日本スポーツ整復療法学会関東支部研修会 スポーツ外傷とスポーツ障害
2023.05.10
椎間板変性のリスク 低減するには?
3月19日、日本スポーツ整復療法学会(JSSPOT)関東支部の研修会が社団JB日本接骨師会JBビル(東京都中野区)とオンラインのハイブリッドで開催された。 (さらに…)
日本スポーツ整復療法学会関東支部研修会 スポーツ外傷とスポーツ障害
日本スポーツ整復療法学会関東支部研修会 スポーツ外傷とスポーツ障害
2023.05.10
椎間板変性のリスク 低減するには?
3月19日、日本スポーツ整復療法学会(JSSPOT)関東支部の研修会が社団JB日本接骨師会JBビル(東京都中野区)とオンラインのハイブリッドで開催された。 (さらに…)
筋・筋膜性疼痛に対する物理療法 日東医、第48回学術大会
筋・筋膜性疼痛に対する物理療法 日東医、第48回学術大会
2023.04.10
痛み評価で治療対象を特定
一般社団法人日本東洋医学系物理療法学会(日東医)の第48回学術大会が3月4日、5日にオンラインで開催された。テーマは『痛みに対する物理療法の最前線―筋・筋膜性疼痛に対する鍼通電・手技・ストレッチの治療戦略』。
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第40回 日本東方医学会学術大会 東西医療の対比、充実した連携を
第40回 日本東方医学会学術大会 東西医療の対比、充実した連携を
2023.02.24
昨年12月4日、日本東方医学会(長瀬眞彦会頭)の第40回学術大会が『心あたたかで人間的な東方医学』をメインテーマに、東京都千代田区の御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターにて開催された。会場には多くの鍼灸師、医師が来場し、特に多職種連携について闊達な議論がなされた。 (さらに…)
「肩部外傷・障害の臨床と学術の融合」テーマに 接骨医学会、第31回学術大会
「肩部外傷・障害の臨床と学術の融合」テーマに 接骨医学会、第31回学術大会
2023.02.10
日本柔道整復接骨医学会(安田秀喜会長)の第31回学術大会が昨年12月3日、4日、帝京科学大学千住キャンパス(東京都足立区)とオンラインのハイブリッドで開催された。大会テーマは『臨床と学術の融合―Shoulder ver.』。
帝京大学空手道部師範・香川政夫氏による文化講演『変わる力・変える力』では、選手でも指導者でも日本の頂点を極めた経験から、「基本修得」の重要性と「型(基本)」を破って挑戦し続ける大切さが熱く語られた。
特別講演『肩関節障害と動作評価』では、八王子スポーツ整形外科の小林尚史氏が、ヨガのコンセプトを導入しながらもスポーツ医科学に基づく運動療法「Core Power Yoga CPY®」を紹介し、評価ツールとしての活用法や正常可動域内での正しい動作取得のためのトレーニング手法などを解説した。
「専科教員養成の現状」を報告 学校協会、改善重ねつつ講習会実施
全国柔道整復学校協会との共催企画によるパネルディスカッションは、『柔道整復師専科教員の養成と質の向上を目指すために』をテーマに行われた。
柔整師が専科教員として養成施設で教鞭を執るには、実務経験を5年以上有し、その上で学校協会主催の「専科教員認定講習会」(厚労省指定)を修了する必要があるが、令和3年度から大学等での科目履修でも可能となるなど、近年変化が見られていることから今回のセッションが設けられた。 (さらに…)
増える「マルチモビディティ」 多職種介入に鍼灸も 第40回全日本鍼灸学会関東支部学術集会
増える「マルチモビディティ」 多職種介入に鍼灸も 第40回全日本鍼灸学会関東支部学術集会
2023.02.10
