本紙調査 施術者団体アンケート 鍼灸師・マッサージ師団体アンケート調査の質問と回答
2019.05.25
鍼灸師・マッサージ師団体 アンケート調査の質問と回答(回答:40団体)
【問1】2019年1月より、業界側が要望していた「あはき療養費の受領委任制度」が導入されました。代理受領を取り扱っていた以前と比べ、貴団体から保険者等への療養費支給申請書の提出件数は (さらに…)
本紙調査 施術者団体アンケート 鍼灸師・マッサージ師団体アンケート調査の質問と回答
本紙調査 施術者団体アンケート 鍼灸師・マッサージ師団体アンケート調査の質問と回答
2019.05.25
鍼灸師・マッサージ師団体 アンケート調査の質問と回答(回答:40団体)
【問1】2019年1月より、業界側が要望していた「あはき療養費の受領委任制度」が導入されました。代理受領を取り扱っていた以前と比べ、貴団体から保険者等への療養費支給申請書の提出件数は (さらに…)
読者プレゼント――臨床に、学びに、待合室にこの一冊を 新刊4冊
読者プレゼント――臨床に、学びに、待合室にこの一冊を 新刊4冊
2019.05.25
【大修館書店】スポーツトレーニングの常識を超えろ!
株式会社大修館書店から新刊『スポーツトレーニングの常識を超えろ!』が発行された。NPO法人日本トレーニング指導者協会(JATI)編著。A5判240頁。本体価格2000円。
トレーニング理論と実践に通じた執筆者たちが、より効果的なトレーニングを行うための理論や手法について最新情報を提供する。
【医歯薬出版】セラピストのための軟部組織リリース 原著第3版
医歯薬出版株式会社から新刊『セラピストのための軟部組織リリース 原著第3版』が発行された。Mary Sanderson原著、武田功・弓岡光徳監訳。A4判変型164頁。本体価格4200円。
筋膜をはじめ腱、靱帯まで含めた軟部組織全体へアプローチする「軟部組織リリース」の考え方や具体的な手技を紹介した入門書。
【BABジャパン】ツボがある本当の意味 経絡理論を根底から覆すツボの考え方
株式会社BABジャパンから新刊『ツボがある本当の意味―経絡理論を根底から覆すツボの考え方』が発行された。著者は鍼灸師で一般社団法人整動協会代表の栗原誠氏。四六判184頁。本体価格1400円。
「ツボは経絡に沿ってあるわけではなかった!?」。常識を覆しつつ新たな時代を切り拓く、人体探求読本。
【サンルクス】ママが楽になるとアトピーが治る
サンルクス株式会社から新刊『ママが楽になるとアトピーが治る』が発行された。著者は鍼灸師・保育士の夕部智廣氏。小児科医の佐藤美津子氏監修。四六判183頁。本体価格1600円。
小児はりを行う鍼灸師が、多くの子どもアトピー治療の経験から得られた「アトピーが自然に改善していくための方法」を紹介。
※読者プレゼントの応募は終了しました。
日本小児はり学会の第7回特別講演会 発達障害への小児はり、テーマに
日本小児はり学会の第7回特別講演会 発達障害への小児はり、テーマに
2019.05.25
児童施設での療育プログラム実践例を紹介
一般社団法人小児はり学会(井上悦子会長)が4月7日、神戸市内で「発達障害の理解と小児はりの対応」をテーマに特別講習会を開催した。
小児はりを「療育プログラム」に取り入れている児童発達支援施設『ウキウキさくらんぼ』の代表・真山千佳子氏が登壇。導入当初は不安だったが、小児はり後に接触障害や「人が怖い」という児童の症状が緩和したというスタッフの声や、「その晩はよく眠れた」という親御さんの声が聞かれ、現在、月3回のペースで実施していると話した。ただ、どの程度が鍼の効果であるかは確信できていないと述べた上で、ADHDや自閉症の児童が多い同施設では、「魔法のトントンと呼んで、鍼灸の先生が来るのを楽しみにしている」と語った。また、同施設を訪問している鍼灸師の上市茂生氏(大有堂鍼灸接骨院院長)が、実際に小児はりを行っている様子を動画を交えながら紹介。生活・学習環境の後方支援として、心身疲労の回復や負荷軽減を目指しており、1時間の限られた中で10人ほどの発達障害児に対し、主にローラー鍼を用いて施術を行っていると説明。反応点は顔の表情を見ることなどのポイントを挙げたほか、動画で児童に足蹴りされるシーンが映った際には、「無理に施術をしようとは考えない方が良い」と明るく呼びかけた。
