厚労省・平成29年度の保険者別療養費 柔整、市町村国保で125億円減 あはき、健保組合や国保で減少
2020.02.25
厚労省保険局調査課が昨年12月に公表した『医療保険に関する基礎資料』において、平成29年度の保険者別療養費の状況が示された。柔整は約3,437億円で、前年度より約199億円減った。減少額が最も高いのは、 (さらに…)
厚労省・平成29年度の保険者別療養費 柔整、市町村国保で125億円減 あはき、健保組合や国保で減少
厚労省・平成29年度の保険者別療養費 柔整、市町村国保で125億円減 あはき、健保組合や国保で減少
2020.02.25
厚労省保険局調査課が昨年12月に公表した『医療保険に関する基礎資料』において、平成29年度の保険者別療養費の状況が示された。柔整は約3,437億円で、前年度より約199億円減った。減少額が最も高いのは、 (さらに…)
植村直己冒険賞に全盲のあはき師・岩本さん
植村直己冒険賞に全盲のあはき師・岩本さん
2020.02.18
冒険家・植村直己をたたえて創設された「植村直己冒険賞」の第24回受賞者に、太平洋をヨットで横断した全盲のあはき師・岩本光弘さん(53歳)が選ばれた。植村直己の出身地・兵庫県豊岡市が2月12日に発表した。
2019年2月に小型ヨットでアメリカ・サンディエゴを出港し、太平洋上約14,000kmを無寄港で航行。55日間で達成した。
岩本さんは、先天的な視覚障害に見舞われ、16歳で全盲に。熊本県立盲学校理療科、筑波大学理療科教員養成施設を卒業し、筑波大学付属盲学校鍼灸手技療法科の教諭となる。その後、ヨットの世界に飛び込み、ブラインドセーラーとして活躍する。
大阪で『柔整師・鍼灸師のための展示商談会』、3月22日に
大阪で『柔整師・鍼灸師のための展示商談会』、3月22日に
2020.02.14
『柔道整復師・鍼灸師のための展示商談会 メディカルショー』が3月22日(日)、森ノ宮医療学園専門学校(大阪市東成区)で開催される。ミナト医科学などの治療機器メーカーやダイヤ工業などの医療用品メーカー、セイリン、日進医療器といった鍼メーカー、販売店など約40社が出展、治療、治療院にまつわる商品が一堂に揃う。全国柔整鍼灸協会事務局長の塚原康夫氏が講演を行う『大阪柔整合同同窓会』併催。いずれも入場・参加無料。
詳細を記載したチラシは森ノ宮医療学園校友会のホームページからダウンロードできる。
全鍼師会が療養費と自賠責でアンケート、3月10日まで
全鍼師会が療養費と自賠責でアンケート、3月10日まで
2020.02.13
公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会(全鍼師会)が「療養費を用いたマッサージ施術の実態」と「自賠責保険の取扱い状況」について、アンケート調査を行っている。同師会によると「『変形徒手矯正術』の同意期間延長を国に対して要望するためと、あはきの自賠責保険取扱いを円滑にするため」とのこと。
アンケートへの応募は調査用紙をホームページからダウンロードし、3月10日(火)までにFAX(03-3359-2023)かメール(zensin@zensin.or.jp)で。
全病理、マッサージ診療報酬で要望 推進協7団体での合同提出へ
全病理、マッサージ診療報酬で要望 推進協7団体での合同提出へ
2020.02.10
公益社団法人全国病院理学療法協会(全病理)が、以前より団体独自で提出してきたマッサージ診療報酬等の見直しに関する要望書について、日本視覚障害者団体連合(日視連、昨年10月に日本盲人会連合より改称)などあはき7団体(推進協)の連名での提出とすべく調整していることが分かった。