高齢者に多い「多病ゆえ多剤」で治療が複雑化する問題
第40回全日本鍼灸学会関東支部学術集会が昨年11月27日にオンラインで開催された。テーマは『現代医療の課題に挑戦―多疾患併存(マルチモビディティ)への対策には鍼灸を⁉』。支部長の田村憲彦氏は挨拶で「マルチモビディティの状況に臨床で遭遇することは少なくなく、近年注目されている。多角的に診ることが求められるため、鍼灸師の強みを生かすことができる」と述べた。 (さらに…)
【無料レポート】現代に求められるセルフケアと統合医療について考える 日本統合医療学会第26回学術大会
【無料レポート】現代に求められるセルフケアと統合医療について考える 日本統合医療学会第26回学術大会
2023.02.01
日本統合医療学会(IMJ)の第26回学術大会が昨年12月17日、18日、オンラインで開催された。テーマは「セルフケアと統合医療-With/Afterコロナの時代に考える」。
死に向き合って始まる「生き直す」という本当の自分探し
柳田邦男氏(ノンフィクション作家)の講演『セルフケアとしての「自己表現の営み」』では、死に向き合う困難に自分がどう立ちまわるかを「生き直す」と表現すると紹介。
ハンセン病や進行がんなど病苦に向き合い、最後に「ありがとう」と感謝の言葉を残し亡くなった人のエピソードや闘病記を挙げ、「外形的に絶望に立たされても精神的に気高く崇高に生きることができる」と話した。そして、「生き直す」道を自分なりに築き直し、歩み、精神的に全うするための、広い視野で統合医療とするならば、心のセルフケアが重要であると説明した。
70年~80年代には、人々の死生観が変化し「闘病記の時代」に入ったと述べた。これまで死は暗く恐ろしく、医学的に敗北を意味するものだったが、終末期ケアが組織的に行われ、生と死を考える場も増え、闘病記も多くなったと語った。書くことは、言葉で表現する行為により、心の混沌を整理できることで、どう生きるかという精神性の世界で理性を新しく築き直すことに繋がると話した。
また傾聴の効果にも触れ、目の前に聞き手がいる空間の中で話すことが孤独・疎外感からの解放を、自分の人生を物語として見直し納得することが自己肯定感をもたらすと述べた。そして自己肯定感が「生き直す」力になり、残された人生を自分なりにどう過ごすかを追求する「真の人生」に繋がると説いた。
続いて『セルフケアと統合医療―セルフケアの意味から考える』のテーマで講演した岡美智代氏(群馬大学大学院保健学研究科)は、その人らしい生活を送るセルフマネジメントのための「EASE (イーズ)プログラム®(自主的な自己涵養促進プログラム)」と「じっくりEASEプログラム」を紹介。「じっくりEASEプログラム」では「聞き手」に自身のことを語ってもらい、冊子にまとめる自分史づくりにより、「自分はこれで良い」という穏やかな自信と、周囲に対する信頼を持てるように支援していると話した。
With/Afterコロナの時代のセルフケアと統合医療
齋藤繁氏(群馬大学医学部附属病院病院長)は『感染症に負けない体づくりのための健康登山塾』のテーマで、新型コロナウイルス感染症には様々な対症療法やワクチンで対応しているが、一番大切なのは日頃の生活習慣病対策と免疫力と述べた。
歳とともに健康に関心が高まるが、具体的に何をすべきか分からない人も多い中、豊かな自然や温泉がある群馬には健康増進のために多くの人が訪れていると報告。自身の経験もふまえ中高年の登山において、心配されるのが遭難で、転倒などによる傷害や既往症の悪化、認知障害による道迷いなどを挙げた。
また「バテる」とは、心拍数が許容範囲を超え高い状態が続いた場合や呼吸筋が疲れ大きな呼吸がつらい状態だと解説。いかに効率よく呼吸するかが楽に登山するポイントとし、肺の下まで空気を入れることを意識した腹式呼吸の練習などをアドバイスした。登山後すぐの入浴による脱水、坂道での急な心拍数の上昇などにも注意を促した。