このほか、昨春より臨床研究を目的に小児はりを治療に取り入れている『こども心身医療研究所』の所長・冨田和巳氏(小児科医)が、発達障害児の特徴や関わり方についての講演などを行った。
JISRAM第2回公開講座 鍼刺激による精液所見の改善など
JISRAM第2回公開講座 鍼刺激による精液所見の改善など
2019.05.25
『男性不妊のAtoZ』テーマに
一般社団法人JISRAM(日本生殖鍼灸標準化機関)の第2回公開講座が3月24日、京都市内で開催された。テーマは『男性不妊のAtoZ』。
昨年、男性学・雄性学の権威的な学会である日本アンドロロジー学会で「鍼刺激による精液所見の改善」について研究発表を行った伊佐治景悠氏(SR鍼灸烏丸院長)が登壇した。仙骨部(副交感神経領域)への鍼刺激が交感神経を介して前立腺機能を高め、精液の液状化を促進するPSA(前立腺特異抗原)の精漿中の濃度を上昇させて精子運動を活性化させることが明らかになったと解説。また、鼠径部(交感神経領域)への鍼通電刺激により精巣の血液循環が改善されて造精機能が高まり、精子の数と運動率が上昇すると考えられると述べた。これらの治療法は男性不妊に有用であると示唆されるが、不妊治療中の継続が肝要ではないかとも話していた。
JISRAM会長の中村一徳氏は現在、男性不妊の症例集積にも取り組んでいると説明。一般の産婦人科でも使われている位相差顕微鏡と、精子数の迅速かつ正確な計算及び運動性評価が行えるマクラー精子カウントチャンバーを使用していると述べた。症例の一つとして、鍼灸・レーザー併用治療によって精子の総数800万が6125万に、総運動数144万が1378万に改善するなどして、顕微授精しか選択肢が無いとされていたにもかかわらず人工授精での妊娠にまで至ったケースを紹介。ほかに、精液量が極めて少なかった患者や、病気入院で無精子症になったといった患者の例を挙げ、「顕微鏡導入後1年半にして実に様々な症例に遭遇した。今後も治療と効果の因果関係を探り、検証を行って治療法を確立したい」と語った。
JISRAMの研究グループ「おたまじゃくしの会」のメンバーらは、スマートフォンの動画撮影機能を利用して簡便に精子を観察できるキットを用い、鍼治療の効果を検証したと述べた。経穴は解剖学的に精巣が近いことや経験則的な生殖器への効果などを鑑みた上で、自分で刺鍼できる箇所として足五里を選択し、キットは「TENGAメンズルーペ」を採用。刺鍼後、動きが悪かった精子が活発になった、精子の数が増えた、といった例が見られたとして、それらの動画を提示した。
このほか、島田昌之氏(広島大学教授)による『精巣、精嚢腺と精子の酸化ストレス―それぞれの誘導因子と妊孕力との関係』、井上正康氏(健康科学研究所所長)の『はるかなる命の旅―現代の生殖医療と21世紀病の逆襲』が行われた。
鍼灸マッサージ助成制度でアンケート、金沢市が実施
鍼灸マッサージ助成制度でアンケート、金沢市が実施
2019.04.25
病院への通院回数減、体調好転 60%超
「枚数を増やして」「健康状態が良いと利用しない」などの声も
石川県金沢市が平成30年3月頃、同市のはり・きゅう・マッサージ施術費用助成制度を利用した市民及び市内の施術所に対してアンケートを実施していたことが分かった。同制度は満70歳以上、もしくは満65歳以上で一定の障害を持った市民に保険適用外の鍼灸マッサージ施術の助成を行うもの。市内の指定施術所で利用することができ、1回につき3,600円の施術を1,200円で受療できる助成券が最大で年18枚交付される。アンケートの対象は平成29年度助成券の交付を受けた市民300人、及び指定施術所85カ所。回答率は市民向けが70.3%、施術所向けが65.9%だった。
