと判断いたしました」と書かれています。どういうことでしょうか。
A.
結論から言えば、あなたの加入している健保組合が勉強不足で、誤った不支給処分をしたということです。 (さらに…)
連載『汗とウンコとオシッコと…』160 anemia for yourself
連載『汗とウンコとオシッコと…』160 anemia for yourself
2017.12.10
今年は紅葉の色合いが美しい。特に山の谷間の色合いが、日の当たる斜面に比べて素晴らしい。秋の長雨と、例年よりも早い冬の到来の影響だが、厳しい影響を受けているのが我々の身体、そして財布だ。野菜が高騰しており、特に葉物が高い。体幹に熱が強い人、陰気を付けたい人には影響が大きいだろう。どんな影響が出るかは人それぞれだが、便秘傾向を基に、冬場なのに上焦に影響する病が増加する可能性が出てくるわけだ。逆に冷えを強く感じる人は、下半身に病態を現すことが多いだろう。
森畑の友人で、高校の体育教師の服部氏が、16歳の陸上部の生徒を連れてきた。名を橋爪君といい、地方大会で好成績を収め、全国に向かうための地区大会優勝を目指しているという。長距離を走る橋爪君の主訴は左膝内側部の痛みと、時折感じる脱力だ。MRIなどの検査では構造的な問題は無いが、走れる時と走れない時の差が激しい。中学生の時からこの傾向はあり、夏場は大丈夫だが、秋口になると決まってこの症状が強まっていくということだった。大会の成績が心配なのもあっていつになく必死な服部先生が、見るに見かねて治療に通わせるようになったという次第だ。 (さらに…)
連載『未来の鍼灸師のために今やるべきこと』11 治療・予防・未病の境界線~予防と養生の違い~
連載『未来の鍼灸師のために今やるべきこと』11 治療・予防・未病の境界線~予防と養生の違い~
2017.12.10
鍼灸の将来について語る際には、今後の医療を見据えた上での議論が大切です。本邦の医療費は年々増加しており、このままの医療を維持できない現状を考慮すると、今後の医療が「治療」から「予防」へとシフトしていくことは明白でしょう。そして予防を広めるために不可欠なのが、国民が持っている「健康の物差し」を「病気」から「未病」や「健康」に変えていく作業です。そのため、ここまでは、主に「物差し」に一番ズレが生じている、病気の人たちの価値観を変えるための様々な取り組みを紹介してきました。 (さらに…)
『ちょっと、おじゃまします』 ~鍼灸を第一選択に~ 大阪市中央区<やまがみ鍼灸院>
『ちょっと、おじゃまします』 ~鍼灸を第一選択に~ 大阪市中央区<やまがみ鍼灸院>
2017.12.10
肩や頚のひどい凝りを訴えても湿布を処方されるだけ。原因不明の頭痛に苦しみ、脳外科でMRI検査を受けるも異常無し――。「肩こりと頭痛の解消」を掲げるやまがみ鍼灸院は開院して1年半ほどですが、そんな患者さんの駆け込み寺となりつつあるようです。院長の山上先生は、眩暈などに悩まされていた自身の経験から、頭部や頚肩部の治療を試行錯誤しながら模索してきたといいます。 (さらに…)
今日の一冊 医者は患者をこう診ている 10分間の診察で医師が考えていること
今日の一冊 医者は患者をこう診ている 10分間の診察で医師が考えていること
2017.12.10
医者は患者をこう診ている 10分間の診察で医師が考えていること
グレアム・イーストン 著
河出書房新社 2,484円
胸の痛みを訴える人、転倒したという人、鬱病で自殺願望のある人、麻薬を要求する人――。ある日の午前中、英国の家庭医・総合診療専門医である著者の診察室には18件の予約が入っていた。老若男女、さまざまな疾患を持つ患者たち。予約した時間に遅刻するのは当たり前で、中には来院しなかった者もいたが、一人の患者に費やせたのは平均して約10分間。その間に、医師は患者を「どう診ていた」のか。最初の患者から最後の患者まで時系列通りに紹介し、リアルタイムなやり取りと医師としての考察を綴る。
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』60 『混合介護』への期待と課題
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』60 『混合介護』への期待と課題
2017.07.25
1月18日の社会保障審議会の検討専門委員会で厚生労働省は、健康保険を用いた施術を行う鍼灸・あん摩マッサージ指圧師が、療養費の水増しなどで、平成20年度以降に36府県で約5万5千件、約9億5千万円以上の不正を行ってきたと報告し、対策強化の方針を打ち出しました。41兆円を超える医療費に比べれば、受療率の下がり続ける鍼灸やマッサージの療養費など微々たるものではないか、と思われる方もいるかもしれません。しかし、いずれにせよ、医療介護の公費から私費へのコストシフティングが一層加速されることは明らかです。