要望内容は、適切な研修を修了したマッサージ師等の診療報酬を引き上げ、理学療法士(PT)との格差を是正することのほか、理学療法従事者に鍼灸師を組み入れることなど(下記)。ただし、鍼灸師に関する要望については他団体と協議中。
長年にわたり要望続ける
要望を連名とすることは、昨年11月に開催された推進協の会合において、全病理が提案した。全病理は本紙の取材に対し、「PT以外の理学療法従事者が行う消炎鎮痛の点数は、PTと比べて非常に低いものです。また、理学療法従事者を対象として平成4年より実施している運動療法機能訓練技能講習会は、鍼灸師でも受講できるにもかかわらず、受講しても診療報酬、介護報酬の算定要員として認められません。それでも資質向上のために定期的に修了している鍼灸師は存在し、当会にも複数在籍しています。この格差も是正したいと考え、長年要望を続けてきました」とコメントした。厚労省に対し、今年度中の要望書提出を目指して、現在調整中だという。
■全病理の要望内容(概要)
【診療報酬】
・疾患別リハビリテーション料の施設基準における、理学療法士と「運動療法機能訓練技能講習会を受講し、定期的に適切な研修を修了しているマッサージ師等(以下、理学療法従事者)」の診療報酬算定上の格差是正
・消炎鎮痛処置における、理学療法従事者が行う手技療法の評価
・理学療法従事者に「はり師、きゅう師」を加える
【介護報酬】
・指定通所リハビリテーション費において、理学療法従事者を全ての時間帯で算定要員とする
・機能訓練指導員において、理学療法従事者を「リハビリテーション専門職」として位置付ける
セミナー『次世代に繋げたい鍼灸治療』 腹診と背部で全体治療
セミナー『次世代に繋げたい鍼灸治療』 腹診と背部で全体治療
2020.02.10
―「僅三針法」の紹介も―
セミナー『次世代に繋げたい鍼灸治療―一見は百書を凌駕す』が1月12日、13日、大阪市内で開催された。鍼灸治療による疼痛治療研究会主催。
薬剤師で鍼灸師の南利雄氏(壺中天薬局・南鍼灸院)は、江戸時代の医師は実証主義で、「万病一毒説」を唱えた吉益東洞は陰陽五行説を否定していたと説明。現代でも、臨床においては無理に五行に当てはめることなく全体で診て治療に臨むべきだと説いた。江戸期の医書には脈診の記載は少なく、腹診が重要視されていたと指摘。脈診よりも腹診の方が分かりやすく誰もが習得しやすいとして、腹診と背部を基本とした全体治療を指南した。「一つの道具だけでは家が建てられないのと同様に治療道具にも種類があった方が良い」と解説。火鍼や長針、員利鍼といった臨床で実際に使用している鍼を実技を交えて披露し、細絡刺絡や皮膚刺絡なども行った。また、「鍼灸師にお勧め」の書籍として鍼灸素霊会編著『経穴の使い方 鍼の刺し方』や劉玉書編『刺鍼事故』などを紹介。『経穴の使い方 鍼の刺し方』は経絡治療の大家であった上地栄の講義をまとめたものだが、脈診よりも腹診を推奨している点が興味深いと述べ、『刺鍼事故』は中国の草医、いわゆる素人による事故例集だが、防止策や解決策も掲載されており参考になると話した。
循環器内科医の西田晧一氏(西田順天堂内科院長)は、数十年に及び鍼灸治療を臨床に取り入れてきた経験から、疾患によっては鍼灸でしか治らないものもあると説明。中国に起源を持つという、わずか三つの配穴で全身を治療する「三針法」に独自のアレンジを加えた「僅三針法」を紹介した。僅三針法は整形外科的疾患から内科的疾患にとどまらず、鬱病や認知症といった精神疾患にも効果があると解説。難病とされる線維筋痛症の原因は患者本人も自覚していない持続する精神的緊張にあると指摘し、僅三針法でその緊張を取り、付随する身体症状にも用いて症状が寛解した症例を提示した。