コロナ禍を受けた、今後の医療体制の変化やデジタルトランスフォーメーションなどについての伊藤壽記氏(IMJ理事長)の講演や、住み慣れた地域で患者が最後まで自分らしく生きるために病院と診療所、介護事業所が連携する安中市医師会独自のシステム「情熱ライン」などについての須藤英仁氏(群馬県医師会会長/須藤病院理事長)の講演も行われた。
身体、心、環境など ヒトを全体的に診る重要性 第17回 日本鍼灸師会全国大会 in 愛知
身体、心、環境など ヒトを全体的に診る重要性 第17回 日本鍼灸師会全国大会 in 愛知
2023.01.25
第17回公益社団法人日本鍼灸師会全国大会in愛知『ヒトを診る―東洋医学の全体観』が昨年12月3日、4日に名古屋市内のウインクあいちで開催された。開会式では来賓として愛知県知事の大村秀章氏も祝辞を述べた。 (さらに…)
【レポート】理教連創立70周年 これからの視覚障害者の理療教育の発展に向けて
【レポート】理教連創立70周年 これからの視覚障害者の理療教育の発展に向けて
2023.01.25
軌跡振り返り、理教連の役割を確認
日本理療科教員連盟(工藤滋会長、理教連)の創立70周年記念式典・祝賀会が昨年12月18日、東京都千代田区のアルカディア市ケ谷私学会館で開かれました。オンラインも含め会員約90名が参加しました。 (さらに…)
【無料レポート】日本鍼灸史学会「第30回学術大会」
【無料レポート】日本鍼灸史学会「第30回学術大会」
2023.01.17
日本鍼灸史学会「第30回学術大会」が昨年11月26日、27日に京都教育文化センター(京都府京都市)とオンラインのハイブリッドで開催された。
真柳誠氏(茨城大学名誉教授)の特別講演「『黄帝医籍』について」では、黄帝医籍とは書名に黄帝を冠する中国医学古典籍で、漢代の『素問』『九巻(針経・霊枢)』『難経』、初唐までに編纂された『明堂』『甲乙経』『太素』を総称した氏自身の造語であると説明。各文献の関係性、他の文献に登場する際の内容の相違、誤字や文章自体の疑問など、典籍の内容を研究する真柳氏の専門分野、書誌学では解決できない問題があると話した。素問は一世紀初頭に編纂され全元起注本、王冰次注本を経て亡失。その後、注本に新校正注などを加えたものが度々刊行されたが、これらの多くは内容の相違が著しく解釈も困難なものである。そのような中でも、素問の字句をよく残していたのが1969年発刊の北宋の煕寧本であったとし、その内容をよく引き継いでいるものとして、明の顧従徳本を挙げた。
時代を経て内容が変わってしまう問題にも言及し、誤写や版木の亡失などのほか、政府の手による大きな改変があると話した。時の政権が良い教科書を作るなどの名目で都合の良い内容に改変する場合や、その時の判断で内容の切り捨てや要約、書き換えが加えられていると推察。「元の本に辿りつく手がかりは、文や文字の誤りや修正の跡に気付くことから始まる」と述べ、修正の経緯をさかのぼることで出版順や参照元が明らかにできると語った。
一般講演は「日本の鍼灸」3部、「中国の鍼灸」3部、「書誌・版本」1部の7部構成で、中川俊之氏の講演「本間祥白『鍼灸病證学』の価値について」、澤谷直子氏の講演「『脈経』巻第五の扁鵲脈法について第3報」、水溜亮一氏の講演「『察病指南』五山版と古活字版との比較」など22人の演者が研究成果を発表。質疑応答が交わされた。
次回「第31回学術大会」は同会場にて令和5年11月25日、26日に開催予定。
医療連携、他業種の視点 第4回日本伝統医療看護連携学会学術大会
医療連携、他業種の視点 第4回日本伝統医療看護連携学会学術大会
