連載『あはき師・絵本作家 かしはらたまみ やわらか東洋医学』73 素問・三十五『瘧論』
2025.02.25
瘧(おこり)は現代医学でマラリアのことです。症状が突然に始まる病で、その様子はまるで虎にいきなり爪で掴み掛かられて襲われるようなので、漢字の中に虎がいます。
岐伯
「発症の始まりはまず細い毛が立ち上がります。次に生あくびが出ます。 (さらに…)
連載『あはき師・絵本作家 かしはらたまみ やわらか東洋医学』73 素問・三十五『瘧論』
連載『あはき師・絵本作家 かしはらたまみ やわらか東洋医学』73 素問・三十五『瘧論』
2025.02.25
瘧(おこり)は現代医学でマラリアのことです。症状が突然に始まる病で、その様子はまるで虎にいきなり爪で掴み掛かられて襲われるようなので、漢字の中に虎がいます。
岐伯
「発症の始まりはまず細い毛が立ち上がります。次に生あくびが出ます。 (さらに…)
今日の一冊 もしも世界からカラスが消えたら
今日の一冊 もしも世界からカラスが消えたら
2025.02.24
松原 始 著
エクスナレッジ 1760円
カラスの特徴を考えてみると、死肉を含む雑食性、人間の生活圏で暮らす、頭が良いなどが挙げられる。本書ではそんなカラスがいない世界を考察する。生物としてカラスがいないとなれば、どういった動物がその穴を埋めるのか。さらに、カラスの文化的資源としての側面にも触れる。宗教、文学、漫画、アニメなどでカラスは「日常」や「不吉」など、様々なアイコンとして登場する。
生物として文化としてのカラスに迫ると、その役割の多芸ぶりが見えてくる。カラスマニアの著者が送るカラスまみれの一冊。
連載『食養生の物語』141『一日何食?』
連載『食養生の物語』141『一日何食?』
2025.02.23
「胃腸の調子が良くないとき、なにを食べればいいですか?」と尋ねられることがあります。いつも「なにも食べなくていいんじゃない」と返しています。胃腸が優れなければ胃腸を休めるために何も入れないのが一番いいはず。
一日三食食べなければいけないとか、朝食は食べなければならないという思い込みがあるために、「なにを?」とは尋ねても「なにも」という選択肢は出てこないのかもしれません。特に朝食については学校で「朝食を食べていないと忘れ物をする」などと指導されてきた名残でしょう。
日本で朝食を摂るようになったのは300年くらい前からと歴史は浅いようです。もともと農耕民族は夜明けとともに田畑に出て、気温が上がる午前10時くらいに家に戻り、朝と昼を兼ねた食事をしていました。午後にまた作業に出て夕方には戻って夕食、日が沈んで暗くなれば床に就く生活で、一日二食が基本でした。 (さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』239 前脛腓靱帯損傷
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』239 前脛腓靱帯損傷
2025.02.21
竹本晋史(筋・骨格画像研究会)
立位時の重心は内側にあるため、荷重は内側の方が大きい。そのストレスを受けて内側側副靱帯は発達し安定性を高めている。外果は内果より1㎝程度長いために外側の安定性は高くなっている。このように外側の安定性は骨に依存するため、外側の靱帯は弱い傾向にある。
足関節損傷時に前距腓靱帯だけでなく前脛腓靱帯部に疼痛を訴えるケースは多く、足関節を背屈した際に疼痛が発生する足関節前方インピンジメント症候群がある。これは前下脛腓靱帯の下部線維束が挟まると考えられている。この前下脛腓靱帯は4つのバリエーションがあると江玉睦明氏(新潟医療福祉大学理学療法学科教授)らは言っている。
今回はソフトボールの練習で一塁ベースを駆け抜け、急にストップをかけた時に足関節を損傷した症例を報告する。15歳女性。【写真①患側】【写真②健側】前脛腓靱帯に腫脹があり歩行痛、圧痛を認める。 (さらに…)
Q&A『上田がお答えいたします』NDBって何?