ほかに、「臨床歴70年」の松林康子氏による実技や佐藤崇司氏(千葉大学大学院医学研究院整形外科学)の研究発表が行われた。
催し物案内 鍼灸師・歯科医師が講演と実技、函館で
催し物案内 鍼灸師・歯科医師が講演と実技、函館で
2020.02.10
―『実践!! 臨床歯科東洋医学』テーマに―
3月14日(土)16時半から、サン・リフレ函館(北海道函館市)で開催される。函館鍼灸マッサージ師連絡協議会(函鍼連)主催、函館歯科医師会後援。
鍼灸師・歯科医師で、日本スポーツ歯科医学会認定医や美容鍼灸の会「美真会」顧問、アスレティックトレーナーなど、様々な肩書を持つ関根陽平氏が登壇。歯科医師の立場から、また東洋医学的な視点からも、顎関節症・不正咬合・オーラルフレイル・口腔機能低下症などについて解説し、歯科領域と東洋医学の「相性の良さ」にも触れる。「明日から使える鍼灸実技」も披露する。
参加対象は医療系国家資格所持者で参加費5,000円。申込みは函鍼連事務局(TEL/FAX 0138-41-8901)もしくは函館歯科医師会(TEL 0138-23-3650/FAX 0138-23-4765)へ。申込締切りは3月9日(月)。
催し物案内 JISRAM第3回公開講座、京都で
催し物案内 JISRAM第3回公開講座、京都で
2020.02.10
―『免疫を学んで着床を知る!』テーマに―
3月22日(日)10時から、アークホテル京都(京都市中京区)で開催される。
JISRAM(日本生殖鍼灸標準化機関)代表理事・中村一徳氏の『はじめの言葉 免疫基礎の基礎』、同事務局長・徐大兼氏の『鍼による子宮内膜受容能の変化についての論文解説』、醍醐渡辺クリニック胚培養室主任・野々口耕介氏の『ERA、EMMA、ALICEについて(着床の阻害要因を知る)』、大手前大学副学長・大橋一友氏の『生殖免疫の基礎』、兵庫医科大学准教授・福井淳史氏の『子宮NK細胞について』が行われる。
参加費は昼食代・懇親会費込みで12,000円。定員100名、申込締切りは2月末日。申込みはメールに「JISRAM公開講座受講希望」と明記の上、①郵便番号、②住所、③氏名、④電話番号(携帯及び固定)、⑤メールアドレス、⑥所属(院名または学校名)を記入して中村氏(メール hari9pearl.ocn.ne.jp)まで。
あん摩マッサージ療養費 都道府県別支給状況 厚生労働省『平成30年度 療養費頻度調査』から
あん摩マッサージ療養費 都道府県別支給状況 厚生労働省『平成30年度 療養費頻度調査』から
2020.02.10
調査は、平成30年10月の1カ月間に行われた施術に係る療養費支給申請書が対象。支給申請書のうち、全国健康保険協会管掌健康保険で全件、国民健康保険で5分の1、後期高齢者医療制度で10分の1の割合で抽出している。1件当たりの平均支給額は約31,110円。なお、平成30年10月より再同意期間が「6カ月ごと」に引き伸ばされ、口頭同意の廃止や施術報告書の導入といった運用の変更があった。『平成29年度 療養費頻度調査』を基に、昨年度の金額と、そこからの増減比率も掲載した。
要介護認定調査、柔整師やあはき師も4月から実施可能
要介護認定調査、柔整師やあはき師も4月から実施可能
2020.02.06
介護サービスを受ける際に必要になる「要介護認定」の調査員に、柔整師やはり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師を含む21職種(保健、医療、福祉に関する専門職)が資格要件に4月から加えられる見通しだ。厚労省老健局が2月3日に発表した。