厚労省の報告の2日前には、東京都豊島区が、家事などの保険外サービスと介護保険サービスを組み合わせる『混合介護』を、国家戦略特区制度を利用して始める方針だと発表しました。今年度中に特区申請し、早ければ2018年度にも導入される見通しだといいます。『混合介護』については以前にもこの紙面でも言及しましたが、現状でも禁止されているわけではありません。ただし、保険内外のサービスを明確に区分することなど一定の条件を求められるため、一体的に提供するケアプランを立てるのは困難であるといえます。昨年には公正取引委員会が厚労省側に対し、混合介護の弾力化を求める報告を公表しました。
現在の混合介護は患者さん宅に様々な業者が出入りしており、中には宗教法人が布教活動の一環として生活支援のボランティアサービスを行っている例まで見受けられます。在宅診療に従事する医師の立場としては、こうした情報が医師に全く入ってこない現状に、大きな問題を感じています。出入り業種を整理し、患者さんの情報を多職種・多業種間で共有し、保険診療を軸足としながらも様々なサービスの選択肢を戦略的に編成し、適正かつ効率的なサービスを提供できる形が望ましいと考えています。
今、このようなサービスの編成はケアマネジャーがその役割を担っていますが、求められる能力が高度化しているといわれます。ここに混合介護という、保険外のサービスを含めて検討しながらケアプランを組み立てる仕組みを持ち込めば、ケアマネジャーの負担が一層大きくなる恐れがあります。また、ケアプランが属人的で、ケアマネジャーによってプランの質に格差が生じているとの指摘もある中で、ここに自費のサービスが入ってくると、適正性をどう担保するのかも大きな課題だといえます。
【連載執筆者】
織田 聡(おだ・さとし)
富山医科薬科大学薬学部卒。中和鍼灸専門学校中退。
富山医科薬科大学医学部卒後、富山県立中央病院などで研修、アリゾナ大学統合医療フェローシッププログラム修了。
平成25年に日本統合医療支援センターを設立し、代表理事を務める。
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』142 腱組織に対する超音波エラストグラフィー研究の 現状について
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』142 腱組織に対する超音波エラストグラフィー研究の 現状について
2017.07.25
宮嵜 潤二(筋・骨格画像研究会)
超音波エラストグラフィー(Real time tissue Elastography : RTE)は、2003年に日立メディコ(現日立製作所)が世界で初めて開発・製品化した技術で、非侵襲的に組織弾性を測定するものである。この技術は、主に乳腺腫瘍領域や、近年では肝線維化診断への応用などで発展してきた。08年以降、各社がRTEの製品化に参入しており、現在、機器の小型化、高解像度化に伴い、筋骨格系に対する応用も広がっている。しかし、腱や靭帯に対する研究が現状どのようになされているかは明らかではない。そこで今回は、RTEによる腱・靱帯に関する研究文献の数などから、同分野における研究の現状を調査した。
検索対象は、03年以降の、ヒトの腱に対してRTEを使用した研究の英語論文とした。検索はPubmedを使用して、キーワードを「ultrasound(超音波)」・「elastography」と、「tendon(腱)」「ligament(靱帯)」「muscle(筋)」で行った。
結果を【図1】に示す。筋骨格系に関する論文は03年から散見されるが、08年頃から大きく増加している。08年以降はシーメンス、GE、東芝、フィリップスなどの各社がRTEに参入し始めた年であることが要因だと考えられる。
12年頃まで論文数の伸びは停滞するも、13年から再び大きく増加している。なお12年以降には、Shear wave imaging方式の Shear Wave Elastography(SWE)の使用が急増している【図2】。
10年にSSI、12年にはシーメンスから相次いでSWEの新しい機器が発表されたこととの関連が考えられる。SWEは、用手的加圧を必要とするStrain imaging方式と比べて、剪断弾性波の伝搬速度により測定することで、定量性に優れているため、研究用途の応用が進んでいるものと推察される。RTEを用いた腱組織に対する研究報告のうち、14年以降の29%(66文献中19文献)がSWEを使用しており【図3】、 SWE普及との関連も示唆された。