Q&A『上田がお答えいたします』NDBって何?
2025.02.15
Q.
柔整療養費のオンライン請求に関する厚労省資料を見ていると、「NDB登録」という言葉が出てきます。NDBとは何のことですか?
A.
たしかにこれまでの柔整オンライン請求の資料の中に、「NDB登録」という記載がありますね。これは医療データのシステム基盤に関する用語で、NDBとは「National DataBase」の略称です。電子化された診療報酬明細書(レセプト)や特定健診等のデータが格納された「データベース」のことで、厚労省保険局が管理し、既に2009年から運用開始されています。2011年度からは、医療サービスの施策の具体的な推進とそれに資するために役立つ分析データとして、第三者にも提供できるようになっていて、国・都道府県が医療費適正化計画を企画・立案するに当たって、極めて参考となる巨大な基本データベースといえます。 (さらに…)
連載『未来の鍼灸・柔整を考える』最終回 未来の鍼灸柔整を想像する―大阪万博
連載『未来の鍼灸・柔整を考える』最終回 未来の鍼灸柔整を想像する―大阪万博
2025.02.12
高齢化が進み、人口が減少する未来において、鍼灸師や柔整師はどのような役割を果たすのでしょうか?
将来、高齢者が増えることで医療の必要性も高まります。しかし、医師をはじめとする医療従事者の数は次第に減少していくため、現在と同じような医療体制を維持するには、人手不足を補うためにAIなどのデジタル技術の活用が必要になります。さらに、専門的な治療をいつでも同じレベルで行うには、AIを活用した病態管理や診察・治療が可能な電子カルテを用いた診療システムの構築が求められるでしょう。 (さらに…)
連載『汗とウンコとオシッコと…』246 止まらぬ咳嗽
連載『汗とウンコとオシッコと…』246 止まらぬ咳嗽
2025.02.10
1月は秋桜やホトケノザの開花や、花粉の飛来と、季節のグローバル化を見たわけだが、立春を過ぎたころに大寒のごとき寒波が訪れた。現在は温暖化の影響により、60年ターンで繰り返す運気論のようにはいかない場合もあり、臨機応変に対応しないと人の身体の変化を見落としてしまう。傾眠や帯状疱疹や、ギックリ腰など春には多い症状だが、皮膚の乾燥、下肢の浮腫みや怠さ、肩関節などの春らしからぬ症状も多く、一番厄介で治りにくいのが、咳嗽を伴う場合である。
「年末年始に寝込んでから、咳が止まらないんです。花粉も重なるのか鼻もグチュグチュするし、咳のしすぎで腰は痛いし……」 (さらに…)
連載『中国医学情報』239 慢性非特異的腰痛136例での常軌鍼法と経筋排鍼法―超音波画像でランダム化比較 ほか
連載『中国医学情報』239 慢性非特異的腰痛136例での常軌鍼法と経筋排鍼法―超音波画像でランダム化比較 ほか
2025.02.05
慢性非特異的腰痛136例での常軌鍼法と経筋排鍼法―超音波画像でランダム化比較
上海中医薬大学付属普陀病院・周立晨らは、腰痛(LBP)のうち慢性非特異的腰痛(CNSLBP)患者で、超音波画像を利用し常軌鍼法群と経筋排鍼法群を比較(上海鍼灸雑誌、2024年6期)。
対象=同院リハビリ科の136例。男60例・女76例。これをランダムに常軌群・経筋群各68例に分けた。
常軌群は、男32例・女36例、平均55±12歳、罹患期間6.50月。経筋群は、男28例・女40例、平均55±13歳、罹患期間6.00月。
治療法=両群とも毎週3回、計4週間治療。
<常軌群>梁繁栄ら『針灸学』(中国中医葯出版社、2021年)の腰痛処方。①取穴―左右の腎兪・大腸兪・委中、阿是穴。②操作―腹臥位で快速直刺0.8~1.2寸、得気後に提挿捻転手法、平補平瀉、置鍼20分間。