ただ、今回の要件緩和は、市区町村が社会福祉協議会等の「指定事務受託法人」に調査を委託する際に限定される。さらにその上で、介護現場での実務経験が5年以上なければならない。
新たに対象となった21職種について、厚労省は「認定調査を(ケアマネジャーに代わり)補完的に可能とするもの」としている。
日本伝統医療看護連携学会 第1回設立記念総会・学術大会 「伝統医療」「看護」の連携へ向け発足
日本伝統医療看護連携学会 第1回設立記念総会・学術大会 「伝統医療」「看護」の連携へ向け発足
2020.01.24
昨年末、あはき・柔整などの伝統医療と看護の連携を模索し、学術の発展や社会貢献を目指して、『日本伝統医療看護連携学会』(佐竹正延会長)が発足。昨年12月18日には、第1回の総会・学術大会が仙台市青葉区の仙台赤門短期大学で開催された。講演やシンポジウムでは、伝統医療と看護はともに全人的であり親和性が高いということが、異口同音に言及されていた。
―ともに『全人的』で高い親和性―
佐竹会長(仙台赤門短期大学学長)は開会のあいさつで、看護学も医学にならい、実証科学を踏襲しているが、それは方法論としての側面であると指摘。看護することの本来的意義から見れば、看護学では人間を全体的・全人的に把握する傾向があるのは歴然としており、一方、伝統医療もまた「パーツではなく全体」として人間を捉えていると述べ、二つの分野が連携することで相互に利益を与えて学際的な発展を遂げ、ひいては社会福祉にも貢献できるよう願うと語った。
鍼灸師と看護師が担う「在宅」
シンポジウム『医療連携の未来を拓く―融和』は村上理恵氏(なの花訪問看護ステーション仙台訪問看護師/鍼灸りえる院長)、柴田克実氏(晩翠通り治療院院長)、亀井啓氏(亀井接骨鍼灸治療院院長)、佐藤喜根子氏(仙台赤門短期大学教授)が登壇した。村上氏は、在宅療養中の末期癌患者や要介護状態の利用者の便秘や浮腫、痛みなどの症状緩和に対して鍼灸治療を行っていると説明。その際、患者宅にある各事業所の記録などから他職種のケア内容や患者の状況を把握し、自分の施術記録も残すことで情報を共有していると述べた。看護師や利用者の家族に温灸の指導をしたり、指圧のツボの位置をマーキングしたりするなどのアドバイスを行い、看護師とともに症状緩和に取り組むケースもあると解説。治療院では、地域包括支援センターを通じて患者に介護予防教室を紹介するなど、個々に適した社会資源につなげるようにしていると話した。柴田氏は十数年携わってきたリンパ浮腫治療について、治療が受けられる医療機関の情報が入って来ない、施設を見つけても予約が一杯ですぐに治療が受けられない、といった患者の現状を紹介。医療リンパドレナージを行えるのは医師や看護師のほか理学療法士や作業療法士、あマ指師なども含まれるとして、それぞれの立場からリンパ浮腫治療に関わっていくことが望ましいと語った。亀井氏は『疼痛の本質を探る―治療のピットホール』、佐藤氏は『東洋医学と看護の「融和」』をテーマに講演を行った。
ほかに、佐竹会長の学術大会長講演『医学にあるもの、医学にないもの』、矢野忠氏(明治国際医療大学学長)の『東洋医学の再発見―医療連携の可能性』と谷口初美氏(九州大学大学院教授)の『補完代替医療(CAM)と看護ケア』の特別講演2題、『看護・介護の場での小さいゴムボールを使ったリハビリテーションの一考察』(藤井裕文氏・ふじい接骨院院長)など一般口演10題、ポスター発表3題が行われた。
『鍼灸5G』 鍼灸学生がイベントを開催
『鍼灸5G』 鍼灸学生がイベントを開催
2020.01.24
―津田昌樹氏、建部陽嗣氏が参画―