市民の回答では、助成券の枚数や自己負担の金額について「現行のままでよい」がいずれも過半数を占めた一方、「枚数を増やしてほしい」「1,200円は高い」といった声も複数あった。また、約30%が、交付された助成券をその後「利用していない」と回答。理由は「健康状態が良いので、施術を受ける必要がない」が半数に上り、あはき施術を「体調を崩した時に受けるもの」と考えている実態が浮かび上がった。
施術所向けアンケートによれば、施術ははり・きゅうが各90%前後と大半で、マッサージは約54%。時間は30分から60分前後が多く、施術内容は「個人の症状に合わせて決める」が約93%だった。「健康保険適用の施術に切り替わることがありますか」との質問には19施術所(約34%)が「ある」と回答。健康保険適用の傷病であった、施術の継続を希望されたなどを理由に挙げた。
金沢市鍼灸マッサージ師会会長の常盤和成氏は本紙の取材に対し、「『医療機関への通院回数が減った』『よい体調が続いている』の回答が、合わせて60%を超えています。金沢市にとって、医療費削減や市民の健康寿命延伸に鍼灸マッサージ師が大きく寄与できることが示された結果だと感じます。制度を多くの高齢者に利用して頂き、『未病治』の考え方を周知していきたいです」と話した。
第34回経絡治療学会学術大会 広島大会 母子の治療、経絡治療の得意分野
第34回経絡治療学会学術大会 広島大会 母子の治療、経絡治療の得意分野
2019.04.25
不妊から産後まで、小児はり実技も
第34回経絡治療学会学術大会広島大会が3月23日、24日、広島ガーデンパレス(広島市東区)で開催された。テーマは『母と子の経絡治療―妊娠~子育てを支える伝統の力』。
岡田明三氏による会長講演では、「鍼灸師は痛みの治療が得意と思われがちだが、全身の気血を調整する経絡治療にとって、不妊治療はまさに得意分野」と説明。妊娠しやすい母体づくりに必要なのは、?血の治療、食事指導を含めた脾胃の治療、冷えの治療の3本柱だとした。また、近年日本で急激に増加している子宮内膜症に言及し、月経が始まってから年数が経つほど増加するほか、本来、妊娠・授乳期間に月経が停止することが子宮内膜症の自然治癒・予防につながると解説。初経年齢が早くなり、閉経時期が遅くなっていること、晩婚・高齢出産の傾向が進んでいることが、患者数の増加につながっていると述べ、経絡治療による月経周期・期間を適切にすることによって、子宮内膜症を予防し、結果的に不妊症の減少につながるとした。
特別講演では、辻内敬子氏(せりえ鍼灸室副院長)が、妊娠期から出産後に至るまでの、鍼灸母子支援について概説した。不妊治療については、オーストラリアの研究者キャロライン・スミス氏の研究を紹介。当初は偽鍼治療との比較をもって効果に否定的だったものの、その後、システマティックレビューを通じて鍼治療の有用性を示唆するようになったと報告した。また、出産後も急激にホルモンバランスが変化するため、2、3カ月程度は、特に身体よりも心を見守る支援が必要だと述べた。出生率の低下や、それに伴い月経回数が増えたことと乳癌増加との相関性といった、社会情勢との関わりにも触れた上、地域で医療連携を図りながら母子を見守れる特性を生かし、母子の心身をサポートしていくことを呼びかけた。
このほか、公開実技として『経絡治療の小児はり』(篠原新作氏・一般社団法人徳島県鍼灸師会会長)、『妊産婦のケア』(樋口秀吉氏・経絡治療学会副会長)の2題、一般発表9題、助産師や「母親代表」を交えたシンポジウムなどが行われた。
第2回 柔整師・鍼灸師のための展示商談会『メディカルショー』 治療機器や用品メーカー総勢40社が出展
第2回 柔整師・鍼灸師のための展示商談会『メディカルショー』 治療機器や用品メーカー総勢40社が出展
2019.04.25
雨にもかかわらず216人が来場
『柔道整復師・鍼灸師のための展示商談会 メディカルショー』が3月21日、森ノ宮医療学園専門学校(大阪市東成区)で開かれた。同校校友会主催で入場料は無料。治療機器や鍼灸用品のメーカー及び販売店、メディアなどが出展し、開業柔整師や鍼灸師、専門学校生らが足を運んだ。