<経筋群>「経筋排鍼法」は経筋の走行に沿って「痛を以って腧とする」刺鍼法。①取穴―腰背部の太陽経筋に密集刺鍼、L1~5の腰痛棘突起下の傍ら左右1.5寸の三焦兪・腎兪・気海兪・大腸兪・関元兪から選択。②操作―腹臥位で快速直刺0.8~1.2寸、得気後に提挿捻転手法、平補平瀉、置鍼20分間。 (さらに…)
『医療は国民のために』403 オン請の審査支払事務を担う「社会保険診療報酬支払基金」が改組される
『医療は国民のために』403 オン請の審査支払事務を担う「社会保険診療報酬支払基金」が改組される
2025.02.01
国が「医療DX」の推進に本格的に動き出しているようだ。昨年の11月7日に開かれた『第185回社会保障審議会医療保険部会』で、公的な機関としてレセプト審査・支払い業務を行う「社会保険診療報酬支払基金」(以下、支払基金)の改組について議論された。
支払基金は、現在話し合いを重ねている柔整療養費のオンライン請求(オン請)に関する議論において、「導入後の審査支払事務の任に当たらせる」といった論点で重要な検討項目となっている。その支払基金が今後抜本的に組織を改めるというのである。
前述の保険部会で提出された厚労省作成の資料によると、現行の支払基金の業務に新たに医療DXに関連する業務を追加すると記されている。具体的には、 (さらに…)
『ちょっと、おじゃまします』ゲーマー鍼灸師は患者に寄り添う 大阪府堺市<錦はり>
『ちょっと、おじゃまします』ゲーマー鍼灸師は患者に寄り添う 大阪府堺市<錦はり>
2025.01.31
「患者さんが訴える痛みを患者さんが望む方法で取ってあげるのが僕らの仕事」。そう語るのは錦はりの佐藤想一朗先生。大学院修士卒で、火鍼や熱刺激について研究したといいます。大学院まで進んだ理由を尋ねると「動物実験ができるのはこのタイミングしかない」と考えたから。以降に取り組むことはできないだろうから、何としても経験しておきたいと大学院への進学を決めたそうです。院生生活は朝早くから夜遅くまで研究漬けの毎日でとても大変だったけれど、いい経験ができたと佐藤先生。とはいえ「二度は無理」と渋い表情で濃密な2年間を総評しました。
「学生時代も今も中医学が好きで、勉強を続けているし自信もある。とはいえ、患者さんにしてみれば関係ないこと」とバッサリ。そう言い切れるのは自身の苦い経験があったから。「痛みを大きく減らすには強い刺激を与える方が効果的」と考え、そうした治療を続けていたところ、客足は遠のき、誰も来なくなってしまったそう。 (さらに…)
連載『生殖鍼灸から始まる領域拡大』3 患者と共感
連載『生殖鍼灸から始まる領域拡大』3 患者と共感
2025.01.25
第2回からの続きです。今回の右側の鼠径ヘルニアの7年前に、実は左側の同じ部位を手術しました。一度の人生、いろんなことを経験したいのと、様々な患者さんと経験を共有したいのとで、前回は開腹手術、今回は腹腔鏡下手術を選択しました。
前回手術翌日に仕事を再開したところ、下腹部でブチッと音がして、中で静脈が切れました。そこからの血液が全て男性生殖器に貯留し、夜にシャワーを浴びる時には局部がグロテスクな状態に……。そして今回は、腹筋に力が入ると軽く笑うことすらたまらなく痛いのです。数日かけて徐々に寛解し、術後2週間後の診察1回で終診となりました。
ところで当院での重点疾患は、婦人科以外はすべて自分が罹患し、苦労した疾患ばかりです。まず円形脱毛症では、五百円玉大のものが6個でき、悪化の最中は全頭型(髪がすべて脱落)に至る恐怖を味わいました。 (さらに…)
今日の一冊 外来種は悪じゃない―ミドリガメのための弁明
今日の一冊 外来種は悪じゃない―ミドリガメのための弁明