昨年12月21日、大阪市東成区の森ノ宮医療学園専門学校で「鍼灸5G」が開催された。
鍼灸学生を中心としたイベントで、「5G」は「学生の、学生による、学生のための、学術が好きになる学会」の略。発起人は大阪行岡医療専門学校長柄校鍼灸科3年の岸井広樹さんで、アドバイザー・座長に鍼灸業界向けウェブマガジン『ハリトヒト。』代表の津田昌樹氏と『閃く経絡』の翻訳者・建部陽嗣氏を招聘。学生、鍼灸師、業界関係者ら約50名が参加した。
前半は学生による研究発表、後半は学生、鍼灸師に加え、商品・サービス等を出展していた企業関係者らも交えたディスカッションを行った。研究発表は岸井さんの『耳鍼の痩身効果について』と、もう1名の学生による『皮膚刺激が人体に与える影響』の2題で、前者はマグレイン(チタン粒)と偽鍼(セイリンのパイオネックス)を使用して耳ツボの痩身効果を検証、後者は皮膚刺激に関する文献を集めてまとめたもの。耳ツボ効果の検証において、体重の減少に関してはマグレインと偽鍼で大きな違いは無かったものの、体脂肪率はマグレインの群で有意に低下しており、津田氏はこの点が「面白い」と指摘。「ではなぜそうなったのか?」との疑問を立てて次の研究につなげてほしいと述べ、フロアから「VASとは何か?」との質問があった際には、学生のうちから学術用語に触れ、その意味を知ってもらいたいと呼び掛けた。文献研究については演者が発表したのち、建部氏がそのスライドをアレンジしたものを披露。研究テーマのイメージに合ったフォントや色、背景を使う、キーワードの文字サイズを大きくする、参考文献はタイトルだけでなく表紙も使う、といった「魅せる」作り方をレクチャーした。ディスカッションでは「流派や団体が多すぎて業界の全体像が分からない」「横のつながりも縦のつながりもない」といった意見を上げた学生や、他校生と話してみて初めて「養成校の実技教育の質・量にバラつきがあること」が分かり、「卒後のスタートラインで既に経験値に差がある」と指摘した学生もいた。
岸井さんは『ハリトヒト。』の書籍化第2弾のクラウドファンディングのリターンとして津田氏の「講演権」を取得。これを契機に、学生が「主役」に、鍼灸師が「参加者」となって互いにコミュニケーションが取れ、また学生は他校生とも交流できるイベントを目指して今回の催しを企画したという。
催し物案内 労働・雇用の「基本」をレクチャー
催し物案内 労働・雇用の「基本」をレクチャー
2020.01.24
―社労士と鍼灸師が学生や院経営者へ、東京で―
セミナー『学校では教わらない働き方の基本の“き”』が3月1日(日)11時から、『鍼灸院のための日本一カンタンな雇用の基本の“き”』が13時半から、東京医療福祉専門学校(東京都中央区)で開催される。
講師は、社労士の國安院ゆみ氏(社会保険労務士事務所FAILNAUGHT代表)と鍼灸師の米倉まな氏(まな鍼灸堂院長)が務める。午前の部では鍼灸学生や転職を希望する鍼灸師に向けて労働や社会保険の知識を、午後の部では開業鍼灸師や開業を考えている鍼灸師を対象に経営・雇用の基本をレクチャーする。詳細はホームページ(https://sq-koyou.jp/2019/12/30/hello-world/)。
(さらに…)
レポート YNSA(山元式新頭鍼療法)米国セミナー報告
レポート YNSA(山元式新頭鍼療法)米国セミナー報告
2020.01.24
―アメリカ西海岸「初」、盛況に―