RTEによる腱組織研究の対象組織別の論文の内訳を、【表】に示す。腱を対象とした論文の47.3%がアキレス腱の研究で、膝蓋腱と合わせると約60%を占めていた。これらのことから、アキレス腱や膝蓋腱など大径の組織に比べて、細径の腱や組織に対してRTEを使用するには課題があるものと考えられた。
【表】腱組織における対象別の論文数(110文献中)
tissue
n
%
Achilles tendon
52
47.3
pateller tendon
12
12
flexor tendon
9
9
rotator cuff
6
6
Systematic Review
3
3
extensor tendon
2
2
ACL
2
2
others
24
24
本調査において、筋骨格系に対するRTE研究では、近年、腱組織に対してSWEを使用した研究が増加していることが明らかとなった。今後はアキレス腱や膝蓋腱以外の腱組織に対するアプローチが重要であると考えられた。
連載『先人に学ぶ柔道整復』二 竹岡宇三郎(中編)
連載『先人に学ぶ柔道整復』二 竹岡宇三郎(中編)
2017.03.10
卓越した整復技術を披露し、法制化に貢献
今回は竹岡宇三郎の柔道接骨術公認期成会(期成会)の会長としての活動に迫ります。
明治末期、「接骨術」を法制化するために組織された期成会の実質的な政治活動は、萩原七郎(柔道家、接骨家)によって開始されました。柔道保存という国家的な見地に立ち、柔道家の生活確立のための経済基盤を整えようとした人物です。萩原については、『柔道接骨術公認期成会設立ノ理由』(1913年7月)の中の、「武ハ誠ニ国家精神ノ根本ナリ…(中略)…、益々光輝アルモノハ柔道ナリ…(中略)…、其奥儀ニ於テ、幸ニシテ接骨術ノ一法アルナリ、由テ以テ柔道ノ命脈ヲ持続シ来リタリ、故ニ柔道伝授ノ心法ニシテ、生々子孫ニ渉リテ断絶スルナクバ、日本特有ノ柔道ハ誠ニ永古不朽ノモノタルナリ…」との記述からその強い意志が窺えます。
しかし、結成までに萩原は活動への賛同者集めに大変苦労します。理由は33歳という若さで、多くの接骨家が政治的指導者として認めなかったことにありました。そんな中、宇三郎は、相談に来た萩原の公認運動の姿勢に共鳴。会長の重責を引き受けます。これにより数多くの接骨家が参集し、1913(大正2)年に期成会が結成されました。柔道接骨術公認の請願書は何度か議会に提出され、その後内務省衛生局の諮問に付されました。そして公認の可否について、接骨術の「実態調査」という最後の段階に差しかかり、接骨術の「真価」について当局の理解を深める必要に迫られたのです。
実態調査の当日、当局の技官や、内務省衛生局から派遣された医学博士らが竹岡接骨院に集まりました。宇三郎は、西洋医学に基づいた病態の把握及び整復時に患者に苦痛を与えず、後遺症の少ない手順等の整復技術のほか、殺菌性の高いヒバ木の副木や、宇三郎考案の固定力が高い上、人体にフィットしやすく整形できる金属シーネを用いた合理的で科学的な固定法の実地を直接披露し、当局の認識を新たにさせました。
こうして宇三郎の卓越かつ医学的根拠に立った技術が接骨術の信頼度を高めたこともあり、1920(大正9)年に柔道接骨術は「柔道整復」として公認(按摩術営業取締規則改正)されました。この時、宇三郎は警視庁の第1回柔道整復術試験の実技担当の試験官に任命されます。これを知った全国の受験生が見学しようと、毎日何十人となく接骨院を訪れたといいます。接骨院は通常の施術に支障をきたすほどで、そこで翌年からは試験1カ月前より見学者のために接骨院2階の一室を開放し、講習会を開きました。受講料は一切取らず、門弟・宇佐美信が生理学、衛生学、解剖学、外科学、消毒等の学科を担当し、実技を宇三郎と代診の石森が担当。1日3時間程度の講習をした後、毎日模擬試験が行われ、そこで成績が明示されるなど厳しい訓練の結果、講習生のほとんどが合格との実績を上げました。講習生からは、後の全日本柔道整復師会会長の谷田部通一を輩出。宇三郎には子が無かったため、接骨院の後継者はいませんでしたが、その技術は門弟を通じて現代の柔道整復師界にも受け継がれているのです。
主な参考文献:前田勘太夫(1921)『竹岡式接骨術』、宇佐美信(年代不明)「先覚者の横顔(一)恩師竹岡先生を偲ぶ」(『日整百年史』所収)
【連載執筆者】
湯浅有希子(ゆあさ・ゆきこ)
帝京平成大学ヒューマンケア学部柔道整復学科助教
柔整師