2025.01.24
伊地知英信 著
草思社 1980円
ブラックバスやアライグマなど、在来種を脅かす外来種の話題はよく耳にする。池の水を抜き、そこに暮らす生き物を外来・在来に分けて駆除するテレビ番組も活況だ。彼らは日々在来種の生存を脅かし、日本固有の自然を破壊しているという。本書はそうした外来種が本当に「悪者」なのかと疑問を投げかける。外来種が日本に来た経緯や歴史を振り返りつつ、動物の権利保護やランドスケープ・エコロジーといった新たな自然観を提唱する。
具体例で詳説しつつ、イラストや図説も満載で、読者を丁寧にリードしてくれる。
連載『食養生の物語』140『風邪の心得』
連載『食養生の物語』140『風邪の心得』
2025.01.23
「いつでも元気ですね」と言われる私も、実は年に1、2度は風邪を引きます。ただし、あまり長引くことはないので、元気な印象を持たれるようです。
「あれ、風邪引いてる?」。冬になると、腰痛など別の疾患で来られた患者さんの風邪引きに気づくことがあります。ついでに風邪の治療もしておくと伝えると、「帰りに内科か耳鼻科に寄るか考えてたところだった」と喜ばれます。
よく知った患者さんになると、「風邪の引きかけみたいだから、今日か明日か早いタイミングで診てもらえないか」と連絡をもらうことも。治療後には熱が上がることがあるので、その後の予定がないことを確認するようにしています。熱を下げることで、症状が長引くことを理解してもらう必要があるのです。 (さらに…)
『ちょっと、おじゃまします』故郷のブラジルで鍼灸の学校を開校したい 神戸市灘区<アルベルト治療院>
『ちょっと、おじゃまします』故郷のブラジルで鍼灸の学校を開校したい 神戸市灘区<アルベルト治療院>
2025.01.22
ブラジルに生まれ、日本で鍼灸師になった大内アルベルト敏雄先生。アルベルト治療院は地元を中心に幅広い世代の患者さんに親しまれています。目標はブラジルで鍼灸の学校を開校すること。プロジェクトを立ち上げ、実現に向け力強く前進しています。
父の転勤で中学1年生の時、ブラジルから来日。スポーツのケガで鍼灸院に通ううち、プロスポーツ選手とも関われる華やかな世界を夢見るようになり、一人日本に残り鍼灸専門学校に入学しました。卒後、腕を磨く中で大きな影響を受けたのはあん摩マッサージ・鍼灸師、柔整師であり、アメリカの大学で学んだカイロプラクティックも得意とする冨金原伸伍先生。弟子入りを願い10年間師の治療院で勤めました。
その間、人間関係で自分が嫌になった時期があったと話すアルベルト先生。師が若い時には摩耶山で100日滝行をしたと知り、5年間続けたころ「自分の幸せに気が付いた」といいます。小学生のころ、同年代の子どもが物乞いをする姿に「ブラジルは素晴らしい国になるはずだが、教育に課題がある」と話した父の言葉が思い出され、現在も経済格差や治安が改善せず、それに伴う精神不安や体調不良に加え、「ストレス社会」で病む人も増える状況に「ブラジルで鍼灸の学校を作りたい」と考えるようになりました。
構想しているのは日本と同水準の教育を受けられる学校。ブラジルの鍼灸は、比較的少ない勉強で取得できる民間資格の位置づけにあるところを、知識や技術レベルを引き上げ、教育に恵まれなかった人にも手に職をつける機会を与えたいと考えています。
その一歩として、2017年に「武器から鍼灸プロジェクト」を立ち上げ。コロナ禍をのぞき、年1回現地で鍼灸師のためのセミナーを行い、近年は月1回オンラインセミナーも開催し、基本の確認、症例報告、受講生の治療動画チェックなどを行っています。そのかいあって、受講生の中には学校のスタッフ候補も育ち始めているとか。ほかにも、日本にあるブラジル人学校で鍼灸の啓発をしたり、海外で学校を開いた先生にアドバイスを求めたりと、着実に歩を進めています。