2023.01.10
日本伝統医療看護連携学会の第4回学術大会が昨年11月27日、『Expansion 共生社会を実現する医療連携―医療連携の拡大と発展をこめて』と題して、仙台赤門短期大学(宮城県仙台市)とオンラインのハイブリッドで開催された。 (さらに…)
【無料レポート】鍼灸のアップデート今こそ 全日本鍼灸学会中国四国支部学術集会 香川大会
【無料レポート】鍼灸のアップデート今こそ 全日本鍼灸学会中国四国支部学術集会 香川大会
2022.12.16
全日本鍼灸学会の中国四国支部学術集会が10月30日、香川県県民ホール(香川県高松市)とオンラインのハイブリットで開催された。
『鍼灸のアップデート』を大会テーマに、今後の鍼灸教育や鍼灸治療とメンタルヘルスの関係などの発表がなされた。
鍼灸師界、教育と意識の変革を
同会会長の若山育郎氏は『日本鍼灸アップデート』と題して、これからの日本鍼灸が向かう方向を語った。
教育においては、大講堂での一斉講義やメディア教材による画一的な教育といった、多対一教育が特徴的な中国医学と比べて、徒弟制度が源流にあり、小規模で個別的な日本鍼灸は非常に対照的であるとした。
そうした中で、日本の教育現場で使用される教科書でも中国医学が多く採用されており、日本鍼灸の技術や精神を拡充するためにも、現在策定中の学校機関のモデルコアカリキュラムのような、より体系的な取り組みが必要だと提起した。
また、同学会には現在、2300人の会員が所属しているが、これは全鍼灸師11万人の2%でしかなく、全医師32万人の55%が所属する日本医師会と比べて著しく低いと懸念した。
一方、日本東洋医学会などの伝統医学・東洋医学に関する学会が複数あり、医師の入会者も増加しているといい、東西両面から診断できる医師が増えつつあるにもかかわらず、鍼灸の存在感は非常に薄いと現状に危機感を表した。
この状況を改善するには鍼灸師自身と鍼灸師界全体のアップデートが必要で、その上で鍼灸師と医師がお互いをよく理解し、それぞれの役割を果たすチーム医療が重要だと説明した。
エビデンスからみるメンタルヘルスと鍼灸
東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科助教の松浦悠人氏はメンタルヘルス鍼灸について、最新のエビデンスを元に解説した。
令和3年10月から令和4年2月にかけて行なった鍼灸院来院患者303名(男性103/女性202)に対する調査では、その多くが気分症状はあるが精神科・心療内科では診断がつかない状態で、全体の30%近くが病歴10年以上であったと説明した。
続いて、うつ病に対する鍼灸治療効果について、対象者19名、期間9カ月の調査を 解説した。初めの3カ月は標準治療のみ、次の3カ月は鍼治療(週1回)を上乗せ、最後の3カ月はフォローアップとしたところ、鍼治療期間は有意に精神症状や身体症状が改善されたうえ、フォローアップ期間でも2カ月程度の持続が認められたと報告した。
さらに鍼治療の有効性に関する29件ものシステマティックレビューを紹介。鍼治療とシャム鍼(プラセボ)の比較では、鍼治療が有意に症状を軽減、抗うつ薬+鍼治療と抗うつ薬単独の比較では、こちらも鍼治療を加えた方が有意に改善したとした。治療は多数・頻回が重症度の軽減に効果を現し、おおむね8回程度が目安であるとした。
今後はエビデンスの質を高め、より一般化された研究が増える必要があると説明した。
小児はりが効くメカニズム解説 日本小児はり学会『第16回学術集会』
小児はりが効くメカニズム解説 日本小児はり学会『第16回学術集会』
2022.12.09
10月30日に日本小児はり学会の第16回学術集会『小児はりはなぜ効くのか―その機序を探る』がオンライン開催された。 (さらに…)