帝京医学技術専門学校(現帝京短期大学)を卒業し、大同病院で勤務。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科博士後期課程を修了(博士、スポーツ科学)。柔道整復史や武道論などを研究対象としている。
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』63 『みんなのカルテ』を導入し、保険内外を含めて医療機関と連携を
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』63 『みんなのカルテ』を導入し、保険内外を含めて医療機関と連携を
2017.03.10
今回は『みんなのカルテ』のお話をしたいと思います。私が統合医療の啓蒙活動を進めているのは、西洋医学と補完医療との間にある“コミュニケーションの壁”を壊し、互いが対話し、連携をしながら医療ができるようにするためです。今まで医療機関と治療院をつなぐ患者情報共有のためのコミュニケーションネットワークはほとんどありませんでした。株式会社IMSSが開発し、その設計デザインを私が中心となって作ってきた『みんなのカルテ』は、その連携のための専用線といえます。
なお、株式会社IMSSは『リテラス・メディカ株式会社』へと社名を変更し、サポートも万全の体制を組むために社員も増やすなど、新体制となりました。「リテラス・メディカ」とは、「リテラシー」の「リテラ」、「照らす」の「テラス」、「人々が集う場所」の「テラス」という願いが込められています。様々な医療が集い、連携して情報共有できるテラスのような環境を構築し、正しい情報発信を促すとともに、国民の医療情報リテラシーを高め、医療に光を照らします。
『みんなのカルテ』は今年中に東京大学ソーシャルICTセンターのPLR(Personal Life Repository)プロジェクトと接続されます。これにより、大学病院や市中病院の電子カルテとつながることになります。とうめい厚木クリニックなど、一部では既に医療機関と治療院との連携に『みんなのカルテ』が利用されていますが、新たに都内で私のクリニックの外来とも接続することになります。保険内外を含めて医療機関との連携を必要とする鍼灸マッサージ師の皆さんには必須のツールとなるでしょう。3月中に、諸々のバグ改修や新機能を盛り込んだ新バージョンをリリースする予定で準備しています。「どうやったら医療機関と連携ができるのだろう」とお考えの施術者の方は、ぜひ『みんなのカルテ』を導入して医療・介護の現場へと出てきていただきたいと思います。
私はよく『みんなのカルテ』を国際電話の海底ケーブルに例えています。外国と日本でお互いに電話をかけようと思わなければ、単なるケーブルに過ぎません。さらに言語が翻訳されたり、共通言語があったりしなければ、対話になりません。この対話をどうやってするべきなのかというノウハウを学ぶためにこれまで展開してきたのが、「統合医療支援セミナー」です。来年度は統合医療に関わる多くの医師も参画し、教育プログラムも展開する予定です。「医療介護危機」が来ると言われる2025年に間に合うように着々と準備を進めています。一緒に日本の医療を変えていきませんか?
※リテラス・メディカ株式会社への問合せは、info@literrasmedica.jp、0800-170-9610(フリーコール)まで。
【連載執筆者】
織田 聡(おだ・さとし)
日本統合医療支援センター代表理事、一般社団法人健康情報連携機構代表理事
医師・薬剤師・医学博士
富山医科薬科大学医学部・薬学部を卒業後、富山県立中央病院などで研修。アメリカ・アリゾナ大学統合医療フェローシッププログラムの修了者であり、中和鍼灸専門学校にも在籍(中退)していた。「日本型統合医療」を提唱し、西洋医学と種々の補完医療との連携構築を目指して活動中。
連載『中国医学情報』143 脳卒中後の感覚障害には鍼プラス十二井穴刺絡ほか
連載『中国医学情報』143 脳卒中後の感覚障害には鍼プラス十二井穴刺絡ほか
2017.03.10
今回の内容
・脳卒中後の感覚障害には鍼プラス十二井穴刺絡
・腰痛患者で鍼通電と灸頭鍼を比較
・胃カメラによる吐き気・嘔吐予防には内関穴への円皮鍼プラス穴位按圧
☆脳卒中後の感覚障害には鍼プラス十二井穴刺絡
浙江省台州市立病院・潘丹らは、脳卒中後の感覚障害患者で、鍼治療と鍼治療プラス十二井穴刺絡治療とを比較した(上海鍼灸雑誌、16年7期)。
対象=同院鍼推拿リハビリ科の外来・入院の90例(男44例・女46例)、平均年齢約41.5歳、平均罹患期間約50日、脳出血43例・脳梗塞47例。これをランダムに、鍼治療群・プラス刺絡群各45例に分けた。