我が校、鍼・統合医療バークレー専門職大学院(Acupuncture and Integrative Medicine College, Berkeley/カリフォルニア州バークレー市/理事長:後藤修司 学長&CEO:田中康夫)では昨年11月22日から24日までの3日間にわたり、山元式新頭鍼療法(YNSAR)のセミナーが開催されました。世界的な知名度を誇るYNSAですが、アメリカにおいては、2007年5月にハーバード大学大学院にて創始者の山元敏勝医師が招待講演をされて以来のことであり、また、アメリカ西海岸では初のYNSAセミナーということもあって、関係者の間で大きな反響を呼びました。フロリダ州や遠く日本からの参加者もいて、最終的には、受講生は当初の定員を大きく上回る25名となり、大盛況の中、熱心かつ真剣な技術指導が展開されました。
セミナー講師は、YNSA学会事務局長の冨田祥史先生。大阪の治療院より、はるばる駆けつけていただきました。時差調整に苦戦しながらの3日間のセミナー指導でしたが、関西スタイルの洒落も受講生に大いにウケ、笑いを交えた独自の技術指導は、アメリカ人受講生一同から絶大な評価を得ていました。セミナーが終了する前に、早くも来年度のセミナー開催への要望が数多く寄せられ、現在、その計画が進んでいます。
「薬理療法以外のケア」研修等、全米の病院で義務化
YNSAは、脳神経疾患やパーキンソン病及び、急性・慢性疼痛の症状緩和に顕著な効果をもたらすことで、世界レベルで広く知られています。疼痛治療の分野においては、アメリカでは疼痛緩和に使用されるオピオイドによる中毒死が相次ぎ、深刻な社会問題化していることは周知の通りです。本年度、トランプ大統領による緊急大統領令が発令され、オピオイド対策は医療界での緊急課題に指定されました。また、「薬理療法以外の疼痛ケア」については、全米の各病院で、研修・勉強会が連邦レベルで義務化されており、当校の講師も、カリフォルニア州立サンフランシスコ大学付属小児病院(UCSF Benioff Children’s Hospital)からの要請を受け、同病院のレジデント(研修医)を対象とした鍼による痛み治療について講義を行っています。
このような大きなトレンドの中、さらには、メインストリーム医療への参画という大きな課題の達成に向けて、今回の冨田先生によるアメリカ西海岸初となったYNSAセミナーは、アメリカにおける慢性疼痛の治療において、とても重要な「一石」、そして「起爆剤」になることでしょう。(AIMC学長&CEO 田中康夫)
訃報 元日マ会会長、時任基清さん死去
訃報 元日マ会会長、時任基清さん死去
2020.01.15
日本あん摩マッサージ指圧師会の元会長、時任基清さん(ときとう・もときよ)が昨年12月18日、死去した。86歳だった。日本盲人会連合副会長や東京都盲人福祉協会副会長などを歴任。
時任さんは、新宿区立障害者福祉センターに自治体運営の施術室設置の働きかけなど、視覚障害者のあん摩マッサージ師の雇用改善に尽力された。
元IMJ名誉学会長の渥美和彦さん死去
人工心臓、レーザー医学、生体磁気などの研究を行った世界的な医用工学のパイオニア・渥美和彦さん(あつみ・かずひこ)が昨年12月31日、死去した。91歳。日本統合医療学会(IMJ)の創始者であり、名誉学会長だった。IMJによると、四十九日頃に「偲ぶ会」を予定しているという。
全柔協、病院・診療所と連携
全柔協、病院・診療所と連携
2020.01.10
―業団による「医接連携システム」始動―
全国柔整鍼灸協同組合(岸野雅方理事長、全柔協)が昨年12月より、医療機関と施術所が連携して地域医療に当たる『チーム医療』(医接連携システム)をスタートさせた。従来、近隣の医師と施術者が個別に関係を築き、連携しながら患者を診ることが多い中で、施術者団体として取り組む珍しいケースだ。
提携機関増で、対象地域拡大も