氣と意識―伝統鍼灸の本質に迫る 第50回日本伝統鍼灸学会学術大会
氣と意識―伝統鍼灸の本質に迫る 第50回日本伝統鍼灸学会学術大会
2022.11.25
第50回日本伝統鍼灸学会学術大会が10月29日、30日タワーホール船堀(東京都江戸川区)で開催され、多くの参加者が足を運んだ(アーカイブ視聴申込み含め約650名)。 (さらに…)
社会における柔整の役割 スポーツ現場と教育現場 全国柔道整復学校協会 第64回教員研修会
社会における柔整の役割 スポーツ現場と教育現場 全国柔道整復学校協会 第64回教員研修会
2022.11.10
全国の柔整専門学校が一堂に
公益社団法人全国柔道整復学校協会の第64回教員研修会が9月18日、19日の2日間、『柔道整復が社会に果たす役割』をメインテーマに名古屋市内で開催された。開会式で谷口和彦会長は台風接近にもかかわらず、多くの参加者が来場してくれたことを喜ぶと、日夜、学生指導に携わる上で、生じたトラブルや得た経験について情報共有をし、問題解決にいたる場になればと参加者を激励した。
頭部損傷は正しい受け身で低減
初日の講演では東海学園大学スポーツ健康科学部教授で医師の紙谷武氏が登壇。全日本柔道のオリンピックチームドクターとして北京、ロンドン、リオデジャネイロ、東京に帯同した経験を交えながら、柔道における受傷予防や治療など、柔整師としてどのような社会貢献ができるかを語った。 (さらに…)
第4回国際美容鍼灸学会 最新の顔面神経麻痺GL(ガイドライン)に言及
第4回国際美容鍼灸学会 最新の顔面神経麻痺GL(ガイドライン)に言及
2022.09.26
粕谷氏「鍼治療、次回推奨に転じる」
第4回国際美容鍼灸学会が8月7日、オンラインで開催された。
粕谷大智氏(新潟医療福祉大学鍼灸健康学科開設準備室長)は、顔面神経麻痺患者の苦労として、発症すぐは動かせない症状、その後は勝手に動く症状があると説明した。また、予後不良の後遺症に、「病的共同運動」「拘縮」「ワニの涙目」「痙攣」があり、基本的に薬が効かず回復が難しいため、予防が重要だとした。 (さらに…)
鍼灸マ都師会 講習会 『中国の気・日本の気』テーマに
鍼灸マ都師会 講習会 『中国の気・日本の気』テーマに
2022.09.26
松田氏「気の思想は鍼灸術の核心」
東京都はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧師会(森井貴司会長、都師会)が7月31日、講習会『中国の気・日本の気―鍼灸思想の基礎づけのために』を都内の会場とオンラインでハイブリッド開催した。10月下旬に、創立50周年を記念して開かれる日本伝統鍼灸学会東京大会のプレ企画として催された。 (さらに…)
日本AT学会の第11回学術大会「アスレティックトレーニング学の進む道」テーマに
日本AT学会の第11回学術大会「アスレティックトレーニング学の進む道」テーマに
2022.09.09
「暗黙知→実践知」で新たな知を
一般社団法人日本アスレティックトレーニング学会(広瀬統一代表理事)の第11回学術大会が、7月17日から8月7日までオンラインで開催された。大会テーマは『アスレティックトレーニング学の進む道』。 (さらに…)
【無料レポート】鍼灸学会Tokyo第2回学術研修会 刺鍼部位としての筋硬結とFascia:触診とエコーから探る
【無料レポート】鍼灸学会Tokyo第2回学術研修会 刺鍼部位としての筋硬結とFascia:触診とエコーから探る
2022.09.05
経絡とFascia
鍼灸学会Tokyo(山田勝弘会長)の 令和4年度第2回学術研修会が7月3日、オンラインで開催された。