治療法=鍼治療―取穴:風池・極泉・肩髃・曲池・外関・合谷・環跳・陽陵泉・足三里・懸鐘・太衝穴。0.3×50/60mmの毫鍼で、極泉・環跳穴には60mmの鍼を刺入し触電感を手足の指先に伝え、その他のツボには50mmの鍼を刺入し得気後に置鍼30分、1日1回、1週5回、4週間治療。
刺絡治療―まず十二井穴をよく揉み充血させ、三稜鍼で0.1~0.2寸刺入し、周囲を軽く圧迫し3~5滴出血させる。2日1回、1週3回、4週間治療。
評価法=フーゲル・マイヤー(Fugl - Meyer)などの評価法を使用。
結果=鍼群―臨床的回復8例・著効9例・有効13例・無効15例・総有効率66.7%、プラス刺絡群―臨床的回復18例・著効13例・有効10例・無効4例・総有効率91.1%。
☆腰痛患者で鍼通電と灸頭鍼を比較
上海市閔行区中医病院・李文順らは、腰痛患者で鍼通電と灸頭鍼の効果を比較した(上海鍼灸雑誌、16年7期)。
対象=同院鍼灸科外来患者78例(男41例・女37例)、平均年齢約40歳、平均罹患期間約6カ月。これをランダムに通電群28例・灸頭鍼群26例・薬物群24例に分けた。
治療法=各群2週間治療。
<取穴>左右の腎兪・大腸兪・委中穴および相応する夾脊穴、さらに症状により環跳・陽陵泉・崑崙穴などのツボから選択。
<刺鍼方法>患者は腹臥位、0.3×50mmの毫鍼で刺鍼(病症の虚実により補瀉手法)、患者にだるく腫れぼったい感覚を起こさせた後に置鍼。通電―患者の病状により2~3対のツボを選び、連続波で20分通電、同時に腰部を赤外線照射、2日1回。灸頭鍼―左右の腎兪・大腸兪穴で2cmの艾で毎穴2壮、2日1回。
<薬物>西洋医薬の消炎鎮痛カプセル(Celebrex)を1日3回内服。
評価法=主にマックギル疼痛質問票、VAS(視覚的アナログスケール)、日本整形外科学会とOswestryの評価スコアなど。治療前・治療1週間・治療2週間・終了後1カ月・終了後3カ月で評価。
結果=通電群28例は、治癒0例・著効16例・有効8例・無効4例・総有効率85.7%。灸頭鍼群26例は、治癒0例・著効13例・有効6例・無効7例・総有効率73.1%。薬物群24例は、治癒0例・著効9例・有効5例・無効10例・総有効率58.3%。
☆胃カメラによる吐き気・嘔吐予防には内関穴への円皮鍼プラス穴位按圧
杭州市の浙江省中医院・孫敏らは、胃カメラによる吐き気・嘔吐の予防には、内関穴への円皮鍼プラス穴位按圧が穴位按圧単独より効果的と報告した(中国鍼灸、16年11期)。
対象=心身に重篤な疾患が無く、心肺機能正常な、同院で最初に胃カメラ検査をした120例―男73例・女47例、平均年齢約37.3歳(18~65歳)。急性期の食道・胃・十二指腸疾患患者、妊娠・哺乳期の患者、急性の重症咽喉部疾患を有する患者、鎮痛剤・鎮静剤・鎮痙剤使用中の患者、コミュニケーション困難な患者、内関穴の皮膚に破損・血腫・感染・皮疹のある患者などは排除した。これをランダムに、按圧単独群・円皮鍼併用群各60例に分けた。
治療法=<穴位按圧>取穴:内関穴。胃カメラ検査15分前、治療者の母指にタルクを付け、軽く圧をかけながら持続的に回旋(120回/分)、左右のツボを交替、各穴3~5分。
<円皮鍼>上記の按圧後に、0.22×1.5mmの円皮鍼を刺入に絆創膏で固定し、胃カメラ検査終了まで患者に母指で按圧させる。
評価法=吐き気・嘔吐回数と程度(VAS)、不安感(汪向東『心理衛生評定量表手冊』1999年の心理評価40項目)。
結果=両群とも不良反応―暈鍼・切鍼・局部皮下血腫・皮膚破損など―はなかった。吐き気・嘔吐回数と程度(VAS)では、円皮鍼併用群が穴位按圧単独群より効果的で統計学的有意差があったが、不安感では両群に有意差はなかった。
【連載執筆者】
谷田伸治(たにた・のぶはる)
医療ジャーナリスト、中医学ウォッチャー
鍼灸師
早稲田鍼灸専門学校(現人間総合科学大学鍼灸医療専門学校)を卒業後、株式会社緑書房に入社し、『東洋医学』編集部で勤務。その後、フリージャーナリストとなり、『マニピュレーション』(手技療法国際情報誌、エンタプライズ社)や『JAMA(米国医師会雑誌)日本版』(毎日新聞社)などの編集に関わる。
Q&A『上田がお答えいたします』 「あはき療養費の受領委任払い導入」の行方は?
Q&A『上田がお答えいたします』 「あはき療養費の受領委任払い導入」の行方は?
2017.03.10
Q.
3月1日に行われた「第13回あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」を傍聴してきました。受領委任払いが導入されるような展開の議論でうれしかったのですが、本当に実現するのでしょうか?
A.