(さらに…)
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』238 骨や軟部組織の内部把握にUSを用いた2症例
連載『柔道整復と超音波画像観察装置』238 骨や軟部組織の内部把握にUSを用いた2症例
2025.01.21
田中正樹(筋・骨格画像研究会)
超音波画像観察装置(以下、US)での観察は骨や軟部組織の状態を確認するのに有用であり、外見では分からない内部の把握に威力を発揮する。今回はUSを用いた2症例を紹介する。
16歳男性(高校1年生)バドミントン部で日々練習しているが、3カ月程前より右膝・膝蓋骨下端が痛くなり、徐々に疼痛範囲が広大していき来院する。
柔整師には問診によりジャンパーズニーであることは容易に推測出来るが、触診では状態の程度は把握しづらい面がある。今回の患者は、選手としての立場が一軍メンバーであったため痛みを我慢して練習・試合に出続けていたこともあり病態の程度が心配であった。これからのスポーツ活動内容を決めるためにもUS観察を行った。
膝蓋骨を含む膝蓋靱帯の長軸走査を行った。健側(左)では膝蓋骨表層から膝蓋腱に向かって平行にfibrillar patternを示している。患側(右)では膝蓋骨表層から膝蓋腱全体に炎症を示す低エコー像を呈し、膝蓋骨下端から膝蓋靱帯深層部に高エコー像が描出された。これは腱付着部の骨変化や石灰化像であることが示唆された(画像①)。
(さらに…)
Q&A『上田がお答えいたします』そろそろ「1/2改定率」から脱却してもいい時期では!?
Q&A『上田がお答えいたします』そろそろ「1/2改定率」から脱却してもいい時期では!?
2025.01.15
Q.
随分前から思っているのですが、2年ごとの療養費料金改定はそろそろ施術所の経営実態を反映させた改定率に改めるべきではないでしょうか?
A.
今は時代も変わり、私もこの意見に賛成です。おさらいではないですが、療養費の改定率は、過去からの慣例で、診療報酬改定の医科本体の「1/2」とされていて、直近の令和6年改定でもこれが踏襲されました。
医科の診療報酬改定では、中央社会保険医療協議会(中医協)の席上において、膨大な資料の下、診療側委員と支払側委員の間で喧々諤々とした論争が行われ、改定率が決められているところです。
一方の柔整療養費は、現在のように療養費検討専門委員会が設置される前は、公の席で一定の妥協点を模索するよりも、柔整側と行政の事務局側が個別・内密に了解して一定のルールの下、議論も経ずに改定率が特定される道筋をとるといった状況でした。もう何十年も前のある年では歯科の改定率を参考にしたこともありましたが、最終的には (さらに…)
連載『未来の鍼灸・柔整を考える』第23回 鍼灸のプラットフォームを再考する
連載『未来の鍼灸・柔整を考える』第23回 鍼灸のプラットフォームを再考する
2025.01.12
これまで鍼灸・柔整の未来を踏まえて、オンライン化の意義を考えてきました。オンライン化の目指すところは、情報の融合と有効活用です。それは人口減少社会において、少ない人や資源をどう有効活用するかの指標となり、データに基づいた健康・医療政策や地域経済対策になり得ます。
そのため、我々の業界が考えなければならないのは、未来から逆算して、どのような分野で貢献できるのか分析することです。特に鍼灸・整骨院が社会の中でどのように役立てるかという部分を、医療の枠に留まらず、地域や社会に目を向けて考えなければなりません。 (さらに…)
連載『汗とウンコとオシッコと…』245 木の虚