今回で2回目の開催。出展社数は前回の24社から40社と規模を拡大。また、雨天だったにもかかわらず来場者数も前回(170人)を上回る216人だった。
出展社はセイリンやダイヤ工業、日進医療器など「お馴染み」の企業のほか、介護やサプリメント、シューズメーカーなどと多彩。講演がメインとなる学会と異なりじっくりと商談できるので、「販売は販売店任せなので、エンドユーザーである治療家と顔を合わせるのは初めて」というメーカーもおり、「直接PRできる良い機会になった」と話していた。企業のプレゼンテーションのコーナーも設けられていて、「行きたいブースを見つけるきっかけになった」という来場者も。
「メーカーとの距離近い」など来場者から好評
「メーカーさんとの距離が近く、製品について気軽に尋ねられる環境が新鮮だった」「体験会などもあり、一日中楽しめた」「学会などでは見かけないブースがたくさんあった」「最新のコルセットや枕など、鍼灸院でも使ってみたくなる道具や商品が多かった」「何年も前から気になっていた商品のプレゼンがあって良かった」「介護系の商材などもあり、業界のトレンドを知ることができた」など、来場者の感想はおおむね好評。
一方で、「今回は会場が2フロアに分かれていて回りづらかった」「どこでプレゼンが行われているのか分かりにくかった」との意見も聞かれた。
主催者側は、「どの業界でも言えることだが、技術と道具は日々進歩する。患者さんのために興味、関心を持ってご来場いただいたことに感謝する」と話している。
■メディカルショー・出展社一覧(五十音順)
・D&M ・HELIO JAPAN ・MOGU ・POJI ・アスティコ ・いっしん
・インディバ・ジャパン ・近江兄弟社 ・岡本製甲・コレイン
・サンアロー ・三進興産 ・サンメディカル ・ジェクス ・しんきゅうコンパス
・スリーエムジャパン ・セイリン ・ゼライス ・ダイヤ工業
・タフリーインターナショナル ・チュウオー ・テイコクファルマケア ・テクノリンク
・寺西商事 ・東洋レヂン ・徳武産業 ・ドリーム ・日進医療器
・ニトムズ ・日本医療福祉新聞社 ・日本特殊医科 ・日本メディックス
・ファロス ミナト医科学 ・ミューラージャパン ・ムトーエンタープライズ
・明治国際医療大学・ユナイテッドスポーツブランズジャパン ・吉田養真堂 ・和光電研
宝塚医療大とAMDA、連携協定結ぶ 災害時の鍼灸支援等で協力を
宝塚医療大とAMDA、連携協定結ぶ 災害時の鍼灸支援等で協力を
2019.04.25
3月25日、宝塚医療大学(兵庫県宝塚市)と特定非営利活動法人AMDA(アムダ)が、災害支援に関する活動等で連携協力することを目的に協定を締結した。AMDAは災害時等に医療・保健衛生分野を中心に支援活動を展開しており、鍼灸学科設置の大学との間で協定を結んだのは、明治国際医療大学に次いで2校目となる。
昨夏のAMDAによる西日本豪雨支援活動に、宝塚医療大学鍼灸学科の北小路博司教授が参加したことがきっかけとなり、同大学がAMDAの災害鍼灸活動に強い関心を持ち、今回の協定締結に至ったという。
今後、両者は、災害発生時に避難所での鍼灸治療による支援等に共同で当たっていくとしている。
厚労省・平成28年度の保険者別療養費
厚労省・平成28年度の保険者別療養費
2019.04.25
柔整、減少額の2/3以上が市町村国保
あはき、後期高齢(はり・きゅう6割、マッサージ8割)の割合高い
厚労省保険局調査課が1月に公表した『医療保険に関する基礎資料』において、平成28年度の保険者別療養費の状況が示された。柔整は約3,636億円で、前年度より約153億円減り、その3分の2以上に当たる約110億円が市町村国保の減少分だった。はり・きゅうは前年度より13億円増で約407億円、あん摩マッサージは同7億円増で約707億円となり、ともに後期高齢者医療制度の割合(はり・きゅう62%、あん摩マッサージ80%)が高い状況が続いている。
平成30年度柔整師・あはき師国家試験の合格者数等 ここ数年の低調傾向、ストップ
平成30年度柔整師・あはき師国家試験の合格者数等 ここ数年の低調傾向、ストップ