私も傍聴していました。柔整療養費と同様にあはきにも受領委任払いを導入することについて、厚労省保険局の事務方が積極的に解説していましたね。さらに、療養費を支払う側である保険者側委員2名から資料の提出があり、いずれも「あはきへの受領委任の取り扱いの導入について賛成」との内容で、これには驚きました。委員は資料だけを提出して欠席しましたが、事務局による資料説明は「現状、多くの代理受領が保険者判断として実施されているのだから、受領委任を導入して何が悪い!」というような「上から目線」になっていたので、協会けんぽと健保連の委員は驚いたことでしょう。
そもそも後期高齢者医療広域連合は、あはき療養費の8割以上を支給していることから、療養費の抑制策と不正防止対策として国の指導監査体制の構築を希望していました。そのため、後期高齢者医療代表の委員は以前から繰り返し受領委任払い導入の必要性について触れ、賛成の立場で発言しています。
それにしても、今回の議論の展開には「政治的な配慮や圧力」の存在を感じますね。業界の四大団体である日本鍼灸師会・全日本鍼灸マッサージ師会・日本あん摩マッサージ指圧師会・日本盲人会連合が与党自民党に働きかけた結果、自民党幹部や政府関係者から厚労省に「受領委任払いを導入するように」とのお達しがあった……とか。
いずれ分かることですが、問題は政府や自民党が考えるほど単純ではありません。私の予測では、この紙面でも解説してきた通り、受領委任払い導入の議論の順当な落としどころは「平成29年度においても引き続き検討を要す」として継続審議の事案とされるというところでしょう。そうなれば、「保険者側の負け」です。今後の専門委員会においてもこのテーマが最重要事項となり、保険者が望む別の適正化項目に議論が集中できなくなることで、「施術者側の勝利」といえる結果になるでしょう。
【連載執筆者】
上田孝之(うえだ・たかゆき)
全国柔整鍼灸協同組合専務理事、日本保健鍼灸マッサージ柔整協同組合連合会理事長
柔整・あはき業界に転身する前は、厚生労働省で保険局医療課療養専門官や東海北陸厚生局上席社会保険監査指導官等を歴任。柔整師免許保有者であり、施術者団体幹部として行政や保険者と交渉に当たっている。
連載『未来の鍼灸師のために今やるべきこと』2 医学の進歩は医療費削減につながるのか?
連載『未来の鍼灸師のために今やるべきこと』2 医学の進歩は医療費削減につながるのか?
2017.03.10
医学は目覚ましいほどに進歩しています。以前は難病と考えられていたAIDSや癌などの疾患でも、医学の進歩により生存率が伸び、完治までは難しくともコントロールが可能となるなど、明るい兆しが認められています。さらに今後は、iPS細胞やゲノム解析などの未知の技術や治療法が次々と開発され、ほとんどの病気が治療できるようになるかもしれません。
その一方で表面化してきたのが、前回取り上げた高額医療費の問題です。近年癌治療の分野で注目を浴びている免疫治療薬「オプジーボ」という新薬があります。この新薬は今までの薬とは異なり、免疫に作用して癌の進行を抑えるという新しい仕組みのため、従来の抗癌剤で無効だった患者にも効果が期待でき、一部の抗癌剤と併用がしやすいなどの利点があります。最近では皮膚癌に続いて肺癌に適応が拡大され、他の癌への適応拡大も期待されています。
しかし、新薬の効果以上に話題になったのが、オプジーボにかかる治療費です。オプジーボによる治療費は1人当たり年間約3500万円と試算されており、1カ月の治療費に換算すると300万近くになります。本邦ではオプジーボは保険適応である上に、高額療養費制度による負担額の軽減が認められているため、所得によっても負担額は異なりますが、月3万5千円から最大25万円で治療を受けられます。裏を返せば、患者1人につき年間3千万円以上が国の負担となるということです。もし、適応となる肺癌患者(1万5千人)がオプジーボを利用したとすれば、国の負担は6300億円とも試算されており、国の財政破綻につながる危険性まで指摘されているのです。
年間3千万円のお金で1人の命が助かるというのは素晴らしいことかもしれません。しかし、現行の医療制度を続けていけば、医学が進歩すればするほど国の負担が多くなり、破綻という結果につながりかねません。ギリシャの例を考えれば、国の財政破綻もあり得ないものとは言い切れません。
そう考えると、本邦の医療制度は限界に近づいており、変革の時期を迎えています。そのような現状を踏まえ、我々鍼灸師は、現行の医療制度の中で生き残る道を考えるのか、従来とは異なる新たなシステムができるのを待つのか、あるいは自らの手でそれを作るのかという岐路に立たされています。将来の鍼灸師のため、私たちはどの選択をするべきなのでしょうか。
【連載執筆者】
伊藤和憲(いとう・かずのり)