連携の流れとしては、施術者が医師の検査等を求めたい場合や他の症状・疾患が疑われる患者に遭遇した場合に、ご高診依頼(患者紹介)を提携の病院・診療所へ行う。検査・診断結果にもよるが、施術所から紹介された患者は、患者本人が希望する限り、施術所に「逆紹介」をする前提の下、治療を進めていくとしている。
今回の『チーム医療』を立ち上げた背景には、「柔整・鍼灸に理解のある病院を見つけられない」という施術者側の現状もあるようだ。全柔協の担当者は、「医療機関と施術所が連携することで、それぞれ得意分野で強みを発揮でき、新たな治療の形が確立できるほか、Win-Winの関係の構築によって、患者により良い施術が提供できる」と話す。
現在、提携病院・診療所は関西を中心に6施設で、既に施術所からご高診依頼が行われており、連携はスタートしている。全柔協では、『チーム医療』に関わるトラブルの対処に加え、施術情報提供書の書き方等の勉強会(医師監修)も実施し、スムーズな連携に向けたサポートを行う。実績を積み上げ、提携病院・診療所の数が増えていけば、対象地域も拡大する予定という。
セミナー『温活とメンタルヘルスケア』 電気温灸器で鍉鍼など
セミナー『温活とメンタルヘルスケア』 電気温灸器で鍉鍼など
2020.01.10
独自のテクニックも指南
セイリン株式会社主催のセミナー『温活とメンタルヘルスケア』が昨年12月8日、都内の同社東京オフィスで開かれた。
船水隆広氏(呉竹学園臨床教育研究センターマネジャー)がセイリン社製の『セラミック電気温灸器』について、「糖尿病など、絶対に火傷を避けなければいけない患者にも使える」「表層だけでなく深部へも熱を伝えられる」「出張治療に便利」といった長所を列挙。単なる灸ではなく?鍼としても使えるとして、様々な使用法をレクチャーした。経脈をタッピングしながら(先端で軽く叩きながら)なぞり、熱を点から線へとつなげて伝播させていくという基本動作に加え、タッピングと「手で柔らかくなでる」を交互に繰り返す独自のテクニック「さざなみ」などを指南。タップする・なでるに強弱やリズムを付ける、先端を寝かせてなでるといったバリエーションについても言及した。風邪気味の時には身柱・大椎・風門がよく使われるが、これらの経穴を結んで三角形を描くように電気温灸器を用いるとより効果的であると解説。冷え性には井穴が効くとして、高めの55度に設定して軽いタップを行うと良いと話した。冷えから来る腰痛には、押手で腰部の脂肪や筋をかき分けてから、腸骨、仙腸関節、志室の深いところに先端を当てたのち、表面にも熱を加えるとした。
船水氏は、メンタル系の疾患に対する刺激は、患者の意識に上らない程度が良いとして、刺鍼よりも?鍼が適していると推奨した。鬱病の人は胸鎖乳突筋が硬くなっていることが多く、また、関元の辺りが凹んでいて、押すと「ハンバーグのタネ」のような感触がすると指摘。?鍼による胸鎖乳突筋の緩め方と、電気温灸器による関元への補法を実演した。電気温灸器は小児はりにも応用できるとして、疳の虫の治療法も紹介。温度は一番低い43度に設定し、大人への刺激の3分の1程度の力で軽く触れて、背中から頚の付け根にかけてなでる、身柱を中心にして縦に3本・横に3本なぞる、といった手順を披露した。
フルカラーで分かりやすく学べる米軍採用の「戦場鍼治療」 『写真で学ぶ戦場鍼治療 第2版』
フルカラーで分かりやすく学べる米軍採用の「戦場鍼治療」 『写真で学ぶ戦場鍼治療 第2版』
2020.01.10