2019.04.10
前回50%台の合格率、はり師76%、柔整師65%に
厚労省が3月26日、第27回柔整師・あん摩マッサージ指圧師・はり師及びきゅう師国家試験の結果を発表した。合格率が前回50%台だったはり師で20ポイント近く上昇するなど、全般的にここ数年続いていた低調傾向はストップした。
柔整師は、受験者6164人のうち、4054人が合格。はり師同様、前回50%台だった合格率は、7.4ポイント上昇し、65.8%となった。また、はり師では4861人が受験して合格者が3712人、きゅう師では4655人が受験して合格者が3656人だった。合格率は、はり師で76.4%(前回より18.7ポイント増)、きゅう師で78.5%(同16ポイント増)と、ともに上向いた。合格者数についても、柔整師が4千人台に、はり師ときゅう師が3千人台に、いずれも2年ぶりに回復した。
あマ指師は、1498人が受験して合格者は前回より15人減の1300人だった。合格率は86.8%で前回より3.8ポイント上昇したが、例年とほぼ変わらない数値となった。
新卒者・既卒者の合格状況については、前回一桁だったはり師の既卒者の合格率が40%台に上昇したほか、新卒者は各免許ともおおむね高まっていた。
鍼灸文献情報活用セミナー 文献集積、鍼灸史の検証可能に
鍼灸文献情報活用セミナー 文献集積、鍼灸史の検証可能に
2019.04.10
「マンパワー不足」協力者募り
『鍼灸文献情報活用セミナー』が3月13日、森ノ宮医療大学(大阪市住之江区)で開催された。主催は、東洋療法研修試験財団平成30年度鍼灸等研究班『医中誌webにない書誌情報を鍼灸文献データベース(JACLiD)に収載するための調査研究(2)』。
同研究の代表研究者、大川祐世氏(森ノ宮医療大学鍼灸情報センター)が講師を務め、JACLiDについて解説した。平成18、19年度の文部科学省委託事業の一環として鈴鹿医療科学大学が開発したデータベースを基盤とし、現在は全日本鍼灸学会が管理するJACLiDは、鍼灸関連学術論文の書誌情報をデータベース化し、臨床・教育・研究に寄与することを目的としたもの(別記)。役割の一つとして「量的機能の充実」を掲げ、鍼灸関連の「灰色文献」、一般の商業出版ルートに乗らない、学術誌に掲載された論文や卒業論文といった情報を集積しており、誰でも自由にウェブ上で検索できる。大川氏は、明治期以降の鍼灸関係文献について確認できる性質上、「国際的な鍼灸の主導権争いも起きている中で、日本鍼灸史の検証を可能にし、歴史の歪曲を防ぐことも重要な役割です」と述べた。
その一方で、こうした「量的機能」と対を成す、「質的機能」の役割にも言及。RCTなど信頼性の高い研究のデータベース化、構造化抄録の作成といった役割が必要だが、マンパワー不足から運営が滞っており、運営に協力してくれる施術者・研究者を募っていると呼びかけた。
このほか、研究に参加する松浦悠人氏、南波利宗氏が登壇し、出版バイアスをはじめとするRisk of Biasについて解説。既存の鍼灸論文においても、「良い結果は海外の学術誌に投稿し、悪い結果は国内での報告に留める」といった傾向がみられることが報告された。また、日常の治療の中でも、例えば投薬中の患者の禁忌を知りたい時に、公益財団法人日本医療機能評価機構が運営するMindsガイドラインライブラリなどのサイトで診療ガイドラインを確認するといった、インターネットを通じた情報の活用が有効だと勧められた。
鍼灸文献データベース : JACLiD
【URL】http://jaclid.jsam.jp/
「全国の施術所にAED設置を」病鍼連携連絡協議会が呼びかけ
「全国の施術所にAED設置を」病鍼連携連絡協議会が呼びかけ
2019.04.10
地域住民の早期蘇生に寄与
AED設置の施術所マップ作成も
病鍼連携連絡協議会(長谷川尚哉世話人代表)が3月より、鍼灸・マッサージ院(接骨院も含む)での自動体外式除細動器(AED)設置の促進を呼びかけている。