明治国際医療大学鍼灸学部長、鍼灸師
2002年に明治鍼灸大学大学院博士課程を修了後、同大学鍼灸学部で准教授などのほか、大阪大学医学部生体機能補完医学講座特任助手、University of Toronto,Research Fellowを経て現職。専門領域は筋骨格系の痛みに対する鍼灸治療で、「痛みの専門家」として知られ、多くの論文を発表する一方、近年は予防中心の新たな医療体系の構築を目指し活動を続けている。
『ちょっと、おじゃまします』 ~ED・男性不妊専門の鍼灸院~ 平癒堂鍼灸<大阪市淀川区>
『ちょっと、おじゃまします』 ~ED・男性不妊専門の鍼灸院~ 平癒堂鍼灸<大阪市淀川区>
2017.03.10
「勃起不全(ED)は血管と男性ホルモン、自律神経に由来する立派な病気。虚血性心疾患に先行することも多くあなどれませんが、世間では正確に理解されていないのが現状です」。そう語るのは、鍼灸師の平谷透先生。ED・男性不妊を専門とする数少ない鍼灸院『平癒堂鍼灸』の院長です。
平谷先生が東洋医学の道を意識するようになったのは、大学卒業後、紳士服メーカーの営業として激務に励む中、ストレスと過労から胃を痛めたことがきっかけでした。病院では信頼できる医師に出会えず、たどり着いたのが、故・入江正先生の漢方薬局でした。劇的な症状改善に感動し、定期的に通うようになる中で目にしたのが、入江先生の鍼治療を受けて楽になったとお礼を言う、嬉しそうな患者さんの様子。「患者さんから、お金と一緒に感謝の気持ちを受け取れる」――。その光景をとても魅力的に感じ、退職後、関西鍼灸短期大学(当時)に入学しました。
在学期間中は、入江先生から独自の脉診法を用いた治療を学ぶ一方、学校ではトリガーポイント療法の第一人者の黒岩共一教授に師事。入江式とトリガーポイント、いずれも伝統的な枠組みにとらわれない二つの治療理論が、現在まで続く治療の柱になったそうです。同短大を首席で卒業後、黒岩教授から紹介された治療院での勤務や、平成医療学園専門学校での非常勤講師の仕事を通じ、15年間、延べ約3万人もの患者さんに施術を行ってきたとか。その中で、中年期以降の男性の臀部・腰部のこわばりと、男性機能の低下の関連性に着目。腰部周辺への鍼治療で改善が見込めると考え、昨年秋、平癒堂鍼灸の開業に至りました。
平癒堂の大きな特徴はプライバシーへの配慮。完全予約制の上、待合室は入口・出口が仕切られ、治療中に次の患者さんが訪れても顔を合わせることはありません。オフィス街のビルの7階という立地もあり、目立たず来院できるとか。トリガーポイントと、入江式による自律神経へのアプローチを組み合せ、『世間の男性の性への意識を変えること』を自身のミッション(人生の目標)と定めながら、日々の治療に当たっています。
平谷透先生
48歳。平成15年、関西鍼灸短期大学(当時)卒業。同年はり師・きゅう師免許取得。平成23年、トリガーポイント健康クラブ設立。平成28年、平癒堂鍼灸開業
今日の一冊 キラーストレス 心と体をどう守るか
今日の一冊 キラーストレス 心と体をどう守るか
2017.03.10
キラーストレス 心と体をどう守るか
NHKスペシャル取材班 著
NHK出版新書 842円
東日本大震災の余震が起きた際には、脳卒中や心臓病の発作で救急搬送される人が急増した。ある女性は夫と離婚後、一人娘の子育てと仕事に追われていた時に乳癌が見つかった。知らず知らずのうちに心身を蝕んで死の遠因となる「キラーストレス」。脳や心臓、血管、免疫システムにまつわる最新の知見から、ストレスと疾患の因果関係を紐解く。ストレスフルな環境にさらされる宇宙飛行士も行っている「コーピング」や「マインドフルネス」など、ストレス対処法についても紹介する。NHKで反響を得た番組の書籍版。
『ちょっと、おじゃまします』 ~鍼灸師と社会をつなぐ~ 次世代はりきゅうレボリューションズ
『ちょっと、おじゃまします』 ~鍼灸師と社会をつなぐ~ 次世代はりきゅうレボリューションズ
2017.02.25
鍼灸が「必要な選択肢の一つ」であることを伝えていきたい。鍼灸師と社会をつなぎたい――。そんな思いから、鍼灸師・あマ指師の伊藤由希子さんと、鍼灸師・あマ指師で理学療法士(PT)の白石哲也さんは昨年、「次世代はりきゅうレボリューションズ(はりレボ)」を立ち上げました。医師や看護師、介護士などを招いて多職種で語り合うワークショップやセミナーを開くとともに、教員やトレーナーといった様々な職域の若手鍼灸師にインタビュー取材を行い、彼らの活躍をホームページから発信しています。