鍼灸師の松浦哲也氏(松浦鍼灸院)がこのほど、『写真で学ぶ戦場鍼治療 第2版』を上梓した。同書は、戦場鍼治療(Battlefield Acupuncture)の日本初の鍼灸師向け施術解説書。戦場鍼治療は米国の元軍医、リチャード・C・ニムゾフ氏が考案したもので、疼痛から精神疾患まで幅広く使え、「耳さえ出ていればどこででも即効性と再現性のある施術が可能」。同書では症例ごとに、フルカラーの写真を中心に分かりやすく解説、専用の「ASP鍼」を使用しない施術方法も紹介している。販売はアマゾン、メイプル名古屋。 (さらに…)
レポート 医師会後援の研修会、函館のあはき団体が初開催
レポート 医師会後援の研修会、函館のあはき団体が初開催
2020.01.10
―整形外科と治療院の医療連携をテーマに―
昨年11月20日、北海道函館市医師会のバックアップ(後援)を受け、当会、函館鍼灸マッサージ師連絡協議会の主催で『リスク管理アセスメント研修会』を開催しました。1回目の今回は、整形外科医で函館中央病院整形外科診療部長の大羽文博先生を講師に迎え、「鍼灸・マッサージ院での整形外科領域におけるレッドフラッグは何だ?」をテーマに講演していただきました。
当会は、鍼灸マッサージ師と他の医療職種・行政との連携を構築するべく、北海道の道南地区の業団がまとまり、2016年4月に発足。あはき業界の窓口を一本化したことで、函館市の「医療・介護多職種連携協議会」の部会メンバーに加わることができ、一方で、医師による「ご高診願いの書き方」や「同意書願いのマナー」等をテーマとした研修会を重ねてきました。
ここまでの流れをくみ、20日の研修会では、具体的な医療連携を想定し、整形外科医の立場から、医師に患者を送らなければならない疾患のサイン等をテーマに設定。私たち鍼灸師・マッサージ師は、患者の症状改善が進まない場合、「このまま治療し続けていいのか?」「そもそも治療をしていて良い患者なのか?」と悩むものです。大羽先生には、普段の臨床で遭遇するレッド・イエローフラッグの症状に加え、骨粗鬆症の患者への対応など最新の医学的な知見も交えつつ、説明していただきました。
医師が連携の実現へ向けた具体案を提示
また大羽先生は講演の中で、函館中央病院と当会の間での医療連携についても具体的な提案をされました。治療院から患者を紹介したい場合は、同病院の地域医療連携室に「受診申込書」をFAXすれば依頼に応じるといい、早ければその日のうちに「受診日時の予約完了」の手続きを行うほか、治療院からの診療情報提供書が送られていれば、他のクリニックと同様に、選定療養費(自費)の負担は無料というものでした。研修会の参加者は58人で、そのうち、38人は鍼灸・マッサージ師(ちなみに柔整師は7人)で、目から鱗の講演内容だったと感じています。
今後、「病院から治療院へ紹介」といった双方向で紹介し合う連携構築の準備も進めることとなり、当会指定の研修会修了者の治療院を「医療連携認定治療院」としてリストを作成し、函館中央病院に提出する予定です。医師側の認識として「鍼灸・マッサージ師は何をやっているのか分からない」という障壁は依然横たわっていますが、連携が着実に進んでいると実感できた研修会となりました。(函館鍼灸マッサージ師連絡協議会会長 益井 基)
平成医療学園が控訴、あマ指師課程新設めぐる東京地裁判決受け
平成医療学園が控訴、あマ指師課程新設めぐる東京地裁判決受け
2020.01.09
国を相手取り、平成医療学園が求めていた「晴眼者のあん摩マッサージ指圧師養成課程の新設」等の訴えを認めなかった昨年12月16日の東京地裁判決について、平成医療学園は同月25日付で、判決を不服として控訴状を提出したことが分かった。
今後、あはき法19条の違憲性は控訴審で争われることになる。
なお、大阪・仙台でも同様の裁判は係争中で、2月25日に大阪地裁、4月27日に仙台地裁でそれぞれ判決が言い渡される。