『エコーと局所解剖・生理学から見た筋硬結とFascia』と題して、須田万勢氏(諏訪中央病院リウマチ・膠原病内科医長)が講演した。須田氏は、筋膜性疼痛に対し、エコーを用いてFascia(ファシア:膜・筋膜)に生理食塩水を注射して元の状態に復元させて痛みやこり等の症状を改善する、ハイドロリリース(筋膜リリース)を臨床で実践している。
経絡とファシアを比較して、▽経絡は「気」、ファシアは「電気」の通り道、▽経絡は五臓六腑と四肢の「連絡網」、ファシアは臓器を繋ぐ「結合組織」、▽経絡は当たると「響く」感じがする、ファシアはリリース中に「効く」感じがする、▽経絡は決められた通路を通る「線」、ファシアは膜によって隔てられた層がある「面」と解説。
鍼灸は直接、神経を刺鍼していないのに、線(面)状に響き感が得られ、症状が改善するのは、生理学的に情報伝達の機能を持った一本の線維としての見えない神経があるとした。ファシア内のC繊維は刺激に対する閾値が高く、筋肉が深くて重い痛みを感じるのに対し、ファシアは鋭い痛みを感じると考えられると説いた。刺鍼は、ファシア内の刺激受容器にアクセスする行為と分析した。
超音波エラストグラフィーの可能性
鍼灸師の林健太朗氏(東京大学医学部附属病院リハビリテーション部鍼灸部門)は、主に肩こり自覚者を対象としたエコーによる超音波エラストグラフィーの可能性と、鍼灸の効果について講演した。
あはき師の臨床・教育現場の重要な課題として、触診による筋肉の硬さの判定は施術者の主観によって一致せず、押し込み式組織硬度計では筋肉のみの硬度を示すことができないことを挙げた。それを踏まえて、超音波画像診断装置により組織の硬さを評価する「超音波エラストグラフィー」による評価を報告した。異なる3姿勢で計測を実施した結果、測定部位が直線となる姿勢での測定はStrain Ratio(SR歪み比)の信頼性が向上するとして、触診は筋肉以外の組織の影響も受けている可能性を示した。
また、肩こりの自覚症状の有無や程度は、筋肉の硬さだけでは説明しきれないとした。自覚症状と関連する組織は何か、刺鍼による肩こりの自覚症状の軽減はどのような組織への影響に由来するのかを明らかにすれば、触診による評価、刺入深度選択、刺鍼目標となる組織の選択の根拠の一つとなると述べた。
第30回日本刺絡学会学術大会 業権守る学会の歩みを回顧
第30回日本刺絡学会学術大会 業権守る学会の歩みを回顧
2022.08.10
複数回の摘発を経て政府回答へ
日本刺絡学会の第30回学術大会が6月26日、タワーホール船堀(東京都江戸川区)で開催された。
楠本淳副会長の会頭講演では、同会と刺絡鍼法の歴史が振り返られた。発足の契機とされたのは昭和62年8月、当時の栃木県鍼灸師会会長・福島慎氏が「三稜鍼での瀉血治療は医師法違反」と家宅捜索を受け、書類送検された事件。検察は「血を一滴でも取れば医師法違反」と罰金の支払いを求めたが、福島氏は拒否し鍼灸師の業務範囲だとして裁判で争う姿勢を示した。こうした問題に対処し、業権を擁護すべく、昭和63年に全国刺絡問題懇話会準備会が立ち上がったと述べた。同年「福島事件」が不起訴となった後も刺絡の研究・啓蒙活動を続け、平成4年に懇話会として正式に設立、平成6年に現在の学会名と改め、平成8年には『刺絡鍼法マニュアル』を発行した。 (さらに…)
北里大学東洋医学総合研究所医史学研究部 『はじめての東洋医学歴史講座』
北里大学東洋医学総合研究所医史学研究部 『はじめての東洋医学歴史講座』
2022.08.10
初回は「中国古代古典編」、今後近代までシリーズで
北里大学東洋医学総合研究所医史学研究部の第1回『はじめての東洋医学歴史講座』が6月19日、オンラインで開催された。
天野陽介氏(北里大学客員研究員) が『中国医古典概論(古代~唐)』と題して、中国の古代から唐の時代までの主だった医学書などを取り上げた。 (さらに…)