伊藤さんは元々、心理カウンセラーを目指して大学で心理学を学んでいました。授業で、心身両面をケアできる東洋医学に触れて大いに惹かれたといい、大学卒業後、鍼灸・マッサージの専門学校へ。一方、学生の頃、陸上競技に打ち込んでいた白石さんは、陸上に関わる仕事がしたいと、PTの免許を取得してスポーツ整形外科に勤務。さらに、競技者時代にお世話になっていた鍼灸・マッサージの資格も取りました。希望を胸に抱いていたお二人ですが、鍼灸の認知度の低さや、受療率が数パーセントに満たないといった現実に直面。現場レベルからの業界の地位向上、発展の道を模索するようになります。杖にすがらなければ歩けなかった祖父が、鍼灸治療によって杖無しで歩けるようになったという伊藤さん。訪問看護事業所でリハビリ職を務めていたこともあり、鍼灸の介入があればQOLの改善が見込めそうな利用者さんを数多く見てきたという白石さん。そんな経験から、「介護・福祉業界にも鍼灸治療を広めたい」とそれぞれに考えていた折、偶然、同じセミナーに参加。お二人の思いを聞いた主催者に引き合わされて意気投合し、はりレボ設立に至りました。
今後は、鍼灸業界の課題や新しい働き方について考えたり、業界のトップランナーの話を聞いて見識を深めたりする場を設けたいといい、さらに、養成学校の学生に、鍼灸師の可能性、職域の多様性について知ってもらえるような活動も行っていきたいとのことです。
今日の一冊 サイレント・ブレス
今日の一冊 サイレント・ブレス
2017.02.25
サイレント・ブレス
南 杏子 著
幻冬舎 781円
「死んでいく患者も、愛してあげてよ――」。大学病院で知識と技術の研鑽に明け暮れていた医師の水戸倫子は、突如、終末期を扱う訪問クリニックに異動となり、数々の看取りを経験することになる。ベテラン内科医である著者が終末期医療の在り方を問う、渾身の書き下ろし小説。若くして乳癌を患いながらも、不敵とも取れる態度を貫いた女性ジャーナリストの真意。人工呼吸器に命をつながれながらも前向きに生きた青年の突然の死。そして、父との別れ――。胸を打ち、考えを新たにさせられる六つのストーリー。
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』62 医師が「同意書」を書きたくなるには
連載『織田聡の日本型統合医療“考”』62 医師が「同意書」を書きたくなるには
2017.02.25
私は「医療機関との連携」をテーマに講演する機会が少なくなく、大抵の場合、質疑応答で「どうしたら同意書を書いてもらえる医師と連携できるでしょうか」という質問が出てきます。「医療機関との連携→同意書」と発想をしているのですね。私は、基本的には療養費の枠の中で施術を行っていくのは限界があると感じています。保険外の自費での治療の方が、自由度が高くなり、何より医療機関と連携がしやすくなります。しかし、もちろん全てを自費診療でと言うつもりはありません。患者さんの中には保険でないと施術を受けられない方々もおられるからです。今回は、逆説的ではありますが、どうしたら医師が「同意書」を書いてくれるようになるのか、考えてみます。
「同意書」を拒否する医師は、必ずしも社会保険制度について深く理解をしていて、確固たる信念を持って拒否しているとは限りません。中には「同意書とは何?」と思っている医師もいます。いずれにしても数ある"書類仕事"の一つです。患者さんに言われるまま書いたり、医師会や保険者から「書くな」と言われて書かなかったり。私が以前勤務していたクリニックでは、「原則書かない」との院長通達が出ていました。しかし、同意書の意義を説明したところ、私は「書いて良し」となりました。同意書の"意義"がもっと理解されるようになれば書く医師は増えるかもしれません。
よく理解していても、理由があって書かない場合もあります。ある日、整形外科医の友人が「同意書」の用紙が治療院側にあるのはおかしいと怒っていました。いきなり患者さんが用紙だけ持ってきて、「先生、同意書を書いてください」と言われたとかで、これは順序が違うだろう、というのです。なぜよく知りもしない治療院のために一筆書かなければならないのか。本来ならば、自分が知っている治療院に患者さんを紹介するために同意書を書くから、「用紙は医療機関側に置いてあるべきだ」と。彼は実家が接骨院だったこともあり、柔整師や鍼灸マッサージ師に理解のある医師の1人です。何の連携もない治療院が患者さん本人に「同意書もらって来て」と紙だけ届けさせるような、不躾なやり方に怒っているのです。
「同意書を書いてもいいかな」と医師が思えるのは、「この先生とは連携してもいいかな」と思える施術者です。冒頭の質問への答えは「連携できる医師は同意書を書いてくれる」です。連携せずに同意書をもらおうとするから書いてもらえない。「顔の見える連携」を作ることが先決でしょう。まず患者さんを「紹介状」付きで紹介することから始めたらどうでしょうか。Give and TakeではなくGive and Giveが良いかもしれませんよ。