連載『汗とウンコとオシッコと…』245 木の虚
2025.01.10
年末から風が強く、年末年始にホコリにさらされ、インフルエンザでもないのに発熱して寝込んだ人が多かったようだ。旧暦ではまだ年は越えていないが、今年は金運不及で、上半期は厥陰司天となり下半期は少陰君火となる。上半期は風が強く下半期は気温が下がりにくい年回りで、金運不及故に土地の水が抜けにくいようだ。そんな時は下腹部にうっ滞が生じやすいんだな。
30代前半、初産で24週に入った里帰り中の妊婦・今井さんが来院した。妊娠10週位の時も横転先生につわりを調整してもらい、今回もという具合だ。現在、北海道在住で、関西との気候の変化に戸惑いながらの3年が経とうとしていた。 (さらに…)
連載『中国医学情報』238 肺癌放射線治療後の白血球減少への麦粒灸併用治療効果―中薬群とランダム化比較 ほか
連載『中国医学情報』238 肺癌放射線治療後の白血球減少への麦粒灸併用治療効果―中薬群とランダム化比較 ほか
2025.01.05
肺癌放射線治療後の白血球減少への麦粒灸併用治療効果―中薬群とランダム化比較
北京の解放軍総病院第八医学センター・楊靖らは、肺癌放射線治療後の白血球減少患者で中薬(漢方薬)群と麦粒灸追加群を比較(上海鍼灸雑誌、2024年3期)。
対象=同センターの92例。患者は毎週5回・毎回2Gy(グレイ)合計60~70Gyの放射線治療を受け、白血球減少を出現。これをランダムに中薬群・灸群各46例に分けた。
中薬群は、男34例・女12例、平均43±10歳、肺癌ステージⅢ37例・Ⅳ9例。灸群は、男31例・女15例、平均43±9歳、肺癌ステージⅢ35例・Ⅳ11例。
治療法=両群とも現代医学の常軌対症療法(栄養補助・胸水除去など)を基礎的に行う。
<中薬>「地楡升白片」(成都地奥集団天府薬業製の錠剤。主要成分は地楡[ちゆ]と人参茎葉サポニンなど。地楡はバラ科ワレモコウSanguisorba officinalisの根茎を乾燥した生薬)毎回0.4g・毎日3回を放射線治療終了時まで。
<灸>中薬治療に追加。
①取穴―背部:大椎・肺兪・膏肓・脾兪・腎兪、腹部・下肢:気海・関元・足三里
②操作―ツボ上に少量の「艾草膏」(艾草を主とした成分を含む膏薬)を塗り、麦粒大の円錐形のモグサを直立させ、線香で点火し患者が熱感を感じたら指で圧して消し継続して施灸するが、患者に耐熱性があれば全て燃やしてから継続施灸する。毎穴9壮。毎日1回・毎週5回を放射線治療終了時まで。 (さらに…)
『医療は国民のために』402 スポーツに起因する外傷・障害は「認められない」と判断される傾向拡大
『医療は国民のために』402 スポーツに起因する外傷・障害は「認められない」と判断される傾向拡大
2025.01.01
柔整療養費の負傷原因として「スポーツや運動に起因する外傷・障害」は、従来まで特段の問題もなく支給されてきたところであった。しかし、いつ頃からかスポーツで痛めた負傷の療養費を申請しても、不支給となる例が頻繁に起こるようになった。
当方・全柔協に所属する柔整師の先生方でも、最近立て続けに申請が不支給処分とされた。具体的には、①野球の練習中に上腕を負傷、②ダンスの練習による腰の痛み、③バレーボールの練習中に膝に負担がかかりジャンパー膝になった、といった申請内容だった。これら不支給処分に対し、社会保険審査官へ審査請求を行い、また、このうち被保険者(患者)の協力が得られたものについては、さらに社会保険審査会に再審査請求まで行ったが、全ての事例で保険者の不支給決定が容認され、結果として、審査請求決定及び再審査請求裁決にて不支給処分を取り消すことができなかった。
理由は明確で (さらに…)