心停止状態の人に電気ショックを与えて救命するAEDは、2016年時点で販売台数が累計84万台を超えるなど、台数増加とともに、その重要性が認識されるようになった。同会では、「全国の施術所が地域住民の早期蘇生に寄与する」ことを目的に、自らの所属会員だけでなく、他の業界団体にも働きかけ、設置を促している。今後AEDを設置する施術所のマップも作成し、公開するとしており、また『全国AEDマップ』を公開している日本救急医療財団への情報提供も目指すという。
長谷川氏は、「駅員など医療職以外より使用の頻度が低く、恥ずかしい状況にある。AED設置の施術所を増やし、安全・安心の名の下に鍼灸の受療率を向上させる一助としたい」と話す。同会を通じてAEDを導入する場合は、メーカーのフクダ電子株式会社との提携による割引もあるとしている。詳細は、同会ホームページ(http://www.oiso-chiryouin.info/hospital_accu_cooperation_kanagawa.html)を。
第6回あはき師・柔整師等の広告検討会 ウェブサイトや無資格者も規制するか今後議論
第6回あはき師・柔整師等の広告検討会 ウェブサイトや無資格者も規制するか今後議論
2019.03.25
3月18日、6回目となる「あはき師・柔整師等の広告に関する検討会」が都内で開かれ、事務局である厚労省が、当初予定していた「平成30年度までにガイドライン作成」を延期し、来年度以降も継続的に検討会を開くことを決めた。ここまでの5回の検討会からでは業界団体幹部や保険者ら構成員の意見等を集約できず、スケジュールを変更することが必要となったとした。
会議の冒頭では、 (さらに…)
第16回日本生殖心理学会・学術集会 生殖医療施設等に鍼灸外来
第16回日本生殖心理学会・学術集会 生殖医療施設等に鍼灸外来
2019.03.25
「今後、差別化のため需要増」
一般社団法人日本生殖心理学会の第16回学術集会が2月24日、都市センターホテル(東京都千代田区)で開催された。同学会は、生殖医療の現場における「心のケア」の学術的研究の向上と生殖医療の発展への寄与を目的に、平成15年に設立された。
シンポジウム『ART(生殖補助医療)と統合医療をつなぐ』では医師や臨床心理士らとともに、東洋医学の分野から徐大兼氏(アキュラ鍼灸院院長、JISRAM事務局長)と邵輝氏(統合医療生殖学会理事長)が講演を行った。徐氏は、アメリカでは現在、IVF(体外受精)を行う施設が500程度あり、そのうちおよそ400が鍼灸プログラムを提供あるいは推奨していると説明。また、「ハーバード大学Boston IVF」など同国を代表する医学部関連施設でも鍼灸治療は積極的に導入されていると話した。日本においてもARTの施設は増加しているため、今後は差別化のために鍼灸などを取り入れるクリニックが増えることが予想されると分析。JISRAMにも生殖医療施設などから鍼灸外来開設の要望が多数、寄せられていると述べ、「京野アートクリニック高輪」で自身が監修した鍼灸ルームの取り組みにも触れた。邵氏は、不妊治療でも特にIVFを行っている患者には自律神経失調の症状がよく見られるとし、抑肝散を用いて気を流すことで改善させていると説明。不妊の要因の一つと考えられる冷えなどには神闕、関元、気衝への温灸、督脈の大椎、至陽、命門と腎兪への温灸も良いと述べた。
特別講演は臨床心理士の鈴木美砂子氏(岐阜県総合医療センター)が家族療法について概説し、鍼灸師も参加する名古屋医大の「統合ヘルスケアチーム」に加わった際の経験にも言及。一人の患者について関わる全職種でディスカッションし、その内容を患者にフィードバックできるのは非常に有意義だったと語った。
ほかに『チーム医療における心理職の役割』(花村温子氏・埼玉メディカルセンター心理療法室主任心理療法士)、『周産期施設からみた不妊治療』(宮内彰人氏・日本赤十字社医療センター周産母子・小児センター副センター長)や、一般口演、ポスター発表などが行われた。
柔整・鍼灸専門学校、平成30年度より大幅減
柔整・鍼灸専門学校、平成30年度より大幅減
2019.03.25
新カリキュラムの影響で、大手学校法人が手を引いた?
平成30年度より、柔整・鍼灸学科を設置する専門学校(厚労省所管)が大きく減少している。厚労省医事課が毎年公表している「養成施設数等の現状」から分かった。平成30年4月時点で、柔整専門学校は前年より5校減らし88校、鍼灸専門学校も7校減らし74校となっている。それぞれ直近の3年間は横ばいで推移していた。背景には、平成30年度から適用の新カリキュラムが影響しているとみられる。
新カリキュラムでは、より質の高い施術者を養成するため、単位数の引き上げ等が図られ、柔整・あはきの各養成校は対応に迫られた。中でも、追加カリキュラムや臨床実習の引き上げ(1単位→4単位)への対応に苦慮した養成校が多かったという。柔整・鍼灸専門学校が減少した理由について、ある専門学校の関係者は、「近年、全国的に入学者が減っていた中で、新カリキュラムへの対応に伴い、特に実技講師の確保やその人件費の捻出等が運営上で問題となり、看護や理学療法といった別の学科を抱える大手の学校法人が手を引いた例も少なくない」と話す。
平成31年度入学生の募集を停止している養成校も複数あり、本紙の調べでは、柔整で1校、鍼灸(夜間部のみ停止も含む)で4校あることが分かっている。
フレアス、東証マザーズに上場 マッサージ業界では初
フレアス、東証マザーズに上場 マッサージ業界では初
2019.03.25
株式会社フレアス(東京都渋谷区、澤登拓社長)が3月28日、東京証券取引所が開設する新興企業向けの株式市場「マザーズ」に上場する。マッサージ業界からの株式上場は初となる。
同社は、寝たきりの高齢者などを対象とした在宅医療マッサージを主力事業としており、平成30年12月末時点で全国に96の事業所を構える。また、星野リゾートが運営する宿泊施設におけるリラクゼーションを目的とした保険適用外マッサージサービスの提供や、訪問看護事業なども手掛けている。同社担当者は、「団塊世代が75歳以上となる2025年問題を前に、当社の成長速度を上げるため、上場によるさらなる人材の確保とともに、認知度の向上を図っていきたい」と話している。
あはき療養費の受領委任 後期高齢者の不参加は残り5府県
あはき療養費の受領委任 後期高齢者の不参加は残り5府県
2019.03.25
4月以降、新たに599の保険者参加
参加するか否かの決定権を各保険者に与えた形でスタートした「あはき療養費の受領委任」で、4月以降、新たに599の保険者が参加する。厚労省が2月28日付で発出した事務連絡で公表。保険者別でみると、健保組合で24、市町村(特別区を含む)で525、国民健康保険組合で25、後期高齢者医療広域連合で25が参加を決めた。後期高齢者医療広域連合においては、秋田県、山形県、静岡県、大阪府、香川県を除く42都道府県が参加する状況となる。一方、受領委任から償還払いへ移行した保険者も出ており、大阪ニット健保組合が4月より償還払いに移ることとなった。
明治国際医療大学鍼灸学部 40周年記念公開講座
明治国際医療大学鍼灸学部 40周年記念公開講座
2019.03.10
「鍼灸学のフロンティア」かき分け
矢野学長「唯一生き残るのは変化できる者」
明治国際医療大学鍼灸学部は2月10日、「設立40周年記念講演」として、京都府南丹市の同学内で公開講座を開いた。1978年に国内初の高等教育機関における鍼灸師養成校として明治鍼灸短期大学鍼灸学科が開設されてから、昨年で40周年を迎えたことを記念した事業。テーマは『明治醫新―鍼灸×医療×スポーツ×?』。
矢野忠学長は、『大学のこれまでと今』と題して講演。ルーツである1925年の山崎鍼灸学院創設に始まり、1983年に4年制の鍼灸大学(明治鍼灸大学)として設立した際には一般紙にも大きく取り上げられ、当時の日本鍼灸師会会長・木下晴都氏が壇上で感涙にむせたと紹介。また、その際には文部省(当時)から「大学院の設立認可は当面見送る」とされていたものの、研究成果が高い評価を受けたことから1991年に修士課程、1994年に博士後期課程と比較的早く設立が認められ、看護などのコメディカル業界の関係者から「どうやって認可を受けたのか」といった問い合わせが相次いだといった出来事を振り返った。矢野氏は、「現在鍼灸系大学は国内に12校あるが、そのフロンティアをかき分けてきたのが我が校」と強調。ダーウィンの「唯一生き残るのは変化できる者である」との格言に触れ、今また、社会の変化を見据え、社会に求められる鍼灸師像を再構築していくことが必要な時が来ていると呼びかけた。
このほか、各界で活躍する卒業生として、南心堂鍼灸治療室の南治成氏(大学2期卒)、明生鍼灸院の鈴木裕明氏(短大3期卒)、神尾鍼灸整骨院の神尾隆文氏(短大3期卒)、豊田地域医療センターの寺澤佳洋氏(大学18期卒)、大阪府済生会吹田病院の佐藤哲史氏(大学14期卒)、鍼灸Meridian烏丸の中根一氏(大学12期卒)の6人が登壇。日本鍼灸師会の副会長でもある南氏は、国際会議の場では、中医学の勢力拡大だけではなく、「日本の鍼灸師は高等教育機関で医学を学んでいない」と言われ、最低でも4年制大学出身でなければ対等な目線を向けられないことも多いと指摘。国内に目を向けても、受領委任の枠組みに入っていく中で、今後「鍼灸施術を行うのは従来の鍼灸師である必要があるか」「医師の指示下で行うなら、看護師に東洋医学を学ばせた方が良い」といった議論が起こる可能性があるとして、そうした時、明治OBがオピニオンリーダーとして意見を発信していく必要があるとした。このほか、卒後に医学部へ進学し家庭医療専門医やプライマリ・ケア認定医の資格を取得した寺澤氏、アスレティックトレーナーの資格を持ちスポーツ現場に携わる佐藤氏など、多様な立場からの報告が行われた。
同大学鍼灸学部教授の伊藤和憲氏は閉会に当たり、「今やほとんどの専門学校の教員に卒業生がいるというくらい、『明治イズム』は浸透しています。ただ今や、ここ以外でも鍼灸を学べるようになった。そうした中で何を目指すのか、先輩がつないでくれたことをベースに、鍼灸の未来を考えていかなければなりません」と呼びかけた。
あマ指師課程新設非認定処分取消裁判・大阪地裁 学園側、関係者の証人尋問を申請
あマ指師課程新設非認定処分取消裁判・大阪地裁 学園側、関係者の証人尋問を申請
2019.03.10
晴眼者のあん摩マッサージ指圧師養成課程の新設申請を認めなかったとして、学校法人平成医療学園らが国を相手取って処分取消を求めている裁判の12回目となる口頭弁論が2月1日、大阪地裁で行われた。
原告の学園側は前回(昨年11月の口頭弁論)、国があはき法19条の正当性を主張する根拠に用いた、筑波技術大学教授・藤井亮輔氏らによる「あん摩業に関する実態調査」(以下、藤井調査)に反論を行ったが、今回、これに意見を補充する形で、「社会調査方法論並びに社会統計学」に関する見識等を指摘する文書を追加提出。また裁判所に対して、本件を裁く上で、視覚障害者の教育状況に加え、あはき師の資格制度や業界の歴史等の理解を深めてもらうため、原告代表者(平成医療学園理事長・岸野雅方氏)を含めた3名の証人尋問請求と、その3名の陳述書(証人尋問で話す主な内容)も提出。原告代表者以外の2名については、元厚生労働教官で横浜医療専門学校学術顧問の芦野純夫氏、東京都在住の全盲のあはき師。今後、証人尋問を認めるか否かは裁判所の判断となるが、仮に認められれば、岸野氏からは訴訟を提起した経緯や理由等が、芦野氏からはあはき師の免許制度やあはき法19条制定の歴史的経緯等が、全盲のあはき師からは視覚障害者の立場からあマ指師を取り巻く現状の問題点や証言することを引き受けた理由等が語られる予定とされている。
当日の口頭弁論では、「藤井調査」を統計学的に信頼性が無いと指摘した原告側の主張について、裁判所が被告の国側に反論をするように求めていた。
次回弁論は、4月10日を予定している。
東京地裁、証人尋問不要と判断
「法廷に呼ぶまでもない」と原告側
本裁判は同様の内容で、東京地裁と仙台地裁でも係争中であり、進行具合もほぼ同じような状況にある。そんな中、2月下旬に東京地裁が前出の原告側による証人尋問請求を却下した。これについて、原告弁護団は「東京地裁は、不要と判断をするに当たっては陳述書を読んでおり、そもそも最も多忙な裁判所という点からも、法廷で聞くまでもないと判断したのだろう」と話している。
なお、東京地裁、仙台地裁ともに、次回弁論は5月中旬で予定されているという。
泉北鍼灸マッサージ師会、和泉市と災害時の支援協定を締結
泉北鍼灸マッサージ師会、和泉市と災害時の支援協定を締結
2019.03.10
「無資格者の活動への抑止力」にも
泉北鍼灸マッサージ師会(吉田崇生会長)と大阪府和泉市は1月29日、「災害時における支援協力に関する協定」を締結した。災害時に多数の避難者が発生した場合、同市内の避難所で鍼灸マッサージの施術を行い、療養上の相談も受け付ける。また協定には、傷病者に対する応急救護に関する衛生材料等の提供なども盛り込まれている。
同師会は10年にわたり、同市で行われてきた3,000人規模のウオーキングイベントで参加者のケアに従事。更に、泉北地域のさまざまな健康イベントに出展し続けるなど、「普段からの地域貢献が今回の協定締結につながった」と吉田会長はみている。また、北海道の地震の被災地などでは無資格者の活動への対価の授受などでトラブルも生じているとの報告もあり、自治体と公式な協定を締結している国家資格者の団体が支援に従事すれば、そのような無資格者への「抑止力にもなるのではないか」と吉田会長は話していた。